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98A−181
差出人:鈴木 久
送信日:99年1月13日
件 名:アルケ事務局通信 No38

アルケミストのみなさん こんにちは 事務局の鈴木です。
 12日学校へ杉山剛英さんからのアルケ資料が届きました。内容はえんぴつ蓄電池。付録として?天体写真3枚つきです。みごとにヘールホッブ彗星がとらえられています。お楽しみに
 やはりみなさんすごい きょうも学校に誰かから届くかな? ワクワク(^。^)


98A−182
差出人:林 正幸
送信日:99年1月13日
件 名:黒い炎、分らなくなりました。

こんばんは、林です。
 このところ卒業生の新築祝いや義理の父の3回忌などで、ちょっと忙しくしています。
 さて、黒い炎についての藤田さんのコメントは参考になりました。要するに、ティッシュペーパーの炎はナトリウムランプの光を受けても全然輝きを増さないということでしょうか。それとも、もともとの炎色反応の光も減衰するのでしょうか。黒い炎と言うからには、後者のような気がしてきました。でもそれはどのようなしくみによるのでしょうか。
 話は変わって、1年生では「酸化と還元」の延長線で「鉄の製錬」という授業をして、その中でこんな問題を提示してみました。

世界の鉄鋼の生産量は年に7.5億トンである(95年)。それでは製鉄によって年に発生する二酸化炭素は何億トン以上と言えるか。
    (原子量 C=12 O=16 Fe=56)
参考:人間が1年に発生させる二酸化炭素の全量は235億トンである(94年)。
   大気中の二酸化炭素は現在(86年)27000億トンであり、
   その濃度は345ppmである。

 答は次の反応式から8.8億トン以上と計算されます。
    Fe2O3 + 3CO ―→ 2Fe + 3CO2
                2mol 3mol
                112g 132g
        7.5×132/112 = 8.8
そして生産活動と地球環境についてすこし話をしました。(以前メールに、「自然の連関性」を踏まえたこんな授業が考えられると書いたことがありました。)
 するとさっそく生徒から次のようなメッセージが届きまいた。
「世界の鉄鋼の生産量が7.5億トンときいてとてもすごい量だとびっくりしました。計算によって環境の状態が分るのにも驚きました。製鉄用の溶鉱炉を見学に行ってみたいです。」
 野中さんの「水俣病」の授業感想は、驚くほど生徒が真摯に前向きに受け止めていますね。これは「教育が何かを成し得る」ことを示していて、勇気づけられます。
 ではまた。


98A−183
差出人:鈴木 久
送信日:99年1月14日
件 名:アルケ事務局通信 No39

アルケミストのみなさん こんにちは 事務局の鈴木です。
 きょうは、資料が届かない代わりに山本さんからメールを受け取りました。理科教室の原稿だとのこと。楽しみにしております。


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差出人:野中 直彦
送信日:99年1月14日
件 名:アルケ通信の発送

アルケ通信の発送
 今日発送しました。1月14日です。1月17日は着くと思いますのでよろしくお願いします。
 今回は@環境教育 Aアルミ缶綿菓子 Bレイチェル・カ−ソン C人工甘味料
です。


98A−185
差出人:山本 喜一
送信日:99年1月14日
件 名:Re:黒い炎、分からなくなりました

こんばんは、山本です。
 林さんから藤田さんあてに質問がありましたが、「黒い炎分かりました」と書いた手前、私の考えも送りたいと思います。
 ティッシュペーパーの炎は、温度の高い周辺部からD線を出していますが、炎の内部は低温なので、輝いてはいません。でも、この部分にも気体状のナトリウム原子はあるはずです。ここへ、ナトリウムランプの光を当てた場合どうなるか。炎の内部にあるナトリウム原子と、炎の周辺部にあってD線を出しているナトリウム原子に分けて、私の考えを説明したいと思います。
 まず、炎の内部にあるナトリウム原子ですが、これはD線がやってくれば、それを吸収するでしょう。吸収した後は、非放射遷移によって、そのエネルギーを熱運動に替えてしまうはずです。つまり、ここを通ったD線は吸収され、黒い炎を作ると思われます。
 次に、周辺部の温度の高いナトリウム原子ですが、これはD線を出したかと思うと、すぐナトリウムランプからのD線を吸収するので、平衡状態になっているのではないでしょうか。もちろん、炎が作る対流によって、すぐに炎の外へ流されてしまいますので、平衡状態といっても、一瞬のことですが。


98A−186
差出人:佐藤 琢夫
送信日:99年1月15日
件 名:科学技術について

岩手の佐藤です。
 明日(16日)からのセンター試験のため、生徒164名の引率で、バス4台連ねてこれから盛岡に向かいます。
 昨年も引率したのですが,数学が難しく、ホテルに帰ってきた生徒からは、『先生、今日の数学で全て終わりました』というように大変がっかりして帰ってきました。得点集計の中で社会の得点調整がありました。必ず何かがあるセンター試験ですが、これまで受けた模擬試験のように順当な結果が出ればと願っています。
 この冬休みの生徒会誌からの宿題、『卒業生に贈る言葉』に西洋と東洋の違いについて書きました。盛口先生は近代科学の誕生・発展そして死(パート1)に『自然を切り開くことの怖さと切り開かないことの怖さをあわせもたなくててはいけないんじゃないか』と述べています。このことは西洋と東洋に置きかえることが出来ます。盛口先生は西洋で誕生した科学は破綻したと言っています。現在科学技術の負の遺産をどう評価するかによって立場が変わってくると思います。生徒たちの考えには東洋と西洋という区別はあまり無いと思います。科学技術を通して東洋と西洋の違いを書いて見ました。

科学技術について

 『もののけ姫』という映画を子供と一緒に見る機会があった。宮崎駿の作品で大変気に入っているアニメに、「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」があるが、さらに『もののけ姫』が加わったことになる。これらのアニメ作品は『人や科学技術と自然の共存』のあり方を真正面から取りあげている。
 この20世紀は科学技術の発明と発見が爆発的に累積され続けた時代である。この発明と発見で、『自然の扉』が一つずつ開き、その恩恵で『豊かな生活』を私たちは、享受してきた。この累積と裏腹に、最近の深刻な環境問題を考えると、科学技術というものに対して諸手を挙げて賛同しかねる事態にある。『自然の扉』を開くことが一種の『パンドラの箱』になっている。このことが、現代の科学技術の深刻さを物語っていると思う。落下する人間の重量を無くす『飛行石』を取り扱った『天空の城ラピュタ』。このとんでもないエネルギーを持つ『飛行石』を通して、科学技術と社会そして人間の欲望がテーマとなっていた。
 私は最近まで、例えば超高層ビルを建築する時の起工式において、工事の安全を祈願する神主さんの御払いに対して、批判的に時代錯誤としか見ていなかった。この儀式は、近世と現代が同居している奇妙な文化で、西欧人の見方からすると日本人のもつ異質な文化の一つとして挙げている。この御払いという一見奇妙なに思える儀式であるけれど、実に自然を敬う東洋的なものの考え方であることに気がついた。
 東洋と西洋の文化について、最近考えることがある。西洋の代表的な宗教はキリスト教で、一神教と言われている。東洋の文化の中では、多種多様な神を奉っている。神獣シシ神、森を守る神の「おっことぬし」そしてタタリ神など『もののけ姫』にやおよろず八百万の神が登場してくる。
 現在の科学技術が、なぜ西洋に誕生したのか。宗教を抜きにそのルーツは考えられないようだ。『天地創造』という聖書の話を聞いたことがあると思う。一つの神によって万物が創られたというものの考え方が、この宇宙が一つの法則によってできていると言う考えに発展してきた。一神教であるキリスト教も科学技術も、自然がどうできているのかという問いに、神や法則で自然が括られるという立場に立っている。キリスト教も科学技術も同じ西洋に誕生している。科学技術を産む土壌として、キリスト教の存在が大きく指摘されるわけである。
 東洋の八百万の神だと、森羅万象を作るにあたって、それぞれの神がそれぞれの持ち場で協議しなければならない。現在のような気象の予測ができなかった時代では、豊作を目の前に台風などの予期せぬ災害に見舞われ、為すすべもなかった。自然に対する思いは理不尽なものでしかなかった。東洋では神がどう自然を作ったかということは問題にせず、自然の事象に対して畏怖の念を八百万の神を通して、たたりが無いように崇めてきたと思う。東洋に森羅万象を一つの神で括るという考えが無かったので、科学技術の誕生はありえなかったと言われている。
 一つの神そしてその神が創った一つの法則によって自然が出来ていると唱える西洋。それに反し、東洋の考え方は、豊かなモンスーンの土壌と混沌とした自然がベースになっている。自然が一つの法則からできているという発想は東洋からは出てこないようだ。八百万の神の域を脱することは出来無かった東洋。この両者の違いを浮き彫りにする大変興味深い一文を紹介する。
 『今から4、500年前、イエズス会の神父が中国へ行ったとき、中国人に自然界を支配する法則を説いたという。すると、中国人はカラカラと笑って次のように彼に言った。「自然界に法則があるためには、まず、法則を作るだけの力が自然になくてはならない。次に、法則の支配を許すためには、まず、すべてのものにその法則を理解しそれに従うだけの知性がなければならない。あなたは、自然界に存在するあらゆるものにそういった知性があると主張するのか」と。』(本間一郎著『素粒子』NHK出版)
 『もののけ姫』の展開は、実に東洋的である。映画を見る前は、パンフ等に『たたら』製鉄のことが紹介されていたので、この技術による自然破壊がテーマとなるのものと思っていた。しかし、ここでも『人や科学技術と自然の共存』がテーマであった。神獣シシ神という森羅万象の神のシンボルに対し、人間の驕り侮る態度に断罪が下されることでシナリオは収束する。
 東洋の考えは、非科学的であるので自然を征服しようとする論理は持ち合わせない。西洋の考えは、科学的であるがゆえに、自然を征服し続けている。西洋で誕生した近代科学の論理は、科学技術として驚異的に発展を遂げたが、現在は負の側面が大変問題視されている。自然科学の分野に進学する諸君は、これからはこのことから避けて通れない宿命にある。その最も根幹にあるのは、これ以上この地球に、エネルギーの浪費による負荷をかけることができないということである。
 何を学ぶために進学するのか、常に明確に持とう。ここが出発点である。繰り返しになるけれど、諸君は科学技術の問題を含めた厳しい社会情勢の中で対峙しなければならない環境にある。こういう状況だからこそ『このようになりたいという自分』を常に心に描こう。そのようなあるべき姿に向かって努力し続けるならば、必ずや諸君は飛躍するチャンスに出会えるだろう。
           3年E組副担任 佐藤琢夫


98A−187
差出人:鈴木 久
送信日:99年1月15日
件 名:アルケ事務局通信 No40

アルケミストのみなさん 事務局の鈴木 です。
 きょうやっと愛知科教協の講演会から帰ってきたところです。1つ仕事が終わってホッとしています。それから、林 正幸さんから直接会場で資料4種を受け取りました。
 先程、伊藤 昇さんに電話をしたらアルケ資料を送りますとのこと。今日、テストの採点が終わったらそろそろアルケ2を作り始めます。
追伸 なかなか四ケ浦さんからの会費入金を通帳で確かめられません。遅くなってしまってすいません。


98A−188
差出人:山本 喜一
送信日:99年1月15日
件 名:化学反応とエネルギーの授業

こんばんは、山本です。
 林さんの授業、鉄を作るときの二酸化炭素排出量の計算は面白いですね。酸化鉄との反応する分であれだけの量ですから、加熱分、損出分を計算に入れると、2倍、3倍になるのかも知れませんね。
 私のTBの授業は「化学反応とエネルギー」から始めました。今年は、使用するエネルギーと温暖化の関係の話をしようと思って、次のように展開しました。
1時間目
・化学カイロ作り
 新年最初の授業ということもあって、まずカイロを作る実験をしました。鉄粉とパーライトを紙の封筒に入れ、さらにろ紙に食塩水をしみこませて入れます。反応がいっぺんに終わらないように、それをチャック付きのポリ袋(何カ所か穴を開ける)に入れて出来上がりです。
 作り終わったところで、カイロは脱酸素剤としても使えることを説明し、「伊東家の食卓」というテレビでやっていた、もちの保存法の話をしました。タッパーのようなプラスチック容器にもちを入れ、そのふたにカイロを貼り付けて、きちんと密閉しておけば、中の酸素がなくなって、かびが生えないという話です。私の家でも、年末についたもちをこうして保存していますが、いまだにカビは見えません。私は、念のためにもちを入れる前に、プラスチック容器を消毒用アルコールで拭きましたが。
 そして次は、ある日本人が化学カイロをドイツ人にあげた話をしました。これは誰から聞いたのか忘れましたが、そのドイツ人は「これはどうやって捨てるのか」と質問したそうです。その日本人が答えられなくて困っている様子を見て、彼は「捨て方が分からないものは要らない」と言ったそうです。「じゃあ、実験で作ったこれはどう捨てる?」と生徒に聞いて、「中身はグランドにでもまいて、紙とポリ袋は分別して捨てなさい」と指示しました。化学カイロも、使い捨て文化の落とし子ですね。
・エネルギーのあるもの、ないもの
 次に、エネルギーをたくさん持っているものと、少ないものの違いを見せました。エネルギーとは、動いていないものを動かすことができる能力だといって、
1.動いているボールはエネルギーを持っているか?
 答 止まっているボールにぶつかるとそれを動かせるので、エネルギーを持っている。
2.高いところにあるボールはエネルギーを持っているか?
 答 下にあるボールに衝突すると、それを動かせるので、エネルギーを持っている。
という、応答をしました。
そして、
3.アルコールはエネルギーを持っているか?
と質問して、アルコール鉄砲の実験をやって、フィルムケースのふたを飛ばし、エネルギーがあることを示しました。
 こうして、物質には化学エネルギーというものがあることを説明しました。

 2時間目以降については、また書きます。では。


98A−189
差出人:山本 喜一
送信日:99年1月16日
件 名:化学反応とエネルギーの授業(2)

こんばんは、山本です。
 前回に引き続き、授業内容を送ります。コメントして下さい。
2時間目 高エネルギー物質と低エネルギー物質
 まず、化学カイロの実験と、アルコール鉄砲の実験について、化学エネルギーをたくさん持っているものが、あまり持っていないものに変化するときに、エネルギーを出すことを確認しました。次に、化学エネルギーをたくさん持っているものは、鉄やアルコール以外にどんなものがあるのかと質問しました。抽象的すぎる質問で、どう考えたらよいか分からないようなので、「反応してエネルギーを出す物質を言えばいい。今、この教室の中でも、エネルギーを出しているものがあるだろう。」というヒントを与えました。何人かを指名すると、ある生徒から「ガス」という答えが返ってきました。実験室には、ガスストーブがついていたのです。「うん、これは燃えてエネルギーを出しているな。では、他に?」と質問を続け、結局 ”燃えるものは高エネルギー物質だ” とまとめました。
 次は、何が燃えるものなのか、それを調べる生徒実験です。バターやマヨネーズ、石鹸、大理石、スチールウール、味の素、塩、砂糖、発泡スチロールなどを、ピンセットでつまんだり、アルミホイルをまいたスプーンに乗せたりして加熱し、燃えたり焦げたりするかどうかを実験しました。予想の段階で、大理石は燃えると思っていた生徒が何人かいて、驚きました。また、この実験レポートには ”燃えないと思っていたものが燃えて驚いた” という感想もたくさんありました。生活上、ものを燃やす経験は、最近本当に減ってきましたね。
 このレポートのまとめは、燃えるものはどこに分類されるものか?という質問です。身の回りにあるもので燃えるものは ”有機物と金属である” をその答にしました。3時間目の内容は、また書きます。
 では。


98A−190
差出人:鈴木 久
送信日:99年1月16日
件 名:アルケ事務局通信 No41

アルケミストのみなさん こんにちは 事務局の鈴木です。
 学校に着くと野曽原さんから午前指定の宅配便が、家には山本さんと野中さんから資料が届いていました。そして、盛口さんからの資料が不在カードがありこちらも無事届きました。(^。^) 一気に4人分。さすがアルケミストのみなさん ありがとうございました。


98A−191
差出人:藤田 勲
送信日:99年1月16日
件 名:山本さんの化学反応とエネルギーの授業についての感想

 相変わらずエネルギッシュですね、山本さんのメールは。特に、このような授業の流れの、ひとこまごとの展開の分かるメールは大変刺激になります。
 化学カイロに関するドイツ人の話は,お国柄がでていておもしろいですね。使い終わったらどうするのかという視点でみると、どうにもならない、捨てるしかないようなものが身に回りに多すぎます。家庭で個人がリサイクルやらリユースできるような配慮がされてある製品は、なかなか見あたりません。これでは一つのものを長く使ったりして、ものを大切にしていく、という文化が育っていくことは難しいですね。
 ここの単元で、現在の大量消費文化にどう切り込んでいくのか、その3も楽しみにしています。以上、感想だけですが・・・・・・。


98A−192
差出人:山本 喜一
送信日:99年1月17日
件 名:化学反応とエネルギーの授業(3)

こんばんは、山本です。
 藤田さん、コメントありがとうございます。「大変刺激になります」という言葉が返ってきますと、うれしくなります。で、今日は3時間目の授業を書きます、ここで、二酸化炭素と温暖化の話をしました。

 高エネルギー物質である有機物と金属は、誰がどうやって作っているのかをまず質問しました。有機物については、植物が太陽の光で使って作っているという答がすぐ出ましたが、金属は分からない様子でした。中学校で学習してないためでしょう。それについては私の方から、人間が酸化物にエネルギーを加えて生産していること、それは、次の「酸化還元」で学習することを説明しました。
 次に、普段、生活でどんなエネルギーを使い、それはどうやって作られているのかを聞きました。何人かの生徒とやりとりして、次のようにまとめました。
・電気エネルギー・・・火力発電・・有機物(石油、石炭)のエネルギー
        ・・・水力発電・・水の位置エネルギー
        ・・・原子力発電・・放射性原子のエネルギー
        ・・・その他の発電(地熱、風力、波力など)
・石油やガスのエネルギー
そして次の2点を説明しました。
1.生活で使っているエネルギーは電気と石油(ガスを含む)で、原子力と地熱以外は、元をただせば太陽エネルギーである。
2.原子力発電や水力、地熱にしても、発電所を作るのは石油で動くトラックやクレーンである。また、ウランを掘り出すエネルギーも石油である。そう考えると、今のエネルギーはほとんどが石油に頼っている。
 3つ目の質問は、エネルギーを使うことによる、環境への悪影響は何かを答えることです。生徒からはじめに出てきた答えは、「空気が汚れること」でした。私は「それは、二酸化窒素の問題として前に説明したから、違う悪影響について、今日は説明したい。空気が汚れる以外に、どんな影響があるだろう」とさらに質問しました。ここで、生徒から「温暖化」という答が出ました。
 そして、二酸化炭素濃度の上昇と温暖化の話に入りました。5つの資料をプリントして、それをもとに説明しました。
(1)マウナロアと南極における二酸化炭素濃度の変化
 毎年、二酸化炭素が上昇していることを示す有名なグラフ。鈴木さんが生徒と一緒に、教科書会社の間違いを見つけたという話もありましたね。
(2)2100年までの二酸化炭素濃度の予測と、気温上昇の予測
 京都会議のころ、新聞に出ていたグラフです。何も対策を取らないと、100年で平均気温が4度近く上がることを示しています。
(3)各国の二酸化炭素排出量、各国の一人あたりの二酸化炭素排出量
 これも新聞に出ていたものですが、横軸は人口を、縦軸は一人あたりの排出量にして、主な国の二酸化炭素排出量を棒グラフで示したものです。棒の高さがその国一人あたりの二酸化炭素排出量を示し、棒の面積がその国全体の排出量を示しているわけです。
 一人あたりの排出量が多いのは、アメリカ、カナダ、オーストラリア。日本、ヨーロッパ、ロシアはその半分くらい。アフリカ、インド、中国、アジアの各国は少ししか出していないことが一目で分かります。そして、これからの100年間で、こういう国では人口も増え、一人あたりの二酸化炭素排出量も増えると考えられることを、次のように説明しました。
 「今、日本ではクーラーや冷蔵庫を使って暮らしている。でも、発展途上国の人たちはそういう生活をしていない。だから、二酸化炭素排出量が少ないのだ。しかし、これから先、そういう国の人たちにクーラーや冷蔵庫を使うなとは誰も言えないだろう。」
(4)二酸化炭素の削減目標について
 これは「理科教室」に出ていた特集をコピーして配りました。100年間に気温が2度も3度も上昇すると、生態系や気候が激変し、食糧問題や熱帯病の蔓延などが考えられ、高齢者の熱中症などによる死亡率も上昇するだろうと書いてあります。「21世紀半ばから後半の高齢者というのは、みんなのことだ」というと、生徒はお互いに顔を見合わせていました。
 そして、二酸化炭素濃度を安定させるためには、先進国では70〜80%の削減が必要であることが述べられています。いますぐそれができなくても、21世紀には成し遂げなければならないことだと書いてあります。
 「では、去年、京都会議で決まった削減率はいくつだ?」と聞くと、5%とか10%とかぶつぶつ言う声が聞こえました。「日本は6%だよね。それを2012年までに成し遂げることが決まったわけだ。70%などという数字と比べると、焼け石に水に見えるけど、はじめの一歩というところかな。ところで、最近、本当に二酸化炭素は減っているんだろうか?」
 と続けて(5)の資料は、去年10月24日の毎日新聞「減らぬ温室効果ガス排出」です。ここには、96年度の二酸化炭素排出量は90年度に比べて9.8%増えたことが書かれています。特に、自動車の大型化と、クーラーなどの家電が押し上げていると述べられています。

 3時間目の説明は以上で、各自の感想を宿題にしました。今、その宿題を集めているところです。昨年度は、担当したクラスに、4月はじめの段階でこういう大きな話をしたんですが、一部の生徒から「人間は地球のガンだから、絶滅した方がいいんだ」という感想が出されました。そして、そういう生徒は、それ以後全ての環境問題についての感想を、同じ立場から書いてきました。彼らも本心から絶滅を望んでいるわけではなかったのでしょうが、人間の生活と環境を両立させようと言う観点に立って、物事を考えさせられなかったことは失敗だったと思っています。今年はそうしたくなかったので、今までダイオキシンや二酸化窒素など身近で具体的な問題だけを授業に入れてきたのですが、やはりそれだけでは、危機感が不足するような気がしました。そして、この授業になったわけです。宿題の感想に ”人間=地球のガン説” が出なければよいのですが。
 こんな授業をしたんですが、今、中学校の教科書に二酸化炭素増加のグラフが載っていると言うことは、同じような授業を中学校でもやっているのでしょうか?また、二酸化炭素増加と温暖化については、まだまだ分からないことが多いと思います。東大の渡辺正さんなどもいろいろ書いていますが、何かありましたらお知らせ下さい。長くなって、すいませんでした。
 では、また。


98A−193
差出人:林 正幸
送信日:99年1月20日
件 名:酸化鉛が正極?

こんばんは、林です。
 ここ1週間、風邪にやられています。水曜から始まって月曜までは、夕ご飯を食べるまでがやっとですぐに床に就いていました。おかげで少し貯めていた教材も使い尽くして、自転車操業にもどりました。
 そんな中ではありましたが、金曜(15日成人の日)には、愛知科教協の講演会「宇宙はどこまで分っているか」を開き、40名ほどの盛況となりました。午後の部の一部で教育問題を話し合い、私としては「受験教育に対してもっと開き直ってよい時代にさしかかっているのではないか。それは私たちが目指す科学教育とはあまりにかけ離れている。」と発言しました。講師の池内さんは、「いま大学教育も動かざるを得ないところに来ていて、何かをすれば必ず影響を与えることができる」と話しました。
 さて山本さんが「化学反応とエネルギー」について書きました。私も昨年9月に書きましたが、この分野は教科書の枠を大きく越える必要がありますよね。山本さんは「化石燃料と地球の温暖化」をテーマにしました。野曽原さんならきっと「エントロピー」、町井さんなら「省エネ生活」でしょう。私は中途半端に終わっていますが、地球全体のエネルギーに目が向くような生徒を育てたいものです。
 さて、1年生はいま電池をやっています。その中で改めて「鉛蓄電池の正極がどうして酸化鉛(W)と言うのだろうか」と怒っています。電極というのは電流が、あるいは電子が出入りする「電池のターミナル」ですよね。だったら、正極は表面が酸化鉛になった鉛板で、負極は鉛板そのものではないでしょうか。乾電池において酸化マンガン(W)を正極とは言いません。このあたり皆さんはどう考えますか。
 ではまた。


98A−194
差出人:山本 喜一
送信日:99年1月20日
件 名:化学反応とエネルギーの授業(4)

こんばんは、山本です。
 二酸化炭素と温暖化の授業で宿題にした感想が、集まりました。分類してみますと次のようになります。
「個人の自覚派」57%
  一人一人が自覚を持って、エネルギーの使いすぎに気をつけるべきだという意見
「社会制度派」13%
  何らかの法律や、国の対策を考えるべきだという意見
「技術改良派」10%
  二酸化炭素の出ない車や、環境にやさしいエネルギーの開発をすべきだという意見
「その他」20%
 「個人の自覚派」が目立ち、「社会制度派」が少なかった理由を考えてみました。
・使った記事が、最近の二酸化炭素増加は自家用車の大型化と、クーラーなどの家電製品の増加による影響が大きいというものだったので、どうしても生徒の目が、家庭生活に行ったため。
・授業対象が1年生だったので、まだ物事を社会的に考える目が育っていないため。
 以上のように分析したのですが、「クーラーをつけると二酸化炭素が増えるのを初めて知った」という感想もありまして、生徒は二酸化炭素と温暖化の話をきちんと聞くのは初めてだったようです。そんな生徒に、わずか1時間の授業で、二酸化炭素削減のための社会制度はどうあるべきかというところまで考えさせるのは、無理ですね。やはり、時間をかけてゆっくり育てるべきでしょう。はじめの一歩という意味では、やはりやって良かった授業だと思いました。
 それから心配していた「人間=地球のガン細胞説」はありませんでした。ただ、二人ほど、二酸化炭素削減は無理だとか、環境が壊れてもそれは地球の寿命だという感想は出ましたが。
 では、また。


98A−195
差出人:山本 喜一
送信日:99年1月21日
件 名:鉛蓄電池について

こんばんは、山本です。
 林さん風邪はいかがですか?私の職場では、風邪から肺炎になって入院している人もいます。大事にして下さい。
 鉛蓄電池については、以前、林さんから「正極は鉛版だ」というメールが送られてきた時、「なるほどそうだな」と思いました。酸化鉛(W)は正極活物質(実際に電子をやりとりする物質)ですよね。これはボルタの電池で言えばH+、ダニエル電池ではCu2+、乾電池では酸化マンガン(W)と同じだと、私も思います。
 話は変わりますが、今、沼田真「自然保護という思想」(岩波新書)を読んでいます。その中に、日本の神社林の話があります。西洋のキリスト教会に、こういう林がないのは、自然は人間が征服するものだという思想があるからだ、というわけです。しかし続けて、西洋人は手つかずの自然に接すると非常に感激するが、日本人はそういうところを歩いても「何もないところ」としか感じない。だから、日本の県民の森などはベンチを作ったり、芝を植えたり、東屋を造ったりしてある。どちらが、本当の自然愛好家なのだろうか?
 この本、まだ途中ですので、ひっかかるところがあったらまたメールに書きます。では、また。


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