差出人:林 正幸
送信日:97年5月5日
宛 先:野中 山本
件 名:電池について(その4)

こんにちは、林@愛知です。
 山本さんからの「インターネットへの参加」の呼びかけは、ぜひやってもらいたいと思います。ちなみに今回送った私のアルケ資料の「あいさつ」にも参加を促す文章が入っています。それから、電気化学関係を含めてこの間に交換された21通のメールは、すこし編集して私のホームページの「アルケミストの会」に掲載しました。そして同じ内容をプリント16枚に印刷して事務局の藤田さんに発送してあります。そしてホームページに掲載するための作業は結構手間がかかるもので、うっかりミスも入っている可能性があります。もし時間があればそれぞれ自分の部分を点検して、どんなことでも訂正があればしらせてください。
 最近、鬼塚さんがアルケミストに入会しました。彼とはインターネット上で知り合いました。近日中に彼に呼びかけてメールの仲間に入ってもらおうと考えています。確認できたらアドレスを紹介します。

#鉄と鉛をうすい硫酸に浸けた電池について
 酸化還元電位を確認しなかったのは私の怠慢です。にもかかわらず、鉄は負極にならないと思います。というのは私たちが手に入れる鉄板は、さびにくくするためにあれこれ加えられているのではないでしようか。それで電位は下がっていると思います。
<山本さんの5月4日づけメールからの引用>
 (前略)  事実、標準電極電位を調べてみたら
  Pb2+ + 2e− = Pb (−0.126V)
  PbSO4 + 2e− = Pb + SO42− (−0.351V)
で、このふたつの反応は別物であることも分かりました。
 それにしても、鉄の標準電極電位は
  Fe2+ + 2e− = Fe (−0.44V)
ですから、鉛と鉄を希硫酸に浸した場合は、鉄が負極になっても良いはずですよね。そうはならないのは、やはり、鉛の水素過電圧が高いためだと思います。
<以上>

#次に引用する部分について
<山本さんの5月4日づけメールからの引用>
 次に、林さんは「CuOやPbO2をイオン性物質として扱うのは少し無理があります。」と書いていますが、わたしは「金属元素+非金属元素」で構成されているものはイオン性物質だと、1学期からずっととおしていますので、酸化還元分野でも、CuO中のCuは2+、PbO2中のPbは4+のイオンで、それ らが電子を受け取ると説明しています。もちろんこれからは、それらのイオンが「H+の協力の下で」電子を受け取ると教えたいと思っています。これらの物質が溶液に溶けているわけではないので、イオンだと言うのは無理があるのかも知れませんが、その方が生徒に分かると思います。これは、「教え方」の問題でし ょうね。
<以上>
 私は「銅イオンが水素イオンの協力の下で」と、「酸化銅(U)と水素イオンが協同して」は次の反応式のように違うと思います。
    Cu2+ + 2H+ + 2e− ―→ Cu + 2H+(? これは水分子が水素イオンでできていることになるのでは)
    CuO + 2H+ + 2e− ―→ Cu + H2O
 アルケでも「三大物質」という概念が優勢でした。できるだけその枠にはめようとして、酸化銅(U)は銅イオンと酸化物イオンからできているととらえます。この三大物質の概念は中学ではよいかもしれませんが、高校を通してこの概念を使うのは、物質の見方を矮小化してしまう問題があると思います。

#うすい硫酸の電解についての指摘
 山本さんが指摘しているように、この酸化還元電位は1.23Vでした。単純なミスです。情けないことに、最近とみに目が悪くなって細かい字がよく見えないのです。

#ターフェルの式についての質問
  η = a + blog(i)
      η・・・過電圧
       i・・・電流密度
      a、b・・・定数
山本さんはよくこの式に基づいた考えているのですが、私はひとつ気になることがあります。つまり普通に電池を組んで電流とその電圧を計測し、酸化還元電位と比較しても、この式には乗らないのではないのですか。私が4月11日づけで送ったメール「電池の内部抵抗について」は、そのことを指摘したかったのです。どうでしょうか?

#水素ペレットについて
 いろいろ工夫して実験のよって追及する山下さんの姿勢に敬意を表します。塩化物イオンと硫酸イオンであまり差がないとすると、これらの塩類は水溶液に電導性を確保するための電解質と理解していけませんか。それからKFが電流を生じない理由ですが、それはフッ化マグネシウムが水に溶けないからだと思います。
<山本さんの5月4日づけメールからの引用>
 (前略) 下にその結果を書きますが、この前メールに書いた硫酸ナトリウムは、塩化ナトリウムと同じくらい大きな電流値になりましたので、SO42−イオンも、強い触媒になるようです。
 溶液(いずれも1.0mol/l)
 NaCl Na2SO4 NaNO3 KF KCl KBr KI
  85   85     40    0 100  65 40(mA)
1.5mol/lNaNO3は45mAでしたから、Na2SO4が大きな電流値を示すのは、イオンの量が多いためではなさそうです。ハロゲンでは、Cl−>Br−>I−の順に触媒としての力が落ちていきますが、F−にほとんど触媒作用がなかったのは不思議です。また、1.0mol/lNaOHでの電流値は 0mAでした。塩基性溶液では、Mgのイオン化は進まないようです。この実験、もう少し続けてみたいと思います。
<以上>