差出人:山本 喜一
送信日:97年7月6日
宛 先:鬼塚 野中 林
件 名:透明石鹸について

 こんばんは、山本です。
 千葉の方では先週の土、日曜に「科学の祭典」が開かれました。アルケのメンバーでは、中臺さんが実行委員で活躍し、他に盛口さん、田中さん、そして私が、来場した小中学生に実験を見せました。その田中さんのプリン石鹸は、前回のアルケの資料にも載りましたが、なかなかのできばえでした。私も実物を見たのは、このときが初めてでしたが、上面のカラメルの部分が本物のプリンそっくりで、その下は、かなり透明度の良い石鹸になっていました。手を洗ってみると、きめ細かな泡が立ち、ヒリヒリすることもなく、十分に使えそうです。
 もとは米沢さんが、あちこちから資料を取り寄せて研究し、発表したもので、米沢さん自身、いろいろな配合割合で実験したようです。田中さんはそれを参考にしていますが、彼の割合をもう一度紹介しますと、次の通りです。
 牛脂 110ml、ヤシ油 60ml、ひまし油 10ml、そこへ、エタノール100mlを入れ、さらに水酸化ナトリウム水溶液(27gを水100mlに溶かしたもの)を加えて、約60℃で鹸化。すぐ泡立って鹸化が終わるので、次に、ショ糖80gを入れてかき回し、完全に溶かす。これをカップに入れ、1 日置けば、固まって透明な石鹸になる。
 この割合を米沢さんのものと比べますと、ショ糖の分量が多いようです。米沢さんはこの油量に対して、ショ糖は36gで、「白いむらのある石鹸ができた」と「科学と教育」に報告しています。田中さんのものは、ほとんど透明です。また、米沢さんはできた石鹸を容器に入れて37℃で、2〜3日放置してゆっくり 冷やしていますが、田中さんはカップ(紙コップ)に入れて、室温に放置して作っています。このあたり、ショ糖の分量が関係ありそうです。
 ショ糖を入れる代わりに、ブドウ糖や果糖などの還元糖を入れると、褐色の石鹸になってしまいます。これは、カラメル化ではなく、還元糖と油の中のアミノ酸によるメイラード反応だと思います。田中さんは、透明石鹸を作り出したはじめの頃、ブドウ糖や果糖で試して、褐色の石鹸を作ってしまい、「失敗だ」と思 っていたところ、作った容器がたまたまプリン型だったので、プリン石鹸を思いついたそうです。彼は他にも、透明石鹸の中にフルオレッセインやメチレンブルーなどで薄い色を付けたものも作って、展示していました。
 ただ、この実験は試薬の油が高いので、金がかかります。透明でなくても、食用油やグラニュー糖を使えないでしょうか。そして、臭くなくて、家に持って帰って使えるような石鹸づくりの授業をくみたいと思っています。廃油から石鹸を作るのは、リサイクルを教える上で、良く取り組まれている実験ですが、今は、 廃油はなるべく出さずに使い切るようにした方がよいのではないでしょうか。