差出人:山本 喜一
送信日:97年6月5日
宛 先:鬼塚 野中 林
件 名:マグネシウムと水の反応について

 こんばんは、山本です。
 マグネシウムと水の反応につて、林さんと鬼塚さんからメールをもらいましたが、私のやり方も紹介したいと思います。私のやり方といっても、「理科教室」に載っていたものですが・・・。まず、普通の大きさの試験管を用意し、2〜3mlの水を入れ、スタンドに水平よりもやや角度をつけて(もちろん試験管の底 の方が下ですが)、固定します。次に、マグネシウムリボン20cmほどをを3〜4回折り曲げて、試験管の中程に入れます。さらに、短いL字型ガラス管をつけたゴム栓をしておきます。そして、バーナーの強火で、まず、マグネシウムリボンを加熱します。しばらくすると、マグネシウムが溶融します。そのときを見 計らって、すかさずバーナーをずらし、今度は水を加熱して沸騰させます。すると、発生する水蒸気とマグネシウムが反応して、まぶしいばかりの白い光を出します。反応中、L型ガラス管から吹き出す気体に、マッチで火をつけると、燃焼し、水素の発生も確かめられます。結構、派手な反応で、生徒受けするので、毎 年、私はこの実験をしています(もちろん演示です)。
 ただ、この反応にはちょっとしたテクニックが必要です。まず、試験管に水を多く入れないこと。水が多すぎると、沸騰したときに、液体の水が試験管の中ほど(マグネシウムリボンが溶融しているので温度が高い)に触れ、試験管が割れることがあります。それから、セットする試験管の角度も問題です。あまり角度 をつけすぎて、試験管が鉛直に近いと、マグネシウムリボンを加熱し溶融させたとき、マグネシウムがすべって、水に落ちてしまいます。逆に、角度が小さいと、水を沸騰させたとき、水がすぐ試験管の温度の高い部分に上っていってしまいます。でも、試験管が割れても、それほど危険はありませんので、是非試してみてください。
 なお、この実験では、溶融したマグネシウムが、試験管と反応し、金属光沢を示す物質を作ります。私は、試験管のSiO2が還元され、Siになったのではないか(MgはMgOになった)と考えていたのですが、自由の森学園の松本さんから、Mg2Si(ケイ化マグネシウム)ができることを知りました。
  SiO2 + 4Mg → Mg2Si + 2MgO
できたケイ化マグネシウムは、塩酸と反応させると、シランを作ります。
  Mg2Si + 4HCl → SiH4 + 2MgCl2
シランは、ガスですが、空気と触れると燃焼します。
  SiH4 + 2O2 → SiO2 + 2H2O
 松本さんは、るつぼの中にSiO2とMg粉を入れてよく混ぜ、バーナーで熱して、ドラゴン花火のように反応させて、ケイ化マグネシウムを作っていました。そして、それを砕いてビーカーに入れ、濃塩酸をかけてシランを発生させ、空気中の酸素と反応させて、ぱちぱちと燃焼させていたのです(これは、藤木源 悟の「化学実験講義法」にも出ていました)。
 僕はそれを見て、SiO2と反応するなら、それを含む岩石や砂と反応するはずだと思って、学校で、グランドの砂や赤土とマグネシウム粉を混ぜ、試験管に入れて、加熱してみました。すると、見事に、真っ赤になって反応しました。冷えてから、試験管を割り、内容物と塩酸を反応させると、シランもちゃんと生成 します。そして、これは、化学1Bで、SiO2が出てくるところでの、私の定番実験になっています。「グランドの砂が反応するとは思わなかった」と、生徒は感想に書いてきます。ただ、この実験も、試験管とマグネシウムが反応して、試験管がもろくなり、反応物が吹き出すこともあるので、演示実験にし、試験管 を加熱(底を加熱する)している間は、少し離れて見ていることにしています。
 とにかく、マグネシウムの還元力はすごいですよね。他にも、次のような反応を聞いています。
・SO2の中でマグネシウムを反応させると、Sができる(盛口さん)。
・貝殻とマグネシウムを反応させると、CaSができ、それに紫外線を当てると、蛍光を発する(藤田さん)。つまりCaSO4のOをMgが奪ってしまう。
 そして、水素ペレットもおもしろいですね。鉄とマグネシウムが食塩水などで電池を作ると、マグネシウムが冷たい水を還元して、水素をどんどん出すのです。これは、電池としても、興味ある反応ですが、まさに、マグネシウムの還元力の強さも現れていると思います。私も、水素ペレットを作ろうとして、食塩水にマグネシウム粉とカイロに使う鉄粉を入れてみたのですが、思うように多量の水素は発生しませんでした。鉄粉が細かすぎて、接触抵抗が大きかったのでしょうか。水素ペレットは一度市販されたようですが、やはり、工夫があったようです。
 では、また。