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99A−091
差出人:林 正幸
送信日:99年10月19日
件 名:2組の「授業ノート」から

こんにちは、林です。
 今日が試験の最終日、幸い採点は終了しています。
 昨日は、家内と「霧ヶ峰」に出かけました。近場にしようかとも迷っていたのですが、天気が良かったので遠出を決意しました。8時に出発して高速にのり、途中20分ほど渋滞がありましたが、諏訪インターを下りて11時半には現地に着きました。
 軽い昼食のあと、お目当ての「八島湿原」を歩いて一周しました。1時間ほどのコースですが、日差しがあってすこしばかりの風も苦にならず、清々しい気分でした。湿原やまわりの高原は枯草色ですっかり秋の気配、緑の牧草や紅葉も混じって別世界です。そして休憩して湿原の水面に映る空を眺め、鈴のような虫の声を聞きました。
 このあとビーナスラインを走って白樺湖。帰りの高速は家内が運転してくれたので、今が盛りのススキやセイタカアワダッチソウが過ぎ去る向こうに、午後の太陽を浴びた山並みをゆったりと楽しめました。そして夕食の買物を済ませて帰宅したのが6時でした。
 今年の私たち夫婦はすこし「まとも」です。お互いに仕事人間ですが、春には2泊3日で有馬温泉・神戸に出かけたし・・・。

 2組みの最近の「授業ノート」を紹介してみます。
「科学者はどうやって正確な分子量をつきとめるのか不思議に思った。
分子の大きさの事がどうして分かったのか知りたい。
1000倍も大きい分子があって、それが自分たちの周りにたくさんあるというのはおどろいた。
RNAのことを”巨大分子”と呼んでいるのを聞いたことがあるけど、そのことと関係あるのか? そしてなぜ増殖するのか?
分子といえばSFとかでナノマシンというのがあるけどそれは可能なのか。
いろいろ式や数が出てきてわけが分からない。
計算によって圧力や分子量がわかってしまうのはおもしろい。
テストの点を短期間で上げる方法
(ちなみにこの生徒の中間は99点でトップでした。)」
「(前略)
溶解度をもとめる計算はなかなか難しい! 頭の中がごちゃごちゃになってしまう。先生が解説してくれると、”なるほど”って、わかるんだけど。だから、まだ理解しきれてないということだと思うから、テストまでには自分でしっかりとけるようにしたいです。」
「(前略)
変な質問だと思いますが、ヒドロキシル基のヒドロキシルとはどういう意味をもっているのでしょうか。
(中略)
計算問題って思うだけでパニクッてしまい、問題がぜんぜん分からなくなってしまう。どうしょう。
”似たものどうしは溶け合う”っていうのは、今までは当たりまえみたいに思っていたけれど、よく考えるとすごいことでは!?と思った。
何で水と油では”電気的引力”が働かないのですか。」
「(前略)
溶解度の計算なんて授業を聞いていてもさっぱり分からなかった。理解できるように頭をしぼりたいと思います。
気体の溶解度は圧力に影響を受けるなんでとてもびっくりした。
溶解度の計算は誰がつくったのか知りたいと思った。」
「(前略)
自由エネルギーとは何の事かと疑問に思う。
測られたフラスコだからメスフラスコならば、測られたシリンダーだからメスシリンダーという名前があるのかと思った。
小学校の時から使っていたものだったので何となくびっくりした。
でもビーカーは何故”メスビーカー”ではないのでしょうか。」
「ウランの扱いをまちがえると、たいへんなことになるということしか、難しすぎて理解できなかった。
有害物質(註:ぶよという虫のこと)をどうにかしようとDDDをまいたのは良かったけれど、食物連鎖で他の動物・人間にも影響があるということは、予想外だったのだろうか。
”母親の母乳がダイオキシンで汚染されている”とプリントに書いてあったけど、母乳だけが汚染されているの? 母親から産まれた子供は、母乳を飲まなかったらだいじょうぶなの?
”放射能をあびた”と、自分でちゃんと分かることができるのか。それで、その放射能をあびた人から他の人にうつるのか知りたい。
分子・原子の世界はすごい複雑だ。水素1、水素2・・・、そんな水素にかわりないのに、使い方をまちがえると大変なことになってしまう。でも、人間も、人間の中の自分。同じか。」
「医学の発達について、透析でなおせるよういなったことを納得した。
浸透で、実験の結果からみてほんとにあんなことが起こるんだなあと感心した。
(後略)」
「(納得したこと)
放射線は感染しない。
浸透がどういうものか分かった。 腎臓の治療に半透膜をつかうなんて、半透膜はいろんな使いかたがあるんだな。
(中略)
なんで半透明の溶液だと、レーザー光の道すじが見えるのか。透明と半透明の色に関係があるんじゃないのか。」
「なぜ硫黄をエタノールに溶かしてから大量の水でうすめた溶液には、横からレーザー光を当てると光路が見えるのか。またほかにどんな物に光路が見えるのか。
(中略)
何げなく寒天を使っていたけど寒天が長い分子や、それが枝分かれしたり網目状になったりした分子からできているなんて思わなかった。
身近なコロイド溶液は他にどのようなものがあるのか知りたい。
”凝”という字を使うものが多くて区別が大変だと思った。」
「(前略)
合成せんたくのりもコロイド溶液とは思わなかった。他にも身近な物でコロイド溶液はあるのかな。
ゲル化という言葉も難しそうだったけれどコロイド粒子が溶媒を包み込み流動性を失ったという案外簡単なものだった。
先生の授業は身近な物を使って説明してくれるから想像しやすいし、気づかないうちに私達は化学に接しているんだなあ、と思うことができる。
電気泳動はコロイド溶液に電気を入れるとコロイド粒子が泳ぐように動く、と覚えるとわかりやすいかな、とか、自分で工夫して覚えるようにすると、楽しいし、意外と覚えれるな、と思った。」
 「授業ノート」を読んでいると、生徒から学ぶものが多いなと感じます。
 ではまた。


99A−092
差出人:山本 喜一
送信日:99年10月19日
件 名:湯葉を作りました

こんばんは、山本です。
 林さんの酸と塩基、そして自由エネルギーを授業にどうやって持ち込むかというメールは力作ですね。読みこなして、コメントするにはもう少し時間が必要です。私も、中間テストの後は「酸と塩基」の授業になりますので、林さんのテキストを参考にさせてもらいたいと思っています。とりあえず今は、酸と塩基は自然界やわれわれの生活の中のどんなところにあって、どんなはたらきをしているのかをもう一度洗い直してみたいと思っています。
 野中さんの生徒の実験中の態度については、面白く読みました。マニュアルは読まず、とりあえずいろいろいじくってみて、どうなるかを試してみるというやり方は、確かに初めてコンピュータソフトに対面したときと同じですね。生徒だけでなく、私自身、分厚いマニュアルなんか読む気はしませんからそうします。  おそらく彼らも、実験方法をいちいち読むなんて面倒なことをするよりは、やり方を人に聞いてしまいたいと思っているのでしょうね。あるいは、そういう手順を無視して、いろいろ勝手に実験して、何か面白いことが起こるかも知れないと期待しているのでしょうか。危険がなければ、そういう活動もたまにはあっても良いかも知れませんが、実験させる側としては「良く読んで、よく考えてやれ」といいたくなりますよね。
 さて、今年、コロイドのところで豆腐を作ったついでに、準備室で初めて湯葉を作ってみました。と言っても、大豆から豆乳を作って、それを沸騰させない程度に加熱するだけですから、簡単です。豆乳の表面に膜ができたら、それをすくって、しょう油を付けて食べました。湯葉をたくさん作るには時間がかかりますが、なかなかおいしくできますよ。
 ところで、豆乳を加熱するとなぜ膜ができるのだろうと思っていたのですが、いつか盛口さんが「理科教室」に牛乳を加熱したときの膜について書いていたことを思い出しました。盛口さんと最近会う機会がありましたので、湯葉と牛乳の膜について聞いてみたところ、両方とも、単なるタンパク質の熱変性ではないだろうとのことでした。熱変性であれば、表面だけに膜ができるのはおかしいというわけです。牛乳の膜は、脂肪がなければできないこと、そして、空気と接していなければできないこと、もしかしたら酸素がないと膜にならないかも知れないことなどを教えてくれました。
 そこで、学校に帰って、まず膜の形成に酸素が必要かどうかを実験しました。豆乳を三角フラスコに入れ、2本のガラス管を付けたゴム栓をして、片方のガラス管からフラスコに窒素ガスを入れ、もう一方から空気を逃がして、加熱してみました。これでも膜はできましたので、酸素は関係ないかも知れません。ただ、このやり方は不完全です。本当は、絶えず片方のガラス管から三角フラスコに窒素を流し込んでいなければならないのでしょう。でも、大きな窒素ボンベがないので、そういうやり方はできませんでした。いつかやってみたいと思います。
 次に、膜の形成に脂肪が必要かどうかを実験しようと思いました。そこで、豆乳にヘキサンをたっぷり入れて、脂肪を抽出しようとしたのですが、豆乳はヘキサンを乳化してしまい、いつまでたっても2層に分離しませんでした。大豆には強い界面活性作用を持つものが含まれているようですね。一体、何なのでしょうか?
 今度は、水につける前の大豆を荒く砕いたものをヘキサンに浸して、脱脂大豆にしてから、湯葉づくりをしたいと思っています。
 では、また。


99A−093
差出人:林 正幸
送信日:99年10月21日
件 名:アルケ資料を送ります

こんばんは、林です。
 アルケ通信第1号の資料の準備ができましたので、明日発送する予定です。今回は次のものです。
    ・アルケミストの皆さんへ
    ・授業プリント(生徒用)の
       5章 気体の性質
       6章 溶液の性質
    ・「授業プリント」をつくって(科教協大会レポート)
    ・MOLの会通信99−5
    ・アルケミスト「メーリングリスト」の目録(99年7月11日〜10月16日)
    ・原 弘良さんのレポート(7月17日のメールで本文のみを紹介した)
       「友だちがスゴイ!! 私も科学者だい」
 次のようなメールが届きました。たしかに私もにがり(主成分塩化マグネシウム)の取り過ぎは体に良くないと聞いています。しかしそのような文献がありません。誰か、情報がありましたら教えてください。
 ではまた。
<引用>
突然のメール失礼かと思いますが、ぜひ教えて頂きたい事があります。
それは、「にがり」のことです。
ある方が母親(60過ぎていると思われますが)に、健康食品として、「にがり」を食事にくわえて
るという話しを聞いて、其の方の家庭では、専売で売られていた、塩化ナトリウムそのものの「塩」は使用していな
いので、あえてにがりをとるのは、かえって良くないのではないかと思うのですが、私の思うには、「にがり」は蛋
白質を硬化させ、腎臓の働きをにぶくさせるとおもうのですが。確かに、自然海塩の塩にも、にがりはあるのですが
、1〜2年かけてにがりを抜いているものもあります。それは、やはり「にがり」の「わるさ」があるのではないでし
ょうか?
とくに、医学的な論文か化学的な根拠があればいいのですが、まったくてがかりがありません。
たすけてください。
Eメールは
YUKI103632@aol.comです。
金子と申します。
<以上>


99A−094
差出人:佐藤 琢夫
送信日:99年10月22日
件 名:液体酸素と窒素について

岩手の佐藤です。
 液体窒素の実験で空気の分留の説明にいつも沸点以外に融点の値も示しています。

酸素  分子量 32 沸点 ―183  融点 ―219
窒素  分子量 28 沸点 ―196  融点 ―210

分子量と分子間力の関係から理にかなっているのは、分子量と沸点です。分子量と融点の間には酸素と窒素の間で逆転があります。
 以上のことを前から気にはしていたのですが、今回の実験でついに生徒から質問がでました。どなたか―200度の窒素と酸素の挙動についてわかる方いませんか。


99A−095
差出人:山本 喜一
送信日:99年10月24日
件 名:「化学」に実験が載りました

こんばんは、山本です。
 化学同人の月刊誌「化学」の11月号に実験が載りました。この号の特集は”化学を手作り”というテーマで、私以外にもアルケのメンバーでは、盛口さんの「息でホタルの光」、野曽原さんの「実験室で青銅鏡を作る」、中臺さんの「水の中で花火が燃える」が出ています。
 その他の人のテーマもながめてみますと、この本は「何でも実験」とか「科学の祭典」あたりから拾い集めて特集にしたような気がします。気が向いたら、手に取ってみて下さい。
 では。


99A−096
差出人:藤田 勲
送信日:99年10月25日
件 名:RE:液体酸素と窒素について

今晩は。埼玉の藤田です。
 窒素と酸素の融点の逆転についてですが、これは酸素の挙動に問題がありそうです。酸素分子に2個の不対電子があることはよく知られていますが、この不対電子のために酸素は気体でもごく一部会合していることが知られています。
   O2 + O2 = (O2)2 or O4 +0.13 kcal
これは2酸化窒素と4酸化2窒素の関係に似ていますね。
 酸素分子の励起エネルギーは非常に低く、不対電子がもっとも低い励起状態に遷移したときに吸収されるエネルギーは遠赤外領域(7882.4cm-1,1269nm)で人の目には見えません。しかし、会合した酸素ではごくわずかに赤色の光を吸収できるようになり、この赤の吸収帯(15876cm-1,630nm)のエネルギーはちょうど、酸素分子の不対電子の励起エネルギーの2倍に相当しています。これは2個の酸素分子が同時に励起されたと仮定した場合のエネルギーですから、対を作った電子を持った反磁性のO4分子の存在を示している、と言われています。O4分子は高圧の酸素や液化した酸素では増えて、液化した酸素はこれが肉眼でも確認できるようになり、よく知られているように液化酸素は青色に見えます。
 一方、固体酸素にはO4分子は存在せず、一片が6.83Aの立方体の格子中に8個の酸素分子が含まれていることが分かっています。このうち、8つの各頂点と体心に1個ずつある酸素分子は自由回転をしていて、6つの面内に2個ずつある酸素分子は各面に対して垂直方向に回転しているのだそうです。何とも奇妙な、アモルファスな固体ですね。もっとも、これより低温側のβ相やα相ではちゃんとした結晶構造を取っているようです。(しかし、O4分子がない固体酸素でも青色だというのはなぜでしょうね。)
 したがって、液化酸素が凝固するときには、平衡状態にある混在するO4分子を含んだ液体から生じるわけですから、凝固点降下が起こり、期待されるO2の凝固点よりも低くなると想像されます。
 以上が私の調べた結果で、最後の部分が私の推論です。林太郎『酸素の化学』(共立出版、1973)、ジョリィー『非金属の化学』(東京化学同人,1968)、小谷正博「現代化学」(1994年,6月号)を参考にしました。


99A−097
差出人:佐藤 琢夫
送信日:99年10月25日
件 名:液体酸素の挙動について

岩手の佐藤です。
 藤田さん以下のメール有難うございます。凝固点降下という着想がありませんでした。

 液化酸素が凝固するときには、平衡状態にある混在するO4分子を含んだ液体から生じるわけですから、凝固点降下が起こり、期待されるO2の凝固点よりも低くなると想像されます。(以上引用)

 明日から進路の出張や今週末から推薦入試の出願で忙殺されるので取り急ぎメールを送信します。今回の問題に関する文献(古いですが)は学校の準備室にあるので記憶の部分で書いています。
 私の持っている無機化学の本にもO4分子が載っていて、確か低温に向かうと、その割合が増えるようです。酸素の固体の淡青色はその通りですが、酸素の固体にO4分子が含まれないという記述はなかったと思います。このO4分子の記述で私自身、酸素の挙動にはまり、柔軟な考えが出来なかったようです。ますます分子量が増えるのに、どうして融点が低いのだと。この凝固点降下で納得はいきます。また、同時に沸点上昇の立場で、O4分子が分子量以上に酸素の沸点を高めていることも考えられますね。
 酸素の挙動を質問した生徒ですが,レポートの中に「アルミ缶に液体酸素が付着したのはわかる。なんでアルミ缶には氷が付着しないのか。私の予想。缶に近づく前に液化するのだと思うのですが。でもあの時机はぬれていなかったのですが。」ということも書いていました。
 次は、マイスナー効果についての生徒の感想です。
「学校の実験でこんなのが見ることができるとは思っていませんでした。見学の先生方もびっくりしていました。ハイデイさんもワォーと言っていました。」
 超電導物質による磁石の吊り下げ、ピン止め効果も行う。
「磁石が浮いているのにも驚いたが、さらに逆さにしても浮いていて下に落ちてこないのを見てすごく興味がでた。」「超電導物質を冷却することで電流が流れて磁石になるということはよくわからない。その磁力は磁石を浮かすだけの強いものだった。浮かすだけだったら、この超電導物質を逆さにすると離れて落ちるはずだけれど、しばらくたっても距離を保って引き合っているこの力は何なのだろうか。反発と引力が同居しているのが不思議だ。」


99A−098
差出人:山本 喜一
送信日:99年10月26日
件 名:アルミ缶には氷が付着しないわけ

こんばんは、山本です。
 佐藤さんと藤田さんの酸素に関するやりとりを興味深く読んでいます。O4分子なるものがあるんですね。初めて知りました。
 ところで、液体窒素をアルミ缶に入れたとき、缶に氷が付着しない理由ですが、私は生成された液体酸素(液体窒素を溶かしている)に、氷の粒(とドライアイスの粒)が混ざっているのだと思います。缶からしたたり落ちる液体は、白く濁っていますよね。あれが氷やドライアイスの粒ではないでしょうか?
 話は変わりますが、「いろいろな逆さコップの実験」が「化学と教育」に載りました。それから「授業内容に沿った環境教育を」が「理科教室」に載りました。別に自慢しているわけではありませんよ。たまたま、こういう時期が重なっただけですから。その証拠に、これから先、投稿するものは何もない状態です。気が向いたら読んでみてください。そして、感想やコメントをもらえれば幸いです。
 では。


99A−099
差出人:藤田 勲
送信日:99年10月27日
件 名:RE:アルミ缶には氷が付着しないわけ

 この件についての山本さんの見解に賛成です。
 液体酸素や氷やドライアイスの生じる量は、液体窒素で冷やされたアルミ缶表面にぶつかり、捕まえられる各気体の分子数に比例すると思われます。
 したがって、生じる氷が少ないのは、空気中の水蒸気分圧がO.O1気圧程度と、酸素の0.2気圧に比べて極端に少ないからでしょう。二酸化炭素についてもその分圧は0.03気圧程度ですから、やはり大量のドライアイスの付着は望めませんね。本来の液体酸素は透明なはずですが、試験管中に作ったものでも開放系では空気の混入はさけられませんから、やはり濁っていますね。
 寒剤をドライメタにした場合には−80度程度ですから、析出するものは氷以外にはないため霜が、大量につくのですね。
 ところで、どうしてドライアイスの冷媒はメタかアセトンなのでしょうか。石油にドライアイスを加えても全然冷えません。なぜでしょうか。私はメタやアセトンにドライアイスから昇華した二酸化炭素がとけ込むことで、これらの液体が冷媒として働いているのだと思っています。石油も二酸化炭素をよく溶かしますね。でも冷媒にはなりません。どなたか教えてください。


99A−100
差出人:山本 喜一
送信日:99年10月28日
件 名:「ドライアイス+灯油」について

こんばんは、山本です。
 藤田さんの「ドライアイス+灯油」ですが、私はやったことがなかったので、冷えないとは知りませんでした。でも、灯油にドライアイスをうんとたくさん入れてしばらく放置すれば、灯油もドライアイスの温度(−78.5℃)になるはずですよね。灯油はそういう低い温度に達するまでに、時間がかかるということだと思います。
 その理由を考えてみました。まず、灯油は融点が高いので、ドライアイスで冷やされると固体になってしまうはずです。沸点が180から300℃くらいの成分を集めたものが灯油だとされていますので、ウンデカン(沸点196℃)あたりは沸点がもっとも低い成分のひとつでしょう。このウンデカンで融点が−25.6℃ですから、他の成分もドライアイスの温度では、凝固するはずです。
 したがって、ドライアイスを灯油に入れると、灯油が凝固してドライアイスのまわりを取り囲むでしょう。ここで、ドライアイスを水に入れたときのことを思い出しました。あのとき、ドライアイスが氷で包まれて、あたかも断熱材でおおわれたようになって、水全部が凍りつくことがなかったのです。ですから、ドライアイスを灯油に入れた場合も、灯油の固体が断熱材(?)になって、液体の灯油の温度が下がりにくくなっているのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
 なお、ドライメタ(エタ)やドライアセトンの温度が下がるのは、ドライアイスの昇華熱が主な原因だと、辞典に出ています。ですから、灯油や氷の固体がドライアイスを包み込んでしまうと、昇華する速度が落ちて冷えにくくなるということかも知れません。
 ちなみに、エタノールの融点は−114.5℃、アセトンは−94.8℃でドライアイスの昇華点よりは低温です。
 では、また。


99A−101
差出人:藤田 勲
送信日:99年10月28日
件 名:ドライ・灯油について

 この件についての、前回のメールに誤りがありましたので、訂正しておきます。
 「灯油にドライアイスを加えても全然冷えない」は誤りでした。今日、ドライアイスが手に入ったので、10年以上前にやったこの実験をもう一回試してみました。メールには書いたものの、記憶が定かではなかったのです。そうしたら、−20度程度までですが確かに冷えました。大変失礼しました。
 二酸化炭素を溶かすことのできる有機溶媒なら、程度の差(これはおそらく二酸化炭素の溶解度を反映しているのでしょう。)はあれ、冷媒になると考えて良いと思われます。
 以上。


99A−102
差出人:藤田 勲
送信日:99年10月29日
件 名:RE:「ドライアイス+灯油」について

今晩は。山本さん、早速コメントありがとうございます。
 灯油は炭素数で10〜13の混合物で、沸点で150〜250度ですね。デカンからトリデカンの融点を調べてみると、-5〜-105度くらいまで幅が広いですが、主成分がウンデカンだとすると-20度程度で凍り始める量が増えて、温度計も目盛りが止まったように見えるのですね。今日も余ったドライアイスでやってみたら、かき混ぜ続けていると全体としては凍らずに、さらに温度は下がっていきました。もちろん、ドライメタでは、試験管内の灯油はすぐに凍りました。
 この点は、山本さんのいう通りでしょう。でも、「灯油もドライアイスの温度(−78.5℃)になるはず」には疑問があります。ドライアイスと有機溶媒による混合寒剤の最低到達温度を調べてみると、−75.5度にはならず、ばらつきがありますね。
    ドライエタ −72度     ドライエーテル −77度
    ドライ酢酸アミル −78度  ドライアセトン −86度
 「ドライアイスの昇華熱が主な原因」という点には異論はありませんが、ばらつきには他の要因がありそうですね。これについてはどう考えますか。有機溶媒がドライアイスの昇華点を下げて急激に昇華することで冷えること以外に、有機溶媒への二酸化炭素の溶解熱(これは発熱)や有機溶媒自身の蒸発熱(吸熱)などが関係しているように思うのですが、どうでしょうか。


99A−103
差出人:山本 喜一
送信日:99年10月29日
件 名:「ドライアイス+灯油」について(2)

こんばんは、山本です。
 昨日の私のメールは、藤田さんの”ドライ・灯油について”を読まずに書いたものです。ドライ・灯油でも−20℃くらいにはなるのですね。
 でも、事典によるとドライ・エタが−72℃、ドライ・アセトンが−88℃まで下がるそうですから、ドライ・灯油はやはり寒剤としての効果が小さいといえます。昨日は、灯油の固体がドライアイスのまわりを囲んで、あたかも断熱材のようになるのではないかと書いたのですが、今日、もう少し考えを進めてみました。
 まず、ドライアイスよりも融点が低いエタノールやアセトンの場合、ドライアイスを放り込むと、その昇華による泡のために対流が起こり、温度の高い液体部分が次々とドライアイスに接近して冷やされ(熱を奪われ)、寒剤全体がたちどころに低温になるものと思われます。
 ところが、灯油にドライアイスを入れた場合、その固体がドライアイスを包んでしまいますから、ドライアイスの低温は灯油の固体を通して灯油の液体に伝わるかっこうになります(逆に、液体部分の熱が灯油の固体を通してドライアイスに流れてくると言うべき、かも)。ここで、灯油の液体部分の温度が下がらない原因としては次のようなことが考えられます。(1)灯油の液体が凝固するときに発熱するため。(2)ドライアイスが灯油の固体で包まれているので、昇華による泡が少なくなり、液体の対流が弱くなるため。(3)ドライアイスを包んでいる灯油の固体の熱伝導度が小さいため。

 私はこの中で(3)が一番大きな原因になっているのではないかと思います。

 灯油の中にドライアイスを入れた場合、液体部分の灯油はドライアイスを包んでいる灯油の固体から熱を奪われると同時に、(空気と接している)容器の壁から加熱されています。灯油の固体は熱伝導性が悪いため、短時間のうちにはドライアイスと同じ温度にはならず、もっと高い温度になっているため、液体部分の灯油は外から加熱される効果もあって、−20℃という温度になっているのではなかいと思うのですが、いかがでしょうか。もちろん、−20℃という温度は、使っている容器が断熱性のものかどうか、灯油にどれくらいの量のドライアイスを入れたかによって変動すると思いますが。


99A−104
差出人:林 正幸
送信日:99年10月30日
件 名: 「物質とエネルギー」の授業

こんにちは、林です。
 ちょっとメールが間遠かなと思っているや、またまた話題が沸とうですね。
 山本さん、投稿の方でも活躍していますね。
 佐藤さん提起の液体酸素の凝固点は、私もO4分子は知りませんでした。やはり化学は奥が深いですね。言い換えると、単純な納得は危険ということになります。
 そして藤田さん提起のドライアイス寒剤もいくつかの問題が含まれていそうです。最低到達温度は平衡状態ではなさそうですね。溶解熱については二酸化炭素が飽和してしまえば関係なくなります。そしてドライアイス−アセトンの到達温度が−86℃ということは、凝固点降下の効果が現れていると言えるでしょう。最低到達温度は、山本さんが書いているように伝熱の要因が大きいように思います。高校時代に、化学準備室に石炭ストーブがありました。その火かき棒(鉄)をストーブに入れて真っ赤に焼き、それをストーブに置いた金だらいの湯に浸けて遊んだことを思い出します。最初は水蒸気の被膜が液体の水を寄せつけず、しばらくして温度が下がると水が勢いよく沸とうするのです。これはテルミット反応において、できた鉄を水に落としても観察されます。気体が表面を被うようなときには、詳しくは分かりませんが伝熱の条件が重要になるように考えます。
 さて、前にも「物質とエネルギー」の授業の紹介をしましたが、ほぼ終わりに近づいて次のような「授業ノート」が登場しました。
「物質どうしが状態を変化させるには、常にエネルギーの流れがかかわっていることがわかった。
酸素呼吸は光合成と全く逆向きの反応という関係を知った。
太陽がなくなる前に、どうくらい地球に人が存在できるのか、興味をもった。
熱化学方程式から、前後のエネルギー量の差が簡単に読み取れる。
物質どうしが、奪ったり与えたりするエネルギー量の値はどうやって求めるのか。(これは燃焼熱の計測を授業でやったのですけど、この生徒には意識されなかったようです。)
太陽エネルギーが与える量はどのくらいなのか。
地球上で人が暮らせるのも太陽と植物によるエネルギーの流れが深くかかわっている。私たちが豊かに暮らしていくには、自然の力がとても重大であることを改めて感じた。人が住める地球を作り上げた自然は本当に自分が考えていた以上のパワーをもっているんだなと感心した。技術が発展していく中、自然を破壊している自分たち人間がはずかしく思えた。自然を守る方にも力を注ぎたいものだと思った。」
 このエネルギーの授業では、複数の生徒が「分かりやすい」と話してくれています。他のクラスの授業ノートにも期待しているところです。
 ではまた。


99A−105
差出人:山本 喜一
送信日:99年10月30日
件 名:「ドライアイス+灯油」について(3)

こんばんは、山本です。
 「ドライアイス+灯油」について(2)も、昨日の藤田さんのメールを読まずに書いたものです。
 ドライアイスを有機溶媒に入れたときの温度の違いですが、たしかに、有機溶媒の蒸発熱がはたらいているようです。「化学辞典」(東京化学同人)の”寒剤”の項には次のような記述があります。
<引用開始>
(略)氷と各種塩類、ドライアイス(固体炭素)と有機溶媒の混合物が知られて
いる。後者では主にドライアイスが固体から気体(CO2ガス)になるとき大き
な蒸発の潜熱(吸熱)を伴い、外界から熱を奪い温度が降下する。有機溶媒自身
の蒸発潜熱も含まれるので選択する物質により温度は多少異なる。(略)
<引用ここまで>
 というわけで、温度の違いの原因として、この辞典では溶媒の蒸発熱にふれています。でも、藤田さんの言うように溶解熱も関係しているかも知れませんね。
 では。


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