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98A−076
差出人:佐藤 琢夫
送信日:98年10月25日
件 名:化学口頭試問

岩手の佐藤です。
 やっと、季節相応の気温が戻ってきました。当地の今年の紅葉は例年に見られるようなやかさがありません。夏が涼しかったためでしょうか。
 現在、進路指導の仕事をやっていて1年の中でもっとも多忙な時期にあります。200名の学年の生徒のうち約半数が推薦入試を希望しています。さらに、国公立大の数は60名ということで、担任は調査書と推薦書書きで明け暮れています。
 国公立大の中で口頭試問を行っている理系の大学を受験をしようとしている生徒に現在課題としている与えている問題を送信いたします。コメントをいただければと思います。
 オリジナル問題
@1モル濃度の溶液について説明しなさい。
Aシュウ酸に結晶水が2分子ついている。1モル濃度のシュウ酸を作りたい。このシュウ酸は何モル用意したらよいのか。
Bビューレット、メスフラスコ、ホールピペット、コニカルビーカーのガラス器具の取り扱いについて説明しなさい。
C砂糖と塩はどちらも白い粉である。この粉をどう区別したらよいのか考えられる方法をすべて上げよ。
D硫酸銅の溶液に釘を入れたらどんなことが起きますか。この硫酸銅を銅から作るにはどうしたらよいのか。
E気体の捕集法に何があり、それらはどのように使い分けますか。
F水酸化ナトリウムを空気中に放置しておくとどんなことが起きるのか。この現象をなんというのか。
G5本のビンのラベルがはがれてしまった。それぞれ、エタノール、ジエチルエーテル、水、希塩酸、フェノールが入っている。試薬器具何を使ってもよい。できるだけこれらを簡単に区別しなさい。
H鉄、銅、アルミニウムの3種の同形の金属の棒がある。身近な道具や薬品を使って区別する方法を列記せよ。ここに、すべての硬貨(1円5円10円50円100円500円)がある。電気を通さない硬貨はあるのか。
Iドライアイスを水の中に放り込むと激しく気体が発生し、同時に白煙が立ち込める。この現象が起きる理由について述べよ。あなたの周りに類似の現象があれば、それについても述べなさい。
J水を接触させると反応する物質を全て上げよ。また、水の中に保存する物質をあげよ。
Kお湯の沸騰の泡は何からできているのか。また、簡単に実験で確認できる方法を述べよ。
L水に溶けると塩化ナトリウムは電離する。どうして電離したプラスとマイナスのイオンが結び付かないのか。飽和食塩水に、水にいくらでも溶けるエチルアルコールを加えるとどんな変化が見られるのか。
M銅と塩酸は反応しません。この理由を述べなさい。反応させるには、酸以外にどんな薬品を使うとよいのか。
Nナイロン6,6の6,6とは何か。
O空気は何から出来ているのか。その気体の含有率の高い順序に4つあげなさい。
P空気に窒素と酸素が含まれている。この窒素と酸素を分けるにはどうしたらよいの。
Qエチルアルコール、酢酸そして少量の硫酸を加えて加熱するとあるエステルが生成する。このエステルの名称を答えよ。エステルは水性油性のいずれですか。この実験を試験管で行った。反応後、放冷させたけれどエステルらしきものは出てこなかった。どうするとエステルの確認ができるのか。
R金属Mgを希硫酸と濃硫酸に別々に加えた。どちらが速く金属Mgを溶かすのか。その理由も述べなさい。
 97年度の推薦入試問題から
97−1 北大薬学部 アニリンの製法。ベンゼンとエチレンの構造式。ベンゼンにメチル基2つつけた異性体。エチレンに臭素を付加させた構造式。ベンゼンに臭素を反応させるにはどうするか。
97−2 東北大理学部 熱化学の計算。有機元素分析の計算と説明。原子量と分子量の説明。電気分解について説明。化合物の分離。
97−3 埼玉応用化学 ハロゲンの性質や用途について。日常生活における塩素ガスの利用について。フッ化水素のもちはこび。4種のハロゲンの色、沸点、化学的性質。
97−4 新潟理学 14、16族の水素化物の沸点と蒸発熱が分子の性質に基づいている。C60について。
97−5 福井大材料化学 化学結合について。
97−6 信州大素材開発 アルコールの分類。分子量と沸点の関係。ダニエル電池について。
97−7 岐阜大農学 空気の重さを計るには。真水と塩水ではどちらが早く乾くのか。水1モルを作るのに酸素はいくら必要か。
97−8 静岡大農学 原子を構成する3つの粒子。0.01モル濃度のpH。
97−9 岡山大理学  3原子からなる直線形の分子。C5H12の異性体について。
97−10 岡山大薬学部 サリチル酸メチルを作る方法を図示する。実験器具名も書く。
97−11 広島大理学 エタノール,酢酸,ヘキサンのうち2種類が溶液中に入っている。何が入っているか調べる方法を述べよ。化学結合(イオン,共有,配位など)のそれぞれの特長について。緩衝溶液の特徴について。ヘキサンの構造異性体について。石鹸の作用について。ドレッシングは水と油が混ざってない状態。ところが,マヨネーズは水と油が混ざっている。なぜか。
97−12 高知大理学 水は幾つかの特性を示す。そのうち2つ選び、具体的にどういう現象が起こるのか化学的に示せ。
 98年度推薦入試問題から
98−1 静岡大理学化学 ・理想気体とは何か。どのような状態が理想気体に近いか。それはなぜか。
・容器内の気体に圧力があるのはなぜか。
・NaClは何結合か。
・海水の融点は水と比べて低いか高いか。
98−2 岩手大工応用分子科 ・H2Oをイオン反応で表すとどんなイオン物質が生成するか。
・プロパン1molを完全燃焼させたとき、生成するCO2、H2Oの物質量を求めよ。
98−3 北大薬学 ・アニリン、ニトロベンゼン、安息香酸の化学式を黒板に書く。この3つの物質が有機溶媒に溶けているとして、分離の方法を説明する。
・温暖化のしくみを、二酸化炭素に由来して説明する。
98−4 岡山大薬学 ・炭素原子が4つで、二重結合が1つある炭化水素の構造異性体をすべてあげる。
98−5 熊本大薬学部 ・グルコースを分解すると、エタノールと何が生じるか。
・炭素12gを完全燃焼させるには何gの酸素が必要か。できた物質は何リットルか。


98A−077
差出人:野中 直彦
送信日:98年10月25日
件 名:新しい「情報」という科目

 新しいカリキュラムでは「情報」というコンピュータを使った科目が必修科目ないなるようです。商業科・工業科などの専門科目のあるところでは、そのままコンピュータの授業が2時間程度増えるだけなのですが、普通科単独の学校では、数学または理科の教員がこの授業を教えなければならないのでは、ないかと言われています。


98A−078
差出人:鈴木 久
送信日:98年10月26日
件 名:アルケ事務局通信 No15

アルケのみなさんこんにちは 事務局の鈴木です。
 今日は、沖 倫子@みちこ さんからのハガキを受け取りました。こうして、書いていると、いつもアルケの資料の活字の資料からだけしか見ていなかったので、正確な名前の呼び方を初めて知った人が何人もいることに気づきました。
 なお、大久保さんより先日現金封筒を送っていただいていたのですが、今日やっと郵便局の通帳に入金することができました。遅くなって申しわけありません。大久保さんからは、封筒中に誠実味あふれる文がしたためてありました。ありうがとうございました。同じ、理科通信を作る仲間として、ぜひアルケに残って活躍していただきたいです。なお、いろいろ書かれていた中で自作ビデオについて一部ご無理でなければ資料として送ってくださればうれしいです。
 なお、先日四ヶ浦さんから、鈴木へのメールが返送されるとのお問い合わせがありました。
 以前、書き込みましたように、私信とこの通信は、インターネット経由で、アルケのメール受信はニフティで行なっています。
q-suzuki@gb3.so-net.or.jp / HZE00457
よろしくお願いします。


98A−079
差出人:山本 喜一
送信日:98年10月27日
件 名:気体の授業

こんばんは、山本です。
 今、中間テストですが、溶液の性質とコロイドのあと、気体をやって、そこまでテスト範囲にしました。気体については、1学期の一番はじめに三態変化のところで、「気体はバラバラびゅんびゅん」を説明してあります。今学期は、いわゆるボイルシャルルと状態方程式の部分でした。これらの法則が、人間社会にとってどんな役割を果たしているんだろうと、思ってみたんですが、たいしたことは思い当たらず、ほとんど例年の授業プリントで終わりました。
 ちょっとだけ触れたのは、731部隊の「真空実験」、それに超臨界流体の二つです。「真空実験」は旧日本郡が捕虜を真空にできる部屋に入れたときのようす(小野さんの本にも載っていますが)。これは大気圧の大きさのところで使いました。
 超臨界流体は、理想気体と実在気体のところで使いました。理想気体はどんな圧力、温度でも気体だが、実在気体はそうではないと言って三態図を見せ、その見方を解説。そして、二酸化炭素の三態図では、液体・気体の境界線が途中で切れていて、それ以上の圧力・温度では超臨界流体になることを説明。この状態の二酸化炭素が、コーヒーからカフェインを溶かし出すので、カフェインフリーのインスタントコーヒーを作ることに使われていることを紹介しました。また、水の超臨界流体はダイオキシンをほとんど分解してしまうことも紹介。ただ、高温高圧が必要なのでそれだけエネルギーを使い、別の環境破壊を生み出すことを付け足しました。環境を守ろうと思ったら、大量消費大量廃棄型ではだめなことを言いたかったので、超臨界流体を持ち出したわけです。
 試験後は、酸と塩基です。これが、人間社会でどんな役割を果たしているのか、今、検討中です。酸性雨、岩石の中和作用、虫歯、パイプをきれいにするアルカリ洗剤、酸性食品、アルカリイオン水・・・いろいろありますが、さて、何をどう授業に入れればよいのでしょうか?やはり、歴史的な酸塩基の使われ方は落とせないでしょうね?何かこの辺でお考えがありましたら、教えて下さい。では。


98A−080
差出人:山本 喜一
送信日:98年10月27日
件 名:熱化学について

こんばんは、山本です。
 熱化学について、林さんがお考えを書いていますが、私もここは、やれ結合エネルギーだのヘスの法則の計算だのといって終わりにしたのでは、意味がないと思っています。私の場合、この単元は3学期になりますので、まだおぼろげなイメージですが、何らかの形でエネルギー問題を扱えないかと思っています。
 思いつくまま書いてみます。
・今、われわれが使っているエネルギーの多くは化学エネルギーであること。
・それは、昔植物が太陽エネルギーを蓄えておいたものであること。
・エネルギー効率の高い製品を開発することも必要であるが、結局は省エネルギーが必要なこと。
こんなことかな。ともかく、高校の化学でエネルギーについて学んだら、これからのエネルギー問題をちょっとは意識するような生徒を作りたいと思っています。では。


98A−081
差出人:林 正幸
送信日:98年10月28日
件 名:遷移元素の実験

こんばんは、林です。
 2年生2単位の化学は、各論の遷移元素にさし掛かっています。前にも書いたようにやや難渋していますが、実験を軸に展開しています。試験期ごとに2回の生徒実験がやっとですが、次の実験は思いのほか好評で、「すごい実験だ」と書いてくれた生徒もいました。
 錯イオンは、ヒドロキソ錯イオン、つまり両性金属については典型元素のアルミニウムのところで実験しているので、アクア錯イオン、アンミン錯イオン、シアノ錯イオンを取り上げました。写真の現像の定着に係わってスルファト錯イオンもありましが、割愛しました。アクアコバルトイオンは低温で6配位の赤色、高温で4配位の青色になります。アンミン銅(U)イオンはご承知のとおりです。シアノ鉄イオンのセピア写真は、アルケ合宿に藤田さんから教えてもらったのを早速使わせてもらいました。
 鉄イオンは2種の原子価があるイオンの代表として位置づけていますが、もちろんさまざまな色の沈殿、呈色反応を楽しませるねらいもあります。鉄(U)イオンと鉄(V)イオンのサンプルを調製することから生徒に取り組ませます。ちなみに、鉄(V)イオンとチオシアン酸イオンとの正しい反応式を知っていたら教えてください。なにかで2配位の錯イオンであると読んだ気がしますが、定かではありません。
 もうひとつ投入する予定の実験は、典型元素も含めて「金属イオンの分離」です。これは銀イオン、カドミウムイオン、クロム(V)イオン、バリウムイオンを、それぞれ塩化物、硫化物、水酸化物、炭酸塩として沈でんさせてろ別するものです。私としては、実験にできるだけたくさんの元素を登場させたいと考えています。
 ではまた。

[a]錯イオン
<アクア錯イオン>
(1)試験管に2mlピペットで水1mlとエタノール10mlを入れ、これに赤色の塩
化コバルト結晶小さじ1杯を加えて、熱湯に浸け、振り混ぜてできるだけ溶解させる。
(2)これを氷水に浸けたり熱湯に戻したりして、色の変化を観察する。
<アンミン錯イオン>
(1)50mlビーカーに1%硫酸銅水溶液約20mlを入れ、ガラス棒でかき混ぜなが
ら、少しずつピペットで0.5mol/lアンモニア水を加えていき(最終的に10ml加
える)、その2段階の変化を観察する。
<シアノ錯イオン・・・セピア写真>
(1)白黒写真を割りばしで、食品トレイに入った漂白液(2%ヘキサシアノ鉄(V)酸
カリウムに臭化カリウムを加えた水溶液)に浸け、ときどき写真をゆする。
(2)黒い部分が消失したら液を切って、次に0.1mol/l硫化ナトリウム水溶液に浸
け、ときどき写真をゆする。
(3)セピア調に着色したら、水洗いする。
[b]鉄イオンの調製
(1)100mlビーカーに2mol/l塩酸約50mlを入れ、鉄粉小さじ2杯を加えて、
ガラス棒でかき混ぜながら、3、4分反応させる。
(2)反応混合物を、2本の試験管にろ過する。ろ液が同量になるようにして、一方は
そのまま「鉄(U)イオン」のサンプルとする。
(3)ろ液の他方は、使ったビーカーを水洗いして、それに移す。
(4)これに35%過酸化水素水2mlを加えて、バーナーで加熱する。泡立ちが激しく
なったら火を消して、泡が収まるまで放置する。これが「鉄(V)イオン」のサンプルに
なる。
(5)両方の鉄イオンの色を観察しておく。
[c]鉄イオンの反応
(1)2本の試験管に両方の鉄イオンのサンプルを小分けして、(2)〜(4)の試薬を
加えてその変化を観察する(変化しない場合もある)。
注意:サンプルは1/4ずつ使い、失敗に備える。
(2)<2mol/l水酸化ナトリウム水溶液>
サンプルの体積の2倍量まで加えて振り混ぜる。
(3)<1%ヘキサシアノ鉄(V)酸カリウム(赤血塩)水溶液>
サンプルの体積と同体積まで加えて振り混ぜる。
参考:色が濃すぎるときは水で薄めて観察するとよい。
(4)<1%チオシアン酸カリウム水溶液>
サンプルの体積と同体積まで加えて振り混ぜる。
(5)すべての試験管はブラシで水洗いする。


98A−082
差出人:山本 喜一
送信日:98年10月28日
件 名:ナトリウムはなぜ爆発するのか

こんばんは、山本です。
 ナトリウムを水に放り込むと爆発しますが、なぜでしょうか。水素がたくさん発生して、それに反応熱で火がつくという説明をしている人がいますが、私は違うのではないかと思います。2cm四方くらいのナトリウムのかけらを水に入れますと、しばらく水面で反応したあと、黄色い火が上がって、パーンと爆発します。もし、充満している水素に火がつくんだったら、黄色い炎が見えたと同時に、爆発が起こっても良いと思うのですが、炎が見えてから、やや時間があって爆発します。
 この質問をニフティに書きましたら、大坂の中西啓二さんという方が「化学実験の事故をなくすために」という本を化学同人から出し、その中で次のように説明されている、と教えてくれた人がいました。
「ナトリウム片は水との反応熱で融解し、さらに温度は急速に上昇する。ナトリ
ウムの表面が水酸化ナトリウムを主成分とする被膜で覆われ、高温のナトリウム
と水との直接の接触を妨げている。さらに温度が上昇してナトリウムが600〜800
℃のとき、この被膜は融解し、内部の高温のナトリウムが水と直接接触して爆発
が起こることがわかった。だから、この爆発には高温の融解した金属と水との接
触による衝撃波の発生が大きく関与していると考えられる。」
 高温のナトリウムが水と接触することによって急激に水蒸気が発生するとか、いきなり大量の水素が発生するなどによって、衝撃波ができるのではないかと想像しました。考えてみれば、これは発生する熱が多い反応の典型で、熱化学で取り上げても良さそうですね。そして、もんじゅの話につなげて、将来のエネルギー問題を考えさせるというのはどうでしょうか?まあ、何が何でも環境問題に触れないといけないと言うわけではありませんが。では。


98A−083
差出人:四ケ浦 弘
送信日:98年10月30日
件 名:再度、油類の水への溶解度についておたずね

 数日前にみなさんにお尋ねしたことですが、再度お願いします。芳香族などの油類の水への溶解度についてデータをお持ちの方、教えていただけませんか?町井さんが20年以上前に「理科教室」に溶解の授業としてベンゼンの水への溶解度について書かれていましたが、各物質の水への溶解度が知りたいです。溶解の授業で生徒からでてきた質問です。なにとぞよろしくお願いします。


98A−084
差出人:鈴木 久
送信日:98年10月31日
件 名:アルケ事務局通信 No16

アルケミストのみなさんこんにちは 事務局の鈴木 久です。
 遅くなりましたが、10月28日に愛知の林 正幸さんから大量の資料を、岐阜の長野 勝 さんから岐阜物理サークル通信を受け取りました。この日、ゆえあって江南とか岩倉の近くを何度も通過。途中、一宮も。実は林 さんの家の近くも通過したらしい。ううっっ(>_<)
 さて、今日10月31日自宅に盛口さんから資料が届けられていました。そろそろ、資料作りの準備をしなければ。


98A−085
差出人:山本 喜一
送信日:98年11月1日
件 名:省エネ冷蔵庫

こんにちは、山本です。
 四ヶ浦さんの質問(ベンゼンの溶解度)は検索中です。明日、学校に行って、また調べてみます。
 9月29日の日本経済新聞に、シャープがひとつひとつの製品に、10年前と比べて二酸化炭素をどのくらい削減できるのかを明示して、販売促進運動を開始するという記事が出ていました。例えば、冷蔵庫なら1年間に200リットルドラム缶で309本(61824リットル)削減できるというように。ちょうど気体の授業が終わりましたので、この冷蔵庫を買うと、年間何kgの二酸化炭素削減になるのかを宿題にしました。1モルが24リットルとしますと、
  44×61824/24 = 113344g
で、約113kgの削減になります。
 1996年度、日本が1年間に排出した二酸化炭素は炭素換算で33700万トン(10月16日、毎日新聞)だそうです。これを二酸化炭素になおしますと
  33700*44/12 = 123600万トン
 日本の人口を1億2000万人としますと、一人平均10300kgになります。生徒には、この数字と比べて感想も書かせました。もっとも、10300kgという数字は国内全部で出している二酸化炭素を人口で頭割りしたものですから、産業や運送分野で出しているものも含まれています。家庭生活で出している二酸化炭素はその13%だそうですから、およそ1339kgになります。
 まだ、これから宿題を集めますので、生徒がどんなことを書いてくるのか分かりませんが、結局、10年前の冷蔵庫でまだ使えるものなら、買い換える必要はないといえるのではないでしょうか。こわれてしまったのなら、こういう省エネ製品も良いでしょうが。私はこの記事を初めて読んだとき、省エネとか二酸化炭素削減とかいう言葉を使って、消費者に要らない買い換えをさせているようでイヤな思いがしました。不況ですから、企業としては何とかして売り上げを伸ばそうと必死なんでしょうが。
 まあとにかく、気体の状態方程式から見えてくるものの例として、省エネ冷蔵庫の宿題を出したという話です。佐藤さんが、化学の面接の練習問題をいろいろ書いてくれましたが、この冷蔵庫の二酸化炭素削減量の計算とその感想なんかもいかがでしょうか。では。


98A−086
差出人:林 正幸
送信日:98年11月2日
件 名:酸と塩基

こんばんは、林です。
 昨日の日曜は県教研があり、1日充実した日を過ごすことができました。私としては「環境ホルモン」を問題提起するように指示されて、2、3日そのために時間を使いました。その中でブルーバックスの筏著「環境ホルモン」(講談社)が、なかなかよい本だと思いました。ちなみにこの著者は、私の大学時代の3年先輩であることに気付きました。
 さて、1年生は酸と塩基に入ってきました。とリあえず「指示薬の競演」というデモ実験からはいりました。これは単純で、水道水にBTB、メチルオレンジ、フェノールフタレリンを垂らし、これにうすい硫酸と水酸化ナトリウム水溶液を加えるだけです。しかし教卓に9この色鮮やかな(2つは無色)なビーカーが並んで訴えるものがあります。
 そして、これから共通の性質をもつ一群の物質たちをまとめて勉強していく、と宣言します。本音のところ、もうすこし気の利いたことが言えないかと思って言います。皆さんはどのようにこの単元を位置づけ、そしてイントロしていきますか。
 酸とは
・うすい水溶液が酸味をもつ
・指示薬BTBを黄色にする
・亜鉛などの金属と反応して水素を発生する
といった共通の性質をもつ。そして、水に溶解して電離して、水素イオンを生成する。これが酸の定義になる。私は、続いていきなりブレンステッドの定義をぶつけるのは反対です。まずアレニウスの定義をじっくりと勉強すべきです。このあと電離度と強酸、弱酸を教えます。ちなみに、ラボアジェは酸のもとは酸素と誤解して、この元素を「酸素」と命名してしまったと話します。それから、デモ実験でうすい硫酸に亜鉛を、食酢にマグネシウムリボンを入れて生徒にまわし、水素が発生することを確認します。
 これに対して、塩基とは
・酸と反応してそのはたらきを打ち消す
・指示薬BTBを青色にする
という性質をもつ。そして水に溶解して、電離して水酸化物イオンを生成するのが塩基である。
 どうも個性のないイントロです。そこでつぎのような「酸と塩基をつくる」という生徒実験を投入します。[a]は亜硫酸と硫酸が指示薬では区別が付かないので、硫酸バリウムの沈殿ができることを利用しています。[b]は、あれこれ試しているうちに思いついた実験です。割りばしという身近なものひとつで、簡単に炭酸という酸と、水酸化カリウムという塩基がつくれうのがポイントです。生徒もこれには感心していました。[c]は加熱しなくても結構赤くなってしまう場合があって、「いまいち」です。(生徒はチョークが水の中で崩れていくことに驚いていました。)炭酸カルシウム自身が塩基性なのですね。なお酸化カルシウムから水酸化カルシウムをつくる実験をしたこともありますが、私としてはあまり感心しませんでした。
 今夜はここまでです。ではまた。

[a]硫黄から硫酸をつくる
(1)50mlビーカーの目盛を利用して、集気びんに水約25mlを入れ、これにBT
B3滴を加える。
注意:中性の緑色にならないときは、水洗いし直す。
(2)燃焼さじに硫黄小さじ半分を採り、バーナーの炎に入れて点火し、それを集気びん
に差し入れ、ガラス円板でできるだけふたをして、燃焼させる。
参考:硫黄は液体になり、黒っぽくなったら、見えなくても点火している。
注意:燃焼さじを水に触れないようにする。
(3)白煙がこもったら燃焼さじを取り出し、水をかけて火を消す。
注意:炎が見えなくても燃えている。発生する二酸化硫黄は呼吸器に影響する。
(4)集気びんはガラス円板でふたをして振り混ぜ、様子を観察する。
(5)さらに反応溶液を、2本の試験管にそれぞれ3、4cmの高さに注ぎ、一方に35
%過酸化水素2滴を加える。
(6)両方の試験管に1%塩化バリウム水溶液3mlを加えて振り混ぜ、様子を観察する。
[b]割りばしから炭酸と水酸化カリウムをつくる
(1)集気びんなどを水洗いして、改めて水約25mlとBTB3滴を入れる。また、
50mlビーカーにも水約25mlとBTB3滴を入れる。
(2)割りばし半ぜんを、その先をバーナーの炎に入れて点火し、その部分を集気びんに
差し入れ、ガラス円板でできるだけふたをして、燃焼させる。
(3)火が消えたら取り出し、ガラス円板でふたをして振り混ぜ、様子を観察する。
(4)割りばしの方はもう一度点火して5cmほどをできるだけ完全に燃焼させ、灰が準
備したビーカーに落ちるようにする。
(5)その後、ビーカーを振り混ぜ、様子を観察する。
[c]チョークから水酸化カルシウムをつくる
(1)100mlビーカー2つにそれぞれ水40mlとフェノールフタレイン5滴を入れ
る。
(2)チョーク(炭酸カルシウムチョーク)を1cm割って、一方のビーカーに浸けて様
子を観察する。
(3)もう1cmを割って銅線の先に固定し、バーナーの炎に入れて、1分間焼成する。
(4)続いて1分間放冷したら、もうひとつのビーカーに浸けてときどき振り混ぜ、様子
を観察する。


98A−087
差出人:鈴木 久
送信日:98年11月2日
件 名:アルケ事務局通信 No17

アルケミストの皆さんこんにちは 事務局の鈴木です。
 きょう、前事務局の野中さんからハガキが転送されてきました。中身は幸地 貞子@さだこ?さんから以前のハガキに書かれたものでした。
 そろそろ発送です。何とか滑り込ませたい方はメールをください。いつ頃、発送するのか。プリントの内容名もお知らせください。内容名が決定されていない場合は予定と書き添えてください。


98A−088
差出人:野中 直彦
送信日:98年11月3日
件 名:大丈夫か?アルミ缶綿菓子

 毎年、生徒実験で行っているアルミ缶でつくる綿菓子実験。ふと、コ−ティングしてあるビニ−ルが溶け出すんではないかと思う。私は、コ−ティングのプラスティクがどのようなものかまだ調べていません。しかし、できた綿菓子をお湯に溶かすと溶けきれないプラスティックが小さく浮かんでいます。綿菓子を食べれば、このプラスティックも食べることになります。アルミ缶で作る綿菓子は簡単ですがやめたほうがいいと思います。また、完全に内側のプラスティックを除去してからやるべきだと思います。内側のプラスティックは何でしょうか。教えてください。


98A−089
差出人:野中 直彦
送信日:98年11月3日
件 名:環境教育?

 環境教育と言っても、わたしは環境ホルモンを煽るだけ? これではいけないと、公害の原点に返っています。
 4大公害
1)  イタイイタイ病
2)  四日市喘息
3)  水俣病
4)  新潟水俣病
 原点ともいうべき、水俣病を授業で展開しようとしています。いろいろと教えてください。今は、「苦海浄土 わが水俣病」(石牟礼道子著)の本とビデオ「水俣」に向かっています。本は、少し方言がわかりにくいもののたんたんとした文章から昭和30年から40年の様子がわかってきます。この本を読んで、ビデオをみるとなまなましいです。猫が狂ってうごく姿や、いろいろ見ると怒りが湧いてきます。


98A−090
差出人:林 正幸
送信日:98年11月3日
件 名:環境問題など

こんばんは、林です。
 四ケ浦さんの「おたずね」のベンゼンの水に対する溶解度は、たしかに化学便覧でも、理科年表でも、理化学辞典にも載っていませんね。どうしたことでしょう。シクロヘキサンが室温で5.55×10^−3g/100gで、シクロヘキセンが2.13×10^−3g/100gですから、ベンゼンはもうすこし溶解度が大きいと思われます。なにせベンゼン環の両側はかなり電子密度が高くて水と相互作用をしそうだからです。
 野中さんの「綿あめづくり」の問題提起、重要ですね。ものの本によると、缶詰の内面のコーティングはエポキシ樹脂です。これは原料にビスフェノールAが使われます。もしジュース類のアルミ缶も同じとするとちょっと怖いですね。ビスフェノールAは環境ホルモンとしての作用が確認されている物質です。たしかにアルミ缶でつくった綿あめは、すこし変な風味がありますね。確認する必要があります。
 それから、水俣病の教材化、がんばってください。私も20数年前には、熊本で「公害と教育」研究会が開かれた折りに、参加者で水俣を訪れ、工場の周辺を調査したり、患者家族と対話したりしたことがあります。そのとき撮ったスライドもあります。そして水俣病をイントロに、10時間ほどの公害教育をしていました。当時は私自身が公害反対運動の渦中にあり、「科学が何のためにあるのか」を授業に取り入れようとしていました。ちなみに、岩波新書の原田著「水俣病」も参考になると思います。著者は熊本大医学部で、「研究会」では講演をしてもらいました。
 3年の或る生徒が「最近、化学が重要と思うようになった」と話してくれました。化学平衡のところはそうでなかったのですが、高分子化合物になってからなのです。やはり生命にかかわることとか、身近なものに関する知識を教えているのがその理由だと考えます。その高分子ですが、合成高分子に入ってきて、合成繊維から始めていますが、その内容は次回のメールに書きます。
 佐藤さんの「化学口頭試問」は、さすが進路主任として情報を集め、対策を立てているな、と感心しました。私としてはこの種の問題を生徒の思考を引き出すきっかけに利用したいと考えるわけで、その意味では
<佐藤さんのメールの部分的引用>
C砂糖と塩はどちらも白い粉である。この粉をどう区別したらよいのか考えられる方法をすべて上げよ。
Iドライアイスを水の中に放り込むと激しく気体が発生し、同時に白煙が立ち込める。この現象が起きる理由について述べよ。あなたの周りに類似の現象があれば、それについても述べなさい。
L水に溶けると塩化ナトリウムは電離する。どうして電離したプラスとマイナスのイオンが結び付かないのか。飽和食塩水に、水にいくらでも溶けるエチルアルコールを加えるとどんな変化が見られるのか。
M銅と塩酸は反応しません。この理由を述べなさい。反応させるには、酸以外にどんな薬品を使うとよいのか。
<以上>
などを選びますね。
 ではまた。


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