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99A−166
差出人:藤田 勲
送信日:00年1月7日
件 名:RE:製鉄における主要な反応は?
今晩は、埼玉の藤田です。
以前の林さんのメールにあった「製鉄における主要な反応」についてお答えします。これは林さんの指摘通り、2つの反応が高炉の上部と下部で同時に起こるようです。
炉上部(500〜800℃)COによる還元
Fe2O3 + 3CO ―→ 2Fe + 3CO2
炉下部(900〜1200℃)Cによる直接還元
Fe2O3 + 3C ―→ 2Fe + 3CO
Cによる還元が起こるか、COによる還元が起こるかは炉内の温度によります。Cの燃焼生成物は低温では主にCO2で、高温ではCOです。このことは次の2つの反応式より理解することができます。
C + O2 = CO2 ・・・@
ΔG=−94.3kcal ΔH=−94.1kcal ΔS=+0.70
2C + O2 = 2CO・・・A
ΔG`=−65.6kcal ΔH`=−52.8kcal ΔS`=+42.88
定圧下においては、自由エネルギー変化とエントロピー変化の間には温度を介して次の関係式が成り立つことが分かっています。(各反応のΔGはΔHとΔSから導きました。)
ΔG=ΔH−TΔS (∂ΔG/∂T)=−ΔS
この式から@とAの反応の自由エネルギー変化ΔGが標準状態(25℃)ではなく、もっと高温になったときにどう変わるかを考えてみることができます。ΔHもΔSも相変化がない限り温度変化はわずかですから、ΔSはΔGとTの直線グラフ(エリンガム図)の傾きになります。
@の反応は気体のモル数に変化がありませんので、そのエントロピー変化ΔS`は+0.70とわずかで、温度が上がってもCO2生成反応の自由エネルギー変化ΔGはほとんど変わらないことになります。つまり、グラフは傾きが小さく、ほとんど水平です。一方、Aの反応は気体のモル数が増加する反応ですからΔS`の増加量は+42.88と大きく、温度上昇に伴ってΔGは大きく減少します。つまり、グラフは右下がりの直線です。
ΔG
|。
| 。
|・・・ 。・・・・ @
| 。
| 。A
-------+-----------
T` T
@とAのグラフは25℃よりも高いある温度T`で交差し、両反応のΔGは等しくなります。つまり、ある温度T`で@とAの反応の差し引きから導かれる次の反応BのΔGは0になります。このことは、この温度でBの反応の平衡定数Kp=(pco)2/pco2がkp=1で平衡状態になることを意味しています。
C + CO2 = 2CO・・・B
では、ある温度T`を求めてみましょう。ΔG=ΔG`ですから、エントロピーの単位に注意して計算するとT`=979K(t`=706℃)となります。
T`=(ΔH−ΔH`)/(ΔS−ΔS`)
=(−94.1+52.8)/{(+0.70−42.88)/1000}
=979K
つまり、Bの反応のΔGは706℃以上では負で、それ以下では正となりますので、一定量の酸素に対してコークスからは、706℃より高温ではCOが生成しやすく、低温になるとCO2が生成しやすくなると言えます。このことは706℃以上では高温のコークスが強い還元剤になるということを意味しています。
もちろん、酸素過剰の条件では@とAの反応式から導かれるCの反応式から分かるように平衡が右に移動して、CだけではなくCOも燃えてCO2になります。ただし、この反応はエントロピーの減少する反応ですから、高温ほど起こりにくくなります。
2CO + O2 = 2CO2・・・C
ΔG=−110.6kcal ΔH=−123.0kcal ΔS=−41.48
最後に、熱風を吹き込まれた燃焼帯(1500〜1600℃)での反応を考えてみます。ここでは、まずコークスの燃焼が起こります。それから、さらに発生するCO2は高温で還元力が強くなったコークスと一部反応してCOに変わります。そして、この生成したCOは炉内を上昇していくと考えられます。
C + O2 = CO2
CO2 + C = 2CO
したがって、炉下部(900〜1200℃)では鉄鉱石の高温コークスによる直接還元が主に起こります。この時、コークスがCOでなくCO2になったとしても、Bの反応で再びCOに戻るものと思われます。一方、温度の低い炉上部(500〜800℃)でも鉄鉱石は炉内を上昇してきたCOによって還元されることになります。
このように、炉内では500〜1200℃の広い温度範囲にわたってコークスとCOによる鉄鉱石の同時還元が起こっていると考えられます。
なお、山本さんも指摘していたように、水性ガス反応(C+H2O=CO+H2)は高温炭素の強い還元作用を応用したものですね。1000℃以上の高温で水蒸気を還元するというわけです。炭素というのはすごいヤツだ、と調べてみて改めて思った次第です。
以上、大変長くなってしまいましたが、熱力学に精通している林さんには、釈迦に説法のような議論だったかもしれません。ヘスロップ・ロビンソン『無機化学(下)第3版』(東京化学同人、1969)、安藤淳平『無機工業化学』(東京化学同人,1973)及びジョリィ『非金属の化学』(東京化学同人,1968)を参考にしました。
99A−167
差出人:野中 直彦
送信日:00年1月8日
件 名:遅くなりましたがおめでとうございます
遅くなりましたがおめでとうございます。
本当の昨年は、44歳の年を迎えるにあたっていろんなことがありました。でも、アルケの皆さんと接していると、刺激があり現状に甘んじていてはいけないと思いながら、どこか慢心の姿がと思うのですが? ふりまわされることのない化学、理科の心を模索したいと思います。
2000年もよろしくお願いします。
99A−168
差出人:杉山 剛英
送信日:00年1月8日
件 名:水性ガスの思い出
水性ガスについて思い出したことがありました私が小学生だった30年位前、学校のストーブは当時としては最先端のコークスストーブでした。ふざけ半分に、ストーブの扉を開け、水を真っ赤に燃えるコークスかけたところ、ボゥッとよけい燃え上がるのです。何度やっても燃え上がるのです。当時、なぜか核融合反応の説明までできた私は多分H2Oが変化して水素が発生したのだろうと考えました。その後、高校の参考書を見て水性ガスの反応を知り、こんなことがやっぱりあったんだと思ったものでした。
99A−169
差出人:藤田 勲
送信日:00年1月9日
件 名:山本さんの「酸と塩基」を読んで
今日は、埼玉の藤田です。
山本さんのHP上の「酸と塩基」の授業プリントを読みました。まず、全体の感想ですが、山本さんらしく展開が論理的でよくまとまっているな、と思いました。私が前の学校(受験校)でやっていた内容と似ている部分もあり懐かしくも思いました。ダウンロードしてプリントアウトしたらA4で17ページにもなり、これだけの内容をまとめた山本さんの労力は大変なものだったろうなあと思いました。この資料だけからでは山本さんが強調したい点や思い入れが十分には伝わらないため、的を射た指摘にならないかもしれませんが、いくつか気がついた点を書き留めておきたいと思います。
<その1>「酸と塩基のはたらき(まとめ)」について
大まかに酸と塩基の働きをどう教えるかというときに、歴史的に見ても試薬としての働き、つまりものにアタックするための手段としての物質という捉え方が大事だろうと思います。
この視点から見た場合、酸は金属、大理石、サビを溶かすもの、アルカリはタンパク質を溶かすもの、というまとめ方では少し不十分ではないでしょうか。酸は金属とその酸化物や炭酸塩以外に硫化物やハロゲン化物なども溶けすわけですから、酸を大地に眠る鉱物、つまり無機的な化合物を溶かすものとしてはいかがでしょうか。同様に、塩基はタンパク質以外に油脂や多糖類を加水分解して溶かしますから、生命体を作っている天然物、つまり有機的な化合物を溶かすものとしたいと思います。無機工業化学は酸で発展し、有機工業化学はアルカリがなかったら生まれていなかったかもしれません。
トイレの洗剤に塩酸が含まれているのは、汚れが塩基性だからでしょうか。においはアンモニア臭が主でしょうが、黄ばみなどの固形物はウロビリンや尿酸などの有機物の塩、それから硫酸やリン酸などの無機の塩でしょう。塩酸はこれらの塩類を溶かすのではないでしょうか。なお、カビキラーの水酸化ナトリウムは塩素を溶かして生じた次亜塩素酸ナトリウムの酸化力を期待している面もあると思います。それから、できれば、誤飲した場合に危ないのは、前の理屈から考えると酸と言うよりは塩基の方だと言うことにもふれたいと思います。生体内では代謝過程で酸を常に生産していますが、塩基は一部の臓器をのぞいて生産していませんね。ですから、塩基にさらされたときの防御能力もないと考えることができるでしょう。
<その2>「酸性酸化物と塩基性酸化物」について
山本さんは我々の暮らす生活環境を「空気・・酸性、海・・中性、地殻・・塩基性」とまとめていますが、このことが後の学習にどう生きてくるのでしょうか。この視点から見えてくるのがもっと明らかになると、この部分の学習に奥行きが増すのではないでしょうか。
私は、地殻は塩というふうに捉えて、この塩を雨が溶かしたと教えたいと思います。すなわち、大気中の炭酸ガスを溶かし込んだ弱酸性の雨は、長い間降り注ぐことによって地殻を構成するアルミノケイ酸塩を加水分解した、と考えます。その結果、アルミノケイ酸塩から塩基性酸化物が溶け出して海に流れ込み、海は現在のような弱アルカリ性になったと考えます。そして、塩基性酸化物が抜けた無機高分子の地殻はやや低分子量のコロイド状のケイ酸や水酸化アルミニウムに変わり、再構成されて一部アルカリ(土類)金属イオンを吸着して現在のような粘土鉱物(ベントナイトやカオリナイト)になった、と考えます。土をこのように捉えると、後のイオン交換作用が説明しやすくなるように思います。したがって、私は「空気・・酸性、海・・塩基性、地殻・・中性」という立場です。
炭酸ガスは生命活動に関わって発生する弱酸性のガスですが、窒素酸化物は人間の産業活動に関わって発生する強酸性のガスですね。私は、酸化物に限らずガス一般を大まかに発生源の違いで分類し、強調することは必要なことと考えています。生命活動に関係するもの(CO2,CH4,H2S,NH3などで、CO2を除くと還元性の水素化合物で、有機物の腐敗で生じる)、産業活動に関係するもの(CO2,NO2,SO2などの酸化物)、そして火山活動に関係するもの(HCl,CO2,H2Sなどで、鉱物と高温高圧の水蒸気との反応で生じる)と分けることによって、大気を汚す人間の責任の所在を明らかにしたいと考えています。したがって、私としてはもう少しNO2を人的な生産活動に関わって発生しているガスなのだという点を強調して欲しいと思いました。
以上、山本さんの視点、『要は分かるように「何を」教えるか、それが焦点でしょう。』に沿って、私なりにコメントしてみました。十分に完成しているテキストだと思いますが、敢えて辛口の批評にしました。的外れだったらゴメンナサイ。他にもふれたい箇所はいくつかあるのですが、それはまたの機会にしたいと思います。
99A−170
差出人:中台 文夫
送信日:00年1月9日
件 名:はじめまして、なかだいと言います
明けまして、おめでとうございます。
新人の なかだい です。宜しくお願いいたします。
今年は、少しは暇になりそうなので、通信に加わりたいと思いますが、初っぱなから、山本さんの話、藤田さんの自由エネルギーを読んで、ウーンとうなってしまいました。
でも、まあぼちぼち行きますので宜しく。
私は、藤田さんと異なり、情報は入るのですが、理論に弱いので、教えて下さい。物化は特に、体を壊して入院していたときに授業があり、ほとんど?で、単位を落としたので弱いのですよね。デルタGの所のを、デルタSとTは使わないのですか? ここの展開恥ずかしながら分からないので、もう少し考えて質問します。
何か声を出さないと、ずっとメールを書けなくなりそうなので、早めに書いてしまいました。
それでは、よろしくお願いします。
99A−171
差出人:藤田 勲
送信日:00年1月10日
件 名:RE:製鉄における主要な反応は?(2)
こんにちは、埼玉の藤田です。
中臺さんもメールに参加してくれて、嬉しいです。これからますます面白くなりそうですね。「情報は入るのですが、理論に弱い」と謙遜しておられますが、情報も理論も大いに期待したいと思いますので、改めてよろしくお願いします。
では、「デルタGの所のを、デルタSとTは使わないのですか?」ということについて考えてみます。化学変化は一般にギブスの自由エネルギーが減少する方向に進むといわれています。すなわちΔG<0となる方向です。これはΔGが反応物質Aと生成物質Bの化学ポテンシャルμの差を表す関数だからです。
A = B
ΔG=μBーμA
化学ポテンシャルμは化学変化を平衡に駆り立てる力を与えていると考えられます。μA>μB、すなわちΔG<0なら反応はAからBへ進み、μA<μB、すなわちΔG>0なら反応は逆にBからAへ進みます。また、μA=μB、すなわちΔG=0なら反応はストップしたままで平衡に達していると考えられます。
ところで、鉄鉱石が主にCによって還元されるのか、COによって還元されるのかは、CとCOが還元剤として働く時の条件によります。このために炉内のCからCO生成の条件を見つけるわけですが、この時に当てになるのがΔGです。一般に、化学平衡は温度、圧力、濃度の影響を受けますが、炉内を定圧で酸素濃度が一定と考えると、Cが燃えるときにCOとCO2のどちらを生じるのかは温度によって決まると考えて良いでしょう。この時、@とA式から導かれるB式のΔGが問題になるわけです。前回のメールからB式のΔG=Oで平衡状態に達するときの温度は約710℃でした。
C + O2 = CO2 ・・・@
2C + O2 = 2CO・・・A
C + CO2 = 2CO・・・B
一方、ΔGと平衡定数Kp=(pco)2/pco2の間には次の関係式が成立することが分かっています。
ΔG=−RTlnKp
したがって、710℃でΔG=OになることはKp=1、すなわちCO2とCOの分圧が共に1である、ということを意味しています。710℃以上ではΔG<0となりBの平衡はCO側に寄りKp>1となり、710℃以下ではΔG>0となりBの平衡はCO2側に寄りKp<1となります。
つまり、710℃以上では高温コークスが強い還元剤になってCOを生成する反応が主に起こり、生成したCOガスは反応系の外に拡散していくことになります。このCOガスが炉上部で鉄鉱石を還元し、炉下部では残っている固体の高温コークスが主に還元剤になるのです。なお、炉上部では低温になるとCOがBの反応を逆戻りしそうですが、炉上部にもCO2は豊富にあり、しかも逆反応はエントロピーの減少する反応ですから起こりにくいと考えられます。
99A−172
差出人:林 正幸
送信日:00年1月10日
件 名:「製鉄の反応」をありがとう
こんにちは、林です。
昨日と一昨日、8日3時から9日12時まで、盛口さんを迎えて愛知恒例の「理科教育討論合宿」を開きました。参加者は何と42名、プリントが不足し旅館に夕食の追加をするなど、事務局としてうれしい悲鳴を上げました。盛口さんには1時に来てもらい、岡田さんたちと懸命の準備をして実験に突入し、2時間あまりがあっという間に過ぎました。その中には「ミラー」の実験も含んでおり、ニンヒドリンを加えると見事な赤むらさき色になりました。そして休憩わずか5分ののち、続いて今回の合宿のテーマ「改めて科学教育の「何のため、何を」を問う」に対して問題提起をしてもらい、さらに1時間が過ぎました。
8時から再開してテーマ討論をしましたが、愛知らしく多面的な意見が出てきました。9時半からはアルコール入りで、再び盛口さんに光シリーズやドライスクリームなどの実験を見せてもらい、さらにテーマ討論が続きました。議論が白熱して、12時には寝たいと言っていた盛口さんも1時半まで起きていました。
翌朝は5時半から鈴木さんにも応援してもらって実験の片づけをしました(私は6時過ぎまで寝ていました)。要した時間が2時間、朝食が済むと、盛口さんは次の目的地東京に向かいました。みんな、71才とは思えない、とあきれていました。
私たちの方は9時から自由テーマで、報告・討論を続けました。その中で私は、すでにメールで紹介した「比例計算の指導」を報告をし、有意義な意見を得ることができました。そして仲間と昼食をしてから帰宅しましたが、私はさすがに何かをする気力が残っていませんでした。
藤田さん、「製鉄における主要な反応」の解説をありがとう。熱力学的に考えてみることがなかったので、たいへん参考になりました。高温であるからほぼ平衡が成立しているとすると、炭素の還元作用が見えてきます。しかし藤田さんの「燃焼帯」の説明を参考にすると、反応メカニズム的には、一酸化炭素が直接的な還元剤であると見なしてよいと思いました。つまり次の反応式を主反応として
Fe2O3 + 3CO ―→ 2Fe + 3CO2
教えてよいと思いました。なお反応Cで記述されていることは、反応Bの記述に含まれていると考えます。つまり CO と CO2 の生成バランスは O2 の濃度には関係ないと考えます。
続いて「黒い炎」のリターンマッチです。1年前に話題になったナトリウムの黒い炎ですが、私は昨年の1月3日付メールで次のように書きました。
<引用>
「黒い炎」については、光源に強いナトリウムランプを必要とすることがポイントだと思います。つまりまわりの物体はその光を反射して明るいオレンジ色に見えています。その中でティッシュペーパーが燃えて発光するほのかなオレンジ色は暗くて炎は黒く見えます。ランプのD線が炎の中のナトリウムを励起する効率はきっと小さいのでしょう。これに対して部屋にほどよい白色光ないし類似の光源があれば、色の違いとして炎のオレンジ色を見ることができます。しかし太陽の強い直射日光の下ではその炎を見ることが難しくなってきます。
<以上>
この「説」を改めて提起したいと思います。というのは、盛口さんの実験の中に「明るいところでも見える黒い炎」というのがありました。ハンドバーナーの大きな炎に食塩水を付けた先の切れた円錐形のステンレスネットを入れて、炎の一部を見る側に分流させると、オレンジ色の炎を背景に小さな黒い炎を観察できるのです。これは太陽のフラウンホーファー線の原理と似ています。小さな炎は背景の大きい炎に比べて光度が小さくて黒く(暗く)見え(同じ色だから一層際立つと思います)、そして大きい炎から小さい炎に入射して目に向かおうとするD線は吸収、散乱されて観察者には届かないのです(引用の「ランプのD線が炎の中のナトリウムを励起する効率はきっと小さいのでしょう」を散乱に置き換えてください)。他の参加者の意見も同様でした。
杉山(剛)さん、新居が早く完成するとよいですね。そしてできれば「アルケ合宿」では顔を合わせたいと願っています。
ではまた。
99A−173
差出人:藤田 勲
送信日:00年1月10日
件 名:RE:「製鉄の反応」をありがとう
こんばんは、埼玉の藤田です。
盛口さんを迎えての「理科教育討論合宿」は大変な盛り上がりだったようですね。ご苦労様でした。それにしても実験の片づけに2時間を要したという盛口さんの実験の数々は、さぞ素晴らしかったことでしょう。汗を拭き拭き実験する盛口さんの様子が目に浮かぶようです。
さて、私の「製鉄における主要な反応」の解説に対して、林さんは「一酸化炭素が直接的な還元剤であると見なしてよい」と書いています。しかし、本当にこれでよいのでしょうか。710℃以上の高温では2つの還元剤、高温コークスと高温COが共存しますが、この温度条件ではコークスの方が還元力が強いはずです。そうでなければ下の反応は起こらないはずですよね。酸化還元反応は強い酸化・還元剤の対から弱い酸化・還元剤の対が生じる方向に進むわけですから。
CO2 + C = 2CO
したがって、高温の炉内では反応速度が大きく十分な熱平衡が成り立ってと仮定すると、やはり炉中心部の主要な還元剤は高温のコークスになるのではないでしょうか。
次に、黒い炎についてです。この実験は金沢の福岡さんが化学教育の分野に持ち込んでから一気に花開いた実験ですね。大型の強力なナトリウムランプを光源にする点がこの実験の難点でしたが、盛口さんはこれをハンドバーナーとチョークを使ったものに改良したはずですが、今回さらに食塩水をつけたステンレス網に改良したのですね。盛口さんのこのような、執念にも似た飽くなき努力には本当に頭が下がります。
この原理は、今回の林さんの以下の説明で理解でできるような気がするのですが、それと昨年(1/3)のメールとは内容が違っているように思えるのです。
<引用開始>
小さな炎は背景の大きい炎に比べて光度が小さくて黒く(暗く)見え(同じ色だから
一層際立つと思います)、そして大きい炎から小さい炎に入射して目に向かおうとす
るD線は吸収、散乱されて観察者には届かないのです。(00.1.10付けメール)
まわりの物体はその光を反射して明るいオレンジ色に見えています。その中でティッ
シュペーパーが燃えて発光するほのかなオレンジ色は暗くて炎は黒く見えます。ラン
プのD線が炎の中のナトリウムを励起する効率はきっと小さいのでしょう。
(99.1.3付けメール)
<引用終わり>
私は、「黒い炎」は光度の強い光源から、同じ波長の光度の弱い炎が光を吸収することによって、その背景に暗い暗線が見える現象だと理解しています。ですから、「ランプのD線が炎の中のナトリウムを励起する効率はきっと小さいのでしょう。」という点が理解できません。炎の中のナトリウムを励起しなければ、ランプの光は吸収されないのではないでしょうか。ナトリウムの価電子がランプの光子を吸収することが、すなわちナトリウムが励起されたということだと思います。励起された電子は基底状態に落ちるときには一気に飛び落ちるのではなく、山本さんがかつて書いていた(99.1.14)ように、励起された電子準位と同程度のレベルの回転のエネルギー準位と摂動するために、交差して回転準位を連続的に落ちて基底状態のエネルギーレベルに達するのだと思います。同レベルのエネルギー準位にある軌道は互いに影響を及ぼしあい、重なり合って電子の行き来ができるようになるのでしょう。これで熱を発生することが説明できると思います。
99A−174
差出人:山本 喜一
送信日:00年1月10日
件 名:RE:山本さんの「酸と塩基」を読んで
こんにちは、山本です。
藤田さん、コメントありがとうございます。何だか、アルケの合宿に自分のレポートを出して、意見をもらっているような気がします。こういうやりとりが日常的にできるメールという手段は、やはり良いものですね。ただ、私は勝ってなメールを書き散らしては、誰かからコメントをもらうというパターンが多くて、たとえば林さんのHPなどについては、参考にさせてもらっているだけで、こちららかは何のコメントも書いていません。申し訳ない気持ちがしています。今度、改めて林さんの1年間の成果を勉強させてもらって、コメントしたいと思っています。
以下、藤田さんからのメールを引用して私の考えを書いてみます。
・・・・・・・
まず、全体の感想ですが、山本さんらしく展開が論理的でよくまとまっている
な、と思いました。
・・・・・・・
ありがとうございます。この前も書きましたが「分かりやすい授業を展開したい」と思ってプリントを作っています。
・・・・・・・
これだけの内容をまとめた山本さんの労力は大変なものだったろうなあと思いま
した。
・・・・・・・
いえ、ワープロで打って作ったプリントをHP用に加工しただけですから、それほど大変ではありません。私はホームページビルダートいうソフトで加工しているのですが、「酸と塩基」の部分もこれを使って1日で仕上げました。
・・・・・・・
<その1>「酸と塩基のはたらき(まとめ)」について
大まかに酸と塩基の働きをどう教えるかというときに、歴史的に見ても試薬と
しての働き、つまりものにアタックするための手段としての物質という捉え方が
大事だろうと思います。
・・・・・・・
私は「酸と塩基」の授業では二つ教えたいことがあるな、と思っていました。一つはNO2と酸性雨のこと、もう一つは、藤田さんの指摘のように酸と塩基を道具ととらえ、それを使って近代工業がどう発展してきたのかということです。今、日本ではNO2の多くが車から排出されていますから、前者を取り上げることによって現代の車社会を考えさせることができます。これは利便性を追求する現代の象徴ですね。便利になった代わりに、NO2や微粒子(スス)で健康を破壊し、CO2を出して温暖化を進め、大きな道路を造っては自然を破壊しています。しかし最近では、エコカーが開発されて話題になり、ヨーロッパでは車をしめだした都市づくりも始まっています。環境を守り、自分の健康も守るためにはどんな社会にすべきか、そしてどんな生活を送るべきか、そういうことをNO2問題から考えさせることができるでしょう。
もう一つの近代工業の発展の方では、酸塩基工業がどんな化学製品を作り出してきたのかを浮き彫りにすることによって、物質文明の発展に寄与した化学の役割を描けるでしょう。同時にそれは公害を生み出す役割も持ちました。また、NaOHを作る副産物として塩素が発生し、それがダイオキシンやトリクロロエチレン、PCBなどの有機塩素化合物の源になっていることも紹介できると思います。
さて、このふたつを考えたものの、授業時間数とにらめっこした時、とても両方は入らないなと思ったのです。そこで、エイッと後者はあきらめ、NO2問題だけでもきちんとやろうと考えました。ただ、ここの授業は新聞記事をたくさん使いましたので、それをHPに載せると著作権にひっかかるのではないかと思って、だいぶカットしてしまいました。ここで使った資料は、後でアルケ通信でおくります。生徒の感想も添えますので、読んでみて下さい。
それから、ここの授業は2,3日前のメールの「大量生産、大量消費」に代わる価値観とは何なのかという話と関わるところです。車に当てはめて考えてみますと、RVという車がよい例だと思います。私もそういう車に乗っているのですが、あれを買うと楽しい家族になれそうな気がして、ちょっとしたブームを作ったのだと思います。確かに年に1,2度の家族旅行には便利ですが、あの車を手に入れたからと言って毎月のようにキャンプに行けるわけではありませんよね。時間やお金が手に入ったわけではありませんから。でも、何となくあの車を買うと、楽しく自然に親しめて、余裕のある生活ができそうな気がしたものです。このように、新しいものを手に入れると、今より幸せになれるような気がすること、これこそ「大量生産、大量消費」の申し子でしょう。20年30年前とは違って、今は、おそらく生活に必要なものは一通りそろっていて、その上に欲しいものといえばブランド品や高級品ではないでしょうか。なぜそういうものが欲しいかと言えば、それを手に入れるともう少し幸せになれそうだから・・・。そうではなくて「ものは少なく、心は豊かに」という生活を目指すべきだと思うのです。
・・・・・・・
酸は金属とその酸化物や炭酸塩以外に硫化物やハロゲン化物なども溶けすわけで
すから、酸を大地に眠る鉱物、つまり無機的な化合物を溶かすものとしてはいか
がでしょうか。
・・・・・・・
「酸はものを溶かす道具」という位置づけですよね。私もそう教えたこともあったのですが、ある時、酸化銅(U)を希塩酸に溶かそうとしたら、いつまでたってもほとんど溶けたように見えなかったことがありました。そこで、本を調べてみたところ遷移金属の酸化物は酸に溶けにくいという記述があって、それ以来「酸は岩石を溶かす」と言わなくなりました。その本がなんであったのか忘れました。でも、「化学大辞典」などには酸化銅(U)は酸に可溶と出ていますので、「酸は岩石を溶かす」でよいのかも知れません。
・・・・・・・
同様に、塩基はタンパク質以外に油脂や多糖類を加水分解して溶かしますから、
生命体を作っている天然物、つまり有機的な化合物を溶かすものとしたいと思い
ます。
・・・・・・・
ウーン、私の学校ではTBでここまでつっこむのは難しいですね。私としては、水酸化ナトリウムが塩化ナトリウムの親戚だくらいにしか思っていない生徒に、ゆで卵や肉、髪の毛などがNaOH水溶液に溶けていくさまを見せて、塩基は恐いものだということを教えられれば充分ではないかと思っています。
・・・・・・・
トイレの洗剤に塩酸が含まれているのは、(略)
カビキラーの水酸化ナトリウムは(略)
・・・・・・・
このふたつは、私自身あやふやでした。藤田さんの指摘の通りだと思います。もう少し勉強してみます。
・・・・・・・
<その2>「酸性酸化物と塩基性酸化物」について
山本さんは我々の暮らす生活環境を「空気・・酸性、海・・中性、地殻・・塩
基性」とまとめていますが、このことが後の学習にどう生きてくるのでしょう
か。
・・・・・・・
HPには書かなかったのですが、基本的には藤田さんが上の文の後に書いているようなことを生徒にしゃべっています。「空気は二酸化炭素を含んでいるので酸性なのだが、さらに人間が硫黄酸化物や窒素酸化物を排出して、酸性を強め、酸性雨を降らしている」と説明して、ザルツマン試薬の実験と、土壌が酸性雨にさらされたときの陽イオンの溶脱、それによる植物への影響を話しています。
藤田さんのメールは続いて、雨と地殻との反応、粘土の生成の話になっていますが、私は勉強不足でちょっとついていけません。もう少し本を読んでみます。
・・・・・
したがって、私は「空気・・酸性、海・・塩基性、地殻・・中性」という立場で
す。
・・・・・
ウーム、酸性の雨が塩基性の地殻を溶かして、中性の海を作ると思っていたのですが・・・・。「化学大辞典」で調べてみましたら海水のpHはおよそ8.3と出ていますね。やはり海は塩基性、ですかね。
・・・・・
私は、酸化物に限らずガス一般を大まかに発生源の違いで分類し、強調すること
は必要なことと考えています。
・・・・・
気体についてのこういうとらえ方は新鮮ですね。こういうことを「酸と塩基」でやるかどうかは別にして、一度整理して頭の中に入れておく必要なあると思います。ここもこれから勉強してみます。
・・・・・
私としてはもう少しNO2を人的な生産活動に関わって発生しているガスなのだ
という点を強調して欲しいと思いました。
・・・・・
ここは前に書いたように、私の今年の「酸と塩基」のメインでしたので力を入れました。
というわけで、一通り藤田さんからのコメントについて書いてみましたが、教えたいこと以外のpHの計算や滴定の計算などにかなり時間を食っているのが現状です。林さんが比例の考え方について考察していますが、私も計算に対する生徒の思考法を分析してもっと短時間にできるようになる教え方を工夫したいと思っています。長くなってすいませんでした。
では。
99A−175
差出人:藤田 勲
送信日:00年1月10日
件 名:山本さんの返信を読んで
こんばんは、藤田です。
山本さんの返信、拝見しました。さすがに山本さんらしく個別にきっちりと対応していてくれて、コメントした私としては大変嬉しく思います。率直に書いた甲斐がありました。
<その1>「酸と塩基のはたらき(まとめ)」についての返信について
> 私は「酸と塩基」の授業では二つ教えたいことがあるな、と思っていました。
>一つはNO2と酸性雨のこと、もう一つは、藤田さんの指摘のように酸と塩基を
>道具ととらえ、それを使って近代工業がどう発展してきたのかということです。
(途中略)
> さて、このふたつを考えたものの、授業時間数とにらめっこした時、とても両
>方は入らないなと思ったのです。そこで、エイッと後者はあきらめ、NO2問題
>だけでもきちんとやろうと考えました。
山本さんの、RV車を「大量生産、大量消費」社会の象徴として捉え、それに代わる価値観を見据えたNO2問題の捉え方、理解しました。いかにも山本さんらしい視点ですね。
> 「酸はものを溶かす道具」という位置づけですよね。私もそう教えたこともあ
>ったのですが、ある時、酸化銅(U)を希塩酸に溶かそうとしたら、いつまでた
>ってもほとんど溶けたように見えなかったことがありました。そこで、本を調べ
>てみたところ遷移金属の酸化物は酸に溶けにくいという記述があって、それ以来
>「酸は岩石を溶かす」と言わなくなりました。
金属酸化物のうち、酸化数が2,3,4の大部分は塩基性酸化物で硝酸と加熱すると溶けるものが多いようです(斉藤一夫『無機化合物』裳華房,1984,p.80,183)。CuOやCr2O3やFe2O3がその例として上がっています。酸化銅も濃塩酸なら多分溶けるのではないでしょうか。一方、酸化数5,6のものは酸性酸化物ですから、濃水酸化アルカリ溶液に溶けます。CrO3やWO3などがそうです。これは中心金属の形式電荷が大きいので非常に強く酸素原子を引きつけて酸素酸陰イオンになるためでしょう。もっとも例外も多く、イオン性ではなく共有結合的に結合した酸化物の中には、酸にもアルカリにも溶けにくいものもあります。強熱したNiOやSnO2などがその例です。
>水酸化ナトリウムが塩化ナトリウムの親戚だくらいにしか思っていない生徒
>に、ゆで卵や肉、髪の毛などがNaOH水溶液に溶けていくさまを見せて、塩基
>は恐いものだということを教えられれば充分ではないかと思っています。
この点については異論があります。命に関係したものをアルカリは溶かしてしまうと言う感覚は、日常備わって欲しい教養だと私は思います。生活にアルカリが多いだけに、ただ怖いでは困るわけです。
<その2>「酸性酸化物と塩基性酸化物」についての返信について
> ウーム、酸性の雨が塩基性の地殻を溶かして、中性の海を作ると思っていたの
>ですが・・・・。「化学大辞典」で調べてみましたら海水のpHはおよそ8.3
>と出ていますね。やはり海は塩基性、ですかね。
地殻が塩、水に不溶なアルミノケイ酸塩であり、加水分解してアルカリ性を示すと言うことが大事だと思っています。粉々に砕いたガラスを沸騰水で煮沸してフェノールフタレインでアルカリ性であることを確認したり、塩基性酸化物の酸化鉛と酸化ナトリウム(炭酸ナトリウム)に酸性(両性)酸化物の二酸化珪素を加えて鉛ガラスを作ることで地殻が中和反応で生じた塩である、というイメージができるのではないでしょうか。マグマはその塩の融液ですね。
> 気体についてのこういうとらえ方は新鮮ですね。こういうことを「酸と塩基」
>でやるかどうかは別にして、一度整理して頭の中に入れておく必要なあると思い
>ます。ここもこれから勉強してみます。
気体の分類を評価してもらって嬉しいです。各論のやっかいな部分(非金属化合物の気体)も、こうやって分類することでその素性が少し浮かび上がってくるように思います。
以上、山本さんの返答にさらに私のコメントを書き加えましたが、いつか時間があれば「酸と塩基」の残りの部分についてもコメントを加えたいと思います。何しろプリントアウトした資料が手許にあるわけですから・・・。でも、学校が始まると疲れがたまって、そう簡単には書けなるのが残念です。
99A−176
差出人:鈴木 久
送信日:00年1月11日
件 名:新年を迎えて
アルケミストのみなさん 明けましておめでとうございます。鈴木 久です。
最近、インターネットがうまくいかなくてなかなか発信できなくてすいません。
さて、アルケの資料に入れた質問紙授業の回答が滞ってしまっています。今、テストの問題作りと、質問の答えを作っています。範囲は中2の気象。
ところで、雲の生成のところでは当然のごとくなぜ、断熱膨張すると(この言葉は使っていませんが)温度が下がるのかという質問が出されました。授業中には、空気入れでどんどん押し込むと熱くなる。じゃあ逆におもいっきり一気に広げてやると逆に温度が下がる(-_-;)と訳わからんこと言って迫力で押していたのですが、質問紙でちゃんとそこを突いてくる生徒がいます。(~_~)(-_-;)さて、どうしたものか。
また、湿度計の湿球に水をつけておくと蒸発熱で温度が下がる。これはなぜかという質問もありました。こちらは、夏道に水をやると涼しくなるだろうあれと一緒と言って逃げていたのですが。何もかも説明しなくてはいけないとは思いませんが中学生くらいなら追求したくなる生徒がいてもふしぎではありません。というわけで以下のような説明は遠からずといえるでしょうか? 相手は中学生。しかし、まちがった説明はしたくないというのが条件です。検討してください。分子・原子は授業でもう扱っています。
液体の水を作っている分子の中には速いのもいれば遅いのもいる。蒸発するということは、水の表面から分子が飛び出ていってしまうことだ。もちろん、遅い分子は中から引っ張られて飛び出せない。速い分子が表面から減っていくと全体の水の温度は少し下がる。物体の熱が水に移動して物体の温度も下がる。ただし、この説明だとすぐにコップの中の水は放置しておくと温度が下がるかと聞かれると思います。もちろん、周りの空気やコップから熱をもらっているからそういう結果にはならない。周りの物体の方が大きすぎて変化がみにくい。しかし、熱い物体に水をぶっかければ温度差が大きいので水を蒸発・沸騰させて上のようなことが起こると考えていけないだろうか?
次に、断熱膨張。これまで、つまっていたのであっちへ行ってはぶつかり反対へ、こっちでぶつかっては反対にとランダム運動だったのが、急に密度がうすくなるとなかなかぶつからずずーっと邪魔されずに飛ぶことができる分子が増える。ということで、縦に1、横に1上に1と動いていたのがまっすぐ3飛ぶようなものだ。運動のエネルギーは速さの2乗で効いてくる。向きも考えると、混んでいる時は、1の2乗+1の2乗+1の2乗=3。しかし、空いてくると3の2乗で9!というわけで温度が上がる??????(運動エネルギーの説明は中学3年でまだ。それに量的な説明はしないのだがここではまあ置いといて。)おいおい下がってもらわくちゃ困るのだ(;_;)やっぱり、ここは熱力学第1法則使うしかないか?説明ごとに方法を変えたくないし、何しろ自信ない。
蒸発熱の説明はよいか。もう少し直せば何とかなるのなら教えてください。また、断熱膨張の方は何とかなりませんか?
99A−177
差出人:鈴木 久
送信日:00年1月11日
件 名:新年を迎えて(2)
アルケミストのみなさん 鈴木 久です。
先ほど第1法則はと書きましたが。分子運動の、運動エネルギーと分子間の位置エネルギーの和がエネルギー保存の法則で一定。分子間が離れたので位置エネルギーが大きくなった分だけ運動エネルギーが減りそれで温度が下がった。とはいえるのですが。そういう説明以外の説明は無理でしょうかということです。
99A−168
差出人:藤田 勲
送信日:00年1月11日
件 名:今晩は
今晩は、埼玉の藤田です。
山本さん、CuOとFe2O3はやはり濃塩酸に溶けますね。CuOは加熱しなくても、Fe2O3は加熱して少し放置すると、前者は緑色に、後者は黄土色になりました。今日、時間があったのでやってみました。他に手許にある遷移金属酸化物というと、TiO2とMnO2ぐらいですが、いつかやってみたいと思います。
それから、この冬休み中に仕込んでおいたミョウバンのサイコロ型の結晶も順調に成長していました。まだ1cm角程度の大きさのものが多いのですが、結晶面もなめらかで透明です。まずは一安心。
今日はこの辺で。では、また。
99A−179
差出人:山本 喜一
送信日:00年1月11日
件 名:RE:山本さんの返信を読んで
こんにちは、山本です。
藤田さん、さっそくの返信ありがとうございます。藤田さんもワープロ打ちが速くなったようですね。最近は、どんどんメールが届いて、すごいと思っています。
私も再び返信を書かせてもらいます。
(1)まず、酸化数が2,3,4の金属酸化物、さらには5,6の酸化数を持つ金属酸化物の話は、大変参考になりました。ありがとうございました。
(2)アルカリが何を溶かすかという部分ですが、生徒がアルカリを大したことのない物質だと思っているその「常識」をくつがえす必要があるという点では、一致していると思います。それ以上のこと(有機化学工業とアルカリの関係まで)をも「酸と塩基」の単元で持ち込み、生徒に納得のいく説明ができるかどうか、私には自信がないし、そうすべき理由もつかんでいないわけです。
(3)単純ですが、地殻を作る「塩」が加水分解してアルカリ性を示すのであれば、地殻は塩基といって良いのではないでしょうか?塩基性岩や酸性岩に希塩酸(希硫酸だったか?)を加えて数日おくと、pHが高くなるという実験を野曽原さんがやっていましたよね。
(4)学校が始まると確かに疲れて、夜になると眠たくなったり、晩酌がイヤに効いたりして、メールを書こうと思ってもついつい後回しにしてしまうことが多くなりますよね。藤田さんも私の「酸と塩基」のテキストにもう少し書きたいことがあるようですが、忙しかったら無理をしなくても結構です。メールを書く余裕があるときに交換しあえば良いと思います。たとえ、ずっと前の話題になっても。
99A−180
差出人:山本 喜一
送信日:00年1月11日
件 名:黒い炎について
黒い炎についての林さんの説、実はよく分からないのです。
<引用開始>
小さな炎は背景の大きい炎に比べて 光度が小さくて黒く(暗く)見え(同じ色
だから一層際立つと思います)、そして大きい炎から小さい炎に入射して目に向
かおうとするD線は吸収、散乱されて観察者には届かないのです
<引用終わり>
小さな炎は確かに、背景の光よりもそれ自身の光度は小さいですよね。林さんは太陽の黒点を連想して、だから小さい炎は黒く見えると考えているのではないかと思うのですが、果たしてそうでしょうか。
ちょっと前に、私の学校の物理の先生と、この話をしたことがあります。彼は、黒い炎の中のナトリウム原子は背後からのD線を受けて励起され、その後、発光しているのだと言いました。しかし、その発光は四方八方を向いているため、原子が存在する部分では、観測者の目に飛び込むD線が少なくなって、それが暗く見えるのではないかと言っていました。
D線
────────────→
────────────→ 明るい
────────↑───→
────→┌──┴─┐
────→│Na原子 │─→ 暗い
────→└─┬──┘
───────↓────→
────────────→ 明るい
────────────→
私はこれを聞いて、なるほどと思いました。でも、これが黒い炎の原因すべてではないと思います。福岡さんのプリントにありましたが、最近、街に点灯している高圧ナトリウムランプは、ランプ中のナトリウム原子の密度が大きいものです。これは、ナトリウム原子が出したD線を、他のナトリウム原子が吸収することによって、D線以外の波長の光も出し、オレンジ色がかった黄色になっています。こういう波長を出すのは、D線を吸収したナトリウム原子が、非放射遷移によってD線のエネルギーを熱に変え、温度が上がったためだと考えます。
私は、D線を吸収したナトリウム原子がそのエネルギーを熱に変えていることと、再びD線として放出する場合でも、その発光方向が全方向を向いているという2つが原因して、黒い炎ができるのだと思います。
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