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97A−211
差出人:林 正幸
送信日:98年4月15日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 山本
件 名:密度の計算

こんばんは、林です。
 今日は比例計算について書きます。1年で、アルミニウム、鉄、銅のついて知っていることを上げさせる中で、密度に触れるついでに、練習のつもりで次の問を出してみました。
 「1円はアルミニウムでできており、その質量は1g、半径は1cmである。ではその厚さはどれだけだろうか。」
備考:密度が2.7g/cm3であることは先に示してある
 ところが生徒には意外と難しそうです。比例計算は思考の基本的道具ですから、もっと慎重に取り上げるべきだったと反省しました。もちろんチャンスはこれからいくらでもありますが・・・・。
 改めて考えてみると、次の2つの理解の仕方があるように思います。
レベル1
 アルミニウムの密度が2.7g/cm3であるということは、
2.7gが1cm3の体積を持っている、あるいは1cm3が2.7gの質量を持っている
ことを表している。
 そしてさらに
     5.7g  が  2cm3      あるいは  2cm3  が  5.7g
     8.1g  が  3cm3      あるいは  3cm3  が  8.1g
    10.8g  が  4cm3      あるいは  4cm3  が 10.8g
     また
     1.35g が  0.5cm3     あるいは  0.5cm3 が  1.35g
     など
2つの量が正比例の関係にあることを意味している。
 それはアルミニウムにおいては質量と体積の比、つまり
    質量/体積 = 2.7/1 = 2.7 で一定である、
あるいは体積と質量の比、つまり
    体積/質量 = 1/2.7 = 0.37 で一定である
ということである。
 だから1円の厚さをh[cm]とすると、hが分った数値であるとして1gのアルミの体積がπr2×h=3.14h[cm3]である。
したがって
    1[g]/3.14h[cm3] = 2.7/1 = 2.7
という関係式が成立する。
 あるいはπr2×h=3.14h[cm3]のアルミの質量が1gであるから
    3.14h[cm3]/1[g] = 1/2.7
となる。
 あとは数学的に解くと
    h = 0.118[cm]
となる。

レベル2
 アルミニウムの密度が2.7g/cm3であるということは、1cm3当たり2.7gである。
1円の厚さをh[cm]とすると、その体積は3.14h[cm3]である、つまり1cm3に比べて体積が3.14h/1=3.14h倍である。
 だから1円の質量は2.7×3.14h[g]であり、これが実際には1gのはずだから
    2.7×3.14h=1
という関係式が成立し、h=0.118[cm]となる。

 私たちはレベル2で教えようとしがちだし、またレベル2で考えられるようになってほしい。しかしこうして書いてみると、レベル1の方がはるかに分かりやすいのではないでしょうか。我慢強くレベル1で教えることを基本にしてはどうか、と考えています。
 ではまた。


97A−212


97A−213
差出人:林 正幸
送信日:98年4月16日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 山本
件 名:33円電池の考察・感想

こんばんは、林です。
 2年理系は電池・電気分解からになっていました。これは私の得意分野、さっそく33円電池の実験で導入しました。2クラスの考察・感想をまとめてみると次のようでした。

33円電池の考察・感想
・こんなに簡単に電池ができるとは驚きだ。
・値段によってメロディの聞こえ方が違う。
・なぜ10円がプラスで、1円がマイナスになるのか。
・どれくらい電流や電圧なのだろうか。
・1円はうすくなっているだろう。
・10円のろ紙に触れている方がきれいになった。
・食塩や酢の量を変えたらどうなるだろうか。
・ほかにも電池をつくれるものがあるか試したい。
・アルミが銅よりイオン化傾向が大きく、2つとも電解質で電子が移動して電気が流れた。また食塩は電気 を通りやすくしている。
・銅が酢によって還元された。
・10円と1円の間に紙がはさまっていても、食酢と食塩が混ざった液をつけると電気が流れることが分っ た。
・なんでろ紙に電気が通るのか。
・食塩水やただの水でも音楽は鳴るのか。
・銅がプラスなのはイオン化傾向のためだろう。
・イオン化傾向を利用している。

 これなら「思考を引き出す授業」ができそうに感じました。ではまた。


97A−214
差出人:鬼塚 公志
送信日:98年4月17日
宛 先:風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 林 山本
件 名:Re:塩と備長炭を入れて洗濯?塩の役割は?

 こんにちは、鬼塚です。
 97年7月27日(日)朝日新聞朝刊に次のような記事が記載されていました。

<以下抜粋>
「木炭と塩できれいに」
 せっけんや洗剤を使わなくても、木炭と塩だけで洗濯できる−。京都市中京区で美容室を営む牧野裕子さん(37)が、木炭を使った独自の洗濯方法を工夫、近く市民団体が開く勉強会で講演する。”おはあちゃんの知恵”のようなやり方だが、専門家によると科学的根拠もあるようだ。
 牧野さんは以前、洗濯にはせっけんを使っていたが、「木炭を使えは洗剤やせっけんは不要」などの情報を本で知り、どうすれは良いのかを知るために専門家らを訪ねた。だが、具体的な方法が分からなかったたため、二月から自分で”実験”を繰り返し、全自動洗濯機でできる次のような方法にたどりついた。
 牧野さんは「”実験”を始めてまだ半年ちょっとですが、普通の洗濯物ならこれだけできれいに仕上がります」と話す。
 洗濯物ににおいが残るようなら灰の量を増やし、白さがやや足りないときは塩を多めにするという。「洗剤を使わないから排水が環境を汚染する危険性はぐんと減るし、ゆすぎを短くできるので水も電気も節約できます」
 使った灰はそのままでもいいが、一回ごとに干せば、より長期に使えるという。
 木炭と塩で汚れが落ちる原理について、京都大学木質科学研究所助手の野村隆哉さんは「灰のミネラル分は水分子の固まりを小さくして汚れとくっつきやすくする。また、炭が出す弱い速赤外線も汚れと水分子がくっつくのを助ける働きをする。塩は、ミネラル分を補う意味がある。原理的には不思議なことではない」と言う。
 八月の勉強会は七日午後二時から、大敗府高槻市の高槻現代劇場(阪急・高槻市駅)で。生活環境の向上を目指す市民団体LEC主催。五百円。問い合わせは東根さん(〇七二六−八ニー六三八〇)へ。
 −準備する物−
 六`の全自動洗濯機の場合、用意するのは竪めの傭良炭(長さ七センチ程度のもの)を四本と、スーパーなどで使っているトレーや発泡スチロール少々、いらなくなった靴下二足分、頭髪を縛るのに使うようなゴム、市販の塩。堅い炭をつかうのは割れにくいためだ。
 −洗濯の手順−
 @ まず、小きく切ったトレーや発泡スチロールで木炭をくるみ、靴下の先端部分に入れてゴムで口を縛る。靴下の余った部分は折り返し、二重、三重に炭をくるむ。(初回は炭を水洗いしてから)
 A 水に、@で作ったものを入れて浮くかどうか確認。浮かない場合はトレーや泡スチロールを増やす。沈むと底に当たって割れやすい。
 Bあとは塩を小さじ1杯加えて洗うだけ。シャツの首や靴下など頑固な汚れが日立つ部分は洗う前に軽くせっけんでこするといい。
 −コツ−
 臭いが残る→炭を増やす
 白さが足りぬ→塩を多めに
<抜粋終了>

 だそうですが、少し疑問も残ります。以前読んだ本に水だけで洗濯した場合、80%の汚れが落ちると記載されていました。


97A−215


97A−216
差出人:山本 喜一
送信日:98年4月17日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 林
件 名:重くなる地球(5)

こんばんは、山本です。
 顕微鏡で見た流星塵がまん丸なのは、四ヶ浦さんが書いているように、ライターの発火屑が丸いのと同じ作用でできたものだと思います。流星塵は鉄分が多いのですが、地球に落ちるときは空気との摩擦で溶融し、輝きながら落下して、再び冷えて固まるときにまん丸になるようです。中には、中空の流星塵もあるようで、これなんかは火打ち石で金ノコの歯をたたいて、火花を飛ばしたときにできる丸い鉄の球とそっくりです。
 ところで、1年生の化学TBでこの前、質量保存の法則の実験をしたあと、質量が保存されるのは原子が保存されるからであること、そして、自分自身も原子でできていて、原子でできている食物を食べればそれだけ体重を増えることなどを説明しました。そして、「自分が死んだら体を作っていた原子はどうなるか。」という問題と、「地球を作っている原子は増え続けているか、減っているか、変わらないか。」という問題を宿題にしました。前者の答えとして多かったのは、「分解される」「土に帰る」というものでした。これらの答えは、動物や植物が倒れると、微生物が分解するという中学校の時の学習を思い出したものでしょう。高校1年のはじめの段階では、物質が分解されても、それを作っていた原子は残っていて、その次には他の物質を作るメンバーになるという話は、ちょっと難しいのかも知れません。それから、後者の答えとしては、生き物が生まれるので原子も生まれているという答えも見受けられました。また、人間がロケットを飛ばすと、それだけ地球の原子が少なくなるということを発見して喜んでいる生徒、水分が蒸発するので原子が少なくなると考えた生徒などさまざまでした。まあ、あせらずにひとつひとつの事実を積み重ねて、そのうち、自分が死んでも原子は残るということや、地球の原子はさまざまな化合物を作りながらも、リサイクルされていることを納得できるようにしたいと思っています。


97A−217
差出人:山本 喜一
送信日:98年4月18日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 林
件 名:学期はじめの授業

今日は、山本です。
 林さんから、毎時間の授業にかける意気込みや、新鮮な生徒の反応などが送られてきて、とても刺激になります。私の方は、今の学校に10年いますので、なんだかマンネリ化してきたような感じです。
 今年の授業は、以前メールにも書きましたように、化学(化学物質)が社会に与えている影響について考えさせようと思っています。そこで、授業のはじめから今まで、色々な資料を配って、ちょっとずつそれに触れています。まず、1枚目のプリントに化学TB(化学U)と大きく書いて、その下に地球カレンダーの図を載せました。地球46億年を24時間に短縮したら、何時ごろ何が起こったのかという地学の資料によく出てくるあれです。それを配って、地球の歴史から見れば、ついさっき(23時58分43秒に)生まれたばかりの人間が、あっという間に大繁殖して、今や気候まで変えようとしていることを話し、これからはどうすればよいのかを、化学の授業を聞きながら考えてほしい、と訴えました。
 2枚目のプリントには、「化学とは何か。その目的は何か。」という問をもうけました。その答えは例年は「染料や繊維、医療品など、人間の役に立つ物質を作ること。そのために、物質の性質と構造を研究すること」だったですが、今年は「染料や繊維、医薬品など、人間の役に立つ物質を、環境に配慮しながら、作ること。」としました。
 新聞記事も、いくつか配っています。まず、4月9日の朝日新聞の記事「植物3万4000種、絶滅の危機」と、4月6日の読売新聞から「海草ソゾノハナにMRSA殺菌物質」です。この二つを一枚のわら半紙に印刷し、次のような話をしました。「今、人間が植物の8分の1にあたる種類を絶滅に追いやろうとしているという記事だが、もしかしたら、多くの植物がなくなってしまっても『かわいそうだ』と思うくらいかもしれない。『そんなのどうでもいいんじゃないか』と思っている人もいるかも知れない。でも、ソゾノハナの記事を読んでくれ。この海草は、人間が薬の使いすぎによって生み出したMRSAという細菌に対して、効果を持つ物質を用意してくれているんだと読めないだろうか。人間が自然を守るんじゃなくて、自然が人間を守ってくれているんだと言った人がいる。色々な植物や動物を絶滅に追いやるのは、人間が自分で自分の首を絞めている証拠じゃないだろうか。」生物学的には、多様な種が共存して始めて安定な生態系が成り立つ、だから植物や動物の種を減らしてはいけない、という言い方が本当でしょうが、たまたま、4月はじめにこの二つの記事が目に入りましたので、やや強引に、自然の大切さを述べてみました。
 次に配ったのは、去年の朝日新聞の「発ガン性の新犯人?」という記事と、4月15日の「川崎市のばいじん総量規制」(確か読売)です。化学TBで気体の授業をしたのですが、「気体は透明である」という内容から、「煙は透明でないから気体ではない」とつなげました。そして煙の中には、ディーゼル排ガスのように発ガン性を持っている粒子を含んでいるものがあるらしいことを「発ガン性の新犯人?」で示し、そういうばいじんを規制しようという動きがあることを「川崎市のばいじん総量規制」で知らせました。ついでに、この記事を使って濃度規制と総量規制の違いを話し、環八の黒いススも紹介しました。
 こう書きますと、始まってからまだ4、5時間しか授業してませんので、環境のことばかりしゃべっているように聞こえるでしょうが、ひとつひとつの話は5分くらいで切り上げるようにしていますので、毎時間ちょっとずつ触れているという感じです。そのちょっとずつが積み重なってくれれば、と思っています。ただ、今のところはこちらから一方的に話しているだけなので、生徒の反応や考えは分かりません。そのうち、感想や意見を書かせる機会を作りたいと思っています。
 なんだか、長いメールになってしまいました。では、また。


97A−218
差出人:山本 喜一
送信日:98年4月21日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 林
件 名:銅鍋は毒ではないのか?

今晩は、山本です。
 最近、確か読売新聞にアルミとアルツハイマーの因果関係を書いた記事がありました。そのコピーを見ながら、研究室で雑談していたところ、同僚がこんなことを言いました。「アルミもいろいろいわれているけど、銅の方は、例えば、台所の流しのアミや三角コーナーなんかに使うと、ぬめりの原因になる細菌などが繁殖しないといわれていますよね。そんな殺菌力があるのに、銅の鍋は人間の体に害はないんでしょうか。」
 銅がイオン化して、殺菌作用を発現するとしたら、銅の鍋で料理をしている間にもイオンになって溶けだして、人体に悪影響を与えそうですよね。それとも、銅の殺菌作用というのは、銅という金属そのものが持っている力なんでしょうか。この辺のところで、何か情報を持っている人はいないでしょうか。
 ちなみに、金も微粒子にすると触媒作用を持つようになるそうですね。炭素繊維の表面に、酸化鉄と金微粒子を付着させたものを、ゴミ焼却施設の排ガスフィルターに取り付けることによって、ダイオキシンが99%分解できた(大阪ガス)という新聞記事が4月16日の読売にでていました。金は不活性と決めつけるわけにはいきませんね。
 では、また。


97A−219
差出人:林 正幸
送信日:98年4月22日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 山本
件 名:生徒からのメッセージ

おはよう、林です。
 頑張っていますが、かなり疲れています。昨夜も夕食を準備した後やっと、今日理科会に提案するメモを作って11時前には寝てしまいました。そいて今は6時すこし前、せっかくの時間を活かして送りたかったメールを書きます。
 生徒たちは反応してきています。そのメッセージを受け取るひとつの手段に「授業ノート」があります。3年の一方のクラスが次のように書いてきました。
 「まるで初めて勉強したような感覚だった。勉強をがんばって取り組んでゆこう。」
 「今まで化学は大っ嫌いで授業を聞いても、どうしてこうなるのかなあとか、疑問だったというか、仕組みが分らなかったけど、今日の授業を聞いて「おおー、そうか!」と、とてもよく分った。少し化学に興味がわいてきたような気がする。
 (知りたいこと)前の授業の先生の電気の実験で、先生が感電しなかったのは、先生が本当に電気に強いのか、あれは誰でも感電しないのか、トリックなのか、化学的な事なのかということ。
 先生が時々やられる実験(三角形など)はマジックなのか、そういう仕組み(科学的なもの)なのかということ。種あかしをしてくださーい。気になります!」
 「風で重力が消せるという実験はすごかった。どうやったらあんなふうになるのか知りたい。」
 「(納得したこと)ボールを投げ上げた時に宇宙から見たら・・・という図は、あーそうかと思った。言われてみてはじめて気がついた。
   私は分子の熱運動による運動エネルギーと、その物体自体がもつ位置エネルギーは、全く関係のないものだと思っていたし、位置エネルギーが存在するのだと改めて確信した。
 (知りたいこと)実験でやった重力がなくなるっていうのはおもしろかった。何か本当に無くなったかのようにフワフワ浮いて・・・でも実際になくなってる訳じゃないと思うし・・・? 不思議です。
 先生は毎時間どうしてっていうのばかりやって、頭が混乱してしましそう・・・? ベルトのやつも、説明して欲しいです。」
 ではまた。


97A−220
差出人:鬼塚 公志
送信日:98年4月23日
宛 先:風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 林 山本
件 名:Re:銅鍋は毒ではないのか?

 こんにちは、鬼塚です。  「中毒百科」南江堂のp174に次のような記述がありました。一部のみと考えたのですが、事例などが授業等で使えそうなので全文載せます。銅の体に及ぼす原因は後半部分に出てきます。 「読んdeココ!!」で読み込んだもので、若干変換がうまくいってないかもしれません。 −引用開始−  水銀剤が残留性のため使用禁止になった現在,農薬として使われている重金属は,銅,スズ,亜鉛である. ジチオカーバメート系殺菌剤には亜鉛,マンガン,ニッケルが化合物として含まれていて,場合によってはこれらの金属が中毒の原因になる。  殺菌剤として現在使われている銅剤を表1に示す。  銅イオンは植物に薬害をおこしやすいので,石灰を加えたりなどして緩衝作用を持たせて使用することが多い。硫酸銅と石灰との混合液(ボルドー液)は19世紀末フランス・ボルドー地方でブドウのべと病の殺菌に使われて以来のものである。  硫酸銅が吐剤として使われたことがある.1%水溶液250mgの内服で15分以内に嘔吐が始まり,催吐率は98%と高く,2〜10回繰り返して吐く.しかし,硫酸銅自身毒性が高く,吐剤として使って死亡した症例も報告されている.わが国では吐根シロップが発売されていないため,現在なお硫酸銅を使っているところがある.  硫酸銅の用途は広く,農薬,電気メッキ,蓄電池の電解液,殺菌剤,食品添加物,染色,色素製造,皮革なめし,花火,防錆,木材防腐などに使われている.木材防腐剤(CCA剤,P.172)には,硫酸銅のほか酸化銅(CuO)が入っているものもある.  われわれのところで,最近2年間に硫酸銅中毒を4例経験した.全国では,1984年以降5年間に15人が死亡している.インドでは,病院によっては中毒患者の1/3が硫酸銅中毒だという報告もある.1984年10月愛知県で,硫酸銅に催吐作用があると教わった中学2年生が,理科実験のとき持ち出した硫酸銅を教師の給食に入れて体調の変化を観察していたという事件があった.このときは2人の教師が,いずれも下痢症状をおこしたにとどまった.1988年1月,56歳の男性が陶芸用に使う炭酸銅を飲んで8時間後に死亡した.  銅容器に飲物などを数時間入れっぱなしにしておくと,銅イオンが溶出して銅中毒をおこすことがある.酸性やアルカリ性が強い液体のときおきやすい.外国では brass pot poisoning として知られている.1977年米国で,炭酸飲料に使う 二酸化炭素が水道管に逆流していたため,水道水に銅が溶け出し,この水を使った炭酸飲料を飲んで,急性胃腸炎の症状を出した人が集団発生したことがある.  わが国では緑青の中毒が古くから知られている.成分は炭酸銅,酢酸銅,硫酸銅などで,それぞれの毒性はまちまちであるが硫酸銅のそれと大きくかけ離れていない.緑青としての中毒量は3〜10gといわれているから,硫酸銅よりは毒性が低いことになる.かつて言われていたように、猛毒として恐れるほどのものではない.銅鍋でカレーを作り1日おいて,鍋の縁が緑色になっていたのを気にせずにカレーライスにして食べたあと,嘔吐,腹痛など中毒症状を訴えた一家があった.銅製調理器具は調理器具であって保存容器ではない.銅中毒の症状で死亡した女性の胃の中から,コイン275個930gが発見された(Yelin 1987).  1989年11月19日から20日にかけて,北海道石狩管内広島町の養魚池で,9万匹のヤマべとドナルドソンが死亡した.原因は養魚池の水源上流にあるゴルフ場で散布したキノンドー水和剤(有機銅,オキシン銅)が雨で流れ込んだものとわかった.養魚池の水の有機銅濃度は0.123ppmで,これはコイの48時LD50 0.18ppmに近い値である.銅剤は魚毒性がB〜C類と高い部類に属する.  殺菌剤としての鋼の作用は鋼イオンが,直接あるいはオキシン銅のようにキレート化合物として細胞内に入って,SH酵素を酸化または不溶化してこの酵素の活性を阻害することによる.しかし経口中毒など高濃度の銅に晒された場合には,蛋白の変性や腐食作用など局所症状が表に出る.5%以上の濃度の炭酸銅,塩酸銅,10%以上の硫酸銅は,5%以上のフェノール,クレゾール,ホルムアルデヒドに匹敵する腐食作用を持っている.皮膚に付いたり眼に入ったりすると強い刺激症状が出る.銅のフュームを吸入すると亜鉛熱(p.42)と同じ症状が現われ,化学性肺炎,肺水腫をおこすことがある.  高濃度のものを飲むとただちに激しい嘔吐が始まる.胃小腸壁への銅イオンの直接刺激作用と収れん作用による.水銀塩は金属の塩のうち一番腐食性が強いが,銅塩は中等度の腐食性と収れん性をもつ.嘔吐のほか,腹痛,胸部灼熱感,下痢がみられる.吐物は青緑色をしているのが特徴である.内視鏡では胃にびらん,出血,潰瘍がみられる.口腔内に金属味を感じる.250mg飲んで吐けば,普通全身中毒にまでいたらないが,1g飲めば吐いたとしても全身中毒になる.水銀の場合には,腎障害が著明で肝障害は目立たないが,銅塩の場合には肝障害がおきる.第2〜3病日に黄痘が現われ生検で中心壊死がみられる.われわれの4例では3例に黄痘がみられた.腎機能では,BUN,クレアチニンの上昇はほとんどみられなかったが,初期に血尿,蛋白尿が全例にみられた.乏尿や無尿は,24〜48時間後にみられるのが普通で,これは銅イオンの直接作用によるものもあるが,次に述べる溶血に原因する腎障害であろう.  典型的な溶血性貧血が2例にみられた.金属は,ヘモグロビンの2価の鉄を3価にしメトヘモグロビンをつくるが,この結果,還元型グルタチオンが不足し,赤血球内の糖代謝が障害されて溶血をおこす.低血圧もおきるが水銀塩ほど著しくはない.銅の心毒性によるものと考えられている.痙攣や昏睡もみられる.昏睡は銅の作用というより尿毒症などによる二次的なものであろう.

97A−221
差出人:山本 喜一
送信日:98年4月23日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 林
件 名:銅鍋は毒ではないのか(2)

今晩は、山本です。
 鬼塚さん、さっそく調べてくれてありがとうございます。やはり、銅イオン(または銅イオンの錯体)が体内に入ると、悪いことをするようですね。
 細菌や、カビなどに対してもやはり銅イオンなのでしょうか。以前、金属粉を作る工場を見学したとき、説明してくれた人が「ここで働くと水虫が治るよ」と言っていました。銅粉が、はいている長靴の中に入り、いつの間にか水虫の菌をやっつけてくれると言うのです。私も長年、夏になると、ほんのちょっとだけ水虫ができます。ある時、靴下や靴の中敷きに銅粉を付着させて生活したら、自分の水虫も治るのではないかと考えたことがありました(銅粉は学校にありますし)。でも、中毒を起こしたらまずいなと思って、実行はしませんでした。もし、銅粉で水虫が治って、体にも害がないのなら、とっくに製品化されているだろうしね・・・。でも、金属粉製造工場で働いている人たちに影響がないとしたら、大丈夫なんでしょうか?


97A−222
差出人:林 正幸
送信日:98年4月27日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 山本
件 名:先生、いい味だしてるね。

こんにちは、林です。
 今日は2ついいことがありました。ひとつは「授業ノート」(感想)である生徒が次のように書いてくれました。
「先生の授業はすごくわかりやすいです。先生のキャラクターが好きです。いい味だしていると思います。この調子で1年間よろしくお願いします。科学ってどうしても”ムズカシイ”というイメージがあってナカナカ好きになれないんですが、がんばります。」 これは3年でむずかしいと言われている理系クラスの生徒です。
 その同じクラスの最初の時間からいきなり「内職」をしていた生徒が、授業が終わったら「先生、ビーチボールって揚力でしょう」と話しかけて来ました。実際には誤解もあったのですが、色々説明していくと、「三角形もよう分からんけど・・・・・」と話が続いていきました。投げかけたことをまともに受け止めているのです。
 こういう生徒からのメッセージは疲れが吹き飛びますよね。昨日はやっとの思いで、溜っていた皆さんのメールをホームページに掲載しました。生徒の言葉を励ましに少しずつペースができていくように感じています。
 ではまた。


97A−223
差出人:山本 喜一
送信日:98年4月29日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 林
件 名:原子ありき

こんばんは、山本です。
 林さんは、4月12日付のメールで、”教科書は始めに原子ありき、そして「こういうものだ、ああ いうものだ」としか書いてないのす。”と述べています。ちょっとドキッとしました。私は「原子ありき」でよいと思っていましたので、今年の授業も最初から原子・分子を持ち出して進めています。前にも書きましたが、まず食塩の溶解や沈殿反応、気体が発生する反応などで、質量が保存される実験を行い、そうなる理由は原子は分子が消えたりうまれたりしないからだと言ってしまいました。その後も、メタノール風船や食塩の溶融、そして液体窒素の実験を行い、それらの結果をすべて、原子・分子のふるまいで説明して進めています。
 生徒のレポートには、「今まで疑問に思っていたことがすっきりわかった」とか、「身の回りに原子がたくさんあることがわかった」などの感想が多くあります。でも、これでよいのかと思いはじめました。林さんがいつか話していたように、「これはこういうものだ」と教え込んで、それを使っていろいろな現象を生徒に考えさせるというのは、宗教ではないか、と思うのです。宗教も、ある教義を天下りに与え、それに従ったものの考え方を要求するものでしょうから、同じですよね。こんな教え方をしていたんでは、オーム教とか、いつか野中さんが書いていたヤマギシなどに簡単に洗脳されてしまう人間を作ってしまっているかもしれない・・・。
 では、どうすれば良いのか。その答えになりそうな実践は、残念ながら見たことがありません。生徒に、目からうろこが落ちるように、ものを分からせたという実践はたくさんありますが、目からうろこが落ちるように、科学的な考え方を与えたという実践を見かけたことがないのです。とりあえず私が今考えていることは、どこかの単元で「これはこういうものだ」という何かを与えて、それを使って実験させ、いったん納得させてから、それに従わない別のものを出してきて、「正しいと思ったことも、それに当てはまらないものがあったときは捨てて、より深く広い見方を探さなければならない」ことを体験させようかと思っています。
 あまり自分でもまとまってないことを、しかも、「科学的な考え方」などという人によってとらえ方が違う言葉を使って書いてしまいましたので、意味が通じないメールになっていると思いますが、でも、なにかこの辺のことでお考えがありましたら、聞かせてください。


97A−224
差出人:山本 喜一
送信日:98年4月30日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 林
件 名:液体窒素で窒素ガスを冷却すると

こんばんは、山本です。
 今日、液体窒素の実験があったのですが、少し余りました。ふと気がついて、放課後、窒素ガスを液体窒素で冷やしたら、どうなるだろうかと思って、実験してみました。台所用ポリ袋の口にガラス管つきのゴム栓を輪ゴムでしばりつけ、その中にボンベから窒素ガスを吹き込みました。そのゴム栓を試験管の口にしっかり押し込んで、試験管部分を液体窒素で冷やしてみました。どうなったと思います?1〜2分後、試験管を液体窒素から上げてみますと、底のほうに少し、白く濁った液体がたまっていました。青い色はついていませんでしたから、はじめに試験管の中に入っていた酸素が凝縮したのではなさそうです。でも、白い濁りは、試験管に入っていた空気中の水蒸気や二酸化炭素が固体になっているためでしょうから、疑念を晴らすために、今度は、試験管の中の空気を追い出してやってみることにしました。窒素ボンベにストローのような細いプラスチックパイプをつけ、その先を試験管の底まで入れて、シューと噴射して空気を追い出し、すぐ、窒素ガス入りのポリ袋をつけて、冷やしてみました。しばらくして試験管を出してみますと、今度は無色透明な液体が試験管の底にたまっていました。ポリ袋は、ある程度小さくなっていましたが、ペチャンコにはなっていません。窒素が一部、凝縮したのです。
 考えてみますと、−196℃の液体窒素は1気圧の窒素ガスと平衡状態にあるわけですから、こうやって、窒素ガスを1気圧に保ちながら冷却すれば、一部は液体になるのは当たり前ですよね。
 液体窒素を空き缶に入れると、回りの空気が冷やされて、しずくが落ちてきます。その成分が何なのかは大阪のほうの大学入試に出ましたね。しずくの成分としては、水、二酸化炭素、酸素は考えられますが、窒素が含まれているかどうかは議論のあるところだと思います。もし、缶の外側が−196℃まで冷えているのなら、しずくの中に液体窒素も含まれると思うのですが、どうでしょうか。


97A−225
差出人:林 正幸
送信日:98年5月1日
宛 先:鬼塚 風間 四ケ浦 杉山 鈴木 長野 野中 橋本 山本
件 名:実験をやるから分る。

こんばんは、林です。
   生徒が「授業ノート」に書いてくれました。
「実験の後の説明なので、先生が何を言っているのかわかるのでいい。」(ボルタの電池)
「かっせい炭はとりあえずすごいと思った。かっせい炭の吸着に関する秘密を知りたい。」(食紅を溶かした水に活性炭を混ぜてろ過する)
「毎回、毎回先生は私たちに興味を引く実験をやって下さって、見ているだけで楽しく勉強できます。そして、実験をやるたんびに1つ1つ、納得できたなあと思う。」
「再結晶のやり方が、より具体的に理解でき、納得できた。」
 さて、「思考を引き出す授業」は
(1)分りやすい
(2)疑問を産み出す
の2つが柱になるように思えてきました。
 (1)については、上記は実験が重要であることを示しています。しかしそれだけでなく、教えようとしている課題がはっきりしていることも大切です。(2)については、やはり実験や「不思議・驚き」を呼ぶ演示実験が重要ですが、常に生徒に質問を発していくことも大切です。
 思いつくことをメモしておくために、こんなメールを書いています。ではまた。


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