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97A−016
差出人:林 正幸
送信日:97年8月26日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:硫化ナトリウムと窒素酸化物について
こんにちは、林です。
野中さんが「製紙工場で硫化ナトリウムを漂白に使う」らしいと書いていますが、疑問があります。硫化ナトリウムは、クラフトパルプ法(現在の主流)でチップを黒液に浸けて蒸解してパルプを得るときの、黒液の主成分です。これはその過程で、硫化水素や各種メルカプタンになって、製紙工場の悪臭の根源です。この固体物質をどのように漂白に使うのでしょうか。
それから、鬼塚さんが、講演で「NOxがオゾンを破壊するのをくい止めている」という話を聞いたいう件です。光化学スモッグはオキシダント(酸化剤)ができて被害をもたらしますが、この過程で次の反応がくり返し起こると、勉強したことがあります。
NO2 + O2 ―→ NO + O3
2NO + O2 ―→ NO2
はじめの反応は光化学反応で、大気中では太陽光を吸収する。できたオゾンは大気中の炭化水素などを酸化してホルムアルデヒドなどができる。
こんなわけで、すくなくとも人間が発生させる窒素酸化物は地上付近を汚染したあと、その一部がオゾン層を回復する可能性はあります(どの程度かは知りません)。しかし評価はできません。
昨日、扶桑化学(東京)の「冷えっぺ」という商品が銀行のおまけで台所にありました。以前に登山用の緊急氷のうという似たものがありましたが、せっかくだからと学校で調べてみたら
水 50g
硝酸アンモニウム 62g
が入っていました。この数値はどこかで利用できそうなので紹介しておきます。
夏休みもあと数日になりましたが、私の「酸化と還元」の作文はあと電気分解を残すのみというところまで来ています。ここ2、3日でホームページに掲載しますので、いろいろ議論をしてもらいたいと思います。なお杉山さんにはメールで送ります。
ではまた。
97A−017
差出人:鬼塚 公志
送信日:97年8月26日
宛 先:杉山 野中 林 山本
件 名:文書検索について
こんにちは、鬼塚です。
以前、話題にあった文書の検索について報告します。先日「理科ML」で過去のメールの検索ができるということでそのソフトについて、「理科ML」の責任者の高橋純さんに尋ねてみました。そのソフトはソニーから提供されているフリーソフトで、これを動かすためには他にいくつかのソフトを読み込ませないといけないということでした。しかも、そのソフトはUNIXでしか作動しない。ここで行き当たりましたが、そのうち文書検索のソフトがWINDOWSで出されるのを待つしかありませんね。
WINDOSには、便利な機能があることを今日発見しました。(ご存知かもしれませんが・・・・)ここで、Bドライブの「yougo」というフォルダで「ザルツマン試薬」という記述があるファイルを探すとします。左下の「スタート」にポインタを合わせ「右クリック」。「エクスプローラ」を立ち上げます。(B:)をダブルクリック→yougoのフォルダをダブルクリック→yougo内のファイルが右側に出てくる。「f・3」→「その他」→含まれる文字列に「ザルツマン試薬」と打ち込み「検索開始」をクリックすると「ザルツマン試薬」を含んだファイルが検索されて表示されます。もしも、その内容を読みたかったら目的のファイル名をダブルクリックすると読むことができます。この方法はHTML形式に限らず、文書、表計算、データベースなどその語句を含むファイルを一覧できるので便利です。みなさん一度試して下さい。残念なことに絞り込みや検索条件を2つにしたりできません。絞り込みや検索条件を2つ以上指定できるとほんとに便利なんですけどね。
追伸 「NOxがオゾンを破壊するのをくい止めている」は酸化還元反応でしたね。失礼しました。
97A−018
差出人:林 正幸
送信日:97年8月28日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:完成した「酸化と還元」にご意見を!
こんにちは、林です。
とうとう念願の文章が完成しました。36ページの長編です。私のホームページの「私の教材と主張など」の中に掲載しています。これは昨年の7月から始めたもので、その夏休み中に90%完成まで行ったものですが、その後集中的に取り組む時間がないままに推移していました。そのうち自分の考えも変化し、山本さんとの電池・電解の討論も加わって、もう一度全面的に書き直そうと決めていたものです。
皆さんに検討してもらいたいと思っています。
ではまた。
97A−019
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月1日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:SOxの検出方法は?
今日は、山本です。
林さんの「酸化還元」はさっそくダウンロードして、さっと読ませてもらいました。その感想などは、また改めて送ります。
今日、中村理科の渡辺さんという方から手紙をもらいました。それによると、渡辺さんはこの前の新潟大会にきていたらしく、私のレポート発表も聞いてくれていました。そして、レポートの内容に関わる質問が、何点か手紙に書いてあり、その一つに「SOxについて、ザルツマン試薬と同様な使い方のできる試薬をご紹介していただけませんか。」というものがありました。NO2に対するザルツマン試薬のように、SOxを発色させて検出できるものはないと思いますが、何かうまい方法をどなたかご存知でしょうか。
林さんは以前に、アルカリろ紙を空缶に入れてつるしておき、SOxを吸収させて分析したとメールに書いてあったと思いますが、吸着させたSOxをどうやって定量したのですか。雨の中のSO4-イオンは、塩化バリウムを加えて硫酸バリウムの沈殿にし、その濁度を光学的に分析すると、実験書には書いてあるのですが、SO2が水に溶けてできたSO3-イオンはどうするのでしょうか。
以上、よろしくお願いします。
97A−020
差出人:林 正幸
送信日:97年9月2日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:大気中の硫黄酸化物の分析について
こんばんは、林です。
とうとう二学期が始まりましたね。山本さんからアルカリろ紙法による硫黄酸化物の分析の照会がありました。私たちは、70年代の前半に、公害反対運動の住民組織の協議体として「愛知公害調査の会」をつくって、お互いの交流をすると同時に、県下一斉の硫黄酸化物の汚染調査に取り組んだことがあります。調査地点は2000とか3000という規模で、夏休みの後半は住民とともにその分析をしました。
アルカリろ紙法というのは、炭酸カリウム水溶液を染み込ませたろ紙を風鈴のように粉ミルクの缶に入れて1カ月大気にさらします。
K2CO3 + SO2 ―→ K2SO3 + CO2
K2CO3 + SO3 ―→ K2SO4 + CO2
これを水に溶かし出して、過酸化水素を加えてすべて硫酸カリウムにします。
K2SO3 + H2O2 ―→ K2SO4 + H2O
次に2,5−ジニトロフェノールを指示薬にして、過剰のアルカリである炭酸カリウムを硝酸で中和します。そして加熱して二酸化炭素を追い出します。
そうしたら次の4つを混合します。
上で調製した試料 5ml
酢酸緩衝液 5ml
エタノール 10ml
クロラニル酸バリウム 50mg
最後にこれをろ過して、530ミリマイクロの波長で吸光を測定するのです。
要するにクロラニル酸の紫色の濃さに基づいて、相対的に汚染度を調べようというものです。
(もっとくわしい情報もあります。)
これも「山本流」に改良したいと思いますが、感度が悪く1カ月も捕集する必要があります。
政府や自治体が1時間値を測定していますが、昔と同じなら、過酸化水素水に汚染空気を吹き込みます。
H2O2 + SO2 ―→ H2SO4
H2O2 + SO3 ―→ H2SO4
そして硫酸からくる水素イオンによる電導度の上昇から汚染度を計算します。
こちらの方が、指示薬を選べばうまくいく可能性がありますね。しかしかつては、いまもそうかも知れませんが、大工場が煙突を酸からまもるためと称して、排煙にアンモニアを混ぜて、この測定を撹乱しているという話がありました。アンモニウムイオンの易動度は水素イオンの5分の1だからです。
H2SO4 + 2NH3 ―→ (NH4)2SO4
分析には色々と注意すべきことがあるということです。
ではまた。
97A−021
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月2日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:飽和食塩水に硝酸銀水溶液を入れても沈殿しない
今晩は、山本です。
SOxの分析について、さっそく林さんからコメントをもらいました。ありがとうございます。今は、SOxよりもNOxだと言われていますので、私はSOxについてはあまり勉強してませんでした。煙突から出る煙にアンモニアを混ぜていたと言うのは、すごい話ですね。参考になりました。これをもとに、明日、手紙の返事を出したいと思います。
ところで、今日「食塩水と水を見分ける」という生徒実験をしたのですが、ある生徒が「硝酸銀がほしい」というので、0.2モル濃度の水溶液を与えました。そして、私の見ている前でそれを両方の液に加えさせたところ、片方に白い沈殿を生じました。「ほうら、こっちが食塩水だろう」と私が言うと、生徒はけげんな顔で、そっちが水で、沈殿ができないほうが食塩水だというのです。「本当かよ」といって、さらに硝酸銀水溶液を加えてみても、やはり沈殿しません。というより、いったんできた沈殿が、かき混ぜられると消えてしまうのです。どうなっているんだろうと思って、いろいろ試したところ、薄い食塩水ならちゃんと沈殿すること、そして、飽和食塩水でもごくわずかの量を使えば沈殿が起こることがわかりました。
授業の後、同僚の化学の教師と化学辞典(共立)を調べたところ、「塩化銀」の項目に次のような記述がありました。
(引用開始)
・・・水にはほとんど不溶。エタノール、希酸にも不溶。アンモニア水、濃塩酸、シアン酸カリウム溶液およびチオ硫酸ナトリウム溶液にはそれぞれ[Ag(NH3)2]+、[AgCl2]−、[Ag(CN)2]−および[Ag(S2O3)2]3−なる錯イオンをつくってよく溶ける。その他炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸水銀(U)、硝酸銀などの濃厚溶液にかなり溶ける。・・・
(引用終わり)
そこで、飽和食塩水で塩化銀の沈殿ができなかったのは、銀イオンと塩化物イオンで[AgCl2]−錯イオンになったためではないかと考えました。飽和食塩水は、水100gに食塩はおよそ36g溶けていますから、塩化物イオンが6モル濃度くらいの溶液になっています。そこで、6モル濃度塩酸を持ってきて、その中に硝酸銀水溶液を入れてみますと・・・、案の定、いったんできた沈殿が消えます。これで、飽和食塩水では塩化銀の沈殿ができないのは[AgCl2]−錯イオンができるからだと決めたのですが、いかがでしょうか。
Ag+とCl-でAgClの沈殿、なんて単純に覚えていたのですが、今日、もっと奥があることを知りました。
97A−022
差出人:林 正幸
送信日:97年9月2日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 山本
件 名:物性化学について
こんばんは、林です。暑い日が続きますね。
昨日のメールを送ったあと、過酸化水素法についてすこし気掛かりになりました。ひとつは二酸化炭素の補正が必要であること、そして当時はさほど深刻と見なされていなかった窒素酸化物の問題があります。つまり窒素酸化物も水素イオンをつくることです。どうも硫酸イオンと選択的に発色する鋭敏な試薬が決め手のように思えてきました。
私の「酸化と還元」については、31日までに細かい部分で手直しをしています。一番問題なのはボルタの電池の説明の部分です。しかしこれは発展の契機にもなるもので避けるわけにはいきませんでした。
さてこの文章を作文してから、次に意識しているひとつののテーマは「物性化学」です。前にも「吸水ビーズ」のことを少し書きました。夏休みの終わりに「力量講座」という企画があり、そこで私の友人の船橋さんがスライムについて実験レポートを発表しました。
1.スライムボール
合成」せんたくのり(ポロビニルアルコール系)そのものを暖めておいて、飽和の四ホウ酸ナトリウム水溶液を加えてかき混ぜると、スーパーボールにようになる。
2.ポリビニルアルコールの析出を溶解
エタノールを加えてかき混ぜると白色繊維状ののものが分離する。これは一種の塩析と考えられる。これに水を加えてよくかき混ぜると、やがて溶解してくる。
3.スライムと薬品
スライムに食酢を加えると元の洗濯のりのようになる(四ホウ酸イオンの中和)。
食塩を加えて振ると、まるで梅を漬けるときのように水が染みだす(浸透)。
水を加えて振ると溶解する(膨潤)。
これらの実験は物性を考えるためのよい教材になります。
ところで物性というと多岐に分れます。当面は、視点の定まった実験を見つけていくことがポイントと思います。
ではまた。
97A−023
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月3日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:酢酸エチルの合成について
今晩は、山本です。
今日、学校ではエステルの合成実験をしました。ただ、本当に暑い日で、おまけにうちの学校は改装工事の最中なので、実験室がプレハブですから、室内の気温が35℃にもなって、火を使う気がしませんでした。そこで、いつか林さんが、加熱しなくても酢エチができる話しをしていたのを思い出して、初めて加熱せず
に実験してみました。そしたら、本当に合成できました。(その場の思い付きで、生徒に実験させてはいけないのでしょうが・・・。)
私は、酢酸とエタノールを2mlずつ試験管に入れさせ、そこに、濃硫酸を0.5ml加えて、2〜3分よく振らせました。そして、そこに水道水を入れて、油のようなものが浮いてきたら成功だと説明しました。濃硫酸を中和しないやり方は今までもそうしてきましたので、今年もそれにならっただけです。結果は、すべての
班で成功。もちろん、できた量の違いはありますが、セメダイン臭のエステルは、すべてのところでできました。
酢エチ以外に、酢酸アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソアミルを同様に作りました。ただ、後で考えたら、アミルアルコールやイソアミルアルコールは水に溶けにくいものなので、最後に試験管に水を入れて、油状のものが浮いてきても、それがエステルかどうかは判断できないはずですよね。でも、全部違う臭いのものができましたので、それぞれのエステルは生成されていたようです。
できたエステルが果物の匂いがするかどうかは、浮いてきた油状のものを短冊形に切ったろ紙に染み込ませ、それを鼻の前でパタパタと振って、確かめさせています。直接試験管に鼻を持っていくと、臭いがきつくて、生徒はただ臭いと言うだけですが、この方法ですと、果物の臭いだと言ってくれます。ろ紙に染み込
ませる方法は、香料会社で調香士から聞いた方法です。
97A−024
差出人:鬼塚 公志
送信日:97年9月4日
宛 先:杉山 野中 林 山本
件 名:最近の失敗と質問
林さんや山本さんが貴重な資料・実験などを発表されるのを読んで、なるほどとかこういうやり方もなるのかと感心しているこの頃です。あまり、感心ばかりしていると発言の機会を逃してしまいますので、最近の失敗と質問を報告します。
8月の末に食塩水の電気伝導性をみるために、手作りのテスターを作りました。1.5ボルトの乾電池に豆電球を取り付け、その先に20cmの銅線を接続します。これを食塩水に入れると電球がつくはずですが、点灯しない。そのまま観察していると、負極から泡が発生し、全体がもやもやと曇ったようになったかと思うと溶液全体が黄色くなってしまいました。多分食塩水が電気分解されて
陰極 2H+ + 2e- → H2
陽極 2Cl- → Cl2 + 2e-
の反応が起こってしまったようです。
以前は、家庭用のコンセントから電源を取り、100Vの電球に銅線を接続していたのですが、危険を伴うので豆電球に変えようとしました。直流電流なので1.5ボルトぐらいでは電気分解はさほどおこらないだろうと思ったのですが、電気分解が起こったばかりか豆電球はつかない。9ボルトにすると点灯するかなと思いますが、手元に9ボルトの電池がなかったのでまだ試していませんが、今度やってみようと思います。
そこで質問なのは、黄色くなった溶液の正体はなんなのかということです。陽極から泡がでると塩素だと分かるのですが、銅線からはがれ落ちた銅なのでしょうか。ちなみに6Mの水酸化ナトリウムを少量加えても変化はありませんでした。
97A−025
差出人:野中 直彦
送信日:97年9月4日
宛 先:鬼塚 杉山 林 山本
件 名:酸化と還元について
林さんの「酸化と還元」について
はじめの受動態と能動態の話から、最後はCODの話までは面白く読みました。でも、電池のあたりがやや弱い、うまく言えませんが私がイメ−ジする姿ではありません。言うは易し、ではどうだと言われると何も言えませんが、酸化還元から電子をイメ−ジしたら、その電子の移動のイメ−ジが溶液という媒体を通すと大きく変わってしまうのでしょうか。電池のイメージをもっとかえないと、新しい電池ができないように思ってしまっている野中です。うまく表現できないので、自分なりの「電池のイメージ」をまとめたいと思っています。
なお、酸化還元の中の「砂糖の大噴火」(5杯で十分)「テルミット反応」(反応しやすいように塩素酸カリウムを少し混ぜる)「硝酸アンモニウムと塩化アンモニウムと亜鉛に水を加える」(山盛りにせず、平らにして、アルミホイルを蒸発皿にひいてやりました)を生徒ともにやって、大変楽しい時間をすごすことができました。ありがとうごうざいました。
97A−026
差出人:杉山 美次
送信日:97年9月4日
宛 先:鬼塚 野中 林 山本
件 名:取り敢えず報告します
こんばんは、杉山です。
皆さん、貴重なメ−ルを送っていただきありがとうございます。返事をしなくてはと思いつつ、時間が過ぎてしまいました。難しく考えるととなかなか書けないので、取り敢えず思い付いたことを、書けるところから断片的に報告することにしました。
1、山本さんに教わったザルツマン試薬を用いて、乗鞍の家族旅行地での結果を調べる件ですが、全くドジで、ザルツマン試薬とは違うポリビンを持って入って、調べようとしたときにはじめて気づいた次第です。オ−トキャプ場なので、きっと汚れていたと思いますが?
今回は行きませんでしたが、泊った高ソメキャンプ場の近くにある一ノ瀬キャンプ場は車で入れないところなので、自然そのものが残っていました。キャンプ場には、1.5Km以上歩いて荷物をはこばなくてはいけません。そのおかげで自然が保護されて入るのでしょう。半来年は一ノ瀬キャンプ場にしようと家族できめました。
関係ないことですが、ジヤン・ジャンセンの美術館に行って、ジヤン・ジャンセンというアルメニア人の画家の人生に触れて、久しぶりに感動しました。
2、クロロ錯体について
Ag+ は、濃塩酸と反応して錯イオンを生成して水に溶ける。したがって、AgNO3+水溶液中に濃塩酸を加えてもAgClの白色沈殿ができないことがある。AgClは、濃塩酸と反応して錯塩をつくるが、主なものは[AgCl2]− である。
AgCl + Cl− ------- [AgCl2]−
[AgCl2]− + Cl− --------[AgCl3]2−
同様な錯塩がPb2+ の場合にも成立し、PbCl+ 、PbCl2、PbCl3 −、PbCl4 2− が生成する。この場合にも主な生成物はPbCl+ 、PbCl3 −である。
武田一美著 「実験をとおして知る物質の性質」、講談社より
3、酢酸エチルについて
次の資料があります。酢酸エチル以外も紹介します。参考にしてください。
(1)、有機合成実験改良のための2、3のヒント (その1)
------------ より確実に、速く、簡単に------
東京都立保谷高校(現戸山高校)岸田 功 他1名
a、ニトロベンゼンのニトロ化
・1分間合成法
試験管に濃硝酸 2ml、ベンゼン 1mlをとる。これに濃硫酸 2mlを少量ずつ加えてはよく振る。濃硫酸を加え終わったら、反応液をビ−カ−の水に注ぐ。
b、酢酸エチルの合成
(1)5分間合成法
試験管に氷酢酸 2ml、エタノ−ル 2ml、濃硫酸 0.5mlをとり、振り混ぜてた後静置する。3〜5分後に水 5mlを加える。
(2)1分間合成法
(1)と同量の混合液に沸騰石を加え、バ−ナ−で加熱する。沸騰が始ったら加熱をやめ、30秒後に水 5mlを加える。
c、サリチル酸メチルの合成
・2分間合成法
試験管にサリチル酸1g、メタノ−ル1ml、濃硫酸1ml、沸騰石を入れバ−ナ−で加熱する。しばらくして反応液が透明になったらビ−カ−の中の水に注ぐ。
(2)、有機合成実験改良のための2、3のヒント (その2)
安楽 貢 他3名
a、アセチルサリチル酸の合成(所要時間5分)
試験管にサリチル酸1g、無水酢酸1mlをとり、ガラス棒でかき混ぜながらバ−ナ−で加熱しサリチル酸を溶解する。水で冷やし、さらにガラス棒でかき混ぜ続けると結晶が析出する。
b、ヨ−ドホルム反応
ヨ−ドホルム反応を生徒実験に取り入れたがうまくいかないとの声を二、三聞いたので簡単に確実に反応する条件を調べた。
c、酢酸イリアミル(バナナの香り)と酢酸ベンジル(ジャスミンの香り)の合成
・酢酸イリアミルは、加熱条件が定かでなく黒変しやすいという難点があった。
これについての研究を行い、よい合成条件を見つけた。
-----酢酸イソアミルの合成-----
乾いた試験管に酢酸1ml、イソアミルアルコ−ル 2ml、濃硫酸 5〜6滴とり沸騰石を入れ、白濁が見られる間でバ−ナ−で加熱する。(所要時間 5分)
----酢酸ベンジルの合成 -------
乾いた試験管に酢酸1ml、ベンジルアルコ−ル 2ml、濃硫酸 3〜5滴とり沸騰石を入れ、白濁が見られる間でバ−ナ−で加熱する。(所要時間 5分)
* 以上のテ−マについては、いままでの実験の問題点と改良した内容についての説明が付いています。
4、新聞の切り抜きを使って、環境教育について、自分の教えているクラス(1年2クラス、2年3クラス、3年2クラス)で以下の主旨で行い始めました。生徒の感想等は次の機会に紹介します。なにかアドバイスをいただければ幸いです。
地 球 環 境 に つ い て 、 ど う 考 え ま す か ?
最近、地球の環境についての問題が頻繁に取り上げられている。この夏、大変な人気をよんだ「もののけ姫」も、自然と人間の問題をテーマにしてあり、子供向けというよりは中学生以上の大人向けに訴えたものと思われる。
環境問題といってもいろいろあり、それぞれが社会生活と絡み合っており、解決の方法は簡単には見つかりそうもない。このままでは、危機的状況になるのはわかっているが、では、どうしたらよいのだろうか。正直いって、私はわかりません。でも、今までのように“何とかなるさ”で済まされないことだけは確かです。
2学期からの授業で、新聞の切り抜きを使って「環境についての問題」を皆さんに投げ掛けながら、一緒に考えていきたいと思います。時間の少ない授業では一言の紹介しかできませんが、自分でこれはと思った内容のとき、感想や調べたことをレボ−トにまとめて提出してください。(もちろん強制ではありません。ただ、その関心や努力に対しては評価したい)
+--------------------------------------------------------------------+
| 地球環境について考える NO,1 |
| |
| ダ イ オ キ シ ン に つ い て |
| |
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97A−027
差出人:野中 直彦
送信日:97年9月7日
宛 先:鬼塚 杉山 林 山本
件 名:RE: 最近の失敗と質問
> 最近の失敗と質問
>
> そこで質問なのは、黄色くなった溶液の正体はなんなのかということです。陽
> 極から泡がでると塩素だと分かるのですが、銅線からはがれ落ちた銅なのでしょ
> うか。ちなみに6Mの水酸化ナトリウムを少量加えても変化はありませんでした。
たぶんそれは、塩化銅だと思います。沈殿物に、アンモニア水をかけると青くなります。
97A−028
差出人:野中 直彦
送信日:97年9月9日
宛 先:鬼塚 杉山 林 山本
件 名:紙の漂白剤
漂白剤としては硫化ソーダはつかいません。
硫化ソーダは蒸解薬品です。
漂白剤としては酸素、か性ソーダ、2酸化塩素を使用します。
現在紙パではaoxでダイオキシンを管理しており問題ありません。
aox.....absorbed organic harogen とのことでした。
製紙工場でもダイオキシンの発生があるとのことで対策がせまられているようです。
97A−029
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月9日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:酸化還元反応と電子の移動
今日は、山本です。
林さんの「酸化と還元」を読んで、すぐにメールを送ろうと思ったのですが、私の頭の中で酸化還元の認識が二転三転して、なかなかまとまりませんでした。やっと整理できましたので文章にして送ります。振り返ってみますと、私の考えは3つの段階がありましたので、段階ごとに書いてみます。
(1)
林さんの文を読んで、はじめにおやっと思ったのは「酸化数」の部分です。林さんは酸化数を
"その原子が「形式的に」いくつ電子を失っているかを示す数字"
だと説明しています。
しかし、私は酸化還元反応は、「全部が」、「実際に」電子移動をするものだと思っていました。教科書にもそう書いてありますし、実例としては、水素が燃焼する反応が、燃料電池として実用化されていることなどがあげられます。また、アルケの中では野曽原さんがアルコールや砂糖を酸化して、電池を作ろうとしていました。だから、どんな酸化還元反応も電子の移動があり、うまい工夫をすれば、酸化還元反応すべてが電池になるものだと思っていたのです。
そのことをメールにして送ろうと思いました。
(2)
でも、ちょっと待てよと思いました。ブドウ糖が燃焼したり、炭素が燃焼する反応では、「本当に」電子移動があるのだろうか、疑問に思ったのです。例えば炭素の燃焼で、Cは酸化数が0→+4に変化したので酸化されたとは言いますが、
C → C4+ + 4e−
というように電子を放出したので、酸化されたとは言いませんよね。また、水素の燃焼反応が電池に使われていると言っても、水素と酸素を使って、最終的に水を作ってはいるのですが、途中の反応は、燃焼反応とは別物です。そんなことを考えてみて、林さんの言い方は正しいのではないかと思ったのです。つまり、酸
化還元反応というのは、2種以上の元素で構成されている物質(=化合物)が、すべてイオン性物質であるとみなしたとき、電子移動が認められる反応であって、「実際に」電子が移動する反応もあるし、電気陰性度を考えて各元素に酸化数を割り当ててみたときに「形式的に」電子移動が認められる反応も含まれるということです。
(3)
上の考えを確かめようと、「化学大辞典」(共立出版)を開いてみました。その「酸化」の欄には次のような文がありました。
・・・引用はじめ・・・
広義には化合物中のある元素の正原子価の増大、負原子価の減少として定義され、化合物中のある元素の酸化数の増加によって示される。イオンの場合は、陽電荷の増加、陰電荷の減少となって現れるが、いずれの場合も、物質が電子を放つ反応が酸化である。
・・・引用おわり・・・
というわけで、「イオンの場合」は物質が電子を放出する反応が酸化だと読みとれますから、上の考えで良さそうです。しかし、この辞典の文には続きがあって、有機化合物の場合の酸化について、次のように書いてあります。
・・・引用はじめ・・・
有機化学における酸化とは一般に反応にあずかる物質の分子中の水素原子数が減少するか、酸素原子数が増加するか、あるいは両者が同時に起こるような反応をいう。
・・・引用おわり・・・
とあって、酸化数についてはふれていないのです。それどころか「還元」の欄には次のような記述も見られます。
・・・引用はじめ・・・
無機化学における還元反応は前述のように成分元素の原子価の低下による場合がおおいが、有機化学ではこれと異なり原子価の変化はまれであって、ほとんどが狭義の還元に限定され、ある化合物において水素原子数を増加するか、または酸素原子数を減少する反応を還元という。
・・・引用おわり・・・
つまり、有機化学では、酸化数の増減による酸化還元という概念は通用しないようです。
私は昔、サークルで有機化合物の酸化数を誰かから聞いた覚えがあります。それによると、酸化数はHが+1、Oが−2なので
CH4のCは、−4
CH3OHのCは、−2
HCHOのCは、0
HCOOHのCは、+2
CO2のCは、+4
となって、物質が酸化されることと、Cの酸化数の増加が一致します。炭素数が2個以上の場合は、
C2H6のCは−3、
C3H8では両端のCが−3、真ん中のCが−2
とも聞きました。
でも、こういう酸化数の決め方はどの本にも載ってませんし、メチルアミンのようにNが入ってきたら、どう計算したらよいか分かりませんよね。
というわけで、皆さんには新しい話ではなかったかも知れませんが、私は林さんの文を読んで、今さらながら酸化還元を勉強しました。なお、酸化還元反応をうまく工夫すれば、どれでも電池が作れるという言い方は、捨てていません。「うまく工夫すれば」というのは、実験技術の問題ではなく、「電子の出入りがあるような反応経路を見つける」工夫をすることだと思っています。
林さんの「酸化と還元」の文章について、もうちょっと書きたい部分があるのですが、後日にします。
97A−030
差出人:山本 喜一
送信日:97年9月11日
宛 先:鬼塚 杉山 野中 林
件 名:酸化還元反応と電子の移動(2)
今日は、山本です。
この前、酸化還元と電子の移動、酸化数の変化についての文を送りましたが、有機化合物についても酸化数を考えている論文を見つけました。
・・・引用開始・・・
また、炭素化合物または有機化合物が燃えてCO2とH2Oになる反応は、炭素の酸化数の低い化合物(例:C、CH4、CH3OH・・・は0、−4,−2・・・)が酸化されて酸化数4のCO2となることにあたる。
・・・引用おわり・・・
これは
木村 優
「酸化・還元の基礎−高校化学で「酸化と還元」をどのように教えるか」
化学と教育44巻5号(1996)
の論文の一部です。
これをこの前の化学大辞典の記述とあわせて考えますと、無機化合物のように酸化数が計算できるメタンやメタノールなどの場合は、酸化数の変化で酸化還元を論じられるのだが、他の多くの有機化合物では酸化数が求められないので、HやOのやりとりで考えるのだ、ということになるのでしょうか。
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