差出人:山本 喜一
送信日:97年4月17日
宛 先:野中 林
件 名:電池について
今日は、山本です。創立記念日なので、家でゆっくりして、これを書いています。
林さんのこの前のメールにあったことですが、このやりとりをアルケの資料にすることと、林さんのホームページに掲載することについては、OKです。誰か、他の人が林さんのホームページを見て、コメントを寄せてくれるといいですね。
#1電池の内部抵抗について
水素過電圧について、「水素過電圧は、水素イオンの放電反応の起こり易さを電圧仕立てで表現したものではないだろうか」という林さんのコメントがありましたが、「電子移動の化学」によれば、過電圧は反応の活性化エネルギーに関係するようですので、その通りだと思います。
#2ボルタの電池の起電力測定
ボルタの電池の起電力をきちんと計ってみたいと思い、物理の先生から、デジタル電圧計というものを借りました。この電圧計は、抵抗がかなり大きくて、ほとんど電流を流さないそうです。さっそく、亜鉛板と銅板を6mol/l硫酸につけて計ってみましたが、値が全く安定しませんでした。例えば、いったん0.
89Vふきんで一定になったかに見えたとき、極板を希硫酸から引き上げて、もう一度希硫酸に入れると、今度は0.83V、もう一度引き上げてまた入れると、また違う値を示す、極端なときは0.35Vなどという値になる・・・という具合です。
これは、硫酸の濃度が高くて、亜鉛が溶ける速度が大きいため、反応速度のふらつきが大きく、電圧が一定にならないのではないかと思い、次に、濃度の低い硫酸でやってみました。しかし、一定の電圧は得られませんでした。たとえば、0.0001mol/lの硫酸の場合、極板をいれたときは0.951Vですが、時間とともにその値が、0.952,0.953、・・・と、変化していきます。しばらく放置すれば、一定になるのではないかと思って、そのまま帰って、次の日の朝、電位差を見ると、1.049Vを示していました。これで一定かと思ったのですが、その日の帰りに見ると、1.052Vに上がっています。要するに、一定値にならないようです。逆に言えば、常に一定値を出すような標準電極というものの、重要性が分かったような気がします。
#3マグネシウムと食塩水
鉄とほかの金属が接触していると、速くさびるかどうかを調べようと思い、亜鉛や銅、ニッケル、鉛、マグネシウムなどとともに鉄くぎを、3%食塩水に入れました。すると、マグネシウムと鉄くぎを入れた試験管から、盛んに泡がでてきました。明らかに、マグネシウムが食塩水と反応しているます。しばらくすると、試験管の中が乳白色になるほど、細かい泡をたくさん出して反応しているのです。
鉄のさびの進行が、ほかのどんな金属に影響を受けるか、などという実験はもう他の人がやり尽くしているでしょうから、今更やってもなにも新しいことはでてこないと思って、今までこれはやらずじまいだったものです。しかし、やってみて、マグネシウムは鉄があると、食塩水と反応することを知りました(他の人
は知っているのかもしれませんが)。
このとき発生した泡は、試験管の上部でまとまり、大きな泡になっていましたので、そこに、火のついた線香を入れてみました。すると、線香の火が弱くなりました。酸素ではなさそうです。次に、その泡の中に、注射器でそっと酸素ガスを注入して、線香の火を近づけると、今度はぱっと泡が消えました。やはり、水
素ガスがでているようです。
さらに今度は、泡はマグネシウムと鉄くぎのどちらからたくさんでるかを調べようと思いました。マグネシウムリボンと鉄くぎをリード線でつないで、食塩水に入れると、鉄くぎの方がたくさん泡を出します。鉄とマグネシウムの水素過電圧や交換電流密度を調べて、この理由を考えたいと思っています。