差出人:山本 喜一
送信日:97年6月10日
宛 先:鬼塚 野中 林
件 名:ダイオキシンについて
今晩は、山本です。
私の学校では、特別棟の近くにある焼却炉が移転されることになったのですが、焼却炉からはダイオキシンが発生するのではないかということが、職員間で話題になっています。そうした中、ダイオキシンの毒性などについてよく分からないので、もっと知りたいという声もありましたので、今日、下のような内容の職場新聞を出しました。みなさんの学校では、焼却炉はどうしてますか?何か情報があったら、送ってください。
ダイオキシン
(文責 山本)
私がはじめてダイオキシンという物質の名前を聞いたのは、今から十数年前になります。米軍がベトナム戦争の時に「枯葉作戦」と称して、大量の除草剤を撒いたことがありました。その時、使用した除草剤の中に、ダイオキシンが不純物として含まれていて、ベトナムではその影響で、奇形児が多数生まれているとい
うニュースがあったのです。あの「ベトちゃん・ドクちゃん」は、象徴でした。そして当然、日本で使われている除草剤にも、ダイオキシンが含まれているのではないかという疑惑がもたれ、色々なことが議論されました。さらにその後、ダイオキシンは製紙工場でパルプを塩素漂白するときにもできるらしいこと、ごみ
焼却場でもできていることなどが明らかになりました。
ダイオキシンというのは、ひとつの物質の名前ではなく、75種類の物質の総称です。そのうち、下に示す2・3・7・8TCDDという化合物は、人間が作り出した物質中、もっとも毒性の強いものだといわれています。モルモットを使った実験では、体重1kgあたり、0.0006〜0.002mgで、半分が死ん
でしまったという報告があります。この結果をこのまま、体重50kgの人間にあてはめますと、0.00003〜0.0001gで死ぬことになります。青酸カリの致死量は0.15g、あのサリンでさえ0.005〜0.0005gですから、ダイオキシンがいかに強い毒物か分かります。
ダイオキシンは致死量以下でも、強い発ガン性、肝臓障害、皮膚障害、免疫障害、奇形児の発生など、さまざまな毒性を現します。さらに最近では、若者の精子の濃度が半分になっていることや、若い女性に子宮内膜症が増えているという原因も、ダイオキシンなどの化学物質が、体内でホルモンバランスを崩している
せいではないかという説があります。
ダイオキシンのさらに困った性質は、自然界ではなかなか分解されないことです。ですから、いったん生成されたダイオキシンは分解されずに、雨に流されて川に入り、さらに海に流れ込みます。そして、プランクトンの体内に入ります。今、仮に、プランクトンの体内にダイオキシンが1だけ入ったとします。そのプ
ランクトン100匹をイワシのような小魚が食べると、小魚の体内には100のダイオキシンが蓄積されます。その小魚100匹をカツオのような魚が食べると、その魚には10000のダイオキシンが、さらにその魚100匹を人間が食べると、人間には1000000のダイオキシンが入ることになります。まあ、これは単純すぎる議論ですが、食物連鎖の頂点に立つ人間に、もっとも多量のダイオキシンが蓄積されるというのは事実です。’85年には、人体からもダイオキシンが検出されました。
ごみ焼却場でダイオキシンが発生するのは、プラスチックを燃焼させるからですが、燃やすといっても、高温(800℃程度)で完全に燃焼させれば、発生はかなりおさえられるようです。ところが、300℃くらいの低温で、ブスブスと不完全燃焼していると、できてしまいます。ですから、焼却の始めや終わりが問
題です。また、建設廃材とか、農家で使ったビニールを野焼きにすると、不完全燃焼を起こし、ダイオキシンを発生させやすい条件を作ると言えます。では、学校の焼却炉ではどうでしょうか?野田市では、ダイオキシンを発生させる可能性があると考え、小学校(中学校も?)の焼却炉を停止し、ゴミは市の回収車で集
め始めました。焼却炉でダイオキシンが発生しているかどうか、はっきりとは分かりませんが、どこかの学校の焼却炉をサンプルにして、きちんと調べてもらう必要があると思います。