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98A−256
差出人:佐藤 琢夫
送信日:99年2月21日
件 名:鳥取先生との思い出
岩手の佐藤です。
鳥取先生との思い出
25年前岩手の理科の教師として一歩を踏み出した同時期、『理科教室』との出会いは、その後の私の化学の教え方を決定づけました。特に、当時、理科教室の誌上に化学では長崎県立松浦高校の鳥取先生,故塚原先生とそして盛口先生の実践が掲載されていました。
私の新任地は、北上山地の山腹にある3クラスの住田高校で、全て化学の指導に関しては日常的にアドバイスをもらえる環境ではなかったのです。偶然知り得た雑誌『理科教室』、大学のころから知っていた『化学と教育』が教材研究を行う拠り所でした。とにかくこれらの雑誌は懸命に読みました。また20代の私は、夏休みは毎年リュックサックを背負って私の研修旅行である科教協全国大会に出かけ、全国の先生方の実践を学びました。この科教協全国大会を通して、先生方のお名前とお顔が一致する様になりました。
鳥取先生は有機化学やコロイドをまとめていました。理論より沢山の現象を惜しみなく生徒に与えた酸化還元とエネルギーを取り扱った『燃えるもの』は印象的でした。錬金術師たちが活躍した化学の創世記を思わすようで、生徒たちが授業で嬉嬉としてさまざまな燃焼の実験に取り組んでいる様子が浮かんでくるものでした。
先生といつの頃から会話を交わしたのかはっきりしませんが、私の記憶では、科教協の京都の大会だったのかと思います。当時科教協全国大会の化学分科会では教材に位置付けとして『原子と元素』のどちらが有効なのかという議論が行われていました。先生は論理的な積み重ねの化学ではなく、混合物でありコロイドである身近な物質を基本に据え生徒たちに化学というメガネで物質をとらえさせようとしていたと思います。その多くは議論ではなく、具体的な実践を通して、その延長線上に『元素』を主張していたと思います。この京都の科教協全国大会のとき、アルケミストの合宿を終え京都駅で先生と別れた時の光景は今でも思い出せます。先生と十分に話せなかった為に今でも記憶に残っているのかと思います。
科教協全国大会熊本大会では先生と奥様には大変お世話になりました。アルケミストの合宿と阿蘇の巡見を終えてから、先生のお宅に一晩泊めていただきました。その上、長崎や雲仙を案内していただきました。泊めていただいた夜、陣内先生をはじめとした長崎の科教協の先生方と話し合う機会を自宅で催されました。教師になって2年目の盛岡での科教協全国大会では前述の『原子と元素』について東京化学サークルが中心となって激しく議論されました。この私が同席した分科会に先生と林先生も参加されていたと思います。当時の私にとって不毛な言い合いでしかないというのが率直な感想でした。このことが契機となり、化学入門期に原子の存在に精力をつぎ込む指導というものに疑問を挟むようになります。この時だったか、また大会中だったか曖昧ですが,先生に意見を求めたことがありました。『この世(地球という自然)に原子はない。あるのはイオンと分子だ。』という教え方をしたいのですが。化学入門期で、原子の存在を示すことはしたくないことを合わせて話したことを覚えています。この時、先生からそれでいいのではというアドバイスをいただき、それ以来、化学入門期において原子の存在を確認する道筋ではなく、『イオン、分子ありき』ということで、物質に切りこんでいく道筋を現在も行っています。
アルケミストで初めて本を出版した時、私は2回ほど千葉の館山に出向いています。その時、それまで鉄皿で硫黄と金属を反応させていたものを先生から鉄皿の変わりにおかず入れのアルミホイルを使うことを教えられました。このアルミホイルのアイデアはテルミット反応で今もいかしています。この時、先生と何を話したのかと思い出します。記憶がないのですが,この当時は周期表に精力をつぎ込んでいた時期ですのでそのことかもしれません。私の一方的な話しをじっと聞いていただき、その後でゆっくりとあの低音の物静かな声で話されたと思います。
10年ちょっと前から進路指導が中心になってきました。本当の化学、具体的なな物質に触れる化学を教える中で、大学へ進学させてやろうということで意気込みました。予備校の無い岩手では、科教協全国大会が行われている時期に、学校で夏季講習を行っています。このようなこともあり科教協全国大会から遠ざかり1年に1度お会いしていた機会が無くなりました。最後に、お会いしたのが、5年前に長崎で行われた全国教研の際、理科教室の読者の会だったと思います。
先生との共通点に、化学教育へのパソコンの活用の試みがあります。私の場合は取り組みが早すぎたのか、あまり評価されない時期だったこともあり、CAIとしての利用に限界を感じ取り組みをやめました。これと相まってこのころから先生は原子,分子の結晶モデルを中心にプログラム作りを始めています。現在、結晶格子の指導をどうしたらよいのかと考えています。パソコンを活用すると、有効な結晶格子の指導が出来るのではと思っています。先生とはこのパソコンの活用については論じることがありませんでした。
昨年から同じ時期に始めたメーリングリストで、先生がメールを発信するのを心待ちしていました。今思えば、メーリングリストいう全体の場でなく、もっと個人的にメールのやり取りをすればよかったと悔やまれてなりません。これからの化学教育のあり方について先生とメールのやり取りをするべきでした。昨年の先生が入退院していたことがよくわからなかったばかりに。
20代の頃は、科教協全国大会で先生とこの話しをしようと決め込んで出かけました。先生が『理科教室』に投稿されたものはよく読んでいましたので、『先生はあのことを何月号に書いていましたね』という言い方をしました。その度に『よく読んで覚えていますね』という言葉が返ってきました。
大変残念です。鳥取先生からは沢山の事を教えていただきました。ありがとうございました。心からご冥福をお祈り申し上げます。(99.2.21)
98A−257
差出人:林 正幸
送信日:99年2月21日
件 名:酸化還元電位について
こんにちは、林です。
このことろ、授業プリントの「酸化と還元、および電子のやり取り」の作成に力が入っています。授業をしたばかりというのは頭がはたらいて有効ですね。ただ、ちょっと長編、19時間分なので手間取っています。それに風邪の方の一進一退なので・・・。
「メーリングリスト」の方は酸化還元電位(標準電極電位)が話題になっています。私も意見を書きたいと思います。
始めに藤田さん、水酸化銅(U)の生成する酸化還元電位(私は生徒に教えるときと同じ酸化還元電位で話すことにします)の次の計算ですが、
<2月17日付けメールの引用>
次に、林さんの質問で、下の銅の電位の出所についてです。
2Cu(0H)2 +4e- →2Cu +4OH- E=−0.44v
O2 +2H2O +4e- →4OH- E=0.40v
これは次に2つの電位から出しました。自由エネルギー変化を電位と関係づけた式、
ΔG=ーnFEより、銅が酸化銅(T)をへて水酸化銅(U)に酸化される時のΔGは各
ΔGの和になることから計算します。
2Cu(0H)2 +2e- →2Cu2O +2OH- +H2O
E=ー0.08Ov ΔG=-2*-0.08*F
Cu2O +H2O +2e- →2Cu +2OH-
E=ー0.358v ΔG=-2*-0.358*F
これからE=-ΔG/(nF)=-0.876/4=-0.219vとなります。これが正しい電位だと思いま
す。私ははじめは電位自体を単純に足していましたが、足せるのは自由エネルギーの
方でした。
<以上>
最後は4ではなく2で割って0.438Vではないですか。
もうひとつ、鉛の両性についての次の部分ですが、
<同じく2月17日付けメールの引用>
まず、山本さんからの質問で、スズと鉛のアルカリ側での電位についてです。これ
は「酸化と還元」(守永健一、裳華房)からのものです。
HSnO2^- +H2O +2e- →Sn +3OH- E=ー0.91v
HPbO2^- +H2O +2e- →Pb +3OH- E=ー0.54v
2H20 +2e- →2OH- +H2 E=ー0.82v
これからだとスズはアルカリに溶けて、鉛は溶けないことになります。でも、これ
はあくまでも標準状態の電位ですから、濃いアルカリ中では鉛と水素の電位が逆転し
て溶け出すのでしょう。
<以上>
濃いアルカリ中では2つめ、3つめの酸化還元電位が並行して上昇すると思います。
それから山本さん、いわゆる「アルカリイオン水」についての次の部分ですが、
<2月14日付けのメールの引用>
四ヶ浦さんから質問のあったORPの低い水についてですが、これは水を電気
分解したとき、陰極付近に生成された水のようですから、水は次のような変化を
受けていると思います(乳酸カルシウムを加えても、カルシウムイオンが変化を
受けることはないでしょう)。
2H2O +2e- = H2 +2OH-
この反応の標準電極電位は E=−0.83V ですが、これは反応物、生
成物とも活量が1の時の電位で、これはOH-イオンの濃度によって変化するは
ずです。
(中略)
つまり、電気分解して、OH-イオンが増えた方が、酸化されやすい(相手を
還元する力が強い)といえます。これは、こういう計算をしてみなくても、
2H2O +2e- = H2 +2OH-
の反応で、OH-が増えれば、平衡が左に移動することからも、言えると思い
ます。
<以上>
水素がほとんど抜けているので、上の酸化還元電位で考えるのは無理だと思います。
そして四ケ浦さんの「ORPの低い水」についてです。精製水(アルカリイオン水のことですよね)が乳酸を加えてORPはかなり上昇し、金属カルシウムを加えて乳酸カルシウムにするとORPは低下すると言うのは、次の酸化還元電位が関係すると思います。
4OH- ―→ 2H2O + 02 + 4e-
つまり酸を加えれば水酸化物イオンの濃度が小さくなって電位が下がり、アルカリ性にすれば逆に電位が上がると考えられます。
一番分らないのが、酸化還元電位が低いというのは、電子を与えにくいということですよね。言いかえると還元剤としての能力が低いわけで、どうして活性酸素を打ち消すのでしょうか。
ではまた。
98A−258
差出人:山本 喜一
送信日:99年2月22日
件 名:アルカリイオン水の電位
皆さん、こんにちは。
林さんから質問のあったアルカリイオン水の電位についてですが、私の計算でよいのではないでしょうか?きのう、pH7の溶液の電位を
2H2O +2e- = H2 +2OH-
の式から計算し、−0.42V という値を出しました。この時も、H2の活量は1(分圧が1気圧)としています。
同じ溶液について
2H+ + 2e- = H2 E0 = 0.0V
から求めてみます。このとき、標準電極にも、pH=7 の溶液にもH2をバブリングして、飽和させているものとします。すると、ネルンストの式から、
E = 0.0 + (RT/2F)ln((10^-7)^2/1^2)
= 0.0 + (0.059/2)log(10^-7)^2
= −0.419V
となって、昨日と同じ値がでてきます。つまり、酸またはアルカリ水溶液の電位を求めるときは、H2の分圧を1気圧として良いのではないかと思うのです。
H2の量はわずかでも、分圧としては1気圧になるのではないでしょうか?ちなみに、昨日書きました「電子移動の化学」でも、水を電気分解するとき、
O2 + 4H+ + 4e- = 2H2O E0 = +1.23V
の式から、H+の濃度と酸化還元電位の関係を、ネルンストの式から求めるとき、O2の分圧を1気圧として計算しています。
それから、この「アルカリイオン水」が活性酸素をうち消すかどうかと言うことですが、この水を飲んでも、胃酸がすぐ中和してしまい、あまり意味がないのではないかと思うのですが・・・?
98A−259
98A−260
差出人:鈴木 久
送信日:99年2月23日
件 名:アルケ事務局通信No51
アルケミストの会のみなさん こんにちは 事務局の鈴木 久です。
鳥取さんへの文章を集める過程で、初期アルケの会員の新潟の富樫さんにもハガキを送り電話でお願いしました。そのとき、盛口さん宅にもないアルケの原資料が残っていないかたずねてみました。
とにかく、盛口宅では散逸。林 淳一宅では最近お体を悪くして散逸。石井信也さんは退職時にすべてプリント類は焼却。というわけで、冨樫さんにおたずねしたわけです。
今日、ハガキが届いたことと、共に資料が1から30までミカン箱2つ分あるとの電話をいただきました。ただし、17だけが不明だとのことです。冨樫さんから、私に送りましょうか?とのこと。もし、アルケのためにうまく活用できそうな方がみえましたらお願いして送ってもらうつもりです。あるいは、私が事務局をしているとき預かって、資料作成をしても構いません。来年の夏またどなたかにバトンタッチということで。どなたか立候補しませんか?きちんと、保管しすぐ取り出せるようになっているだけでも貴重だと思います。
なお、冨樫さんには鳥取さんのアルケの初めてのレポートのコピーもつけていただくことをお願いしました。最初と最後のレポートだけはつけて冊子を完成させたいと思います。
98A−261
差出人:野中 直彦
送信日:99年2月24日
件 名:分煙について
1年前まで、たばこをぷかぷか吸っていたのですが、今はやめました。現在、職員室での喫煙が苦しくてしかたがありません。寒いので、暖房が効いている部屋でぷかぷかやられて、窓をあけるたびに、寒いといってしかられる。ここは、唯一の喫煙所だとばかりに、あちこちの小部屋からやってきて、たばこをすって空気をよごしていく姿にたえられません。みなさんの学校では、分煙はどうなっているのでしょうか。環境ホルモンどころではないようなきがしてなりません。
98A−262
差出人:山本 喜一
送信日:99年2月24日
件 名:鳥取先生の言葉
私が鳥取先生と初めてお会いしたのは、確か7,8年前の科教協大会、その司会者会議のときだったと思います。それまで私は、先生のことをコンピュータに興味のある中年の方だと思っていました。先生がお書きになったプログラムなどが、時々アルケの資料に入っていましたので、そういうイメージを、かってに私の中に作り上げていたわけです。でも、司会者会議でお見かけした先生は、想像よりずっと高齢の方でした。先生の姿を見て私は、何歳になっても新しいものに挑戦され、それを自分のものにしてしまう情熱を感じました。
それから、アルケの合宿などで、先生がボソッと言う言葉に、重みを感じたこともしばしばありました。水溶性・脂溶性の話になった時の「人間は油性ですよね」という言葉、今年の合宿では、環境問題のところで「恐竜は1億5千万年生きたとね。人類はたかだか50万年。まだ絶滅するはずはなかね。」といった先生の言葉が、今でも耳に残っています。
98A−263
差出人:鬼塚 公志
送信日:99年2月24日
件 名:長崎県の分煙
こんにちは、鬼塚です。
長崎県内の高校では、ほとんど喫煙室があります。職員室横の印刷室だったところとか購買部だったところです。あるいは、職員室内に喫煙コーナーを設けて壁で囲まれています。ある学校では職員室横のベランダが喫煙所で、冬でも外に出て喫煙しているようです。
確かに、ダイオキシン対策も大切ですが、案外身近なところにそれ以上の対策があるのかもしれません。
98A−264
差出人:山本 喜一
送信日:99年2月25日
件 名:柏高の分煙
こんにちは、山本です。
確かにタバコの煙はイヤな臭いですし、健康にも悪いですよね。鬼塚さんご指摘にように、その害はダイオキシン以上でしょう。
うちの学校では、職員会議や各種会議では禁煙、普段の職員室でもおおっぴらには吸えません。そういう人たちは少数派だということもあって、換気扇の近くで吸うとか、窓を開けて吸って外に向かって煙を吐くなどの気を使わなければならない雰囲気です。長崎ではちゃんとした喫煙室があるそうで、ずいぶん進んでいますね。
野中さんの学校では、準備室や研究室は禁煙になっていて、大きな職員室が喫煙室になっているようですね。これでは、タバコをやらない人はたまらないでしょう。どこか小さな部屋を喫煙室にできるといいですね。
98A−265
差出人:杉山 剛英
送信日:99年2月26日
件 名:北海道はほとんど禁煙です
北海道の高校の職員室は禁煙です。もう10年以上前からだと思います。生徒が来る場所で煙草を吸うというのは教師の意識の低さの現れだと思います。私が教員になった17年前には、煙草すいながら生徒指導をしている先生もいましたが今は絶無です。喫煙室は各学校にあります。また、最近は女性教員専用の休憩室なども出来始めた様です。ただし、一般人の喫煙率は全国一で、その中でも若いママさんの喫煙率が異常な高さを示しています。
98A−266
差出人:鈴木 久
送信日:99年2月27日
件 名:アルケ事務局通信No52
アルケのみなさん こんにちは 事務局の鈴木です。
昨日、理科教室3月号が届きました。サークル通信よりのページに「アルケの通信」の紹介がのりました。私の知る限り、今回でアルケミストが取り上げられたのは2回目かと。まだの方、一度ご覧ください。
98A−267
差出人:鈴木 久
送信日:99年2月27日
件 名:アルケ事務局通信No53
アルケミストの皆さん こんばんは 事務局の鈴木です。
きょう、幸地さんと岡田さんから手紙が届きました。鳥取さんへの追悼文です。みなさんよろしくお願いします。
98A−268
差出人:山本 喜一
送信日:99年2月28日
件 名:社会の中の化学
「化学と教育」1月号を読んでみました。特集は”社会の中の化学”です。このテーマで6本が掲載されていますが、環境や資源・エネルギーに言及しているものが目に付きます。特に次の3つは、私が日頃考えているようなことが述べられています。それぞれの中から、心に残った部分を『』内に引用します。
・「学問としての化学」と「産業としての化学」 大河原信(東工大名誉教授)
『化学業界の合い言葉−情報、バイオ、新素材というっても化学者個人が自分
の意志で選択、参画できるわけではない。むしろ資源、エネルギー、環境といっ
た大問題に対する責任を担うという苦しいが誇り高い使命感が生き甲斐ではある
まいか。』
(資源、エネルギー、環境問題と人間の生活の両立をいかに調和させるかということが、これからの化学の役目であり、夢であるというように理解しました。)
『どこかの経済大国の要請を受けて、個人消費の喚起のみが経済立て直りの道
だという落語みたいな論理を押しつけられている。成長率0%でもいいではない
か。・・・・ニューヨークに日帰りというスピードが必要であろうか。世界での
つばぜり合いはスポーツくらいでいいのではないか。』
(物質的な豊かさを求めた生活のあり方、国際競争に勝つことが至上命令だった企業の姿勢、そういうものへの反省でしょうか。)
・市民のための化学教育を 梶山正三(工学博士・弁護士)
(引用したい部分が長いので、要点をまとめます。)
まず、梶山さんは、人間生活との関連で化学現象を3つに分類しています。
A.純粋系の化学
純物質による化学。多くの化学製造業、化学プラントでの化学。
B.混合系の化学
多くの化学物質が混合され、形状も分子レベルで分散したものから、コロイドなどさまざま。製造物の流通、消費、廃棄物処理、埋め立てなどの過程で生じる化学現象。
C.生命系の化学
生化学に近いが、食物連鎖と通じての生物濃縮、毒物の代謝、相乗効果などを含む。
こうした上で、今の化学教育に欠けているものとして次の点をあげています。
1.化学の専門家にならない生徒にとっては、必要のない項目が多すぎる。熱量計算、反応速度論とその計算、重金属の分析、浸透圧の計算など。
2.Aにあげた「純粋系の化学」にかたよりすぎている。これでは、環境科学や廃棄物処理、リサイクルの現場では役に立たない。コロイド系や混合系での物質の移動・形態変化などが分からないとだめだ。
3.化学物質、化学製品の危険性に触れる内容が皆無である。この部分は市民にとっては、不可欠な学習内容のはずだが。
(特に、「純粋系の化学」と言い切って、それは、廃棄物処理やリサイクルといった混合物を相手にした分野では、役に立たない化学だと指摘しているところが面白いと思いました。 この辺は、佐藤さんが「自然は縫い目のない織物だから、単純な要素に還元して、その要素の関係を分析してみても理解できない」といっていることと関係ありそうですね。私は、いつかのメールで書きましたが、自然を縫い目のない織物ととらえることには賛成できないのですが、梶山さんの指摘、純物質の化学が混合物の化学としては通用しない、ということについては、そのとおりだと思います。純物質の化学とは階層が違うところで起こる化学現象でしょうから。)
・環境エネルギー問題と化学 鳥井弘之(日本経済新聞社)
『かつて水素エネルギーが注目を浴びた時代があり、水の熱分解の研究がブー
ムになった。・・・水を電気分解しても、高温で熱分解させても・・・必要なエ
ネルギーは同じことになり・・・メリットはない。・・・しかし、いかにも熱分
解に本質的な利点があるような議論が横行し、国も大きな開発プロジェクトを組
んだ。』
(この話と、CO2をメタンに変え温暖化を防ごうという話が、基本的な化学法則・ヘスの法則・が現場で無視された例として述べられています。逆に言えば、ヘスの法則を教えたら、こういう間違いを見抜ける力を生徒に与えなければ意味がないということでしょうか。)
次に量の概念について、例えば太陽電池を屋根につけることについて。
『日本の一次エネルギーに占める家庭が直接使うエネルギーは10%強にすぎな
い。例え、家庭の電気を太陽電池でまなかなえても、すべてを自然エネルギーで
すますことにはほど遠い。』
(太陽電池などがブームを巻き起こすと、それですべてうまく行くような気になるものです。物事を定量的にとらえる必要がありますね。)
以上、長くなりましたが、「化学と教育」の中では異色?に見える1月号でしたので、メールにしました。
ただ、こういう雑誌にも化学の「影」に触れる文章が載ったり、最近の新聞の論調、新教育課程に環境が現れていることなどを総合的に考えますと、「環境問題を教育し、そういう素養のある科学者、技術者を作らないと、企業がつぶれる」という思いが、日本のトップにあるような気がします。とすると、私がやっている授業などは、政府や財界の意図を先取りしたもののようにも思えてきますね。ちょっと読みすぎでしょうか?
98A−269
差出人:鈴木 久
送信日:99年2月28日
件 名:アルケ事務局通信No54
アルケミストのみなさん こんばんは 事務局の鈴木です。
四ケ浦さんから,メールがきちんと届いているかの問い合わせが届きました。ついつい、報告が遅れてしまい申しわけありませんでした。
2月18日 林 正幸さん 鳥取先生を悼んで
2月21日 野中さん 鳥取さんの死を聞いて
2月21日 佐藤さん 鳥取先生との思い出
2月23日 鬼塚さん 鳥取さん安らかに
2月23日 四ケ浦さん 鳥取先生の思い出
2月24日 山本さん 鳥取先生の言葉
2月27日 林 正幸さん 鳥取先生の追悼文
以上、メールで受け取りました。最後の林さんの文字化け以外はすべてきちんと受け取っています。四ケ浦さん、ご安心下さい。個人メールでなくすいません。
今成績処理でアタフタしておりましていろいろ滞っていてすいません。
98A−270
差出人:山本 喜一
送信日:99年3月1日
件 名:「環境憲章99」
2月27日の日本経済新聞には、日本化学会が「環境憲章」と、今後5年間の行動計画を決めたということが報道されていました。
環境憲章では、「化学物質の環境・安全問題への取り組みを・・・全活動の基礎におく」など、環境問題に最優先で取り組む姿勢を打ち出しているそうです。
それから執行部直轄で「環境と化学推進委員会」をおき、行政・産業界・学界から広く意見を聞く「環境問題懇談会」も新設したようです。
ポーズだけでなく、憲章を文字通りに重視し、各種委員会・懇談会などで実質的な成果が上がる活動をして欲しいものだと思います。それにしても(昨日も書きましたが)、こういう新聞報道を読みますと、環境問題や化学物質の害のことを考えないと、企業が生き残れなくなってきているという感じがするのですが、皆さんいかがでしょうか?
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