差出人:山本 喜一
送信日:97年5月27日
宛 先:鬼塚 野中 林
件 名:食塩はバイルシュタイン反応をしない?
こんばんは、山本です。
今、化学1Bでは、原子構造から周期表、電子配列のあたりを授業しています。毎年、このあたりでは元素の反応として、炎色反応の実験をしているのですが、今年はその応用で、バイルシュタイン反応も取り入れたいと思いました。この反応は、ご存じの通り、塩素を含む試料を銅線につけて、炎の中に入れると、緑色を示すというもので、よく、いろいろなプラスチックの中から、塩ビを見分けるのに使われるものです。「塩素の検出」と題して、みそ汁やソース、そして、もちろんビニールテープや消しゴムなどを銅線につけて、緑の炎を出し、塩素が含まれていることを実験しようと思ったのです。
今年、なぜ塩素にこだわったかというと、例のダイオキシンです。これは、塩ビなどの塩素を含むプラスチックを燃やしたときにも出ますが、しょうゆやソースの付いたポリエチレンなどを燃やしても発生すると、新聞に書いてありました。そこで、身の回りで、塩素を含む物質を、バイルシュタイン反応で探そうと
思ったわけです。
ところが、予備実験したところ、みそ汁やソースでは、緑の炎が出ないのです。どうも、ナトリウムの黄色い炎色に緑色が消されてしまって、人の目には緑色が認められないようです。試薬の塩化ナトリウムもだめでした。それではと思って、塩化物を銅線につけていろいろ試したところ、次のようでした。
塩化カリウム・・・紫色の炎色が強い、わずかに緑色が認められる
塩化ストロンチウム、塩化リチウム・・・赤い色と一緒に、緑の炎も出る
塩化カルシウム・・・緑色の炎が強い
塩化アンモニウム、塩化鉄(V)・・・緑の炎
というわけで、どうも、食塩は最も緑の炎が認めにくいようです。
まあ、生徒は食塩の中に塩素があるのは知っているでしょうから、塩ビでバイルシュタイン反応をやって、ダイオキシンの話に結びつけてもいいかなと思っています。
ところで、バイルシュタイン反応は銅を塩素がイオン化し、その銅イオンが炎の中に飛び出して起こるのだと思っていましたが、「化学大辞典」(共立)によると、銅線を焼いて、表面を酸化銅(U)にして、そこに、塩素が付着したものを炎の中に入れると、起こる反応だと書いてありました。試したわけではありま
せんが、表面を酸化銅(U)にしないと起こらないのでしょうか。
炎色反応について
僕は、試料をメタノールに溶かして、スプレー(整髪料などに使った容器をためておいて使う)で、炎に吹きかけて、生徒実験しています。針金炎色反応など、いろいろなやり方が考案されていますが、これが一番よく炎色が分かりますし、机やバーナーなども汚れが少ない方法だと思います。また、塩示用に、大がかりな炎色反応もありますが、やはり、これは生徒実験にしたい。生徒が自分の手で、色の付いた炎を作ったときの喜びが、いいのです。