差出人:山本 喜一
送信日:97年5月8日
宛 先:野中 林
件 名:液体窒素でこわかったこと
今日は、山本です。
アルケの資料に「インターネットメールへの案内」を送ります。といっても、今、書いているところですが、この土、日を使って藤田さんに郵送したいと思っています。また、先日、林さんから届いた電池に関するいろいろな意見や質問へのコメントも、近日中に送るつもりですが、今回は、授業で液体窒素の実験をし
たところ、2度ほど、こわい思いをしましたので、そのことを書きたいと思います。
#1 固体窒素
やや大きめの試験管に、液体窒素を3分の1ほど入れ、アルミ管付きのゴム栓をして、アルミ管のもう一方の先を真空ポンプにつないでスイッチを入れました。ご存じの通り、液体窒素を強制的に蒸発(沸騰)させて蒸発熱を奪い、温度を下げて、固体窒素を作る実験です。試験管に、ガラス管付きゴム栓ではなく、アルミ管付きゴム栓をしたのは、以前、ガラス管が割れ、それを真空ポンプが吸い込んで、ポンプを壊した苦い経験からです。しかし、今回は、窒素が固体になったのを確認しようとして、試験管のお尻りをあげて、固体窒素を試験管の口の方に滑らせた時、事件が起きました。真空ポンプが固体窒素を吸い込んでしまっ
たのです。そして、窒素がポンプ内で急に蒸発し、ポンプ内の圧力が上がり、つけていた試験管がすっ飛びました。幸い、試験管は誰にも当たらず、すぐ前の机の側面に衝突。粉々に割れましたが、けが人はでませんでした。ほっとしたら、僕の後ろにいて実験を見ていた生徒が「ああ、きったねえ」と叫ぶ声が聞こえま
した。真空ポンプの排気口からは、真空オイルが吹き出て、その生徒の上履きにべったりかかっていたのです。すぐ、雑巾で拭き取らせましたが、こちらは後の祭り。よく見ると、私の白衣の太股のあたりにも多量のオイルが付いていました。けがこそなかったから良かったのですが、あのすっ飛んだ試験管が、誰かの顔にでも当たっていたら、と思うと、青くなってしまいました。また、汚れた上履きは弁償することにしました。
#2 液体都市ガス
これも試験管がすっ飛んだクラスでの出来事です。バーナーからでてくる都市ガスを液体にしようとして、バーナーの空気ねじは閉じ、ガスねじだけを少しあけた状態で、バーナーを試験管の口からつっこんで、試験管ごと液体窒素の中に入れました。1、2分すると、液体都市ガスがたまりますので、それを生徒に見
せ、そして、少しずつ沸騰してでてくる都市ガスに、火をつけました。いつもはおだやかに赤い炎で燃えて終わるのですが、今回は、燃えるようすを見せている間に、炎が試験管内に吸い込まれたかと思ったら、残っている液体都市ガスが一気に燃焼して、一瞬、ヒュッという音とともに試験管の口から大きな炎を吹き出
したのです。これも、けが人はでませんでしたが、私はその試験管を手で持っていましたので、びっくりしました。たぶん、都市ガスを冷やしているとき、空気が巻き込まれて冷やされ、都市ガスの中に液体酸素が混ざったのだと思います。次のクラスからは、いったん都市ガスをポリ袋に集め、それを試験管の口に付け
て冷やす方法に代えました。液体窒素の温度は、非日常的な温度ですから、非日常的な事故が起こりやすいものですね。液体窒素の実験は、毎年やっているのですが、もっと慎重にやるべきだったと、反省しています。