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97A−046
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月21日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:四塩化炭素の代用品は?
こんばんは、山本です。
今、1年生の授業は溶解の部分です。きわめて大ざっぱな言い方ですが、「似たものどうしは良く溶ける」というものがあります。その実験に、今まで、四塩化炭素を使っていました。まず、試験管に少量の四塩化炭素を入れ、そして、水を半分くらいまで入れ、最後に灯油を入れます。試験管内ではその順に3層に分かれた状態になります。その中に、ヨウ素を入れますと、ヨウ素は分子性物質ですから、灯油と四塩化炭素の層には良く溶けるのですが、水にはあまり溶けませんので、試験管は無色透明な水をサンドイッチにして、赤紫の二つの層が上下に存在するような状態になります。そして最後に、試験管にゴム栓をして激しく上下に撹拌します。すると、四塩化炭素・灯油・ヨウ素は互いに溶けあって一つの層になり、水と分離します。(「実験による化学への招待」丸善、より)
この実験は面白いのですが、毒性があって昨年4月に製造禁止になった四塩化炭素を使わなければならないのが難点です。かといって、四塩化炭素以外に、水に溶けず、水よりも思い溶媒が何か浮かばないのですが、どなたかご存じありませんか?
手持ちの特定フロンや代替フロンは、水に溶けず、水より重いのですが、やはり使う気持ちになれません。
よろしくお願いします。
97A−047
差出人:林 正幸
送信日:97年9月22日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:ネルンストの式について
こんばんは、林です。
山本さんが私の提案に基づいて、平衡電極電位のネエルンストの式を使って、水素の分圧を計算してくれました。10のマイナス11乗atmという数値が出てきましたが、私は反応中間体の濃度としては大いにある得るものだと考えます。なお厳密には、反応中に水素の濃度が一定に保たれるという、反応のしくみにもとづく速度論からの確認が必要です。ちなみに、私は化学の伝統的なやり方として反応を2段階に分けているのであって、実際に反応のしくみがそうなっていると断言しているわけではありません。
ついでにネルンストの式を使った面白い考察を紹介します。まず山本さんの式の紹介を引用します。
<山本さんの9/21付けメールの引用>
蛇足ですが、ネルンストの式は、次のような酸化還元反応の電位を求める式です。
O + ne- = R (Oは酸化体、nは係数、e-は電子、Rは還元体)
において、
E = E0 + (RT/nF)ln(aO/aR)
(E:電位、E0:標準電極電位、R:気体定数、T:温度、F:ファラデー
定数、aO・aR:酸化体・還元体の活量)
そして25℃において
(RT/nF)ln(aO/aR) = (0.059/n)log(aO/aR)
になります。
<以上>
この式を水素イオンが電子を奪って水素のなる次の反応
2H+ + 2e- ―→ H2
に適用すると
E = E0 + 0.059/2log([H+]^2/[H2])
いま水素が白金電極に吹き込まれているとすると
E = 0.059log([H+])
となります。中性の純水を溶液とすると [H+] = 10^(−7) だから
E = 0.413
つまり水素イオンが1mol/lの酸溶液に比べて、純水の酸化還元電位は0.413V低いことになります。また水酸化物イオンが1mol/lのアルカリ溶液では [H+] = 10^(−14) だから
E = 0.826
ですが、これは次の反応
2H2O + 2e- ―→ H2 + 2OH-
の標準電極電位に相当します。これを化学便覧で調べると 0.828V と一致するのです。
次に課題のボルタの電池に移ります。山本さんは次のように書いています。
<山本さんの9/21付けメールの引用>
2)ボルタ電池の初期の起電力について
初期において、Cu板表面がCuOなどのさびに変わっているため、Cu2+が
酸化剤になっていいるのではないかと書きました。そうだとしたら、Cu板での
反応は
CuO + 2H+ + 2e- = Cu + H2O
で、この電極の電位は(平衡状態であれば)ネルンストの式から
E = E0 + (0.059/2)log([CuO]/[Cu])
になると思います。ここで、[CuO]と[Cu]は両物質の活量ですが、両方とも
固体ですから、活量は1で、表面にある(と思われる)CuOの量とは無関係に
なるのではないかと思います。
<以上>
この場合はネルンストの式は次のように書くべきです。
E = E0 + (0.059/2)log([CuO]×[H+]^2/[Cu]×[H2O])
その上で、山本さんの設定では4つの活量を1と見なして
E = E0
ところが E0 は銅イオンの標準電極電位ではなく、上の反応式のそれですよね。もっともこの数値は、 CuO と 2H+ が反応してしまうため測定できず、化学便覧にもありません。
ではまた。
97A−048
差出人:林 正幸
送信日:97年9月23日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:ニトロベンゼンはどうですか?
おはようございます、林です。
山本さんが気に入っている「ヨウ素の溶解実験」で、四塩化炭素の代替品が何かないかとのことですが、ふと思い付くのは、ニトロベンゼンを合成すると水に沈むということです。確認せずに書きますが、ニトロベンゼンについてはどうでしょうか。ヨウ素がベンゼン環に置換反応する可能性がありますが・・・・・。
ではまた。
97A−049
差出人;山本 喜一
送信日:97年9月23日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:個人データベースづくりについて
今日は、山本です。
コンピュータを買った一つの理由が、データベースづくりであることをいつか書きました。そして、データとなる文書をハイパーテキストとしてリンクさせておくと良いことも、林さんや鬼塚さんから教えてもらいました。私もそのやり方で行こうと思っています。この前、入力の手間を省くためにスキャナを買いました。店でいろいろ比べて気に入ったのは、”e−typist”というOCRソフトがついているスキャナでした。この付属ソフトは、約1万円出費して”e−typistバイリンガル”というバージョンにアップすると、新聞の切り抜きなどをもとのレイアウトそのままに再現してくれると書いてありました。また、図や写真、新聞の飾り文字などはgifファイルとして出力し、hymlファイルも作ってくれます。「これはいい、これさえあれば、スクラップを保存しなくてすむし、ハイパーテキストもできる」と思って、買ってしまいました。
実際に使ってみますと、日本語認識はけっこう高い確率だと思います。新聞記事などは、活字が小さくてつぶれている場合もありますので、誤認識がぽつぽつとあるのですが、本の活字であれば、手直しするのは数カ所ですみます。次に、もとの原稿の通りのレイアウトでの再現ですが、再現させるにはwordが必要でした。しかたなくこれも購入したのですが、マイクロソフトの場合、教職員は「学割」がききますので、5000円未満で手に入れました。wordをインストールして、文書を再現させてみますと、けっこういい感じです。ただ、全くそのままのレイアウトでの再現というわけには行かず、文字の大きさなどが不揃いになることもあります。また、新聞の切り抜きなどは、スキャンして間違いを直すという手間が大変ですので、何でもかんでもコンピュータに入れるというわけには行きません。今は、科学的なデータに触れている記事だけはこうして保存しようと思っています。やはり、スクラップブックはなくなりませんね。
この”e−typistバイリンガル”というソフトはOCRとしての能力は高いと思うのですが、一つ困ったことがあります。それは、スキャンして、文字認識し、文字の間違いを直して保存しようとすると、コンピュータがフリーズすることがたびたびあるのです。せっかく読み込んで、画面とにらめっこして間違いを直し、「さあ、終わった。保存しよう」と思って<ファイル・保存>をクリックすると、フリーズ。コンピュータは何も受け付けてくれず、もちろん保存もしてくれません。再起動して、最初からやり直しということがたびたびありました。この症状は私のコンピュータだけで起こることかどうか追求していませんが、今は、このソフトでスキャンして文字認識したら、すぐrtf(word)形式(これがレイアウトどうり再現する形式)、とhtml形式で保存して、wordを立ち上げ、wordで読み込んで間違いを直すというやり方をしています。
こうやって作ったデータには、ハイパーリンクをつけておいて、教科書の単元別や、「フロン」とか「NOx」などに分類してタイトル一覧を作って整理しています。ここで、データファイルの名前を日本語で付けておけば、以前鬼塚さんから教えてもらったように「エクスプローラ」で検索することもできますし、「スタート」ボタンから開く「検索」機能で、探すこともできるのですが、ハイパーテキストとして指定するファイルは半角英数字で名前を付けたものでないと、まずいようです。この辺は、インターネット関連のソフトがまだ日本語に対応しきってないのでしょう。
ともかく、データベースづくりと、メール作成が夕食後の私の日課になっています。
では、また。
97A−050
差出人:鬼塚 公志
送信日:97年9月23日
宛 先:杉山 野中 林 山本
件 名:ゴミ焼却について
こんにちは、鬼塚です。
ゴミ焼却のことでひとこと発言します。数日前の朝日新聞にゴミを900℃以上で焼却するとダイオキシンは発生せず、焼却灰の総量が減るという記事がのっていました。(読み直すとなかったのですが、多分朝日新聞だったと思います・・・・(^^;; )
この記事からもゴミを高温で焼却することはいいことだと思います。ドイツ人が日本を訪問して家でゴミを燃やしているのを見てびっくりしたそうですが、今までが何も考えずに焼却していたことが、ゴミに対する問題提起ができたのですから。
茨城県の鹿島臨海工業地帯ではゴミ発電を始めるそうです。家庭ゴミを加工して作った固形化燃料(RDF)と産業廃棄物を焼却して毎時3000キロワットの電力を作り、これを売電することで年間2億円の収入を見込んでいるそうです。RDFは完全燃焼し、ダイオキシンなどの有害物質の発生割合を低く押さえられるようで、三重県でも計画されているようです。
ここまでは、いいようですが、私は次の段階を危惧します。塩素が完全燃焼すると塩化水素が発生して酸性雨の原因にならないか?焼却灰が減っているということは、二酸化炭素の多量発生で地球温暖化が進行が早まるのではないか?鉛(沸点356.7℃)、カドミウム(沸点764.3℃)などの金属蒸気の人体への影響はないのか?などダイオキシン問題が終わってもゴミ焼却の問題はこれからも解決していかないのではないかと思います。
結論としては、リサイクルしかないと思います。回収・再生品化のルートの確保をどうするか、費用の負担をどうするか、リサイクルとリサイクル製品を使用するという市民の認識をどう高めていくかという問題は残りますが、ゴミ問題の解決のためにはリサイクルしかないと思っています。
97A−051
差出人:鬼塚 公志
送信日:97年9月23日
宛 先:杉山 野中 林 山本
件 名:ながさき物理まつりに行って来ました
今日、長崎大学で「ながさき物理まつり」が行われましたので、いってきました。これは、長崎大学教育学部が毎年行っているまつりで今回で7回目になります。佐世保から長崎まで2時間かかりますが、長崎県では、理科関係の行事が行われることがほとんどありませんので、何か今後のヒントになるものがあればと思ったからです。
内容的には「いきいき物理わくわく実験」新生出版の内容のものが多かったですが、光通信、モンキーハンティング、綿菓子製造器、スプーン曲げ、手作り蓄音機など実際みると面白いモノばかりでした。物理ということでしたが、小・中学生がイキイキとした目をして説明している人の話を聞き入っているの姿をみると、これからも頑張ろうと思いました。
それでは。
97A−052
差出人:鬼塚 公志
送信日:97年9月23日
宛 先:杉山 野中 林 山本
件 名:個人データベースについて
こんにちは、鬼塚です。
山本さんは、新聞のスクラップなどをスキャンしてhtmlに変換するしてるのは、すごいですね。私も切り抜き速報「科学」を購入していますが、やはり授業等で生徒に紹介するには新聞の切り抜きが一番のようですね。これを文字にして保存しておくと後で自由に変形して「通信文」などに紹介できるということですよね。私も頑張ってみようかなと思っています。
さて、山本さんがOCRソフトがたびたびフリーズするということですが、多分設定を変えるとなくなるのではなきかと思います。保存の時にテキストファイルで保存すると、一太郎など他のソフトでも読めると思います。一太郎の場合、「.」を「。」に直したりするなど同じ間違いの箇所は一括変換ができます。この前新聞をスキャンしましたが、打つのが早いか、スキャンして直すのが早いか悩みましたが、スキャンして直すのは見直しをしてるんだと自分で納得してやっています。
先日理科メーリングリストに過去のメールが読めるという検索エンジンの紹介がありましたので、管理人の高橋純さんに連絡をとって聞いてみました。理科MLの検索エンジンはUNIXというOSの上でないと動かない。しかも単なるperlのスクリプトだけではなく、いくつかのソフトのインストールが必要ということでした。ベクターの「PACK for WINGOLD」を購入して、DOS版のperlを入れて動かそうとしたのですが、UNIXの言語なので簡単にはいかず諦めてしまいました。そのうち、いいソフトが開発されることを願うばかりです。
それでは。
97A−053
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月24日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:RE:ネルンストの式について
今晩は、山本です。
9月22日付けの林さんのメールに、pH14での
2H+ + 2e- = H2 {1}
の電位と
2H2O + 2e- = H2 + 2OH- {2}
の電位が同じになることが書いてありました。私には、それがなぜ面白いことなのかすぐには分かりませんでしたが、やっと気づきました。{1}の反応式を逆に書いてみますと(平衡状態だから逆反応のも起こっているはずなので)
H2 → 2H+ + 2e-
となりますが、ここで生成されたH+はアルカリのOH-と反応するはずです。両辺にOH-を2個ずつ補ってみますと
H2 + 2OH- → 2H+ + 2OH- + 2e-
これは
H2 + 2OH- → 2H2O + 2e- {3}
ですから、{2}の式になるので、当然電位も同じになるのですね。電極電位を考えるには、反応に関係する分子やイオンをすべて含めた反応で考えなければならないということでしょうか。そういう意味でも、私がボルタ電池の初期に起こっていると考えている反応の電位を表すネルンストの式は、林さんのいうとおりにすべきでしたね。
ところで、林さんは{1}式が中性の水で起こる場合の電位を0.413V、{2}式の電位を0.826V、と書いていますが、正しくは−0.413V、および−0.826Vではないでしょうか。E=0.059log[H+]の式で計算してもそうなりますし、化学便覧で確認しても「−」がついています。
この−0.826Vという値は、かなりですね。イオン化傾向でいうと、アルミと亜鉛の間に入ります。水素のイオン化傾向が、pH14の溶液では、アルミと亜鉛の間にくるというのは驚きです。これを使った電池が、酸アルカリ電池ですね。片方の溶液は酸性、もう一方はアルカリ性にしておいて、両液に白金電極をいれ、両方に水素ガスを吹き込みます。そして塩橋でつなぎ、電極どうしを導線でつないだものです。酸性側がpH1なら電位は0V、アルカリ側がpH14なら電位は−0.826Vですから、電子はより−であるアルカリ側から、より+である酸性側へ流れます。つまり、アルカリ側では{3}の反応が起こって電子が放出されると同時に、OH-が減少。酸性側では{1}の反応が起こって電子がH+に奪われ、同時にH+が減少します。こうして、両極で中和が進行しながら、電流が流れるわけです。もっとも、この電池は実用的なものではないようですが。
では。
97A−054
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月24日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:ニトロベンゼンでOKでした
こんばんは、山本です。
水に溶けず、水よりも重い油について、林さんからニトロベンゼンが使えるのではないかというアイディアをもらいましたので、今日、さっそく学校で試してみました。はじめにニトロベンゼンを試験管の底から2cmくらいの高さまで入れ、その上に水を5cm、さらにヘキサンを5cmくらい入れて、ヨウ素を加えると、ちゃんと上と下の層にヨウ素の色が付きます。さらに、ゴム栓をして激しく振りますと水とそれ以外の2層に分かれました。成功です。林さんありがとうございました。
では、また。
97A−055
差出人:林 正幸
送信日:97年9月25日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:「防虫剤の化学」について
こんばんは、林です。
鬼塚さんが、生徒のために駆けずり回って色々な実験を教材化していることに、改めて敬意を表します。ひるがえって私はと言えば、この点で少々疲れています。
さて今回まとまった「防虫剤の実験」は面白い試みだと思います。「身近なもので、素朴に化学する。」忘れてはならない、化学教育の原点です。そして私は総花的になりがちですが、もうひとつの極に、特定の物質をしつこく追いかける手法がありますね。またよく文献調査がなされていて、参考になることがたくさんありました。
「防虫剤は何の仲間」では
(1)手触り
(2)親水性、親油性
(3)比重
(4)電導性
を、食塩と比較して取り上げています。私もこれから親油性にパラゾールなどを加えたいし、灯油と水に対しする比重も面白いですね。ただし、樟脳は「無極性分子」でしょうか。それから実験のまとめですが、前提としてイオン性、分子性、金属性と溶解性、電導性の関係が学習されているのでしょうか。なお、樟脳を溶かした灯油を加熱すると「上部に白いものが」というのは、何を表しているのでしょうか。温度が高くなると、樟脳は溶解しにくくなるのですか。
「防虫剤のシミ〜凝固点降下」では
(1)凝固点降下
(2)3種の防虫剤の見分け方
を取り上げています。フイルムケースはパラゾールで溶けないのですね。いつぞや、似た実験にポリコップ(ポリスチレン製)を使ったら、穴があいてあわてました。識別についてですが、どこかでバイルシュタインテストがやってあるのですね。でもせっかくなら、比重や融点も利用することにしてはどうでしょうか。実験のまとめにある「液状化」という言葉は誤解を招くと思います。
「昇華と樟脳船」では
(1)昇華
(2)燃焼テスト
(3)樟脳船
を取り上げています。昇華の実験は演示実験ですか。私は、ヨウ化カリウム、二酸化マンガン、硫酸でヨウ素をつくり、それを昇華させる実験を生徒にやらせていますが、温度制御が難しいですね。そのあたりがよく研究されています。それから、樟脳は石けんと同じで一種の界面活性剤でしょうか。どうも樟脳船の動力は、表面張力だけではないようにも思えます。
「クスノキから樟脳を取り出す」は
(1)天然物からの物質の分離
ですが、得られる量が少ないものの、生徒をこの演示実験に注目させることができれば興味を覚えると思います。生徒実験に組み替えるのは難しいですか。そして実験のまとめですが、リービッヒ冷却器の水の向きは主に冷却効率から来ていると思います。また水蒸気蒸留ですが、水蒸気の大きな留出速度に乗って樟脳が運び出されることが重要です。
以上、感想や疑問を書いてみました。ではまた。
97A−056
差出人:鬼塚 公志
送信日:97年9月27日
宛 先:杉山 野中 林 山本
件 名:メール交換の偶然性
こんにちは、鬼塚です。
先日、山本さんと林さんのメールを読んで、これがメール交換のすばらしいところではないかと思いました。
山本さんは「四塩化炭素の代用品は?」ということで林さんが「ニトロベンゼンではどうか」と答え、それに山本さんが「ニトロベンゼンでOK」という回答を寄せました。その同じ日に林さんから「防虫剤の化学」への感想や疑問のメールがありました。その中に「パラゾールとナフタレンの識別についてですが、どこかでバイルシュタインテストがやってあるのですね。でもせっかくなら、比重や融点も利用することにしてはどうでしょうか。」という指摘がありました。 ここまでで多分気づかれた方もいると思いますが、次のような識別の方法を考えました。試験管にニトロベンゼンを5cmほど入れ、静かに水を5cmほど加える。それに砕いた樟脳、パラゾール、ナフタレンを加える。3種類の防虫剤は分かれるはずです。比重はそれぞれニトロベンゼン1.2、樟脳0.99、ナフタレン1.15、パラゾール1.46なので分かれると思います。ニトロベンゼンへの溶解も考えられますが、入れてすぐに浮くか沈むかで判断するのであまり考えに入れなくても良いのではないかと思います。
残念ながら、昨日ニトロベンゼンを探しましたがありませんでした。今年の12月18日に新校舎への移転が行われるために本年度は新しい物は買えないため実験できません。来年度チャレンジしてみたいと思います。
今回のことを通してこれこそメール交換のすばらしいことだなと実感しました。
97A−057
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月27日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:パラジクロロベンゼンの発ガン性について
こんばんは、山本です。
鬼塚さんの防虫剤の実験と直接関係はないのですが、パラジクロロベンゼンの発ガン性について、最近、新聞報道されましたので送ります。最初の4行は見出しです。この記事を読んで、うちにあるパラジクロロベンゼンを捨てようと思っています。
<以下、新聞記事>
厚生省「発がん性なし」
濃度O.1ppmまで毒性現れず
市民団体
規制強化を申し入れ
防虫剤などに使われている化学物質パラジクロロベンゼンの安全性を調べていた厚生省はこのほど、人間への発がん性はないとの報告をまとめた。同時に、一生呼吸で吸い続けても毒性が現れない「耐容平均気中濃度」を○・一ppmと設定した。しかし、農薬問題に取り組んでいる市民グルーブは、普通に使っていてもこの濃度を超えることがあるとして、家庭用品には使用禁止にするよう同省に申し入れた。
パラジクロロベンゼンについては、労働省が昨年十一月に行ったマウスなどを使った実験で、初めて発がん性があるとされて問題になった。最近はにおいがしないピレスロイド系防虫剤の割合が増えているが、それでも年間約二万九千トンのパラジクロロベンゼンが生産されている。防虫剤やトイレの消臭剤として家庭でも使われているため、厚生省が三月から家庭用品専門家会議で安全性を評価してきた。会議では、様々な研究機関の報告を墓に再評価。その結果、労働省の実験で認められたマウスの肝臓がん発生についてはマウスだけに起きることで、人への発がん性はないと結論付けた。
また、マウスやラットにパラジクロロベンゼンを吸入さ。せた各機関の実験データから、一生涯吸い続けても肝臓やじん臓の障害、鼻の粘膜の炎症が起こらない耐容平均気中濃度を設定、人間に換算してO・一ppmと定めた。しかし、厚生省が集めたパラジクロロベンゼンの室内濃度の実測データの平均値はトイレでO・六〇九ppm、寝室でO・三三二ppmなど、今回の設定濃度を超えている。実際に主婦十五人に測定器具を着けてもらって調査した結果でも、濃度はO・〇三ppmから○・五四五ppmと幅があり、平均値がO・一一八ppmと設定濃度をやや上回った。厚生省では家庭でのパラジクロロベンゼンの使用がすぐに「重い健康障害を引き起こす恐れはない」が、使用実態や生活習慣などにより高い濃度を浴びることもあるため、換気して室内の濃度を低減するよう提言。低濃度で長期間にわたって吸い続けた場合の健康への影響や一般住宅での濃度の実態調査を行い、必要があれば住宅内での使用の基準値を設ける考えだ。
こうした厚生省の報告に対し、日本子孫基金(東京)は検討結果には問題があるとして規制強化を申し入れた。北里大学医学部の宮田幹夫教授のモルモットを使った研究で○・O〇三二ppmでアレルギー性結膜炎を悪化させるとの結果が出たことをふまえ、人間の場合は安全のため耐容平均気中濃度をさらに低い0・000三ppmに改めること。さらに実際の室内ではかなり高い濃度になるため、衣料用防虫剤やトイレ消臭剤としては使用禁止にすることが必要だとしている。
(1997,9,17 読売)
97A−058
差出人:野中 直彦
送信日:97年9月20日
宛 先:鬼塚 杉山 林 山本
件 名:2週間ぶり
2週間ぶり
やあ、みなさんお元気ですか。私は、忙しかったわけではありません。
プロバイダ−の変更についていってなかったのでメ−ルサ−バ−を変えていないことによって、2週間あまりのメ−ルがたまっていました。話が深く潜行していてついていくのにやっとです。
紅花によるショッキングピンク染めに生徒実験ではじめました。黄色ももったいなと思っています。10月31日のレポ−トで伝えたいと思っています。
また、いろいろと教えてください。
97A−059
差出人:山本 喜一
送信日:97年10月2日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:ニトロベンゼンと水、そして防虫剤
今晩は、山本です。
鬼塚さんのアイディアである防虫剤の浮き沈みですが、うちの学校に材料がそろっていましたのでやってみました。試験管にニトロベンゼンを3cmくらい入れ、その上に水を10cmくらい乗せました。まずパラジクロロベンゼンを入れますと、底まで沈みます。次に、ナフタレンを入れると、ニトロベンゼンと水の境目で止まりました。「いいぞ」と思って、最後に樟脳を入れたところ、これもニトロベンゼンと水の境界まで沈んでしまいました。そして、見ている間にニトロベンゼンに溶解していきました。「おかしいな」と思って、気づきました。水の表面に、ニトロベンゼンが油滴になって残っていて、樟脳はまずそれに溶解し(樟脳がニトロベンゼンの油滴を吸収し)、比重が大きくなって沈むのではないかと思ったのです。試験管を上からのぞき込んでみますと、案の定、ニトロベンゼンの油滴が見えました(ニトロベンゼンの上に水を入れるとき、水道の蛇口からジャーと入れたからこうなったのかもしれません)。そこで、試験管にもっとたくさんの水を入れ、口から水をあふれさせて表面の油滴を流し、もう一度樟脳を入れてみました。すると、今度は成功。樟脳は水に浮きました。 3種の防虫剤のうち、樟脳はもっとも有機溶媒に溶けやすいのでしょうか。ニトロベンゼンやヘキサンにどんどん溶けますね。
97A−060
差出人:鬼塚 公志
送信日:97年10月3日
宛 先:杉山 野中 林 山本
件 名:防虫剤の溶解性
こんにちは、鬼塚です。
3種類の防虫剤の見分け方を山本さんにしていただいてありがとうございます。樟脳の比重は0.99なので、ちょっとしたことで樟脳の比重は変わるようですね。一旦水をあふれさせて樟脳を入れるという指摘までしていただきありがとうございます。
樟脳は、有機溶媒に溶けやすいようで、灯油にも他の防虫剤と比べると一番早く溶けました。これは、構造的な物なんでしょうね。
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