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99A−241
差出人:山本 喜一
送信日:00年2月27日
件 名:化学反応の統一

こんにちは、山本です。
 先日のメールでは、電子の移動でいろいろな化学反応を見ると、酸化還元反応も酸塩基反応も区別できなくなる、ということを書きました。血中アルコール濃度が高い身体状況で書いたものですから、分かりにくかったかも知れません。ともかく、数多くの化学反応を分類しようとして線を引くとき、それの引きようによっては、ある反応が酸化還元反応に入ったり、入らなかったりするのではないかと思ったわけです。
 「化学大辞典」の”酸化”の項にも、このあたりのことが書いてあります。ある種のキレート化合物が、分子状の酸素と可逆的に結合することがあります。しかし、これは原子価の増減を伴わないので酸化とは呼ばず、酸素化あるいは酸素添加と呼ぶそうです。ヘモグロビンが酸素と結合する反応もこの例です。酸素との結合が酸化だという定義では、もちろんこれも酸化反応ですよね。
 化学反応だけでなく、人間がある物事を分類しようとすると、かならず似た問題に出合います。どちらに分類したらよいか分からないものが出てきたり、どれにもあてはまらないものが出てきたりするわけです。男と女の分類でさえそうですね。性同一性障害(確かそういう名称だったと思いますが)で悩んでいる人は、男なのでしょうか、女なのでしょうか。男とは何か、女とは何なのかということが分からないと、そういう人を男や女に分類できません。でも、男とは、女とはという疑問に、科学ははっきりとした答を見い出せません。最近、そういう人はその人が思っている性が本物で、体のつくりがそれにしたがっていないのだと考えられ、手術も行われています。そういう判断は科学者がしているわけではなく、今の社会がしているわけですよね。
 化学の方でも、分類はたくさん出てきます。金属元素と非金属元素、イオン性物質と分子性物質、酸と塩基、有機化合物と無機化合物・・・。それらの区別を私たちは分かり切った顔をして教えていたのではないでしょうか。生徒の頭を混乱させるとまずいと思って、あえて例外に触れてこなかったのではないでしょうか。そして、結局、科学は万能であるという印象を与え続けてきたのではないでしょうか。男と女の区別さえできない科学なのに・・・。あるところで線を引いてしまうと、必ず例外が出てくることを教えることが大切だと思っています。そういうことを教えて、科学では答が出ないものには、自分(たち)で答を見つけていかなければならないことを教えるべきではないかと思っています。いかがでしょうか。
 ところで、酸塩基と酸化還元が電子の移動(あるはプロトンの移動)という観点からすると、同じ挙動をしているように見えると書きました。すると当然ですが、両反応を統一して説明しようという理論も現れるわけです。ところが、それは成功しているとは思えません。理論的には統一した説明が可能なのかも知れません。しかし、そういう理論では酸も塩基も、酸化剤も還元剤も、あまりにも一般的な物質にひろがりなりすぎてしまうわけです。やはり化学では、酸と塩基、酸化剤と還元剤はある特定のはたらきを持つ物質として認識する必要があるようです。
 人間がものを認識するとき、分類は不可欠ですね。突き詰めてみると男と女の区別さえはっきりしないのですが、知らない人と出会ったとき、まず相手が男か女かをまず見分けますよね。物質を知るときもそうです。まず分類してみます。本来連続していて、明らかな線引きなどできない自然を相手にして、人間はまず分類という操作を行って、認識を始めます。それが人間の思考の形態なのでしょう。
 最後に、林さんから質問のあった酸化マンガン(W)ですが、「化学大辞典」には”かなり電気をとおす。”と書かれています。電気伝導性がよいようですね。ところで、乾電池の正極は炭素棒だと思ったのですが、酸化マンガン(W)も正極に入れた方がよいのでしょうか。最近、極板と活物質を分けようという考えが出てきていますね。極板は正極や負極になっている物質で、活物質は実際に酸化還元反応を行っている物質という区別です。ボルタの電池では正極は銅、負極は亜鉛ですが、正極活物質はH+負極活物質は亜鉛です。この考えた方で行くと、乾電池の場合、正極が炭素棒、正極活物質が酸化マンガン(W)でよいような気がします。でも、酸化マンガン(W)が電気をとおすとなると、これは活物質であり、正極でもあると言えるのかも知れません。極板と活物質というのも「分類」ですね。突き詰めるとすっきり区別できないのかも・・・。


99A−242
差出人:林 正幸
送信日:00年2月28日
件 名:酸化・還元に係わって

こんばんは、林です。
 このところ、咳が止まらない状態になっています。その種の風邪が流行っているようです。そんな中でも先週の土曜には、EHC(今ではエレクトロニクスと限定していない)で、分子結晶モデルを製作しました。面心立方格子の二酸化炭素(2格子分)が完成し、次回は斜方硫黄です。これまで水以外の分子結晶には手が出なかったので、宝物のようです。講師は、仮説実験授業の分子・結晶モデルで知られている山田正男さんです。彼は名古屋市立高校の数学の先生です。
 さて山本さん、分類は概念形成に必要不可欠な認識操作ですよね。しかし他方で自然は複雑に入り組んでいて、プラトンのイデア説のような思考は戒めねばなりません。そして教育の場でも概念形成は重要です。分かりやすく矛盾が少ない概念構成が求められます。しかしそれに偏ることはまさに科学万能論につながるわけで、それを崩したり、より高次の概念に発展させたりすることを常に心がける必要があると思います。これは根本的問題です。
 酸素原子のやり取りという新たな酸化・還元の概念を導入すると、単体が酸素と化合するすべての反応を排除することになります。酸化数によい点があるとすると、それらの反応を引き戻せることでしょう。  電子のやり取りについては、私のとらえ方はすこし異なります。この概念は電池や電気分解など実際に電子をやり取りする反応に限定してします。だから「無理に」酸化・還元に結びつける必要はないのす。酸化剤と言わなくても、電子を与えやすい物質と言えばよいのです。これは生徒にとって有用な新たな概念です。
 酸化数はこれら全ての反応に共通の概念を探した結果です。教科書はややあいまいですが、酸化数が最高次の概念として問題が作られます。したがって酸素原子やり取り反応に、これと矛盾するものは入れられないわけです。
 ところで山本さんは、電子の動きに注目したいと書いています。いわゆる「有機電子論」的な概念ですよね。私もその視点に立った教材を考えてみることは賛成です。どこまで踏み込めるかは生徒にも依りますが・・・。ただし私はこれは酸化数とは切り離した方がよいと考えます。
 話は変わって、酸化マンガン(W)にはやはり電導性があるのですね。さて正極と正極活物質を分けるとすると、乾電池では正極活物質は酸化マンガン(W)と水素イオン(あるいは水)ということになります。そして負極活物質は亜鉛(あるいは亜鉛と塩化亜鉛と水)ですね。
 私は電池も電子やり取りの流れの中で教えたいので、減極剤という方にこだわります。だから電極は電導性がある固体部分というイメージです。ちなみに、最近では電極反応も酸化反応とか、還元反応とか強調します。私は電子やり取りで良いと、つまり「電子を与える反応」などと言えば分かりやすい思います。ついでながら、酸化反応と名詞形で言ったら分かりにくいです。意味は物質が酸化される反応という意味でしょう。電池では物質が能動的に電子を動かしているのに、なぜ受身形で言うのでしょう。むしろ負極では物質が正極に電子を与えて相手物質を還元しているのです・・・。用語が混乱していて生徒の思考を妨げています。
 ではまた。


99A−243
差出人:山本 喜一
送信日:00年3月2日
件 名:RE:酸化・還元に係わって

こんにちは、山本です。
 林さん、咳が止まらないそうですが大丈夫ですか。いつかと同じ症状でしょうか。お大事にして下さい。そういう私も、今週風邪を引いてしまい、2日ほど寝込んでしまいました。
 林さんから酸化還元にかんするメールが寄せられましたが、よく分からないところがありますので質問させて下さい。
<引用開始>
 酸素原子のやり取りという新たな酸化・還元の概念を導入すると、単体が酸素
と化合するすべての反応を排除することになります。
<終わり>
 1.酸素原子のやりとりというのは古い概念で、新たな概念ではないと思うのですが。
 2.酸素原子のやりとりで定義すると、単体が酸素と化合する反応すべてが酸化還元で説明できるのであって、それを排除するわけではないと思うのですが、いかがでしょう。
<引用開始> 
電子のやり取りについては、私のとらえ方はすこし異なります。この概念は電池
や電気分解など実際に電子をやり取りする反応に限定してします。
<終わり>
 これは林さんの限定であって、一般的には酸化還元は電子のやりとりで定義づけられていますよね。おそらく林さんは酸化還元を教えるときに、そういう限定付きで教えているということだと思います。でも、私のメールは教え方を書いたのではなく、理論的な話です。一般に、酸化還元を電子のやりとりと定義したとき、どんな矛盾が起こるのか。酸塩基の定義とどう重なってくるのか、そこを書いたつもりです。
<引用開始>
ところで山本さんは、電子の動きに注目したいと書いています。いわゆる「有機
電子論」的な概念ですよね。私もその視点に立った教材を考えてみることは賛成
です。どこまで踏み込めるかは生徒にも依りますが・・・。ただし私はこれは酸
化数とは切り離した方がよいと考えます。
<終わり>
 有機化合物だけでなく、無機の方でも反応が起これば必ず電子雲の変化は現れると思います。例に挙げた H+ + H2O → H3O+ もその一つです。2.確かに、有機の方では、酸化数が変化しても酸化還元とは言わずに、置換反応とか付加反応とかいいますよね。これらの反応は林さんの指摘のように酸化数と切り離した方が、理解しやすいと思います。でも、なぜ酸化還元と言わずに置換、付加反応と言う方が分かりやすいのでしょうか。例えば、CH4がCO2に変わったとき、Cは酸化されたと言えますよ。でも、CH4がCHCl4になったときは、置換です。自然から見れば(Cから見れば)どちらも、Cの電子雲が薄くなった反応です。それを人間が勝手に片方を酸化、片方を置換と読んでいるわけです。そんなことを考えていくと、私たちは自然をありのままに理解しているように見えながら、実はかなり勝手な(人間に都合の良い)理解しかしていないのではないかと思えてきます。同じ意味で、酸化還元を電子の移動だと定義してみたところで、それは人間の勝手な解釈ではないかと思うのです。酸化数の増減を伴わない反応は酸化還元とは見なしていない、つまり電子の移動がないと見なしているわけですから。私たちは酸化還元とは何なのか、その真の定義をわれわれはまだ得ていないと思います。あるいは、化学反応の中から酸化還元反応というグループを分けようとする行為自体が自然に反しているのかも知れません。でも、林さんが言うように酸化還元とか酸塩基とかいうグループ分けをし、概念を作らないと人間の思考は深まりません。ただ、グループ分けをするという作業自体が自然に反しているということを常に意識しておく必要はあると思います。


99A−244
差出人:野中 直彦
送信日:00年3月4日
件 名:酸化還元でない反応

こんばんは。野中です。
 林さんと山本さんとのやりとりで私が感じていること。酸化数の変化のないものを、酸化還元でないものとすることを何か変だぁと思うのです。山本さんのいうように、酸アルカリや沈殿反応はどんな変化があるのでしょうか。これも立派な化学反応であるのに、酸化還元でない反応と別物扱いにするところがよくわからないにです。


99A−245
差出人:林 正幸
送信日:00年3月4日
件 名:各論「非金属元素」の「視点」による整理

こんにちは、林です。
 昨日は春めいた陽気になりました。しかし今日はもう雨、そして明日からまた寒くなるとか・・・。こんなことをくり返しながら春がやってくるのですね。
 さて1月30日付けメールで次のように書きました。
<引用>
 いま各論の授業プリントを作っています。前にも書いたと思いますが、各論こそは化学教育の視点が問われますよね。現時点で私が整理したのは次の6点です。
1)身のまわりの物質、主要な生産物(製法や用途を含む)
2)面白みがある物質
3)生命、地球、宇宙に係わる物質
4)毒性、環境、リサイクル
5)周期表で整理
6)すでに学習したことの応用
できる限り受験問題からは離れたいと考えています。
<以上>
 これらの視点がどれくらい実現したか、第10章「非金属元素の単体と化合物」について整理してみました。

1)身のまわりの物質、主要な生産物(製法や用途を含む)
・希ガスはネオンサインに使用する。
・アルゴンは蛍光灯などの封入ガスに使用する。
・イソジンはヨウ素を含むうがい薬である。
・次亜塩素酸ナトリウムは家庭用の塩素系漂白剤に含まれる。
・塩素は塩化ナトリウム水溶液の電気分解で水酸化ナトリウムなどと共に生産する。
・オゾンは塩素と並んで水道水の殺菌に使用する。
・硫黄は火山地帯で産出するほか、重油脱硫でも生産される。
・排煙脱硫では石コウが生産される。
・硫酸は接触法で生産する(触媒は酸化バナジウム(X))。
・水素はナフサ留分の接触改質で生産する。
・硝酸はオストワルト法で生産する(触媒は白金)。
・マッチの頭薬には塩素酸カリウムを、側薬には赤リンを使用する。
・マッチのすり面と塩素酸カリウムの爆発実験はマッチのしくみである。
・窒素肥料には硫安。硝安、尿素がある。
・アンモニアはハーバー法で空気中の窒素を固定する形で生産する。
・アンモニアは火薬の原料にもなる(戦争)。
・リン肥料の有効成分はリン鉱石のリン酸二水素カルシウムである。
・カリ肥料は塩化カリウムである。
・ケイ素はケイ砂、石英(二酸化ケイ素)をコークスで還元して生産する。
・集積回路に使用するケイ素(シリコン)はイレブンナインの純度を必要とする。
・太陽電池もケイ素を使用する。
・シランはアモルファスシリコンの原料になる。
・ソーダガラスはケイ砂、炭酸ナトリウム、石灰岩を混合、融解して生産し、岩石と同じ一種の塩である。
・ホウケイ酸ガラスは炭酸ナトリウムをホウ酸に変えたもので、熱や薬品に強い。
・セメントは石灰岩と粘土を焼結し、石コウを加えたものである。
・コンクリートはセメントに砂や砕石を混ぜて水を加えたもので、建築物の構造をつくる。
・コンクリートは岩石の風化と同じしくみで劣化する。
・ホウ素は中性子を吸収しやすく、原子炉の制御棒に使用する。

2)面白みがある物質
・ヘリウムの沸点はもっとも低く、超伝導磁石などに冷却剤に使用する。
・ヨウ素は昇華して紫色の気体になる。
・塩素中で加熱した銅線が激しく反応する。
・オキソ酸は水酸基を持つ。その構造と酸としての強さの関係(強酸、弱酸の復習でもある)。
・あぶり出しは硫酸の脱水作用を利用する。
・非金属の水素化物には酸性、塩基性、中性のものがある。
・金属の水素化物では水素は1価の陰イオンである。
・水素吸蔵合金
・黄リンは自然発火する。
・シランはケイ化マグネシウムを塩酸に投入して発生し、空気に触れると燃焼してしまう(実験)。
・半導体はその電導性にいろいろな特徴を付与できる。
・ケイ素にリンを加えたn型半導体では、見放された電子がうろつく。
・ケイ素にホウ素をくわえたp型半導体では、電子を横取りされた共有結合(「正孔」)がうろつく。
・両者を接合したダイオードには整流作用がある。
・ガラスはアモルファスであり、強度が大きく、透明である。
・ホウ酸は他の酸と違って、水と反応して水素イオンを生じる。

3)生命、地球、宇宙に係わる物質
・酸素は空気中に約20%含まれる(植物の光合成の結果)。
・水素は宇宙でもっとも大量にそんざいする。
・次に多いヘリウムは恒星における核融合に依る。
・水素は地球上では水として存在し、海を形成し生命を誕生させ、生命活動を支えている。
・水素自身は地球の大気に留まれない。
・窒素は空気中に約80%含まれる。
・農作物にとくに不足するのは窒素、リン、カリウムの3元素である。
・地殻に含まれる元素は多い順に次のようである。
   O Si Al Fe Ca Na K Mg
・ケイ素とアルミニウムは酸性酸化物として、残りは塩基性酸化物として存在し、さまざまな割合で反応して岩石となる。
・二酸化炭素は水に溶けて岩石を化学的に風化する。それは岩石の塩基性酸化物と塩を形成して、水に溶けて海に流れる。
・残された酸性酸化物は水と反応して粘土を形成する。
・風化作用には二酸化ケイ素が水と反応してケイ酸ができることを含む。
・海では炭酸水素カルシウムが炭酸カルシウムに変化して(鍾乳洞ができるのと逆向きの反応)、サンゴなどに取り込まれ、石灰岩になった。
・海中の鉄イオンは光合成の酸素と化合して沈殿し、鉄鉱床を形成した。
参考:酸性雨は「酸と塩基」ですでに取り上げた。

4)毒性、環境、リサイクル
・塩素は毒ガスとして使用された(戦争)。
・塩素の化合物であるDDT、PCBは環境ホルモンである。塩素化合物を含むゴミを焼却するとダイオキシンが発生する。
・上空に30km前後にオゾン層があって紫外線を吸収する。それがフロン類によって破壊される(フロン規制)。
・硫黄酸化物による汚染は、重油脱硫や排煙脱硫で低減している。
・水素はクリーンエネルギーとして注目されている。
・自動車のエンジンや工場のボイラーから窒素酸化物が発生して大気を汚染する。
・黄リンは毒性があり、赤リンは安全である。
・かつて洗剤に配合されたリン酸塩が湖や内海を富栄養化した。
・化学肥料だけでは農地を荒廃させる。
・大気中の二酸化炭素濃度は産業革命前までの280ppmから360ppmに増加し、地球温暖化の危険がある(二酸化炭素の排出規制)。

5)周期表で整理
・最初に典型元素の周期表を掲げ、重要な非金属元素を空欄にして書き込ませる。
・各節は周期表の族ごとにする。
・各節のはじめに同族元素を確認する。
・金属は陽性で、それは左下ほど大きい。
・希ガスを除く非金属は陰性で、それは右上ほど大きい。
・非金属は右上の三角にあり、気体の単体は右上隅にある。
・典型元素の最外殻電子の個数は族番号の下1桁に一致している。
・ハロゲンの反応性は上ほど激しい。

6)すでに学習したことの応用
・金属の酸化物は塩基性酸化物である。
・非金属は、非金属どうしは共有結合し、金属とはイオン結合する。
・非金属の酸化物は酸性酸化物である。
・希ガスはその電子配置が安定で、他の原子と化合物を形成しない。
・ヨウ素(ヨウ素・ヨウ化カリウム水溶液)は電子を得やすく、無色になることで亜鉛などの還元剤を検出できる。
・ヨウ化物イオン(ヨウ化カリウム水溶液)は電子を失いやすく、赤褐色になることで塩素などの酸化剤を検出できる。
・上の実験は同時に、塩素はヨウ素より電子を得やすいことを確認している(「電子得失表」の順番)。
・水で湿らせた万能試験紙はすこし塩素に触れると、できる塩酸の酸性で赤色になる。
・排煙脱硫は、酸性酸化物と塩基の反応に依る。
・接触法は酸性酸化物と水の反応を利用する。
・濃硝酸と銅の反応では、酸化数の変化から硝酸は酸化剤であり、イオン化傾向の小さい銅と反応する。
・二酸化窒素を水に倒立すると、無色の気体が1/3だけ残る(アボガドロの法則)。
・リンの同素体
・マッチのすり面と塩素酸カリウムの爆発実験では、酸素原子のやり取りから塩素算カリウムは酸化剤である。
・酸性酸化物である五酸化二リンは水と反応してリン酸になる。

7)その他
・ヨウ素・デンプン反応
・サラシ粉に濃塩酸を加えると塩素が発生する。
・塩素は塩基と反応して次亜塩素酸塩を生じる。
・塩化水素は塩素と水素を直接に化合させて生産する。
・硫化水素と二酸化硫黄の反応

 この章の授業プリントは私のホームページにあります。
    http;//www.zzz.or.jp/masasuma/
それも参考にして、時間があれば意見を聞かせてください。
 ではまた。


99A−246
差出人:林 正幸
送信日:00年3月4日
件 名:酸化・還元に係わって(2)

こんばんは、林です。
 山本さん、応答ありがとう。私の考えを書いてみます。
<3月2日付けメールの引用>
 1.酸素原子のやりとりというのは古い概念で、新たな概念ではないと思うの
ですが。
 2.酸素原子のやりとりで定義すると、単体が酸素と化合する反応すべてが酸
化還元で説明できるのであって、それを排除するわけではないと思うのですが、
いかがでしょう。
<以上>  酸化の最初の定義は次のようにある物資が「酸素と化合する」ことだと思います。
    2H2 + O2 ―→ 2H2O
しかしこれは酸素原子のやり取りになっていません。その意味でたとえば次のような、酸化と還元が同時に起こるとする酸素原子のやり取りという概念はより進んだものではないでしょうか。
    CuO ―→ Cu + O
    O + H2 ―→ H2O
<メールの引用>
これは林さんの限定であって、一般的には酸化還元は電子のやりとりで定義づけ
られていますよね。おそらく林さんは酸化還元を教えるときに、そういう限定付
きで教えているということだと思います。でも、私のメールは教え方を書いたの
ではなく、理論的な話です。一般に、酸化還元を電子のやりとりと定義したと
き、どんな矛盾が起こるのか。
<以上>
 私の理解は「電子のやり取りも酸化還元反応と見なすことができる」ということです。実際に電子をやり取りする反応だけなら、酸化数を導入しなくてもイオンの価数の変化(単体に戻ることを含め)で酸化還元反応が論じられるはずです。酸化数とは、共有結合もイオン結合のように見なしてその上で形式的に電子の移動を計算するためのものではないでしょうか。電子やり取り反応も酸素原子やり取り反応も、そして初期の酸化反応も、あるいは水素原子やり取り反応も、これらを統合する鍵として酸化数が定義されていると思います。
<メールの引用>
                        例えば、CH4がCO2に変
わったとき、Cは酸化されたと言えますよ。でも、CH4がCCl4になったと
きは、置換です。自然から見れば(Cから見れば)どちらも、Cの電子雲が薄く
なった反応です。それを人間が勝手に片方を酸化、片方を置換と読んでいるわけ
です。そんなことを考えていくと、私たちは自然をありのままに理解しているよ
うに見えながら、実はかなり勝手な(人間に都合の良い)理解しかしていないの
ではないかと思えてきます。
<以上>
 CH4がCCl4になる変化は「酸化反応(メタンが酸化される反応}とも置換反応とも見ることができます。教科書の書き方が、まるでこの反応は置換反応であって酸化反応ではない印象を与えているだけです。似た例はエステル化です。エステル化は同時に置換反応でもあるわけですが、置換反応と見るのは間違いのような印象を与えています。ひどい問題集もあります。このことについては98年3月3日に「有機化学における反応の種類について」というメールを書いたことがあります。いずれにしてもこれは「人間の勝手な理解」ではなく、ものごとがいくつもの切り口を持つことを示しています。
<メールの引用>
                ただ、グループ分けをするという作業自
体が自然に反しているということを常に意識しておく必要はあると思います。
<以上>
 これは気になった表現です。私はグループ分けないし分析という手法が自然に反しているとは思いません。ただそれが自然を見る全てではないだけです。切り口を変えればグループ分けも違ってきます。そして他方に、総合ないし相互の連関を見ることがあると考えます。そして野中さんも疑問を投げ掛けていますが、酸化還元反応は化学反応の分類のひとつの項目に過ぎないわけです。もっと議論が必要かもしれません。
 ではまた。


99A−247
差出人:林 正幸
送信日:00年3月5日
件 名:べっこうあめの反応

こんばんは、林です。
 今日はMOLの会があり、名古屋にでかけました。風邪の方は小康状態ですね。
 さて昨日、べっこうあめの反応について調べてみました。これは以前(97年3月)に鬼塚さんと個人的にやり取りしたテーマです。すなわち「べっこうあめは加水分解しているのか」です。
<当時のメールの引用>
しばらくご無沙汰でした、林@愛知です。
 べっこうあめをつくるとき、ショ糖の加水分解が起こるかどうかという問題ですが、先日時間を見つけて分析をしてみました。やり方は簡単で、フェールング反応を使いまいた。
 次のサンプル0.5gにフェーリング液10mlを加えて加熱しました。
  ・ブドウ糖
  ・ショ糖
  ・砂糖(すこし転化糖が加えられている)
  ・林流でできる直前のべっこうあめに水を加えて扱いやすくしたもの(30分くらい加熱した)
        (糖類が0.5g含まれる体積を分析に使用)
  ・ブランクテスト
そしてべっこうあめは、ブトウ糖と砂糖の中間の結果になりました。
 定性分析だから大まかなことしか言えませんが、半分くらい加水分解していると思われます。確かにべっこうあめの味は砂糖とは違っています。
 なお鬼塚さんが書いていた、煮詰まったべっこうあめに砂糖を入れるとそれを核に結晶化が起こる点ですが
  ・ショ糖も残っている
  ・それも加熱時間が短ければ大部分がショ糖のままである
ことから納得できます。
<以上>
 今回は、べっこうあめを純粋なショ糖(スクロース)でつくればもっとはっきりすると気付いて実験しました。水にほぼ同体積のショ糖を加えて煮立て、ときどきにその一部を採ってフェーリング反応を試すのです。加熱前はもちろん陰性です。ところが9割ほど煮詰まっても陰性なのです。それがヤマブキ色のべっこうあめになった時点では激しい陽性を示しました。
 これはなかなか面白い結果だと思います。つまり黄色に着色が始まる最後のわずかの時間で加水分解してブトウ糖と果糖ができているのです(未反応のショ糖も含まれていると思います)。たしかに生徒実験で時間が足りなかったほとんど着色していないあめをなめてみるとまさに砂糖の味です。最後に反応が起こる理由は、水が少なくなって水溶液の温度が急激に上がり始めるためでしょう。そしてこれは脱水炭化と競争になります。あめづくりは「ぎりぎりまで加熱を引っ張って、すばやくアルミケースなどに小分けして温度を下げる」のがこつと指導してきましたが、それが裏づけられました。
 ではまた。


99A−248
差出人:藤田 勲
送信日:00年3月6日

RE:べっこうあめの反応

今晩は、藤田です。
 今、前回の続きの還元的な環境下での微生物の代謝を調べているところですが、とても私の能力に余る分野で途方に暮れている状態です。実験もしていないし、実物にも触れていない分野を本だけを頼りに書くのは何ともつらいですね。こんな時、ちょうどタイミング良く「べっこう飴」の林さんのメールが入っていました。メールには実験が書かれてありましたので、ちょっとコメントしてみたくなりました。
<林さんのメールの引用>
加熱前はもちろん陰性です。ところが9割ほど煮詰まっても陰性なのです。それがヤ
マブキ色のべっこうあめになった時点では激しい陽性を示しました。これはなかなか
面白い結果だと思います。つまり黄色に着色が始まる最後のわずかの時間で加水分解
してブトウ糖と果糖ができているのです。
<引用、終わり>
 山吹色になった時点でフェーリング反応が陽性になるのは、加水分解でブドウ糖と果糖ができるからでしょうか。加水分解により単糖ができれば特に果糖は熱分解しやすく、すぐに褐変することは想像できます。そのため、残っている単糖がフェーリング反応が陽性になったという解釈も成り立ちます。
 しかし、いわゆるカラメル化反応は水を加えていないショ糖の熱分解反応によっても起こるわけです。この時の生成物もおそらくフェーリング反応は陽性になるでしょう。つまり、単糖を含まないショ糖の熱分解生成物にも還元性のアルデヒド基を含んだものが多数生成するのです。これがカラメルソースの香ばしさや独特の味の一部を形成しているものと思われ、成分は各種の脂肪族カルボニル化合物やフラン類、それから有機酸類です。熱分解はショ糖というアルコールの分子内酸化還元反応が中心でしょうから、アルデヒドやカルボン酸が生じることは肯けるところですね。つまり、糖の焦げや匂いには還元性があるといえるのではないでしょうか。
 ショ糖自身の熱分解は200℃付近で起こると言われていますが、加熱中の容器と直接接している部分は、水分が少なくなれば溶液の温度が150℃付近でもそれを超える温度になって一部焦げることは想像に難くないと思われます。もしもそれがごくわずかでも起これば、この時に生成する有機酸が触媒になってショ糖の酸化水分解が飛躍的に進むものと思われます。それで単糖が生じて、それが直ちに異性化や脱水、分子内転移反応などを起こして、安定なフルフラールのような化合物に変わっていくという風には考えられないでしょうか。
 150℃付近で起こり始めるショ糖水のカラメル化反応が、主に加水分解による単糖生成が原因になっているのか、ショ糖自身の熱分解反応が初めの原因になって起こるのかは不明ですが、私は後者の可能性もあるのではないかと思っています。もっとも初めから食酢などの有機酸を加えておけば、初めに酸化水分解ありきでしょうし、酸を加えていないショ糖水の加水分解反応がごくわずかでも起これば、やはり直ちに有機酸が生じて酸化水分解が進行するでしょうから、前者の可能性も否定できませんね。いずれにしても最終的には酸化水分解反応が進行して単糖が生成するのは間違いないでしょう。また、フェーリング反応陽性を示す物質も還元糖自身もあるでしょうが、それ以外のアルデヒド類もあることもことも間違いないと思います。
 以上は、木村進ほか『食品の変色の化学』(光琳、1995,p.328)と浅岡久俊『糖質』(丸善,1986,p.132)を参考にしました。


99A−249
差出人:山本 喜一
送信日:00年3月8日
件 名:RE:酸化還元反応に関わって(2)

こんにちは、山本です。
 酸化還元反応のやりとりが続いていますが、私は林さんや野中さんと理解のしかたが違うのかも知れません。そこで基本的なことを質問させて下さい。
 林さんは
「私の理解は「電子のやり取りも酸化還元反応と見なすことができる」ということで す。」と書いていますが、ここから見えてくる林さんの理解とは
(1)酸化還元反応には電子のやりとりが行われている反応が含まれている。
(2)酸化還元反応には電子のやりとりが行われていない反応も含んでいる。
というように思えます。そうだとしますと、(1)は理解できるのですが(2)は理解できません。(2)はどんな反応をさすのでしょうか。具体的に教えて下さい。
 また、野中さんから
「酸化数の変化のないものを、酸化還元でないものとすることを何か変だぁと思
うのです。」
というコメントが寄せられました。私は、酸化数の変化のない反応は酸化還元反応ではないと思っていますので、「何か変だぁ」とは思いません。どうして野中さんは「何か変だぁ」と思うのでしょうか。もう少しくわしく聞かせて下さい。
それに続く
「山本さんのいうように、酸アルカリや沈殿反応はどんな変化があるのでしょう
か。これも立派な化学反応であるのに、酸化還元でない反応と別物扱いにすると
ころがよくわからないにです。」
この部分はよく分かりません。もう少し補足してくれませんか。
 私は酸化還元反応とは、酸化数の増減のある反応だと思っています。そして、酸化数の増減のある反応は、酸化還元された原子において必ず電子雲の濃淡の変化があると考えます。しかし、この逆の言い方は正しくないでしょう。つまり、電子雲の濃淡の変化がある反応は必ず、酸化数の増減があるというのは、違うと思います。ここで、電子雲の濃淡の変化とは、イオン価数が変化してはっきりと電子が移動する場合と、共有結合の相手が変わって電子雲が変化する場合の両方を含むものと考えています。


99A−250
差出人:山本 喜一
送信日:00年3月8日
件 名:RE:酸化還元反応に関わって(3)

 メールを送った後で、ふと思いました。林さんと私では「電子が移動する」という言葉の意味するものが違うのではないかと。おそらく林さんはイオン価数が変化してはっきりと電子が移動する場合を「電子が移動した」といっているのではないでしょうか。それに対して私は、共有結合の相手が変わって電子雲が変化する場合も「電子が移動した」に含めてメールを書いていました。
 そこで、さっきのメールはなかったことにして、質問を次のように変えさせて下さい。
 私は酸化還元反応とは、酸化数の増減のある反応だと思っています。そして、酸化数の増減のある反応は、酸化還元された原子において必ず電子の移動がある変化だと考えます。しかし、この逆の言い方は正しくないでしょう。つまり、電子の移動がある反応は必ず、酸化数の増減があるというのは、違うと思います。ここで、電子の移動とは、イオン価数が変化してはっきりと電子が移動する場合と、共有結合の相手が変わって電子雲が変化する場合の両方を含むものと考えています。この考えは間違っているでしょうか。
 以上よろしくお願いします。


99A−251
差出人:藤田 勲
送信日:00年3月9日
件 名:湯ノ花について−その2

こんばんは、藤田です。
 前回に引き続き化学合成細菌や古細菌の話を書きます。
 好気的な環境で活躍したイオウ酸化細菌や鉄酸化細菌が電子受容体の酸素を使い切ってしまうまでイオウや鉄(U)イオンを代謝すると、そこには排泄物としての茶褐色の硫酸鉄(V)が嫌気的な環境に残されることになります。このような酸素不足の還元的な環境では、有機物や分子状水素を硫酸イオンで酸化することでエネルギーを得ている細菌がいます。これはむしろ硫酸イオンを有機物で還元していると言った方が分かりやすいわけですが、これが硫酸(塩)還元菌です。
 硫酸還元菌の活動は、池や川底の泥、湿原、および海岸付近などの酸欠的な環境で活発で、水底にたまっている有機物を無機化するのに一役買っていることになります。代謝される有機物としてはアルコール、乳酸、ピルビン酸、リンゴ酸、蟻酸などがあります。例えば、乳酸が代謝されると脱炭酸を受けて炭素数が1つ減った酢酸になりますが、この時に硫酸イオンは還元されて硫化物イオンとして排泄されます。これは反応式上、形式的には乳酸から脱炭酸を受けて生じたアセトアルデヒドが、硫酸イオンを硫化物イオンに還元して酢酸になったと読むことができそうです。しかし、実際には解糖系に似たシステムでアセチル補酵素Aを経由して酢酸が生成し、たくさんの酵素が関わって電子伝達系に共役してATPを合成しています。このシステムはまさに酸素呼吸に似た硫酸塩呼吸といえるものです。
 2CH3CH(OH)COOH + SO4~2- 
          = 2CH3COOH + 2CO2 + S2- + 2H2O
                     (硫酸還元菌による乳酸の代謝)
 生じた硫化物イオンは容易に硫化水素に変わりますから、ドブ川は硫化水素臭がします。しかし、発生する硫化水素は悪臭の元になるだけではなく強い還元性がありますから、川底に堆積している鉄(V)化合物を鉄(U)化合物に変えることになります。この結果、硫酸還元菌が活躍している水底は真っ黒な硫化鉄の泥になるのです。
 2Fe(OH)3 + H2S = 2Fe(OH)2 + S + H2O
 Fe(OH)2 + H2S = FeS+ 2H2O  (非酵素的な硫化鉄の生成)
 こうして生成したコロイド状の硫化鉄は不安定で、アルカリ性下ではさらにイオウ及び硫化水素と反応して非酵素的に次第に黄鉄鉱になっていくことが分かっています。硫化鉱床の一部は、このように硫酸還元菌が関わって生成しているようです。この反応はアルカリ性下でイオウが硫化物イオンに溶けて二硫化物イオンになることがポイントですね。現に試験管レベルで黄鉄鉱を合成する際には、気相成長法は別にして水溶液法ではこの要領でやるようです。余談になりますが、私は黄鉄鉱の結晶作りに関心があって、いずれの方法も試してみましたが、残念ながら満足のいく結果は得られませんでした。あるデータによると、河川や湖沼などの水中堆積物中に存在するイオウ元素は全堆積物中の2%ぐらいで、その内訳は硫酸塩約0.1%、硫化鉄約0.2%、単体イオウ0.1%、二硫化鉄(黄鉄鉱)1.6%となっています。嫌気的な条件では黄鉄鉱が意外に生成しやすいようです。
 FeS + S = FeS2 (S2- + S = S2~2-)
              (アルカリ性下における黄鉄鉱の非酵素的な生成)
 また、硫酸還元菌は土中に埋めたガス管や水道管の腐食にも関わっていることが知られています。通気性の悪い土中で硫酸還元菌から発生した硫化水素は、通気性の良い所まで拡散すると、今度はイオウ酸化細菌によって代謝を受けて硫酸を生じることになります。この硫酸により鉄管やアルカリ性のコンクリートが腐食されるわけです。有機物を多く含む湿地に建てられた石像が長い間に硫酸による酸加水分解を徐々に受けて腐るということが熱帯地方ではよく起こるそうです。
 さらに、水を張った水田では土壌が還元的になりやすいため、硫酸還元菌による硫化水素発生で稲の根が腐って急に穂が枯れる「秋落ち」と呼ばれる現象が一昔前にはよく起こったそうです。硫化水素はチトクロム系呼吸酵素の阻害剤ですから、植物の根の細胞の呼吸が阻害されて腐るわけですね。鉄分を多く含む山土を水田に入れて硫化鉄として沈殿させたり、夏場に一時的に水田の水を抜いて嫌気的な条件を壊して硫酸還元菌の活動を抑えることで、今では「秋落ち」を防いでいます。
 ところで、イオウを巡る微生物の話題にはまだ面白いがあります。福島県磐梯山の五色沼の中にある、名もない小さな沼の底に繁殖している硫酸還元菌の話です。ここでは樹木から落ちる木の葉の有機物を餌にたくさんの微生物が繁殖しているそうで、沼の底ではブトウ糖が乳酸菌による乳酸発酵で乳酸となり、硫酸還元菌はこの乳酸を硫酸イオンで酢酸に酸化しながら生育しています。ここの沼底の水を試験管に取り、これに炭酸水素イオンと硫化物イオンを含む幾つかの無機イオンを加えて酸素を断って光を当てると、やがて光の当たっている壁面に緑色あるいは赤色のバクテリアが繁殖し始めるそうです。これは硫酸還元菌によって発生した硫化水素を光のもとで嫌気的に代謝する、というより硫化水素を利用して光合成的に炭酸固定をやって生育している微生物が繁殖している証拠で、緑が緑色硫黄細菌、赤が紅色硫黄細菌と呼ばれています。反応式は次のようになります。
  6CO2 + 12H2S = C6H12O6 + 12S + 6H2O
  12CO2 + 6H2S + 12H2O = 2C6H12O6 + 6H2SO4
                  (嫌気的なイオウ細菌による光合成)
 緑色植物では光で活性化した水で二酸化炭素を還元して炭素同化をしますが、この細菌は光活性化した硫化水素で二酸化炭素を還元し、酸素発生の代わりに硫黄を析出するのです。硫化水素がなくなれば硫黄はさらに硫酸まで酸化されていきます。緑に見えるのは数種類のバクテリオクロロフィルのせいで、この色素数が少ないイオウ細菌は共存するカロチノイド色素に緑が隠れて赤く見えるのです。
 光合成細菌はしばしば水深の深い湖の嫌気的な中層に大繁殖して緑色あるいは紅色に層状に広がるため、その中層があたかも湖底のように見えることがあるそうです。東シナ海に浮かぶある島の小さな湖では、樹木から落ちて湖底に堆積した有機物を硫酸還元菌が代謝して硫化水素を排泄していますが、温かい好気的な上層の下に冷たく酸素のない淀んだ水層があって、この嫌気層の中に紅色イオウ細菌が薄く水平な層になって存在しているそうです。この細菌は湖底から拡散してくる硫化水素を使って有機物を合成し、湖底の硫酸還元菌に有機物を提供すると同時に、ここより上層部への硫化水素の拡散を防いでいるため、緑藻類などの光合成生物や魚などの生育を硫化水素の汚染から守っていることになります。
 また、北アフリカのキレナイカ湖では、湖水が硫酸カルシウムで飽和していて、湖底の硫酸カルシウムから硫酸還元菌が硫化水素を多量に排泄していますが、湖水面を緑色硫黄細菌や紅色硫黄細菌がマット状に覆っていて、太陽光を利用して二酸化炭素と下から上昇してくる硫化水素から硫黄と有機物を合成しているそうです。この有機物は湖底の硫酸還元菌に利用されるわけです。キレナイカ湖では、この生態系の均衡が長い間保持されてきたため、湖底には年間200トン以上のイオウが形成されているのだそうです。

  湖面   |               |
       |  緑藻、魚類        |  酸素豊富
       |               |
       |               | (好気的領域)
       | (湖面へ硫化水素拡散防止) |
  中層   |  光合成細菌        |  酸欠層
 (第2湖底)| (湖底へ有機物供給)    |
       |               | (嫌気的領域)
       |               |
  湖底   |  硫酸還元菌        |  硫化水素
       |---------------------------- | 

天然の生物起源のイオウ鉱床の形成は、このようなシステムでできあがったものもあるのでしょうね。たかが微生物、されど微生物。小さな微生物によるスケールの大きな営みには感心するばかりです。
 ここまでのメール1と2は主に山中健生による『微生物のエネルギー代謝』(学会出版センター,1986)と『入門生物地球化学』(同、1992)と『無機物だけで生きてゆける細菌』(共立出版、1987)を参考にしました。他に服部勉『土の微生物学』(養賢堂,1996)や都留信也『地球の微生物』(大日本図書,1975)やスタニエ『微生物学入門編』(培風館,1980)や原島圭二『光合成細菌の世界』(共立出版,1994)なども大い に参考になりました。
 酸化還元反応というと、教科書の記述では金属のイオン化傾向に始まり、電池、電気分解という風に産業界の工業的な要請に基づいた展開が中心ですね。しかし、酸化還元反応は何よりも生物のエネルギー獲得の手段としてみることが大切であると思います。地表の酸素豊富な環境と地下の酸欠的な環境で、うまくすみ分けて生きている微生物の生態を通して、硫黄や窒素といった元素が酸化還元反応を受けて変化し、あるものは取り込まれ、あるものは排泄される様子が見えてきます。地下の鉱物は微生物の遺跡、生活の跡ですね。微生物が当時の環境に合わせて共存、共栄して大繁栄した生活の跡を残したものと考えたいと思います。人間にとっての単なる資源ではないと思われます。
 次回は、硫黄に関わる微生物以外の嫌気性細菌と酸化還元電位との関係を中心に、今回触れることのできなかった四ヶ浦さんの疑問にも関連させて、さらに微生物の世界を調べてみたいと思います。


99A−252
差出人:野中 直彦
送信日:00年3月10日
件 名:酸化還元反応は?

こんばんは
 うまく言えませんが、とりあえず思いを書いていきます。ただし、もう少し自分なりに整理検討をする必要があることは確実です。
電子というマイナスのやり取りとプロトンというプラスのやり取りの違いは何。
pHメーターの酸化還元電位は何。
電荷の偏りが起きるのは電気陰性度の差、酸とアルカリにも電荷の偏りはあるようにも思えるのす?


99A−253
差出人:藤田 勲
送信日:00年3月13日
件 名:湯ノ花について−その3

: 今晩は、藤田です。
 今回は嫌気的な条件で繁殖する微生物と酸化還元電位との関係について考えたいと思います。
 一般に、有機物を酸化することでエネルギーを得る従属栄養細菌の仲間は、まず酸素があればこれを最終電子受容体に使う好気性菌が増殖し、次に微好気性菌が、最後に通性嫌気性から偏性嫌気性菌が増殖することはよく知られていますが、このことは細菌が有機物の代謝に使う最終電子受容体の酸化還元電位に関係があります。細菌が使う主な電子受容体の酸化還元電位を以下に示します。細菌類の多くは中性付近を好みますから、pH=7の時の電位(水素イオンが半反応式には入っていると電位が変わってくる)が大事になります。それも示しておきます。
                            pH=0or14 pH=7 
 O2 + 4H+ + 4e- = 2H2O          1.23   0.82
 MnO2 + 4H+ + 2e- = Mn~2+ + H2O   1.23   0.39
 Fe~3+ + e- = Fe~2+               0.77   0.77
 Fe(OH)3 + e- = Fe(OH)2 + OH-     -0.56   -0.14
 2NO3~- + 12H+ + 10e- = N2 + 6H2O   0.89   0.38
 NO3~- + 2H+ + 2e- = NO2~- + H2O    0.83   0.41
 SO4~2- + 5H2O + 8e- = HS- + 9OH-  -0.69 -0.22
 CO2 + 8H+ + 8e- = CH4 + 2H2O   0.17   -0.25
S + 2H+ + 2e- = H2S 0.14 -0.28
また、次に主な電子供与体の酸化還元電位も示しておきます。
CO2 + 6H+ + 6e- = CH3OH + H2O   0.04   -0.38
2H+ + 2e- = H2 0.00 -0.41
6CO2 + 24H+ + 24e- = C6H12O6 + 6H2O  -0.01  -0.43
CO2 + 4H+ + 4e- = HCHO + H2O   -0.07 -0.49
 CO2 + 2H+ + 2e- = HCOOH      -0.20 -0.62
 2CO2 + 2H+ + 2e- = H2C2O4         -0.49  -0.91
  電子伝達系を使ってATP合成する、すなわち発酵ではなく呼吸によってエネルギーを得る微生物は、生育環境(土壌など)の酸化還元電位によって自らの電子受容体を使えるかどうか決まってきます。つまり、土壌等の酸化還元電位が細菌が使う電子受容体の酸化還元電位より低くなければ、細菌はその土壌中の有機物を酸化できないわけですから、ATPを合成できず生育できないことになります。このことは、細菌は自ら使うことができる電子受容体の酸化還元電位の高い方の種類から順に有機物を酸化して繁殖していくと考えることができます。この点に注意して、上の表の生育環境の電位と電子受容体の電位との関係から、細菌の中性付近での生育条件を見てみます。
まず、土壌の電位が+0.5〜+0.3Vでは酸素(中性付近のO2/2H2O +0.82V)を電子受容体にする好気性細菌が活躍しますが、その後に酸素がなくなって土壌の電位が低下した環境ではどうなるでしょうか。
上の表から中性条件で酸素の次に酸化還元電位の高い電子受容体は、酸化マンガン(W)(MnO2/Mn2+ +0.39v)と硝酸イオン(NO3~-/NO2~-,N2 +O.38〜0.41V)と鉄(V)イオン(Fe3+/Fe2+ +0.77v、Fe(0H)3/Fe(OH)2 -0.14v)が考えられます。このうち、鉄(V)は中性付近ではかなりが水酸化鉄(V)に加水分解していて、実際に多く存在する化学種は酸化水酸化鉄(V)FeO(OH)のようなものでしょう。残念なことに酸化水酸化鉄(V)を含む酸化還元電位は化学便覧には載っていませんでしたので、他の資料から電位を0〜+0.2v(FeO(OH)/Fe2+)程度と見積もっておくことにします。こうすると、酸素の後の電子受容体は強い順に硝酸イオン、マンガン(W)、鉄(V)となりますが、実際の中性土壌でも好気性細菌の後は脱窒をする硝酸塩還元菌が土壌電位+0.4〜+0.1V付近で増殖し、続いてマンガン(W)を電子受容体にする細菌が土壌電位+0.4〜-0.1V付近で増殖し、それから鉄(V)を電子受容体にする細菌が+0.2〜-0.2V付近で増殖してくることが分かっています。その結果、土壌にはマンガン(U)が増えて(亜)硝酸イオンが消失し、続いて鉄(U)が増えますから、土壌の色は黄褐色から青灰色に変わってくることになります。
 C6H12O6+ 6MnO2 + 12H+ = 6CO2 + 6H2O + 6Mn~2+
 5C6H12O6+ 24NO3~- + 24H+ = 30CO2+ 42H2O + 12N2
 C6H12O6+ 24Fe~3+ + 6H2O = 6CO2 + 24Fe~2+ + 24H+
       (酸性下の嫌気的な条件における各種微生物のエネルギー代謝)
もっともマンガン(W)による有機物の酸化が微生物の細胞内代謝と直接共役しているのかどうかは疑問とする資料もあります。この場合、土壌中のマンガン(U)生成が鉄(U)生成に先行するのは、酵素的に生じた鉄(U)がマンガン(W)により非酵素的に酸化されてしまうからだと推定されています。このために土壌中のマンガン(W)がなくなってしまうまでは鉄(U)が見かけ上生成していないように見えるというわけです。しかし、熱力学的には電位の低い鉄(V)がマンガン(W)に先行して有機物を酸化することは起こりえず、マンガン(W)による有機物の化学的酸化の反応速度が著しく遅く、鉄(U)の酸化は著しく速いと考えなくてはいけませんね。これは本当でしょうか。
 また、鉄(V)を電子受容体にする細菌については否定的な見解はないものの、これもある種の微生物が鉄(V)を速やかに還元できる有機物を土壌中に排出しているとする報告もあります。したがって、鉄(V)の還元は微生物呼吸の電子受容体として利用される直接(酵素的)還元と、微生物代謝生産物による化学的な間接(非酵素的)還元の両方が併存していると考えられています。
次に、土壌の電位がさらに低下してくると、鉄(V)の後に電子受容体になる化学種は酸化還元電位の表から硫酸イオン(SO4~2-/HS- -0/22v)と二酸化炭素(CO2/CH4 -0.25v)と続くことが分かります。実際の中性土壌でも硫酸塩呼吸をする硫酸還元菌が土壌電位0〜-0.2V付近で増殖し、続いて二酸化炭素呼吸をするメタン生成細菌が土壌電位-0.2〜-0.3V付近で増殖することが分かっています。
4H2 + SO4~2- + H+ = HS- + 4H2O
 2CH3CH(OH)COOH + SO4~2- = 2CH3COOH + 2CO2 + S2- + 2H2O
                  (硫酸還元菌による水素と乳酸の代謝)
 CH3COO- + H2O = CH4 + HCO3~-  ・・・@
 4H2 + CO2 = CH4 + 2H2O        ・・・A
             (メタン菌による酢酸と水素+二酸化炭素の代謝)
硫酸還元菌は前回のメールでもお話ししたように、有機物を硫酸塩で酸化することで生育に必要なエネルギーを得ていますが、TCA回路が不完全なため酸化が不十分で、主な生成物は二酸化炭素と酢酸です。さらに、硫酸還元菌が排泄した酢酸は、その一部はメタン生成細菌によりメタンと二酸化炭素に代謝されていきます。メタン生成菌が代謝できる基質は酢酸の他、二酸化炭素+水素、ギ酸、メタノール、メチルアミン等です。大事な点は、硫酸塩還元菌もメタン生成菌も、土壌などの環境がもっとも還元的な環境になって初めて酸化還元反応を営める生育条件が整うという点です。電子供与体となる有機物とこれらの微生物が使う電子受容体の間の電位差はたいへん小さく、エネルギー獲得上はもっとも不利な形式と言えます。
なお、土壌では二酸化炭素より低い電位を持つ物質を電子受容体に使う微生物は存在しないようですが、火山の硫気孔や海底の熱水湧水孔では硫黄を電子受容体にして生育する高度高熱性イオウ依存古細菌の存在が知られています。
CH3COOH + 2H2O + 4S = 2CO2 + 4H2S
             (高度高熱性イオウ依存古細菌によるイオウ呼吸)
このような過酷な環境においても、その環境に存在している電子受容体と電子供与体をうまく組み合わせて酸化還元反応を行ってATPを合成する微生物の戦略は大したものですね。ブドウ糖やアルコールなどの有機物の酸化還元電位はほぼ-0.3Vですから、これよりも高い電位を持つ物質はみな、微生物が電子受容体として使いそうな気がしてきます。このような中で、シアノバクテリアのような酸素放出型の光合成を行う微生物が現れ、その光合成の排ガスとして排出された、微生物にとっては初めは有毒だった酸素を、最強の電子受容体として使うことができる好気性微生物が生まれてきたのでしょうね。
では次に、鉄(U)を電子受容体にする微生物が存在するかどうかを酸化還元電位から調べてみましょう。鉄(U)が受容体になる場合に関係する電位は次の2つです。
   Fe2+ + 2e- = Fe      -0.44(PH=0)
   Fe(OH)2 + 2e- = Fe + OH- -0.89 (PH=0) -0.77 (PH=7)
中性付近での鉄(U)の電位は-0.44〜-0.77Vの間ですから、普通の有機物(電位 約-0.3V)を還元することは熱力学的に不可能ですね。シュウ酸(電位 約-0.9V)なら可能なよう見えますが、試験管内では鉄(U)イオンとシュウ酸の水溶液を混ぜてもシュウ酸鉄(U)の黄色沈殿があるだけです。シュウ酸は土壌中でありふれた有機物とは言えないでしょうし、酵素反応で果たしてこの反応がスムーズに進むのかは疑問です。もっとも、この沈殿は乾かして試験管中で加熱すると、酸化鉄(U)などと共に一部発火性の微粉末の鉄ができることはよく知られていますね。
   FeC2O4 = Fe + 2CO2
ところで、メタンは硫化水素の腐敗臭が漂うドブ川を突っついた時に出てくるガスの一つですね。メタン菌は酢酸の他、ギ酸やメタノールなどを代謝できると言われていますから、水底の有機物は嫌気的に硫酸還元菌やメタン菌などの共同作業により次第に無機物に分解され、河川は浄化されていくわけです。硫化水素とメタンはまさに腐敗ガスで、セットで登場するといって良いでしょう。
@の反応は形式的には、酢酸が分子内酸化還元反応により脱炭酸を受けメタンと二酸化炭素に分解した、それからAのは二酸化炭素を水素で還元したと読めそうですが、どのようにして生育に必要なATPを得ているのかは今のところ不明のようです。しかし、だいたいは次のように想像されています。
酢酸が基質の場合、補酵素Mに固定さて活性化されたたCH3COSCoMは中間体CH3SCoMを経てメタンとCO2になると言われています。補酵素CoMSHはメルカプトエタンスルホン酸塩HSCH2CH2SO3H-というものです。
 CH3COOH + HSCoM = CH3COSCoM + H2O
                          (チオールエステル化)
 CH3COSCoM + H2O = CH3SCoM + CO2 + 2[H]
 CH3SCoM + 2[H] = CH4 + HSCoM 
          (メチルCoMメチル還元酵素によるCH3SCoMの還元)
水素+二酸化炭素を基質にした場合も、CO2は補酵素Mに固定された後、アルデヒド型からアルコール型へと還元され、酢酸が基質の場合と同様の中間体CH3SCoMを経て代謝されていくようです。この場合、H2は電子をCO2に供給するだけで、メタンになるときのH原子は水中のH+イオンに由来することが分かっています。
 CO2 + HSCoM = HOCOSCoM
 HOCOSCoM + H2 = HCOSCoM + H2O
 HCOSCoM + H2 = HOCH2SCoM
 HOCH2SCoM+ H2 = CH3SCoM + H2O
 CH3SCoM + H2 = CH4 + HSCoM 
             (一連の反応はメチルCoMメチル還元酵素による)
したがって、一見すると別物のように見える@とAの反応ですが、いずれの場合も、[H]の電子はメチル補酵素Mに渡される際の電子伝達に共役して、ATPはH+イオンの濃度差による膜電位を利用して合成されていることになります。
発酵というのは、解糖系に見られるように基質レベルのリン酸化と呼ばれる反応でATPを合成します。これは、リン酸エステル化された有機物がそのリン酸部分をADPに転移してATP合成する方法です。しかし、メタン発生細菌では基質レベルのリン酸化反応は起こらず、酸素呼吸に見られるような電子伝達に伴う水素イオンの膜電位差を利用してをATP合成を行っているわけですから、メタン発生は発酵ではなく呼吸的です。したがって、メタン発生細菌による代謝は酸素呼吸や硫酸塩呼吸と同様に二酸化炭素呼吸と呼ばれています。
 4[H] + O2 = 2H2O   (有機物の水素原子を酸化する酸素呼吸)
 4H2 + SO4~2- = S~2- + 4H2O(硫酸塩還元菌による硫酸塩呼吸)
 4H2 + CO2 = CH4 + 2H2O(メタン菌による二酸化炭素呼吸)
以上、駆け足で微生物の世界を見てきました。色々な本を斜め読みで調べた関係で、間違いもたくさんあるでしょうが、私としてはたいへん楽しく、しかしたいへんしんどい作業でした。岩田進午『土壌の化学』(学会出版センター,1980)、土壌微生物研究会『新・土の微生物(1)』(博夕社,1996)、小山忠四郎『生物地球化学』(東海大出版,1980)などが参考になりました。次回は古細菌の進化の歴史にふれながら微生物の世界を調べてみたいと思います(林さんの質問にも答えながら)。
長くなってすみませんでした。ではまた。


99A−254



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