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97A−061
差出人:野中 直彦   林 正幸  山本 喜一
送信日:97年10月4日
宛 先:鬼塚 杉山 林 山本
件 名:アルケ通信第一号到着

アルケ通信第一号
 事務局へ鬼塚さんから、アルケ通信の第一号が10月3日に到着しました。


97A−062
差出人:山本 喜一
送信日:97年10月4日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:松本先生がテレビにでます

こんばんは、山本です。
 アルケのメンバーで、自由の森学園の松本先生が10月6日(月)のNHK教育テレビの「やってみよう何でも実験」にでます。時間は、18時50分から19時20分まで。再放送は、10月11日(土)午前10時30分から11時00分までです。
 夏休みにあったとき、タイにいって番組の収録をするといっていました。さて、どんな内容でしょうか。


97A−063
差出人:野中 直彦
送信日:97年10月6日
宛 先:鬼塚 杉山 林 山本
件 名:未だHPできず

未だにホ−ムペ−ジはできていせん。
 構想なり、道具(ソフト.デジタルカメラ)なりは用意できたのですが、少し忙しくてできていません。もうしばらく、お待ちください(誰もまってないって?)。
 大阪の沢田さんの影響で、生徒実験で「紅花による黄色とショッキングピンク染め」にチャレンジしています。


97A−064
差出人:林 正幸
送信日:97年10月6日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:ダイオキシン、そして環境問題

こんばんは、林です。

 昨日は、NHKスペシャル「調査報告 ダイオキシン汚染」を見て、改めて問題の深刻さを感じました。いったい私たちはどうして行ったらよいのか。すぐやったことはわが家のささやかなゴミ対策。これまで、厚手のプラスチックやPETボトルは燃えないゴミとして分別していましたが、2つのくずかごをそばにおいて一方を「可燃物」他方を「不燃物」とラベルを貼りました。これまでついつい薄手の食品パックやラップ類は可燃物と一緒に捨てていたのです(幸い発泡スチロールトレイは、プリントやコーティングしてないものに限ってですが、スーパーが回収を受け付けています)。とくにラップ類が塩素を含むと説明して、厳密な分別を家内にも協力を呼びかけました。
 政府が遅ればせながら規制を始めたことはすこし評価できます。産廃処理は業者と関連企業が自助努力をすべきです。それがコストに跳ね返っても仕方がないと思います。自治体のごみ処理は、焼却炉に合った分別の徹底と、広域化して新しい焼却施設をつくることでしょう。後者は予算をどう配分するか問題になります。それにしても、もっとゴミをつくらない工夫が不可欠です。そんな国民運動ができないものでしょうか。
 もうひとつ問題は、環境科学の研究振興と調査活動を国の主要施策に位置づけることです。宇宙開発などは急ぐことはないですね。
 学校や化学教育でできることも考える必要があります。私はこの20年間それを避けてきました。その報いで勉強不足になっています。まず環境問題を把握することがスタートです。

 1週間前にMOLの会を開きましたが、やっとその通信をホームページに掲載しました。参考にしてください。それから野中さん、ホームページの開設を期待して待っています。お互いに蓄積してきたことが、容易にのぞき合えるようになったら、どんなに有意義なことでしょうか。そしてアルケ事務局はご苦労様です。通信の資料は早めに送るようにします。

 ではまた。


97A−065
差出人:山本 喜一
送信日:97年10月7日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:水と油は混ざるか(1)

こんばんは、山本です。
 授業は溶解の単元が終わりました。この部分では、「似たものどうしは良く溶けあう」という学習を入れているのですが、今年は、夏の大会の「いきいき物理」のナイターで見た水と油のおもちゃを作って、生徒に見せました。1.5リットルのペットボトルに水を半分ほど入れ、メチレンブルーなどでうっすらと色を付けておきます。そこに、ヘキサンを口まで入れてしっかり栓をしますと、青い水の層と無色透明のヘキサンの層が分離し、いくら振っても混ざらないものができます。試しに振ってみますと、ヘキサンと水の境目に、泡のような丸いものがたくさんできるのですが、そのまま立てておけば、それが一つ一つはじけて、最後はきれいな二つの層に分かれてしまいます。そのようすは、なかなか神秘的で、何度見ても飽きません。町でもこういうおもちゃを見かけますが、実際に作って、生徒に回しましたら、けっこう喜びました。
 「水と油は混ざらないので、こういうものを作った。みんなの方に回すから、振ってみて、混ざるかどうか試して見てくれ。でも、あまり激しく振ると混ざってしまうかもしれないから、そっと振ること。」などと言って回しますと、どのクラスでも必ず必死で振る生徒がでてきます。そして、思い切り振ると混ざってしまうかどうかがクラス中の関心事になるのですが、振った後、ペットボトルをたてておきますと、ふたたびきれいに分離してしまいます。これで、「あんなに振っても、水と油は混ざらないんだなあ」という印象が、生徒に植え付けられます。
 そうしておいて、「本当に、ほんのわずかでも油は水に溶けていないのだろうか」と持ちかけて次の授業につなげるのですが、その内容は、明日書きます。(今日はもう眠いので)

 追伸
 水と油のペットボトルは、気温が高くなりますと、中の液体が膨張して液が漏れることがありますので、サイダーなどが入っていたボトルを使い、液量もちょっと少な目にしておく必要があります。
 では、また。


97A−066
差出人:山本 喜一
送信日:97年10月8日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:水と油は混ざるか(2)

こんばんは、山本です。
 昨日書きましたように、ヘキサンと水が分離することを1.5リットルのペットボトルで作ったおもちゃで見せた後「本当に少しも混ざってないのか」と発問します。
 そして、それを確かめる実験をして見せます。これは、自由の森学園の松本さんのアイディアを自分なりにアレンジしたものです。まず大型試験管に水を入れ、希硫酸を少し加え、そこに過マンガン酸カリウム水溶液をほんのちょっと入れて、向こう側が透けて見えるくらいの紫色の溶液にします。その中に、灯油をピペットでジャーと入れて、加熱します。すると、過マンガン酸カリウムが灯油を酸化しますので、紫色が消えます。生徒には「灯油があると、過マンガン酸カリウムが反応して、紫色が消えるのだ」と説明しておきます。(この実験は、沸点が水より低いヘキサンではうまくいきません。加熱している間に、どんどんヘキサンが試験管から逃げていってしまうからです。)
 次に、ペットボトルを半分に切って、ボトルの口のある方を用意します。ボトルの口にガラス管付きゴム栓をし、そのガラス管には短いゴム管をつけ、ゴム管にはピンチコックをつけます。こうしておいて、ボトルの口を下に向けますと、簡易分液ロートになります。
 大きめの試験管に水を入れ、先ほどと同じように希硫酸を加え、過マンガン酸カリウム水溶液をほんのちょっと入れて、薄い紫色をつけます。そこに、またたくさんの灯油を入れ、よく振った後、ペットボトル分液ロートに入れて、しばらく放置します。そして、灯油と水の層が分かれたことを確認してから、過マンガン酸カリウムの色が付いた水の層だけを別の試験管にとります。これを加熱しますと、やはり過マンガン酸カリウムの紫色が消えます。これで、水に灯油が溶けていることが確認できます。
 この実験を生徒に見せて、「水はどんな物質でも、溶かすことができるのだ。水に溶けないと言うのは嘘で、どんな物質でも、ごくわずかなら必ず溶けるのだ」と説明(ちょっと強引かな?)し、そういう性質があるから、海に溶けていた物質が集まって生命が発生できたのだし、発生した生命も必要な物質を水に溶かして体中に送り、老廃物を水に溶かして排出するという活動ができるので、生命が維持できているのだという話をしました。ただし、広い宇宙には水以外の溶媒を使って、生命活動を営んでいる生物がいるかもしれないことも付け加えました。
 また、水は何でも溶かすという性質が、水道水に色々な有害物質が溶けこむという形で、我々に悪影響を与えている話もしました。昨日のメールで、林さんがダイオキシンのことを書いていましたが、環境教育はこれからの化学になくてはならないものだと、私も思います。そしてできればその環境教育も、アルケミストらしく、お話だけではなく、ものを使って、もので見せて、もので納得させる、そういうやり方はないのだろうかと思っています。この「水と油は混ざるか」という実験もそういうことを目指したのですが、どうでしょうか。ご意見、ご感想をお聞かせ下さい。
 では。


97A−067
差出人:林 正幸
送信日:97年10月10日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:「めざせ!ダイオキシンゼロ 10・19市民集会」の紹介

おはよう、林です。
 次のような電子メールが届きました。これは重要であると判断して、私のホームページにも掲載すると同時に、皆さんに紹介します。


<受け取った電子メール>

 初めまして。産能大学の学生の笠井と申します。
 検索サイトで「ダイオキシン」でサーチして、このホームページを拝見させて
いただきました。

 さて、来る10月19日に「めざせ!ダイオキシンゼロ 10・19市民集会」
を埼玉県上福岡市で開催することとなっております。茨城県竜ヶ崎市や岐阜県
御嵩町からも反対運動に取り組まれている方をお招きして、全国レベルでの集ま
りにしようとしております。
 集会への参加をお待ちしております。
 また、貴ホームページ上で紹介していただけないでしょうか。なにとぞ
よろしくお願いいたします。
 集会の概要は以下の通りです。また、連絡先をご連絡いただけましたら
資料をお送りいたします。

  めざせ!ダイオキシンゼロ 10・19市民集会
 全体会 シンポジウム「ACHIEVING ZERO DIOXIN」
 とき: 10月19日 午後6時
 ところ:上福岡市勤労福祉センター(西武池袋線 上福岡駅下車)
 主催:10・19集会実行委員会

 分科会
 第1分科会 くぬぎ山見学会
 午後1時 上福岡公民館前集合(勤労福祉センターと同じ敷地内)
 車を乗り合わせて現地へ 案内:渋木幸子さん(所沢市下富在住)
 第2分科会 処分場建設とたたかう現場から
 午後1時 上福岡西公民館集会室
 日の出町・御嵩町からの発言 ビデオ上映 アトラクション 他
 第3分科会 ヨーロッパにおける廃棄物処理
 午後3時 上福岡市民図書館視聴覚室

 各連絡先
 主催 10・19集会実行委員会
  埼玉県上福岡市上福岡1−12−9
    Tel 0492−62−1658 上福岡市民連合

 メール発信者(集会に関係していますが主催者ではありません)
  神奈川県川崎市高津区下作延2084
  笠井 建  Tel 044−833−2546
  E-mail furaibo@ca.mbn.or.jp

<以上>


97A−068
差出人:山本 喜一
送信日:97年10月10日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:ダイオキシンの構造と物性、毒性

こんばんは、山本です。
 今月号の月刊誌「化学」(化学同人)は、ダイオキシンの特集です。それを見ながら、ダイオキシンについて勉強し、自分のデータベースに加えようと思っています。今日は、構造と毒性などについてまとめました。その内容を送ります。

「ダイオキシンの構造と物性、毒性」

ダイオキシン類とは
 ポリ塩化ジベンゾ−p−ジオキシン(PCDD)
 ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)
  コプラナーPCB(Co−PCB)
学問的にはこの3つであるが、行政的にはPCDDとPCDFをさす。

毒性

・きわめて強い致死作用以外に流産、奇形児発生、発ガン、アトピー、子宮内膜症、精子減少などの作用があるといわれている。

・最強の毒性を持つものは、2,3,7,8−四塩化ジベンゾ−p−ジオキシンであるが、次のような物質も同様の毒性を示す。
 2,3,7,8−四塩化ジベンゾフラン
 2,3,7,8−四塩化ジベンゾビフェニレン
 2,3,7,8−四塩化アゾベンゼン
 3,4,3´,4´−四塩化ビフェニル
 いずれも、ある一定の位置にハロゲン置換基を持つ一定サイズの平面型分子で、カギとカギ穴の関係にある生体分子と関連しているのではないかと考えられる。

・四塩化ジベンゾ−p−ジオキシンの塩素置換数と毒性
 4塩化物が最強であり、それより塩素数が少なくても、多くても毒性は小さくなる。無塩化物、八塩化物の毒性はきわめて低い。

・2,3,7,8−四塩化ジベンゾ−p−ジオキシンの半数致死量
 モルモット    1μg/体重1kg
 ハムスター 5000μg/体重1kg
サル    50〜70μg/体重1kg
実験動物中、もっとも弱いのがモルモット、もっとも強いのがハムスターである。ヒトのデータはない。

・厚生省の耐容1日摂取量(毎日摂取しても生涯にわたって毒性が現れないとされる量)
 10pg/体重1kg/日

2,3,7,8−四塩化ジベンゾ−p−ジオキシンの物性

・水への溶解度
 7.2ng/リットル(きわめて溶けにくい)
 土壌中にダイオキシンがある場合、水に浸出してくる量はわずかであろう。
・310nm付近の紫外線で分解される
 太陽の紫外線が当たるところでは、急速に分解される。


97A−069
差出人:野中 直彦
送信日:97年10月11日
宛 先:鬼塚 杉山 林 山本
件 名:文化祭で忙しい毎日

 10月20.21日と本校の文化祭です。そのため、忙しい毎日です。巨大壁画というとてつもないことにチャレンジしようとしていることがまちがいかもしれません。壁画「マザ−・テレサとダイアナ」(どちらも人間が好きで、こよなく子供たちを愛した人たちです。)特に、マザ−テレサが言った言葉「貧困はどこにでもある。Poor is beatiful.人間にとって一番つらいのは誰からも必要とされないことです。ダイアナが対人地雷の撲滅を訴えたりしています。その訴えをしているICBLがノ−ベル平和賞を受賞しました。そんなもろもろのメッセ−ジとともに文化祭の巨大壁画に挑戦しています。


97A−070
差出人:山本 喜一
送信日:97年10月14日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:ダイオキシンの発生源

こんばんは、山本です。
 今回も、「化学」(1997年10月号)のダイオキシン特集から、その発生源について自分なりにまとめた資料を送ります。

 ダイオキシンがどこから多量に発生しているのか、「化学」(1997年10月号)には2カ所にそれに関する記述があります。
(1)ダイオキシンの80〜90%は都市ごみ焼却炉が寄与しているとの報告がある、という文は、田中勝(国立公衆衛生院)さんの「ごみ焼却炉から排出されるダイオキシンとその対策」の中にあります。
(2)一方、脇本忠明(愛媛大学農学部)さんは、松山平野の大気中のダイオキシンについて次のように試算しています。
<引用開始>
 (都市ごみ焼却による排ガスが)、松山平野10km四方で上空1kmまでの空間に均一に拡散し、また、1tのごみを焼却すると5000m^3の排ガスを生じると仮定すると、次のような計算になる。2カ所の焼却炉から排出されるダイオキシン1日あたりの量は、(ここのごみ焼却場のダイオキシン発生量は0.3ng/m^3なので)
  0.3ng/m^3 × 5000m^3/t × 450t/日 = 675000ng/日
つまり675μgのダイオキシン(TEQ)が毎日大気に放出されていることになる。
 この675μgTEQ/日のダイオキシンが前記の松山平野の空間に均一に拡散していると仮定すると、
 675μg/日 × 1/(10km×10km×1km) = 6.75μgkm^3
となり、この値を1m^3あたりに換算すると0.0067pgTEQ/m^3となる。われわれの研究室で測定した松山市内の大気濃度は、半年間の平均で約0.3pgTEQ/m^3であった。つまり、最大の発生源である都市ごみ焼却炉の排出量は、現在の松山平野の大気濃度の2.5%に相当することになる。大気への拡散距離が500mとしても5%程度で、いずれにしても残りの90%近くは都市ごみ焼却炉以外の発生源からでていることが推定される。
<引用おわり>
 そして脇本さんは、都市ごみ焼却場以外のダイオキシン発生源として、家庭用の焼却炉や暖房用の熱源をあげています。この試算が正しければ、ダイオキシン対策は都市ゴミ焼却場だけを考えていたのではどうしようもないことになります。

 現段階では、ダイオキシンがどこからどれくらい発生しているかということに関して、はっきりしたデータはないようです。


97A−071
差出人:林 正幸
送信日:97年10月17日
宛 先:鬼塚 杉山 鈴木 野中 山本
件 名:有機反応の性格付け

こんばんは、林です。
 今年も理系の3年で化学を教えて、有機反応についてもうすこし整理すべきだと思っています。教科書では置換、付加、酸化、還元、エステル化、ニトロ化、クラッキング、カップリングなど、そのときの都合でまちまちの視点から性格付けをしています。
 有機化学に入ると、物質は構造式(示性式)で表現するのが普通になります。そして分子の構造とその性質の関係が取り上げられます。と同時に化学反応の方もより踏み込んだとらえ方が可能になってきます。
 私は始めは「反応の形式」に注目していくのが、反応式を習得するのに役立つと考えます。置換とか付加はそのような視点からの性格付けです。これは反応のメカニズムを示すことにもつながりますが、高校ではあくまでも「反応の形式」を基本にするのがよいでしょう。だからたとえば置換では、価標(結合)の真ん中で区切って「Xの部分とYの部分が置き換わる」と説明します。とりあえずイオン反応かラジカル反応か、あるいは求核反応か求電子反応かまでは問題にしないのです。
 ところで置換の逆反応はやはり置換ですが、付加の逆反応は脱離です。それなら他にどんな形式があるのでしょうか。素反応ではなく全体としての反応式ですからさまざまなものがあります。しかし高校で扱う基礎的なものでよいのです。転位、付加重合などでしょうか。
 まず「置換」ですが、これにはアミンを除く中和反応を含みます。そして「縮合」は置換の一種です。これはできる2つの分子にはっきり大小関係がある場合です。なかでも「分子間脱水」はもっとも重要な縮合の例です。そして分子間脱水の逆反応は加水分解ですが、縮合一般の逆反応を表す用語が見当たらないのは不便です。油脂のケン化がそうです。ここで私が悩むのがアルコールとナトリウムの反応です。水素とナトリウムの置換と考えたいのですが、たとえばメタンと塩素の反応のように複分解になっていないのです。アルコールを追い出された水素には、ナトリウムの相棒がいないのです。だから水素どうしが結合して水素分子になります。もともとすべての反応を網羅できないので、この反応は置換から外します。なお、メタノールと酸化銅からホルムアルデヒドができる反応や、ポリビニルアルコールのアセタール化も縮合に含めたいです。
 次に「付加」と「脱離」ですが、これは2つの分子の間に限定します。つまり付加する分子が2つにちぎれ、付加される分子の不飽和結合がちぎれて、2つの新しい結合ができるのです。脱離はその逆コースです。なお「分子内脱水」のいくつかは脱離になります。ちなみに付加については、付加される側と付加する側がはっきりとしています。脱離もそうです。しかし置換では、注目する物質を決めないとその関係は生じてきません。
 「転位」は一応分子内に留めて置きましょう。ブトウ糖の閉環、開環が思い出されます。
 「重合」については面倒なことがあります。これには付加重合と縮(合)重合があるなどといいますが、確かに縮重合は縮合の延長線上にあります。しかし「付加重合」は上に述べた付加とは似て否なるものです。つまり1つのモノマーに結合するのは別の2つのモノマーなのです。だから付加と付加重合は区別をしたいのです。そして開環重合も新しい形式です。
 さて以上の「反応の形式」では原子価が変化する反応は扱えません。たとえばニトロベンゼンをスズと塩酸で還元する場合です。
 それでは、エステル化やニトロ化などに移ります。これは反応で合成しようとする生成物質を表しています。つまり「生成物質」の視点から反応の性格付けをしています。これは明瞭なことですが、ひとつ注意があります。それは「エステル化」も「ニトロ化」も、「反応の形式」の視点からは置換なのです。だから視点をあいまいにしたまま「これはどういう反応か」と訊ねるのはまずいのです。
 続いて、酸化と還元を検討します。高校で酸化還元反応という概念を導入しても、なおこれらの用語を使います。正確に言うと「酸化」とは、「注目している物質を適当な酸化剤で酸化する」という意味で、注目している物質は酸化されるのです。「還元」も同様です。このことを明確にしないと生徒は混乱します。その上で「酸素原子の移動」の視点からでも、「酸化数の増減」の視点からでも取り上げればよいのですが、これにも注意があります。たとえばエチレンと水素からエタンを得る反応は、エチレンに注目すれば酸化数の増減の視点から還元なのですが、同時に付加でもあります。
 ついでに、「クラッキング」や「カップリング」などは、「複雑な反応を表現する用語」としてある程度必要性があります。
 私は、有機反応では「反応の形式」を基本に授業を展開すべきで、それが一部は反応のメカニズムに発展すればよいと考えています。

 以上、あまり整理できないままに書いてみました。意見、あるいは皆さんのとらえ方をきかせてください。ではまた。


97A−072
差出人:山本 喜一
送信日:97年10月17日
宛 先:鬼塚 杉山 鈴木 野中 林
件 名:ダイオキシンの生成反応

こんばんは、山本です。引き続き、「化学」10月号のダイオキシン特集のまとめです。
 ダイオキシンは主に、@除草剤などの有機塩素化合物の生産や、A紙パルプの漂白などの塩素を使った製造過程、及びBゴミ焼却などの燃焼過程で発生していると書いてあります。その発生のメカニズムなどについてまとめました。なお{ }内は私の考えです。

(1)有機塩素化合物の生産過程での生成反応
例  塩素化フェノールの脱塩酸反応を伴う二量化(除草剤2、4、5−T製造時の副反応)
 1、2、4、5−テトラクロロベンゼンと水酸化ナトリウムから2、4、5−トリクロロフェノラートを生成させる反応で、温度が高いと、生成した2、4、5−トリクロロフェノラートが2分子縮合して2、3、7、8−TCDDに転化してしまう。
 2、4、5−トリクロロフェノラートとは、ベンゼン環に−ONaがひとつ結合し、−ONaが結合している炭素を1番とすると、2、4、5番に塩素が結合した有機塩素化合物。この2、4、5−トリクロロフェノラート2分子が近づき、両分子の−ONaが相手の分子の2番の−Clと反応。NaClがふたつはずれて、ベンゼン環どうしが2本の−O−でつながる。こうしてダイオキシンの中でも最強の2、3、7、8−TCDDが生成される。

(2)塩素を使用する製造過程
例  紙パルプの漂白
 塩素漂白では主に2、3、7、8−TCDDが生成され、その数倍の2、3、7、8−TCDF、1、2、7、8−TCDFをともなう。

(3)燃焼過程での発生
 都市ごみの焼却を始め、産業廃棄物焼却、野焼き、火事、自動車のエンジン、タバコ、森林火災などでもダイオキシンは生成される。要は、有機物のC・HがClといっしょに燃焼すれば、ダイオキシンは生成される。
 {森林火災でもダイオキシンが生成されるということは、地球上の生命は極微量のダイオキシンの存在下で進化してきたと言えるのではないでしょうか。事実、日本でもバックグラウンド(工場や人の活動がない環境)での大気中に、平均で0.06pgTED/m^3のダイオキシンが検出されています。}
 燃焼で発生されるダイオキシンはすべての異性体を含み、最強の2、3、7、8−TCDDは0.1%程度含まれる。

 都市ごみの焼却によるダイオキシンの発生過程については、次のように考えられている。
@ゴミの中のダイオキシンがそのまま排出される。
Aクロロフェノール、PCBsのような塩素化前駆体が反応して生成される。
B廃プラスチック、リグニンなどにNaCl、HCl、Cl2などが反応して生成される。
C焼却炉から出る飛灰(フライアッシュ)表面に未燃有機物が付着、300℃程度で塩化銅などが触媒になって生成される。
この4つのうち、特にCが重要である。

 分別収集は有効か
田中勝(国立公衆集衛生院)さんの「ごみ焼却炉から排出されるダイオキシンとその対策」には、プラスチックの分別について次のような文があります。
・ダイオキシンの発生の原因は、プラスチックや塩化ビニルが原因ではないかと心配されるが、プラスチックや塩ビのみならず、あらゆる有機物がダイオキシンの生成に寄与すると言える。
・(家庭)ゴミからプラスチックをすべて除いても、プラスチックらしくないプラスチックが残っており、半分くらい除ければいい方である。
・プラスチックを除いてもダイオキシンの削減につながらないという実験結果も報告されており、・・・。
・ダイオキシンの発生をゴミの質から制御することは難しいということを前提に、燃焼ならびにダイオキシン除去で対応していく必要がある。

 塩ビはダイオキシンの発生源か{これは今年の10月11日付の毎日新聞の記事の一部です。}
塩化ビニル工業協会が設立した塩化ビニル環境対策協議会は「塩ビとダイオキシンの関係について」などの資料を作り、自治体や関係機関に配布した。「都市ゴミの中でも、塩素や炭化水素を含む生ゴミや紙、プラスチックなど、ダイオキシン発生源はたくさんある。ごみの中の塩ビの量とダイオキシン発生量は無関係という実験結果が報告されている」と指摘。「燃焼温度を高くするなどの適切な焼却管理が発生抑制につながる」と主張している。
 こうした論争について、ダイオキシン問題に詳しい宮田秀明・摂南大教授は「焼却炉内で完全燃焼させると、ダイオキシン発生量は少ない。他に塩素を含むごみが一定以上ある場合、塩ビを増やしても発生量はそれほど増えないから、協会の見解には一理ある」としながらも、「現時点では設備が不十分で完全燃焼が可能な焼却炉が少ない。発生源となる素材をできるだけ減らそうというのが世界的な流れだ」と指摘している。

 {まとめてみますと、焼却炉の能力が低いので、塩ビは燃さない方がよいし、生産も減らした方がよい。家庭でごみを出すときは、プラスチックの中でどれが塩ビか区別できないので、やはりプラスチック類は分別すべきだ、ということでしょうか。}

では、また。


97A−073
差出人:鬼塚 公志
送信日:97年10月17日
宛 先:杉山 鈴木 野中 林 山本
件 名:学校での焼却場について

 こんにちは、鬼塚です。
 最近、プロバイダの調子がおかしかったために話し中が多く接続できなかったり、読み込むのに時間がかかりすぎていました。やっと15日から増設されてつながるようになりました。

 長崎県内の学校の焼却場について報告します。
 現在多くの学校で焼却場を使用しないようにしています。ある高校では、9月からすでにゴミの分別を行っています。燃えるゴミ、空き缶、ビン、不燃物と分け、燃えるゴミは1週間に2回可燃ゴミとして出し、本、空き缶、ビン、不燃物は業者に頼んで回収しているようです。学校内の重要書類はそのまま出すわけにはいけないので、シュレッダーで裁断して出しているようです。本校は12月から新校舎に移転しますが、それまでは今の焼却場で行い、新校舎では焼却場を作らず上と同じ様なことを行うそうです。最近学校の焼却場のダイオキシン発生の問題があり、長崎県内の学校ではゴミを焼却しないようにという通達があったために行われています。文部省からも焼却場に関しての通達が出るようです。紙ゴミも燃やせなくなるのはどうかなとも思いますが、みなさんの学校ではいかがでしょうか。


97A−074
差出人:林 正幸
送信日:97年10月19日
宛 先:鬼塚 杉山 鈴木 野中 山本
件 名:溶けやすい・溶けにくい(その1)

 こんばんは、林です。山本さんの10月7日付けメールを読んで、改めて「溶ける・溶けない」ではなく「溶けやすい・溶けにくい」がより良い表現だと思います。今回のテーマは「親水性と親油性」です。

 分子の構造とその物質の性質の関係を見ていく(物性論)のは化学の基本的姿勢ですが、その中で「親水性と親油性」は扱いやすい教材です。「水と油」は相入れないものの代名詞ですが、水に溶けやすいのが親水性で、油に溶けやすいのが親油性です。「溶けやすい」というのは、正確には混合したとき自由エネルギーが減少することです。しかし混合のエントロピーはどれもあまり変わらないと決めて、もっぱらエンタルピー(または内部エネルギー)で議論します。
 さて油には鉱物油と動植物油(油脂)がありますが、前者を選んでたとえばその代表をヘキサンとします。溶解に関しては「似たものどうしは溶け合う」という法則があります。水にはいくらでも水が溶けます。つまり同じものならいくらでも溶け合うから、似たものどうしも溶け合うわけです。
 しかし似ているといってもどこに注目すべきでしょうか。親水性ではひとつはヒドロキシル基です。しかしこれは「水素結合をつくるグループ」に拡張した方がより発展します。もうひとつは食塩が水に溶けやすいことからもうかがえるように、「イオン結合の部分」です。これに対して親油性では炭化水素基です。これも「極性が小さいグループ」に拡張できるとベターです。まとめると
親水基 ・ヒドロキシル基(水素結合をつくるグループ)
    ・イオン結合の部分
親油基 ・炭化水素基(極性が小さいグループ)
 ヘキサンと水に次のアルコールが溶けやすいか、溶けいにくいか調べます。
    メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール
水に溶けやすいのは前3つ、ヘキサン(油)に溶けやすいのが後3つです。つまりエタノールと1−プロパノールは親水性と親油性の両方を持っています。だから狭義の親水性は親水基が目立つ物質、狭義の親油性は親油基が目立つ物質ということになります。
 それでは有機化合物を中心に分類をしてみます。

(A)狭義の親水性物質
 メタノール、グリセリン、ホルムアルデヒド、酢酸ナトリウム、ナトリウムフェノキシド、塩化アニリニウム、アンモニア
(B)親水性かつ親油性の物質
 エタノール、1−プロパノール、アセトアルデヒド、酢酸
(C)狭義の親油性物質
 メタン、ベンゼンなどの炭化水素、ブタノール、ジエチルエーテル、ステアリン酸、酢酸エチル、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、フェノール、安息香酸、サリチル酸メチル、アセチルサリチル酸、アニリン

 とここまで書いてきて、3つの分類が正確でないことに気付きました。第1に「溶けやすい・溶けにくい」の基準があいまいです。できるところは実験で調べてみる必要があります。とりあえす、常温で水10mlとヘキサン10mlに何g溶けるかです。その境界は固体は5%つまり0.5gくらいにすべきでしょうか。液体は10%くらいでしょうか。気体はどうしたものでしょう。それからデータがあればぜひ利用したいものです。

 ということで、続きは後日にしてください。なお一緒に考えていければ幸いです。ではまた。


97A−075
差出人:山本 喜一
送信日:97年10月20日
宛 先:鬼塚 杉山 鈴木 野中 林
件 名:ダイオキシン汚染の実態と摂取量

 こんばんは、山本です。「化学」の10月号のダイオキシン特集号のまとめの最終回です。今回は、日本の汚染の実態と、私たちの摂取量をまとめました。

ダイオキシン汚染の実態
(1)大気
 環境庁の平成2年、4年、6年の測定結果によりますと、大気中のダイオキシン濃度(ポリクロロジベンゾダイオキシンとポリクロロジベンゾフランの合計濃度)は次の通りです。なお、これらの数値は日本各地の平均値で、pgTEQという単位は各種のダイオキシンの毒性を最強の2、4、7、8−TCDDに換算したものです。
 工業地帯近傍の住宅地 0.59pgTEQ/m^3
  大都市       0.53pgTEQ/m^3
  中都市地域     0.47pgTEQ/m^3
 これらの日本の値に対し、アメリカ、ドイツ、イギリス、スウェーデンなどの国々の大気中のダイオキシン濃度は、1ケタ小さく、ほとんどが0.1pgTEQ/m^3以下です。日本の大気が高い濃度を示す原因としては、狭い国土で世界最大量のごみ(年間3700万トンでアメリカの1.3倍、ドイツの4倍)が焼却されていることと、ゴミ焼却施設のダイオキシン対策が遅れていることが考えられます。

(2)土壌
 日本の大都市圏で20pgTEQ/g以下、中都市圏で10pgTEQ/g以下で、この程度なら問題がなさそうですが、次のようなところは高濃度のダイオキシンが検出されています。
 福岡県の杉林  ・・・65pgTEQ/g
 愛媛県の神社の境内・・35pgTEQ/g
これらは、木の葉が大気中のダイオキシンを高濃度に蓄積するためのようです。
 愛媛県の水田・・・120pgTEQ/g
これは、除草剤の影響です。
 所沢市・・・160pgTEQ/g
産業廃棄物処理施設の影響です。

(3)水
 飲料水の分析データはきわめて少ないようです。
  井戸水・・・0.018pgTEQ/l
  水道水・・・高くても0.0015pgTEQ/l
 最も厳しい基準のアメリカ環境保護庁の0.013pgTEQ/lと比べると、井戸水は若干高いのですが、水道水は低い値がでています。
 工場排水や一般河川水については分析データはなく、不明です。

ダイオキシンの摂取量
 大都市地域において、体重1kgあたり、1日に3.72pgTEQを摂取。厚生省の基準は、10pgTEQ/kg/日なので、ダイオキシンだけならその値を下回っています。しかし、同等の毒性を持つコプラナーPCBを8.73pgTEQ/kg/日摂取していますので、これを合計すると、厚生省の基準を越えてしまいます。コプラナーPCBをどう考えるかが問題です。
 日本人が摂取するダイオキシンやPCBは98%以上が食事からで、その60%は魚介類からの摂取です。これは、日本が諸外国に比べ、魚介類を多量に食べるためです。
 ダイオキシンの1日あたりの摂取量を外国人と比べると次のようです。
・日本人・・・・175pgTEQ/日
・ドイツ人・・・130pgTEQ/日
・カナダ人・・・140pgTEQ/日
・イギリス人・・125pgTEQ/日

以下は、私の感想です。
 PCBをダイオキシンの2.5倍近くも摂取していることには驚きました。PCBはダイオキシンと違って、人間が意識的に生産した物質ですから、相当な量を生産し、廃棄したのでしょうね。また、こうしてダイオキシンについてまとめてみますと、改めてダイオキシンについてのデータの少なさを感じます。まず、どこからどれくらい出ているのかはっきりしませんから、何をどうすれば削減に一番効果があるのかが分かりません。まあ、とりあえず私たち市民はごみを分別することと、できるだけごみを出さないように心がける必要はあると思いますが。それから、環境中のダイオキシンについても、特に河川や沼の中にどれくらいとけ込んでいるのかというデータはありませんから、いったん排出されたダイオキシンがどの程度循環して、食物連鎖の中に入り込み、生物を汚染するのかははっきりしないようです。また、安全基準も国によってまちまちです(つまり人間に対する毒性がどの程度なのか、はっきりしたデータがないのです)。
 みなさんも何か情報がありましたら、お知らせ下さい。
では、また。


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