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98A−106
差出人:林 正幸
送信日:98年11月14日
件 名:高分子(8)など

こんばんは、林です。
 山本さんの「銀のさび」の実験は見事ですね。これについては私にも思い出があり、30年前にセロハン公害に取り組んできたときのことです。付近の住民が「せっかくのオリンピック銀貨が箱に入れてたんすにしまっておいてもさびてしまった」と訴えていました。硫化水素のせいです。私たちはあちこちの家庭で開いた学習会で、硫化水素が銅などをかんたんにさびさせてしまうことを実験していました。
 鈴木さん、アルケ事務局の仕事をご苦労さまです。「アルケミスト・カレンダー」については、ここ10年以上、これを「目安」に活動が続けられてきたものです。したがってそれなりの合理性があると思います。もちろん話し合って変更することはあるわけですが、とりあえず鈴木さんの要望は、表の下に次のように補足することで構いませんか。
「98A年度第1回の、事務局への資料送付の締切りは11月5日です。アルケ本通信は11月20日に発行予定です。」
本通信の発行については、私が適当に書いたものですので、不都合があれば(大きく外れるなら)知らせてください。
 高分子の話に移ります。本を読んでいて、熱可塑性樹脂ではメタクリル樹脂を加えるべきことに気付きました。そして、今日は熱硬化性樹脂です。
 合成のときに加熱することによりかたくなってそれ以上は変化しないプラスチックを熱硬化性樹脂という。これは網目状の高分子で、重合度が小さい段階(「プレポリマー」という)で成形などをし、加熱などをして重合度を高め、網目構造を発達させる。この種のプラスチックは、燃焼テストでは表面が炭化する(焦げる)だけである。
 最初の熱硬化性樹脂で合成樹脂の始まりでもあるフェノール樹脂は、1909年にベルギーの化学者ベークランドにより発明された。これはフェノールとホルムアルデヒドから合成する。
@フェノールをホルムアルデヒドに付加させる。
Aできたヒドロキシル基と、もうひとつのフェノールのベンゼン環水素で脱水(縮合)が起きる。
Bそれがさらにもうひとつのホルムアルデヒドに付加していく。
(実際には反応式を書いています。)
このような反応が進行して網目状のかたくてひとかたまりの巨大分子になっていく。網目状の分子が生成するためにはモノマーに3つ以上の反応サイトが必要である。フェノールはオルト2つとパラの3ケ所が反応しやすい。
 フェノール樹脂は電気絶縁性がすぐれており、その他に接着剤としても利用される。
 尿素樹脂(ユリア樹脂)は尿素とホルムアルデヒドから合成する。これはベニヤ板などの建材の接着剤として利用される他に、食器などにも使用される。新築の家屋では、未反応のホルムアルデヒドが蒸発してシックハウス病という中毒が起こったりしている。
 エポキシ樹脂はビスフェノールAとエピクロロヒドリンから合成する。これは接着剤や缶の内面のコーティングに利用される。また炭素繊維を混ぜて強化した複合材料は、小型船舶のボディや釣りざおなどに利用される。
 エポキシ樹脂などは、「環境ホルモン」としての作用が確認されている原料のビスフェノールAが溶出することが問題になっている。
 以上見てきたように、プラスチックは私たちの生活を豊かにしてきたが、他方でいくつかの「かげ」を持っている。このような「物質文明の中でどのように生活していくか」は、21世紀に生きる人間には避けて通れない課題である。
 ではまた。


98A−107
差出人:林 正幸
送信日:98年11月15日
件 名:高分子(9)など

こんにちは、林です。
 昨日今日と、休日が2日ともよい天気とは今年にしては珍しい。おかげで庭の手入れができて、そして今日は比較的ゆったりした気分が味わえます。
 鬼塚さん、研究授業をご苦労さま。相変わらずの豊かな実験シリーズですね。超伝導体は、シマズで購入すると3万円くらいして、しかも2、3年で割れてきます。これは熱ひずみを繰り返すためと考えられますが、加えて酸素中に保管しておくのがよいわけですね。
 そう言えば、ひとつ質問があります。鉄(V)イオンとチオシアン酸イオンでできる血赤色のものはどんな化学式で表されるのでしようか。古い大学時代の分析の本にはFe(SCN)3 とありましたが、水溶液になっているのでこれは間違いだと思います。[Fe(SCN)2]+ という錯イオンであるというかすかな記憶がありますが、思い違いかもしれません。だれか、情報がありましたら教えてください。
 高分子も大詰めになってきました。ここで「ナイロンと天然ゴムの合成」という実験を投入します。そして今回のメールはゴムについてです。
 ゴムの木に幹に傷を付けると白色乳液のラテックスが得られる。これに酢酸や硝酸カルシウム水溶液を加えると凝集して生ゴム(天然ゴム)になる。これはイソプレンが付加重合した形の高分子である。生ゴムの用途は限られていたが、1839年に米国の化学者グッドイヤーはこれに硫黄を混ぜて加熱すると、伸び過ぎず弾性が大きくなることを発見した。「加硫」すると硫黄が、残っている二重結合に付加して分子どうしが橋かけされ、これによって弾性が大きくなりタイヤなどに利用できるようになった。ちなみに、ゴムは「ガラス転移点」より高い温度で使用しており、それ以下ではガラスのように割れてしまう。
 ゴムはどうして伸びるのだろうか。ゴムの分子は糸状であり、加硫などによりところどころが橋かけされて結び目になっている。分子間力が小さいので分子はたがいに自由に運動することができて、自然のままでは熱運動によって乱雑に集まって縮んでいる。それが力を受けると、分子がその方向に引っ張られて伸びた状態になる。復原力(弾性力)が熱運動によっているので、ゴムは温度が高いほど伸びにくくなる。これは金属などとは正反対の特徴である。そして、ゴムは伸びると温度が高くなり、縮むと温度が低くなる。
 クロロプレンゴムは、イソプレンのメチル基を塩素に置換したクロロプレンと呼ばれるモノマーを付加重合して得られる合成ゴムである。耐候性、耐油性にすぐれ、ガス透過性も小さい。
 スチレンブタジエンゴム(SBR)は、スチレンとブタジエンを共重合して得られる合成ゴムである。安価でもっとも大量に生産されている合成ゴムで、耐老化性がすぐれている。一般に、ゴムの分子には二重結合が残されており、この部分が酸素やオゾンと反応して「老化」していく。
 シリコーンゴムは、ジクロロジメチルシランと水を縮合重合して合成される、分子の骨格に炭素を含まない高分子である。耐熱性、耐薬品性にすぐれており、実験室ではゴムせんとして利用している。
 ではまた。


98A−108
差出人:鈴木 久
送信日:98年11月17日
件 名:アルケ事務局通信 No22

アルケのみなさん、こんにちは。事務局の鈴木 久です。
 先程、ほぼ全員に資料が送れるような形を整えました。おかげで、宛名印刷に挑戦することができました。昨日、入力から始めて印刷まで。したがって、アルケ通信の編集後記に書かれている「始めて挑戦して今やっと印刷し終えた」と書きましたが、始めての字は初めての間違いではない気がしています。
 今回の資料提供者は以下の通り
橋本 陽江、野中 直彦、長野 勝、盛口 襄、小林 敏夫、林 正幸、山本 喜一、鈴木 久
以上8人です。
 よろしければ、資料が届いたらメールを下されば、どれくらいで届くかわかるのですが。みなさんの、ハガキやメールでの声が力の源泉です。


98A−109
差出人:鈴木 久
送信日:98年11月19日
件 名:アルケ事務局通信 No23

アルケミストのみなさん こんにちは 事務局の鈴木 です。
 昨日の朝、1回目の資料を発送しました。予定より1日遅れましたが。。。いろいろ不備がありましたが、とにかく終わったという感じです。岡田さんには自転車で届けました。石井信也さんは通信のみを、4部は科教協に発送しようと思います。
 これからも、ご協力よろしくお願いします。


98A−110
差出人:小林 敏夫
送信日:98年11月19日
件 名:熊高教組県教研理科分科会報告

熊本県高等学校教職員組合
県教研理科分科会報告

1998年11月14日京町会館

理科分科会

1 提出リポート
   理数科の活性化のために           北田 薫(八代南)
   このごろの私                小林敏夫(鹿本)
   入試問題に四苦八苦             岩本正也(荒尾)
   南高生物発、21世紀の地球へのメッセージ  簑田正一(八代南)
   授業実践・向井飛行士再び宇宙へ 渡邊和宣(玉名・定)
   理科実習教師の会・自主研修会の取り組み   吉本純子(湧心館・定)
                         原 直子(菊池)
2 参加者  15人

3 分科会報告

(1)理数科の活性化のために           北田 薫(八代南)
【リポートの概要】
 八代南高校の理数科を改革するための取り組み。理数科が「行き詰って」いる状況は多くの学校で見られる現象である。そこで今年度理数科改革にいくつかの取り組みをおこなった。主な取り組みは、野外実習、科学者・研究者を招いての授業、理数科独自の案内パンフレット作成、先端施設の見学(予定)、クラス通信の発行、科学史365日を学級日誌に添付、科学部の活動(九州大会に)である。
【討論の内容】
 理数科の現状が他校の状況と比較して出された。その中で、八南は問題点を意識して、取り組みを始めたことが、まず評価された。さらにその取り組みが、特進的な道に力を入れるより、より本質的な理数科の原点に戻る方向で模索されていることに高い評価があった。カリキュラムについても具体的な意見がいろいろ出された。理科の選択の問題。芸術の問題。大学からの「出前授業」についての情報も出し合われた。

(2)このごろの私                小林敏夫(鹿本)
【リポートの概要】
 課外、夜学、中国修学旅行と追いまくられている感じの四〇歳代後半のリポーターがどのような授業をしているかを本音で語った。
 受け身の生徒たち。体、実行力だけが受け身ではなく、思考さえ受け身ではないか。能動性こそ今必要という認識に立ち、教科書から実験を組立させることを試みた。教材は化学Uの緩衝溶液の部分。
 確実に仕掛ければ、この方法が有効であることを確信しました。時間をあたえて、こちらからは手段や方法をあまりあたえないで、たどり着かせる実験もおこなう必要がある。
【討議の内容】
 実験を演示した。実験について質問があった。

(3)入試問題に四苦八苦             岩本正也(荒尾)
【リポートの概要】
 同僚の入試問題に関する疑問から、ふと教科書の等速円運動の記述に疑問を持ったリポーターが持ち前のこだわりで、教材を考えたリポート。F=mv2/r=mrω3は等速でなくとも成り立つのだが、教科書の記述は等速円運動でしか成り立たないように記述してあり、しかもその直後、「不等速」のコースターの問題が何のことわりもなく出てくる。このことをどう考えるか。
【討議の内容】
 この説明が、等速円運動として説明しているので等速以外に使えないような印象をあたえてしまっている。一言、飛躍はあるが、「等速でなくとも成り立つ」が欲しいところだ。教材論から生徒達の思考の問題が議論された。議論の仕方、公式の理解のさせ方などが具体的に紹介された。

【昼食時間】皆で和気藹々と食事をとったが、食事終了後、実験・教材の紹介の時間をとった。
 フライング・カモメ
 薄く切った発泡スチロールに紙で嘴をつけ、飛ばす。とてもおもしろい、みんな「カモメ」をおみやげにもらった。発泡スチロールを薄く切るのは、ニクロム線でおこないました。(実験紹介者:松橋東養護学校 伊藤隆さん)
 薄層クロマトグラフィー
 葉緑素の分離がペーパークロマトグラフィーより時間が短くてすむ。注意点などが丁寧に示された。(実験紹介者:菊池高校 原 直子さん)
 チオ硫酸ナトリウム
 チオ硫酸ナトリウムを試験管内で加熱し、融解させる。(結晶水が出て水、チオ硫酸イオン、ナトリウムイオンになる)放冷後、液体を手のひらに載せ、微結晶を加える。発熱反応が実感できる。(実験紹介者:鹿本高校 小林敏夫)
 文化祭展示物
 文化祭の展示物を紹介。生徒達の生き生きした活動の様子と環境問題に対する関心の深さが伝わる展示でした。(展示物を貼った人:八代南高校 簑田正一さん)

(4)南高生物発、21世紀の地球へのメッセージ  簑田正一(八代南)
【リポートの概要】
 生物Uの授業を使い、環境問題をテーマにリポートにまとめ発表することから学ばせようとしたリポート。生徒達に「見たくなる、読みたくなる、賢くなる、そんなものにしよう」と呼びかけられた。生徒達はいきいきと活動し、広用紙にまとめ、発表した。
【討論の内容】
 図書館の利用を考えるが、図書館の資料では全クラス取り組むのには不足。「このテーマでもよいか」と尋ねてくる生徒。インターネットで調べたりする生徒、農林水産省などにも手紙を書いて調べたりする生徒などがいる。生徒達もいい発表にはいい評価をしている。と生徒の積極的な面や評価する力を引き出せた取り組みになっている点が評価された。生徒の関心事とマスコミで何が話題になっているかの相関がきわめて強いことも指摘された。

(5)授業実践・向井飛行士再び宇宙へ 渡邊和宣(玉名・定)
【リポートの概要】
 定時制の授業実践報告。向井さんの二度目の宇宙旅行、グレンさんのことについて、テレビや新聞、インターネットで得ることができた資料を使い授業をおこなった。向井さんへの応援メッセージや短歌・熊の愛称募集に生徒達は取り組み、多くの応募があった。
【討論の内容】
 インターネットでの資料の集め方、学校におけるインターネットやマルチメディアの利用状況を報告しあった。インターネットはいつでも誰でも使えるようにすることが理想的だが予算等のことから現状では歓迎されない状況が見られる。 中央の話題としては、学校のインターネットに関わる電話料等を極安い値段で押さえるなどが話し合われているとか。
 適切で興味を引く教材を使うと生徒達もいい反応をすることが確認できたリポートだった。

(6)理科実習教師の会・自主研修会の取り組み   吉本純子(湧心館・定)
   原 直子(菊池)
【リポートの概要】
 日教組、実教部が取り組んでいる、「実習教諭制度」についての内容理解と理科実教の活動が紹介された。「教諭一元化」から「実習教諭制度」へ日教組が方針転換を提起し、議論を重ね決定したが、理科実教は新しい制度の中でどうなるのかが見えてこない。どのように新しい制度に対応するのか、新しい考え方、状況づくり等の模索が求められている。その考察のためのリポートだった。
【討論の内容】
 日教組の新たな方針「実習教諭制度」の取り組みの進捗状況が出された。現場での実態が出された。職務制限に関しての対応のことや現場での実態づくりの重要性が話し合われてた。理科離れが進む中、実験実習の重要性が今ほど話題になっているときはない。新しい時代の理科教育における実験実習の教育を視野に入れて考えていく必要がある。

4 残された課題
 高校における、科学クラブ等の部活動の衰退の問題。
 サークル活動の充実とその中での学習の重要性。
 教育課程の問題。
 「実習教諭制度」確立へ向けての現場での取り組み。
 インターネット等の活用。

5 全国教研代表者
 理科実習教師の会・自主研修会の取り組み    原 直子(菊池)


98A−111
差出人:山本 喜一
送信日:98年11月19日
件 名:ゴミゼロを目指して

こんばんは、山本です。
 鈴木さん、資料届きました。ご苦労様です。これから、みんなのプリントをゆっくり読んで、勉強したいと思います。
 林さん、高分子の授業内容をありがとうございます。これから私も高分子に入りますので、参考にさせてもらいます。
 さて、先週、千葉では教研がありまして、「公害と教育」分科会に出て、今回のアルケ資料で送りました「授業に新聞を使って」の要約を発表してきました。午後、環境NGOの人から環境ホルモンとダイオキシンの講演を聞きました。その人たちは、ゴミを燃さない、ゴミを埋めない社会を目指して運動している、とのことでした。
 そういう社会を作るためには、まずリデュースだそうです。これは、企業がものを作るときに、消費者がゴミにしなければならないようなものを使わないこと。例えば、包装容器を使わずに食品などはばら売りすること。あるいは、車であれば、リサイクルできる素材で作ること、などです。
 次に、リユース。これは、一回使ったものを回収して、もう一回使うこと。例えば、清涼飲料などは、使い捨ての容器を使わず(これはリデュース)に、ビンで販売し、そのビンを回収して、もう一度飲料用として使うこと(こっちがリユース)。
 そして、リユースできないものは、しかたないので、リサイクル。これは、使ったものを回収し、再加工して、違う商品を作る素材にすること。金属なら、溶かし直して、別の商品を作る材料にすることです。生ゴミは、堆肥にして農業に還元するそうです。
 この3つを徹底すれば、ゴミ焼却場も不要になり(従ってダイオキシンは発生せず)、金属資源も枯渇せず、ゴミの最終処分場もなくてすみ、エネルギー節約にもなるというわけです。みなさんはどうお考えでしょうか。それは理想にすぎないという考えもあるでしょうが、私はめざす価値があるやり方だと思いました。
 今日の新聞各紙の首都圏版には、東京湾をゴミで埋め立てる計画が凍結され、まずゴミ減量を目指すべきだという意見で、関東都県の知事が一致したというニュースが載っていました。やはり21世紀は、物質循環型で省エネ型、つまり大量生産、大量廃棄でないやり方になるのではないでしょうか。
 では、また。


98A−112
差出人:杉山 剛英
送信日:98年11月20日
件 名:獅子座流星群

獅子座流星群を撮りました
1mmの砂粒が上空80Kmで燃えて、あんなに明るいのです素晴らしいものでした


98A−113
差出人:小林 敏夫
送信日:98年11月20日
件 名:修学旅行に行ってきました

 修学旅行に行ってきました。学校の職場ニュースに書いた原稿です。

 修学旅行で一番の収穫は現地ガイドの揚耀華さんの話が聞けたことだった。36歳の角刈りの元気いいガイドさんに1の8のみんなは引っ張られていつも敏速な行動をとってしまった。「ワカリマシタカ」「はぁ〜〜い」「返事は『はぁ〜〜い』じゃないでしょう『はい!』でしょう」と言葉の指導まで受けて、「中国は人口も、国土も日本の何倍もあります。中国に来たら何倍ものスピードで走ってください」と変な説得で付き合いが始まったが、「せっかく来てくれたので、できるだけ多くのことをみなさんに伝えたい」と積極的に多くのことを説明してくれたのだ。
 廬溝橋に行ったとき「抗日記念館」を案内できないことに残念がっていた。日本からの修学旅行ではほとんどの学校が行くそうだ。
 時々私に日本のことを質問する勉強家でもある。県知事(日本で言うと)や政府の要人の通訳として来日した経験もあるそうだ。
 しかし、なんと言っても、圧巻は最終日、私たちを北京空港に送ったときだった。今まで、生徒達に、「急ぎなさい、はやく集まりなさい、はやくバスを降りなさい」と急がせたりしたことを、お詫びされ、さらに次のようなことを話された。
 「私の考えでは、修学旅行では、その国の良いところだけでなく、悪いところも、遅れたところも全部見て欲しいと思っています。あなた達の修学旅行は四星のホテルに泊まり、五星のバスを使い、最高の食事を食べ、しかもおいしくないと不平を言っている。中国の人たちにはこんなホテルに泊まれない人も、このあたりに近づくことさえできない人もいるのです。中国のそのような現状を見て、あなた達は「反省」をしなければなりません。でも中国の人民は日本に追いつくために一生懸命働いています。もう一つ、私は、あなた達を案内するとき「お金がなくなるかもしれません。スリに気をつけてください。物売りには関わらないで下さい」といいました。中国人の私が外国人のあなた達のに私の同胞を悪く言う。これはほんとうはおかしいことですね。豊かな日本にも公園を住まいとしている人がいることを私は知ってます。中国の人が皆悪い人ではありません。そして、道でものを売っている人を悪い人だとは私は思いません。みんな生きるためにやっているのです。でも、中国では禁止されていることです。だから、お巡りさんがやってきたとき品物をおいて逃げていったでしょう。生きるために必死でものを売っています。しかし、あなた達に何かあれば、国際的なこととして、困るのです。だから、私は言わなければならなかったのです。この気持ちをわかって欲しい。」愛国的中国共産党員の姿を見た思いだった。生徒達はさすがに「しーん」として聞き入った。
 働き者の彼は、この職場にきて五年にして初めての長期(一ヶ月半)の休暇を、吉林省の郷里で過ごす。「お母さんに親孝行したいから」と言って。
        

98A−114
差出人:小林 敏夫
送信日:98年11月20日
件 名:県教研報告(職場ニュース)

 県教研の報告を職場ニュースに出しましたので、その原稿を送ります。

 土曜日、熊本県教育研究集会に参加した。私は「理科教育分科会」のお世話をしている。修学旅行前に案内はがきを出したり、連絡をしたりして、参加の呼びかけをおこなっていた。おかげで未加入者を含む多数の参加があった。
 リポートの一つは、八代南高校の理数科を改革し、活性化するための取り組みが報告された。理数科がだけでなく、その後に開設、設置された新設学科、普通科のコースなどのいわゆる「特色ある学校づくり」も含め、「行き詰って」いる状況は、現在多くの学校で見られる現象である。そこで、今年度、理数科改革にいくつかの取り組みをおこなったというリポートだった。
 主な取り組みは、野外実習、科学者・研究者を招いての授業、理数科独自の案内パンフレット作成、先端施設の見学、クラス通信の発行、科学史365日を学級日誌に添付、科学部の活動(九州大会に)などできるところから、着実にやられいた。改革1年目の位置づけで先導的に実施されている様子がよくわかった。
 八代南高校理数科が問題点を意識して、取り組みを始めたことが、まず評価された。さらにその取り組みが、より本質的な理数科の原点に戻る方向で模索されていることに高い評価があった。カリキュラムについても具体的な意見がいろいろ出された。理科の選択の問題。芸術の問題。大学からの「出前授業」についての情報も出し合われた。
 リポートした北田薫さんは若い生物担当教員の組合員。八代南で2年前に加入した人だ。八代の自然観察にはまりこんでいる元気な研究者でもある。八代南高校には若い教職員の組合加入が進んでいる。若い人が学校の改革・活性化の中心になれるような雰囲気や環境が醸成されている職場のようだ。そこには組合のあるいは組合員の存在があるようだ。


98A−115
差出人:林 正幸
送信日:98年11月21日
件 名:物質のエネルギー概念のまとめ問題など

こんにちは、林です。
 鈴木さん、金曜にアルケ通信第1号が届きました。これからはホームページに目録だけでも掲載していこうと考えています。ゆくゆくは、皆さんのホームページの該当資料にリンクできるようになるとよいのですが・・・。
 杉山 剛英さん、しし座流星群に対しては私も4時に起きたのですが、天気予報に反して曇りでがっかりしてまた寝ました。写真を紹介してください。
 小林さん、ていねいな県教研の報告をありがとう。そして小林さんも私と似た問題意識を持っているな、と感じました。
 さて私の方はいま、期末試験のために宿題を作っています。その中で1年生の「物質のエネルギー概念」では次のようなまとめ問題を出しました。

1.物質のエネルギーに関する次の文を完成し、下の問に答えよ。
 物質はその内部にエネルギーを持っている。ひとつは、物質を形成する原子、分子、( ア )が( イ )していて、そのために( ウ )エネルギーを持っている。温度が高いほど( イ )は( エ )ので、その( ウ )エネルギーもより( オ )。
 もうひとつは、物質を構成しているこれらの粒子はイオン結合、( カ )、金属結合、分子間力で( キ )を及ぼしあっていて、そのために( ク )エネルギーを持っている。( ク )エネルギーは( キ )を及ぼしあう物体どうしの間に存在し、互いの( ケ )が離れているほどより( コ )。こうして、分子のエネルギーはそれが解離した原子のエネルギーより( サ )。また、液体状態に比べて気体状態の方がそのエネルギーがより( シ )。
 それから( ス )の法則にもとずいて考えると、加熱されて熱エネルギーを吸収した物質ほど、そのエネルギーはより( セ )と言える。だから、液体の水のエネルギーは氷に比べてより( ソ )。また、過冷却の酢酸ナトリウムは凝固するとそのエネルギーが( タ )して、持っていられなくなった部分を熱エネルギーとして( チ )するので、その結果手のひらが熱く感じる。
問 次の場合のエネルギー・反応グラフをかけ。
(1)1molの硫酸を大量の水に溶解すると、95kJの熱エネルギーを放出する。
(2)H2 + O2 ―→ H2O(液) + 286kJ
(3)1molの液体の水は41kJの熱エネルギーを吸収して水蒸気になる。

 ではまた。


98A−116
差出人:小林 敏夫
送信日:98年11月21日
件 名:火技

 「水素の爆発を手のひらで」という野中さんから習った実験を「勇気」(?)を出してやってみました。うまくいきました。私は「あつくない?」と聞いたんですが、野中さん「やってみてください」と答えられました。やってみての感想は「      」書くとおもしろくないので、みなさんまだの人はやってみて下さい。とっても面白いですよ。
 通信着きました。岐阜物理サークルニュースNo157に「たばこの根性つかみ」が書いてあります。これに「アセトンで指に火をつける技」を加えて、「火(秘)技」3部作と名付けたらどうでしょう。
 ところでMOLの会通信の「火山地帯の硫黄はH2SとSO2の反応でできたのか」の話題ですが、鹿児島大学の火山を中心に研究している先生(名前を忘れました)と話したとき、「その通り」だったと記憶しています。実験は「化学実験教授法」に水が触媒になる実験(乾いたSO2と乾いたH2Sでは反応が起こらなく)が掲載されていたと記憶しています。


98A−117
差出人:小林 敏夫
送信日:98年11月21日
件 名:ベンゼンの溶解度について

 ベンゼンのデーターがありました。22℃で0.07g(水100gに対して)出典はLANGE’S HANDBOOK OF CHEMISTRYです。この本によりますと、ベンゼンのデーターはBeilseinではVー179に載っているそうです。そのほかの化合物も拾い上げてみました。
アニリン 3.6 (18℃)
ニトロベンゼン 0.19(20℃)
フェノール 8.2(15℃) ∞(65.3℃)
クロロベンゼン0.049(20℃)
安息香酸0.21(17.5℃)2.2(75℃)
ベンズアルデヒド0.3
ベンジルアルコール4(17℃)
フタル酸 o 0.54(14℃)
     m 0.01(25℃)
     p 0.001


98A−118
差出人:鈴木 久
送信日:98年11月22日
件 名:アルケ事務局通信 No24

アルケミストのみなさん こんにちは 事務局の鈴木です。
 休日が2日。そろそろ資料を少し読まれたところでしょうか? あらためて、資料のコメントを書こうとするとできないが、メールを使って、ちょっとした感想や疑問をお互い書きこめば結構、集るのではないかと思うのですが。。。。。もう、林 正幸さんは小林 敏夫さんのメールの分を書き込まれていますね。これを、資料にも行なったらどうでようか? 強制はしませんが、少し気にとめておいてください。事務局をして改めて思うのですが、大量の資料を小包で送られる代金だけとっても大変です。読まれて何か感じた方が気軽に考えたことを書き込むことで苦労して送ってよかったと思えるのではないでしょうか? すごく励みになるのではと思います。
 ところで、林 正幸さん、ホームページにアルケの資料のもくじを乗せたらとのことよろしければこちらから送りましょうか? もし、送った方がよいのなら、小包に貼った方がよいか、アルケ通信に書いた方がよいかをお知らせ下さい。


98A−119


98A−120
差出人:林 正幸
送信日:98年11月23日
件 名:酸と塩基(2)

こんばんは、林です。
 酸と塩基の授業もひとまわり終わったので、まとめをしておきたいと思います。問題は何を柱に構成するのか、です。

(1)個々の物質ではなく、共通の性質を持った酸と呼べる物質群と、塩基と呼べる物質群について、まとめた形で学習する。
備考:指示薬と、金属との反応は、前のメール(11月2日)に書いたようにデモ実験する。
(2)酸と塩基の定義はアレニウスのものにして、原則としてブレンステッドには触れない。
(3)次の酸と塩基を中心にし、その強弱と価数に触れる。ちなみに電離度にすこし入る。
  HCl、H2SO4、HNO3、H3PO4、CH3COOH、H2CO3
  NaOH、KOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2、Fe(OH)3、NH3
備考:オキシ酸の概念は非金属元素の各論にゆずる。
(4)実験「酸化物から酸と塩基をつくる」
 前のメールで紹介した実験です。山本さんがアルケナイターで紹介していたドライアイスをメスシリンダーに投入するのも、デモ実験で追加するとよい。
(5)実験のまとめ
・水に溶けて酸を生成したり、塩基と反応したりする酸化物は酸性酸化物と言い、ほとんどは非金属の酸化物である。
・水に溶けて塩基を生成したり、酸と反応したりする酸化物は塩基性酸化物と言い、その多くは金属の酸化物である。
 なおここでは両方の酸化物どうしの反応は割愛する。
(6)水のイオン積は結果のみを教える。そして中性でも水素イオンは存在する。アルカリ性の程度も水素イオンのモル濃度で表せることから水素イオン指数を導入する。pHは1ずれると10倍違う。指数演算則は教えるが、対数を必要とする計算は扱わない。
 なお酸性雨を含め、身近なもののpHに触れる。
(7)酸と塩基の反応を中和と言う。酸の水素イオンになる水素の部分と、塩基の水酸基の部分から水が生成する(アンモニアはすこし違う)。イオン反応式でも教える。
(8)中和反応で生成する水でない方の物質を塩と言う。塩は塩基の陽イオンの部分と酸の陰イオンの部分がイオン結合している。酸性塩、塩基性塩という用語は避けたい。塩はほぼ中性であるが、厳密にはちょっと酸性だったり、ちょっとアルカリ性出会ったりすることもある。塩の加水分解はすこし入る。
(9)中和滴定の実験をして、酸と塩基の量論を教える。
(10)実験「気体の酸と塩基をつくる」
・塩化ナトリウムに濃硫酸を加えて塩化水素を発生させ、また塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混ぜて加熱してアンモニアを発生させる。
・両方の気体を試験管に捕集して、BTBを加えた水に倒立する。また両者を近づけて白煙を発生させる。
・石灰岩に塩酸を加えて二酸化炭素を発生させ、集気びんに捕集して箱に注いで中のろうそくを消す。
(11)実験のまとめ
・揮発性酸の塩に不揮発性酸を加える(加熱する)と揮発性酸が発生する。
・揮発性塩基の塩に不揮発性塩基を加える(加熱する)と揮発性塩基が発生する。
・水中で弱酸の塩に強酸を加えると弱酸が生成する。
・水中で弱塩基の塩に強塩基を加えると弱塩基が生成する。
最後の例には水酸化鉄(V)の生成を復習する。

 以上ですが、類似した反応のまとめシリーズになって、いまひとつ納得していません。面白い展開例がありましたら、紹介してください。


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