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08A−041
差出人:藤田 勲
送信日:09年2月25日
件 名:放射温度計

藤田です。
 この間、放射温度計で外の温度を測ったら17度、上空の温度を測ったらー17度ありました。外はたぶん建物や樹木にぶつかって反射してきた光を拾っているのでしょう。それから、上空は雲の温度を拾っているのかもしれません。
 それから、男子の手のひらにあてると30〜33度ちょっとあるのに、女子の場合多くは26〜28度でした。こっちはどんな生理現象の影響でしょうね。基礎代謝量の違いなのか、低血圧なのか、汗の量との関係や体重との関係など興味がわいてきました。
 ちなみに、この授業のテーマは汗です。水と共に熱を捨てるということの意味を考えるというものです。ついでにアポクリン汗腺との関係や野性動物が大汗をかかない理由(エクリン汗腺が発達していない理由)を説明します。


08A−042
差出人:林 正幸
送信日:09年2月26日
件 名:電極がナトリウムの電池

こんにちは、林です。
 液体や固体の圧力のイメージがすっきりして、講座プラン「物質の状態」をホームページ上で改訂しました。
<引用>
 液体や固体の圧力は、気体の圧力のような分子の熱運動だけでは済まされない。圧力が
ごく小さいときには、分子どうしは1節[b]のグラフにおける引力も反発力もほとんど
はたらかない距離にあるが、圧力が大きくなり分子どうしが押し込められてくると、反発
力がはたらく距離にあるようになっていく。分子がスーパーボールとするなら、それらが
押し込められてへこみ合い、その弾性力が及び合うのが圧力である。圧力が大きくなると、
こちらが主要になる。
<以上>
このイメージがなぜ湧かなかったのか。前のメールにも書いたように、圧力=気体の分子運動論という思い込みが強くて、常にそれを基に考えていたからです。乗り越えてしまえばそれほどのことではないのですが・・・。私にとって安房科学塾での圧力論議は、実によいきっかけになりました。
 さて今日は「電極がナトリウムの電池」をつくることに成功しました。
<引用>
(1)試験管にテトラヒドロフラン8mLを入れ、過塩素酸ナトリウム0.4gを加え、加
熱溶解する。
(2)同じように、別の試験管にテトラヒドロフラン5mLを入れ、過塩素酸銅0.5gを
加え、加熱溶解する。
(3)木板に銅板を置き、クッキングペーパー2枚を載せて、(2)の溶液を浸み込ます。
(4)シャーレにクッキングペーパー3枚を置き、(1)の溶液を浸み込ませピンセット
で(3)のペーパーに重ねる。
(5)ピンセットでナトリウムの角柱をその上に置き、メロディテスターをつなぐ。
(6)テスターで電圧や電流を調べ、ナトリウムを動かして大きい電流(20mA以上)
が得られたら、その状態でソーラーモーターにつなぐ。
<以上>
ただしナトリウムに触れると溶媒のテトラヒドロフランが反応するようです。そのためか、電流が不安定な面があります。しかし動き出すと電流が90mAまで達することがあり、この時点でモーターにつなぐと、ビュンビュンとまわります。電圧は2.9Vにも上がります。ただし豆電球は光りません。
  負極  Na ―→ Na^+ + e^-
  正極  2e^- + Cu^2+ ―→ Cu
 ではまた。


08A−043
差出人:山本 喜一
送信日:09年2月26日
件 名:圧力のイメージ

こんにちは、山本です。
 林さんの圧力についてのメールにコメントしなければならないと思いつつ、時間がたってしまいました。実は、林さんが書いた内容について、細かいニュアンスがつかみきれなかったので、どう書いていいか迷ってました。しかし、今日のメールを読んで、液体や固体の圧力について私と同じイメージを持っていることがはっきりしました。
 1点だけですが、「分子が押し込められる」というよりも「分子が押し縮められる」という方が、私にはぴったりきます。原子や分子は、まわりが電子雲であることを考えると、マシュマロのようなものではないかと思います。ただ、マシュマロは握りつぶすと完全にはもとの大きさに戻らなくなりますので、その点は原子や分子とは違いますが。小さくされても完全に元に戻るマシュマロを大きな注射器にたくさん入れて、ピストンを押して圧力をかけると、マシュマロは「押し縮められ」てへこみ、弾性によって力を及ぼし合うのが圧力。そんなイメージです。


08A−044
差出人:林 正幸
送信日:09年2月27日
件 名:圧力は位置エネルギー?

こんにちは、林です。
 藤田さんが書いた放射温度計、私も持っています。最近は一段と安くなり入手しやすくなっていますね。これは透明なものの温度は測れません。炎の温度などは熱電対が必要です。ちなみに私は長らく油の温度を測るのに利用してきましたが、それだけではてんぷらはうまく揚がりません。それが温度調節機能を持つガスレンジに代えた途端に、うまく揚がるようになりました。このレンジは具を入れるとすぐにガスが全開になって温度を維持してくれます。てんぷらの極意が分かります(蛇足でした)。
 それにしても藤田さんは自然を丸ごと捉えることにこだわっていますね。すこし古い話になりますが、数回前のアルケ通信の資料である「花火の化学」、その総合的な勉強ぶりには感服しました。おかげで私も勉強できました。
(中略)
 山本さん、私はやはり「押し込められて」て行きたいと思います。液体や固体の圧力では正に「押し縮められて」なのですが、私はこの用語を「圧力は分子が押し込めれられている程度」というように圧力全般に使いたいのです。つまり気体では「縮められて」はまずいからです。そして液体や固体では分子がへこんだり縮んだりしていると説明したいと思います。
 前々回のメールにも書きましたが、圧力は位置エネルギーが関係すると言えそうです。分子はポテンシャルカーブのその位置における傾きだけの力を及ぼし合います。その位置と言っても分子は振動していますので、力も変化しています。その変化部分は運動エネルギーと転化し合っている部分です。気体ではこの変化部分のみが存在して圧力を生み出していると考えられます。他方でこの変化部分は熱運動のエネルギーであり、温度に関係してきます。そして物質(純物質)の状態は温度と圧力によって決まる・・・。今ひとつすっきりしないのですが、皆さんはどう考えますか。
 ではまた。


08A−045
差出人:山本 喜一
送信日:09年2月28日
件 名:圧力について

こんにちは、山本です。またうっとうしい花粉の季節になりました。
 圧力の説明のしかたとして、林さんは、気体については「分子が押し込められる」ことによって、分子が壁に衝突する回数が増えること、液体や固体では「分子が押し込められる」ことによって、分子が縮むことが主な原因ということで しょうか。私は圧力全般をひとつの言葉で表すことにこだわりがないので、気体では分子が壁に衝突する回数が増えること、液体や固体では分子が縮むことが主な原因だ言えばすむのではないかと思っています。圧力全般をひとつの言葉で表したいというのは、林さんらしいと思いました。
<引用>
> 液体や固体の圧力では正に「押し縮められて」なのですが、私はこの用語を「圧力は分子が押し込めれられている程度」というように圧力全般に使いたいのです。
<以上>
圧力を位置エネルギーととらえる林さんの考えが、やりよく分からないのです。ここは図がないと、難しそうです。添付ファイルか何かで送ってもらえないでしょうか。
<引用>
> 圧力は位置エネルギーが関係すると言えそうです。分子はポテンシャルカーブのその位置における傾きだけの力を及ぼし合います。その位置と言っても分子は振動していますので、力も変化しています。その変化部分は運動エネルギーと転化し合っている部分です。気体ではこの変化部分のみが存在して圧力を生み出していると考えられます。他方でこの変化部分は熱運動のエネルギーであり、温度に関係してきます。そして物質(純物質)の状態は温度と圧力によって決まる・・・。
<以上>


08A−046
差出人:リチウム、ナトリウムに係わって
送信日:09年3月22日
件 名:

こんにちは、林です。
 始めに山本さん、「圧力は位置エネルギー」の図を含めた議論はやはり顔を合わせたときまで延期させてください。
 この間は、リチウム、ナトリウム、銅の過塩素酸塩を購入したこともあり、かつて紹介した「リチウムを取り出す」(非水極性溶媒を使う電気分解)と最近紹介した「ナトリウムが電極の電池」の改良ができないか、あれこれ試していました。結論はさしたる成果なしでした。どちらの場合もアルカリ金属が過塩素酸塩と反応するらしいことが障害のようです。
 前者では、生成するリチウムが過塩素酸リチウムに曝されるためでしょう、うまく行ません。そこで元の塩化リチウムに戻って、溶媒を代えてみました。以前はテトラヒドロフランとエチレンカルボナートの混合溶媒を使った(どうしてこの選択をしたのが記憶がありません)のですが、この弱点はテトラヒドロフランが揮発すると固体のエチレンカルボナートが、生成するリチウムの表面に析出することでした。そこで不揮発性の液体であるプロピレンカルボナート、これとエチレンカルボナートの混合溶媒を試したのですが、溶解度が小さく電流があまり得られず、時間を掛けている間に陽極に発生する塩素が浸みてきてリチウムを元に戻してしまうようです。テトラヒドロフランは比較的溶けるのですが、なぜかほとんど電導性がないのです(これが不思議)。こうして前の結果を越えることはできませでした。
 後者では、テトラヒドロフランの悪臭から逃れたいと、溶媒をプロピレンカルボナートに代えてみました。しかしまったくうまくいきません。ナトリウムが過塩素酸ナトリウムと反応するようで、ナトリウムの表面が変質するのがはっきり観察できます。テトラヒドロフランでも変質は起こるようですが、ある時点で電池としてはたらくようになるのです。こちらも前の結果を越えることはできませでした。
 以上、自分のためのメモのようになっていますが、悪しからず。
(後略)
 ではまた。


08A−047
差出人:林 正幸
送信日:09年4月2日
件 名:もうひとつの「非金属だけの電池」

こんにちは、林です。
 花冷えが続いていますね。私は3月28、29日と2回にわたり先進科学塾で「電池のしくみを徹底解明!」に取り組みました。準備・かたづけを含めて疲れ果てたのですが、幸い受講者からそれにも増して元気が出るかなり高い評価をいただくことができました。この内容は「電池をどう教えるか」という表題で、科教協埼玉大会においてレポートするつもりで、その作成を手がけています。
 ところでそのときの受講者(中学の先生)からの質問に絡んで、下のような「非金属だけの電池」もつくれることが分かりました。反応式は次のようです。
  負極  S2- ―→ S + 2e-
  正極  2e- +2H+ ―→ H2
        過酸化水素を加えると
      2e- + 2H+ + H2O2 ―→ 2H2O
(1)木板に炭素板を置いてクッキングペーパー2枚を載せ、10%硫化ナトリウム水溶
液12mLを浸み込ませ、「寒天塩橋」を被せる。
(2)さらにクッキングペーパー2枚を載せ、1mol/L塩酸12mLを浸み込ます。
(3)ソーラーモーターをつないでみる。
(4)さらに塩酸が染みこんだペーパーに35%過酸化水素水3mLをかける。
(5)豆電球につないでみる。またモーターにつないでみる。
 塩酸だけでしばらくソーラーモーターがまわります。過酸化水素を加えると、しばらく豆電球が光り、モーターの方はいつまでもまわるようになります。
 元の質問は硫化ナトリウムに塩酸を直接に加えても、水素が発生することはあるか、というものでした。これは硫化水素を発生させるために化学塾で実際に行った反応です。その結論は出ていないのですが、発生する気体に硫酸銅水溶液と反応しない部分が含まれているようです。ただしこれについてはさらに検討が必要です。
 ではまた。


08A−048
差出人:林 正幸
送信日:09年4月14日
件 名:講座プラン「化学平衡」

こんにちは、林です。
 花冷えから乾燥注意報、ときならず庭の水やりに時間がかかっていました。幸い今日はやっと恵みの雨です。
 科教協埼玉大会のレポート「電池をどう教えるか〜先進科学塾における試み〜」が完成しました。忘れないうちにと考えたのですが、これほど早い完成は初めてです。
 続いて、講座プラン「化学平衡」に取り組み、完成に近づいています。これは5年前につくった「化学的変化はどちらに向かうか」の不十分さが気になっていたので、その改訂版のつもりです。その中に平衡定数を利用して濃度を求めるのがあります。中でも水素イオン濃度は簡単に計測できるし、重要度も高いので、実験を組んでみました。
 1および0.1mol/L酢酸のpHは、ほぼ計算通りで気をよくしたのですが、酢酸と酢酸ナトリウムの緩衝溶液のpH(等モルならpKになる)と、1mol/L酢酸ナトリウムの加水分解のpHがうまく行きません。調べてみると試薬1級の酢酸ナトリウムのラベルに、5%水溶液のpHが7.5〜9.5と書いてありました。これではうまく行くわけがない。止む得ず特級試薬を注文することにしました。
 もうひとつ溶解度積に絡んで、約0.1mol/Lの塩化カルシウムと硫酸ナトリウムを混ぜたのですが、硫酸カルシウムの沈でんができません。こちらはどうなっているか、別の素材を選ぶかな! 本当に実験というものは、やってみないと分からないですね。
 ではまた。


08A−049
差出人:林 正幸
送信日:09年4月30日
件 名:緩衝溶液のpH

こんにちは、林です。
 海外旅行が迫っているので、私にとって豚インフルエンザはまことに迷惑な話です。キャンセル料が現在2割、5月4日になると5割になるので、3日までに結論を出そうと考えています。
 今日は特級試薬の酢酸ナトリウムが届いたので、酢酸との等モル水溶液(それぞれ0.5mol/L)を調製してpHを計測すると、4.8と計算通りの結果になりました。しかしこの試薬自身の水溶液(濃度不明)のpHは8.0〜8.5とあり、塩の加水分解によるpH計測(計算値は1mol/Lで9.4)はあきらめました。それに平衡定数を使っての計算も複雑で、結局講座プランからも外すことにしました。
 ちなみに塩化マグネシウムと炭酸ナトリウムから炭酸マグネシウムの沈でんをつくってみましたが、とても溶解度積を論じられるような状態ではありませんでした。よってこの項目も削除です。
 講座プラン「化学平衡」は、現在はレポートの形で化学熱力学による裏付けを書いています。濃度と温度は良さそうですが、圧力で混迷しています。現役のときはさほど悩まなかったのですが、改めて考えてみるとはっきりさせられないことが多いです。そして私に親切に解説してくれる参考書が見当たりません。
 私の当面の願いは、この「圧力」がすっきりし、5月9日に海外旅行に出かけられることです。
 ではまた。


08A−050
差出人:岡田 晴彦
送信日:09年5月10日
件 名:旧暦と不定時法

名古屋の岡田です。ご無沙汰しております。
 前回のアルケ通信に加えていただきました、私のレポートについてです。今年の1月に愛知で開催された理科教育論研究会に提出しましたが、時間がなかったので、議論を深めることができませんでした。ひとつの疑問がまだ解決できずに困っています。もし、ご存じの方がみえましたら教えてください。
 新聞の連載記事から紹介します。毎日新聞日曜版「旧暦どっぷり」(4月5日)のなかで、「沖縄の人々の多くが、旧暦を頭に描けば、日付と月の姿、潮の大小から、おおよその干満の時刻まで予測できるといいます。・・・「月が上がると満潮。月が自分の頭の上(南中)にきたら干潮。また月が落ちたら満潮になる。・・」」という記述がありました。
 そして、名古屋港での満潮と干潮の時刻と名古屋での月の出と月の入りの時刻を見比べたところ、近いときには10分くらい、遠いときは1時間と少しくらいの誤差はありましたが、大体は記事の内容と合いました。研究会の時に時間がなくうまく説明出来なかったのですが、地球と月と太陽の位置関係から考えると、90度ずれているようで、この理屈が分かりません。いろいろ調べる中で、潮汐に対する影響は月の方が太陽の2倍くらいであるという記述をインターネットで見つけました。潮の大小については月と太陽の相互作用で説明されますが、潮汐については月の影響で考えた方がいいようです。
 地球から見て月が南中するときはその場所にとって月が最も近い時だと思うのですが、そのときに満潮であれば納得できるのですが、実は干潮なのです。この理由が分かりません。どなたか教えてくださると助かります。
 なお、今年の科教協大会へは、「旧暦と不定時法」のレポートを持って地学分科会へ参加してみようかと考えています。


08A−051
差出人:林 正幸
送信日:09年5月20日
件 名:スペインから帰って

こんにちは、林です。
 どうやら8日間のスペイン旅行には出かけられました(家内が心配性!)。現地では豚インフルエンザはどこ吹く風、マスクをかけているのは日本人旅行者のみで、高校生からもからかわれマスクを外すことになりました。しかし飛行場と機中はマスクをかけました。そして16日に帰国してみると日本の方がひどく(?)なっているではありませんか。
 旅行の方は8都市(マドリッド、トレド、コルドバ、セビーリャ、グラナダ、ミハス、バルセロナ、モンセラ)をまわり、豊かな異文化に接することができ、感動の連続でした。驚いたことに水とビールが同じ値段です。もちろん私はビールを飲んでいました。
 帰った翌々日には大阪の妹に預けた母を迎えに行きました。まだ時差ぼけらしく、寝る時間に頭が冴えて来ます。昨夜はやけくそで徹夜で本を1冊読んでしまいました。今夜は眠れるかな?
 前のメールに書いたもうひとつの課題、つまり化学平衡における圧力の問題は、半分くらい解決しました。なにせスペインまでは片道17時間(フランスで乗り継ぎ)、時間はあり余るので、テキストを読み返したりメモを書いたりしていました。しかしまだすっきりしない部分が残っています・・・。
 この間に、岡田さんが潮汐を問題提起しています。月による潮汐力は力学における2体問題の典型です。共通重心のまわりを地球と月がまるで棒でつないだように回転しています(1月に1回 図がないと分かりにくい)。共通重心は地球内部にあり、中心から月の方へ4600kmの位置です。地球表面で受ける力のうち、地球の引力と自転による遠心力はどこでもほぼ同じになりますが、月の引力と公転による遠心力のアンバランスから、月側では月に引かれる向きに力が、反対側では月から離れる向きに力がはたらき、潮汐の原因になります。この力を受けながら地球は1日に1回転しています。
 単純に海水が引き上げられるとすると海中に真空が生まれることになります。つまりまわりから海水が集まりながら引き上げられるわけで、潮の流れが生まれます。潮の流れは海水の慣性や粘性で遅れを生じ、海底や陸地の地形の影響を受けて高低に差が生まれます。私には夏の気温が夏至ではなく、1ヶ月余り遅れて最高に達するのに似ているように思えます。
 ではまた。


08A−052
差出人:岡田 晴彦
送信日:09年5月24日
件 名:RE:スペインから帰って

 メールへの返信ありがとうございました。返事が遅くなりました。まずは、ご無事で帰国され、何よりです。私は3回海外旅行をした経験がありますが、時差ボケを早く解消する方法として、出発してから到着した国(日本も帰国の場合)の夜まで絶対に寝ないようにし、夜になったら夕食にお酒も飲み、早めに長く寝るようにしました。そうしたら、あまり時差ボケに苦しみませんでした。
 さて、月と潮汐についての説明ありがとうございました。月の引力と干満の時刻のおおざっぱに6時間ずれているのは、偶然と考えてよいのでしょうか。


08A−053
差出人:野中 直彦
送信日:09年5月31日
件 名:とんぼ玉展

 工房の名前が、ラングサーム(ドイツ語:のんびり、ゆっくり)になり、仲間展をひらくことになりました。高山にくることがあれば(遠いけど、土日は高速1000円だから・・・・)、よってみてください。
(画像省略)


08A−054
差出人:林 正幸
送信日:09年6月4日
件 名:講座プラン「変化はどちらに向かうか & 化学平衡」

こんにちは、林です。
 野中さん、工房が完成し、仲間と共に活用できるのは素晴らしいことですね。そしてラングサーム(のんびり、ゆっくり)はキーワードですね。あせらないことは、退職した私にとっても今なお大切な忠告です。
 岡田さん、潮汐でひとつ気になっていることがあります。世界中どこでも干満の遅れ(月の南中からの)はほぼ6時間なのでしょうか。私の持っている本とインターネットで調べましたが、データも記述も見つけられませんでした。もちろん太陽の影響もありますので、平均した遅れです。私には大陸の配置や海岸線の形状でかなり差が出てくるのではないかという推測があります。もし仮に干満の遅れにばらつきがあれば、疑問も解けてくるのではと思えます。
 4月につくり始めた、というより全面改定し始めた講座プラン「化学平衡」は、件名のように「変化はどちらに向かうか & 化学平衡」というタイトルでやっと完成しました。私には、化学平衡だけでなく、対立する(正逆両方の向きの)変化が条件によってどのように挙動するかに力点を置きたいという思いがありました。その化学熱力学の裏付けを確認することに頭を痛めました。検討してはテキストを修正することを1ヶ月以上続けました。これはかなり苦しかったです。旅行後の時差ぼけの長期化も、頭を必死で回そうとしていたことが重なったためと思われます(こういう私ですので、ラングサームは大切な忠告なわけです)。とくに「圧力」に苦しみました。これはいくつかの場合に分けて考える必要がありました。ルシャトリエの原理も圧力に関しては間違いを含んでいることが分かりました。そして平衡状態を離れても考えられるためには、2つの自由エネルギー(ギブスとヘルムホルツ)を使い分けるべきです。
 おかげでそれなりのものができたと感じています。ホームページにはすでに掲載しました。皆さんには次のアルケ通信で届けられると思います。でも脱力感があります。いま「化学平衡をどう教えるか〜その冒険的試み」を書こうとしているのですが、なかなか筆が進みません。
 今日は友人の原さんが、彼の別荘(ひるがの高原)に私たち夫婦を招待してくれました。私の母の介護の都合で日帰りでしたが(夫婦で外泊は困難)、高原の自然はいつも見ている木曽川の自然とは異なる味わいでした。
 ではまた。


08A−055
差出人:林 正幸
送信日:09年6月23日
件 名:溶解度と平衡

こんにちは、林です。
 蒸し暑くなってきました。皆さん、健康に注意してください。
 私の方は関心が講座プラン「溶解と溶液(仮題)」に移ってきました。20年来積んでおいた本、篠田著「溶液と溶解度」(丸善)を、熱力学の数式などは一部飛ばして何とか最後まで読みました。面白い情報がたくさん含まれていました。
 溶解度と温度との関係について、ルシャトリエの原理から考えると、水に溶けるときに発熱すれば、温度が高くなると溶解度は小さくなるはずです。体験的には発熱の例は少なくありません。しかし化学便覧で無機化合物に関して調べると、温度が高くなると溶解度が小さくなる例(馴染みのないものは除く)はほんのわずかです。
  Ca(OH)2、CaCO3
  Li2CO3、LiIO3、Li2SO4
  MgCO3、Mg(OH)2
  NiCO3
そしてデータには固相という欄があり、水和の数が示されています。つまり溶解度を化学平衡から眺めようとすると、無水物ではなく、固体の水和物と溶解している物質の平衡が問題になります。つまり水和物を水に溶かしたときに発熱か吸熱かによって、溶解度が温度によってどう変わるかが決まってくるのでした。上の本には
「塩類の溶解熱を論ずるときには水に飽和溶解したうえで析出する水和塩類について溶解熱を考える方が便利である。たとえば常温でNa2SO4・10H2Oを溶解すれば吸熱して溶解するが、無水硫酸ナトリウムは結晶水をとる際の発熱のため発熱溶解する。」
とあったのですが、その意味がやっと飲み込めた次第です。たとえば水酸化ナトリウムでは、4H2O、1/2H2O、2H2O、1H2Oなどに対するデータがあります。いずれも温度が高くなると溶解度が大きくなり、水和物の溶解は吸熱であることが窺えます。
 ちなみに気体に関しては、温度が高くなると溶解度は、塩化水素、アンモニアを含めて小さくなるのですが、何故かヘリウムのみ、40〜70℃の範囲では溶解度が大きくなっています。
 溶解に関しては「どうして溶けるか、溶けないか」が生徒の関心を集めます。だったらすこし踏み込んでみるべきかもしれません。私は現役のときは、「似たものどうしは溶け合う」をベースにして、水和と水素結合のみを取り上げていました。「価数が大きいイオンどうしは溶けにくい」というまとめをする人もいるようですが、それほど単純ではありません。どう料理するべきか、あるいは料理できるか、考えてみたいと思います。
 ではまた。


08A−056
差出人:林 正幸
送信日:09年7月10日
件 名:H2Oの生命科学

こんにちは、林です。
 先日名古屋に行ったときに購入した、中村著「H2Oの生命科学 [細胞生命のしくみ]」(培風館)を読みました。中村 運さんは生命進化の研究者で、共生説ではなく膜進化説を採っている人ですが、いずれにしても細胞生命のしくみを歴史的に捉え、その中でH2Oが決定的な役割を果たしてきたことを書いています。一昨年読んだマッキー著「生化学」のぶとい本で頭が混乱していた私には、視点が定まり実によい本でした。
 このところ、凝固点降下を簡単に計測できる−2.00から0.50℃までの温度計にチャレンジしています。センサーとして石塚電子の精密サーミスタ103AT−1を購入したのですが、改めてその性能の素晴らしさに感心しています。温度によってその抵抗値がきちんときまっているのです。たとえば
    0.24℃    27.00kΩ
   −1.81     29.50
となります(説明書のデータから計算すると)。つまり校正のためにある温度を実現する必要はなく、精密抵抗(誤差1%)を利用すれば済んでしまうのです。その上で0℃のみ氷水でチェックしようと考えています。回路の方は、以前に紹介した電源デジタル表示装置(PWDD すでに圧力計、電圧計などとして活用している)に搭載する形ですが、首尾よく動作することが確認できたところです。これから精密抵抗を入手して校正し、凝固点降下の計測にかかりますが、うまくいくことを願っています。
 ではまた。


08A−057
差出人:林 正幸
送信日:09年7月18日
件 名:水溶液の導電率

こんにちは、林です。
 水溶液の導電率は溶解や水溶液を理解する手がかりになると思います。どこまで深められるか、実際に計測してみました。メーターは生徒実験にも投入できる値段のアズワンのDTScan4を使いました。この手のメーターのレンジは0〜20.0mS/cmと決まっているようで、精度は0.2が限界です。したがって濃度は0.1mol/Lを基準にするしかありません。
@  HCl       32.6mS/cm (0.05mol/Lの計測値を2倍)
   LiCl       7.5
   NaCl       9.2
   KCl       11.3
   NH4Cl      10.7
A  KOH       24.4 (0.05mol/Lの計測値を2倍)
   KCl       11.3 (上のデータの再録)
   KBr       11.3
   KI        11.3
   KNO3       10.6
   KHCO3      未計測
   NaHCO3      7.1
B  NaCl       9.2 (上のデータの再録)
   MgSO4       9.3
C  HCl       32.6mS/cm (上のデータの再録)
   CH3COOH     0.14 (1mol/Lの計測値を1/10倍)
           (水温は約25℃)
@について
 HClを除いて、「陽イオンが小さいほど導電率が高い」とはむしろ逆の結果である。
・イオン半径(配位数6のもの)
  Li^+    0.088nm
  Na^+    0.116
  K^+     0.152
  これは小さい陽イオンほど電場が強く、水分子を配位しやすい(水和)ためかえって導電率が小さくなると説明される。そしてアンモニウムイオンはカリウムイオンくらいの大きさであろうか。
 HCl(水素イオン)の導電率の高さに関しては、水分子に配位したプロトンが次々に隣の水分子に跳び移っていくと説明される。
Aについて
 KHCO3が手元にないのでまだ未計測であるが、これとKCl、NaCl、NaHCO3の数値から、4種のイオンの導電率が、方程式を解いて求められる。
 化学便覧にある極限当量イオン導電率(1mol/Lあたりに換算した数値 25℃)は次のようである。
陽イオン
  H^+        349.8mS/cm
  Li^+        38.7
  Na^+        50.1
  K^+         73.5
  NH4^+        73.6
  Mg^2+        53.1
陰イオン
  OH^-       198.3
  Cl^-        76.4
  Br^-        78.1
  I^-         76.8
  NO3^-        71.5
  HCO3^-       44.5
  CH3COO^-     40.9
  SO4^2-       80.0
なお計測した導電率は0.1mol/Lの数値なので、10倍して比較する必要がある。もちろん濃度が極限まで希薄でないので、計測した数値は小さめである。
 それから、KOH(水酸化物イオン)の導電率の高さは、水酸化物イオンが次々に隣の水分子からプロトンを奪っていくと説明される。
Bについて
 「イオンの価数が2倍の2価になれば導電率も大きくなる」と思いきや、水和されやすくなるのでそれほどの差は生まれない。
Cについて
 CH3COOHの導電率はHClのそれの1/100程度である。つまり1mol/Lの酢酸の電離度はその程度であることが確認できる。

 導電率は濃度や温度によって変化します。それも踏まえて実験すれば、かなり溶解と水溶液が見えてくるのではないでしょうか。
 ついでながら、凝固点降下を計測するための自作の高精度温度計(−2.00〜0.50℃)はうまく動作することが確認できました。たれびん(6mL)を注文中ですが、入手しだい計測してみたいと考えています。
 ではまた。


08A−058
差出人:野中 直彦
送信日:09年7月25日
件 名:もちもちスライムの材料の購入先

藤田さんへ
 もちもちスライムの材料、グアガムとローカストビーンガム、キタンサンガムの購入先を教えてください。商店街の夜祭りで、こども300人を相手にスライム作りをすることになりました。他の材料も大量に仕入れるの、その仕入れ先もわかれば教えてください。

アルケのみなさんへ
 スライム作りで、ホウ酸の致死量が大人で5gから40gと書いてあることが問題になり、近くの幼稚園へ「こんな危ないことをやらせるのか?まちがって誤飲したらどうしてくれる」インターネットで調べた大量の資料を持ち込んで中止にしたとの話がありました。
 たしかに、ホウ酸を調べると致死量が書いてあります。でも、酸性を利用して、眼の洗顔がうがいなどの消毒に使っています。
 よく間違えるのが、ホウ砂とホウ酸、ホウ砂はしほうさんナトリウムで、中和されているので、安全面では全く問題ないと考えるのですが、みなさんはどうおもわれますか
 今年のアルケ合宿には、今のところいけません。ごめんなさい。


08A−059
差出人:杉山 剛英
送信日:09年7月25日
件 名:ダイヤ燃焼

杉山剛英@札幌 です。
 先々週、1年生の実験でダイヤ燃焼をやってみました。ものは中村理科のダイヤ燃焼セットです。石英ガラス管(¥1500)、ダイヤ(1.5mm角くらいのが2個で¥2800)でたいした値段ではありません。
 石英ガラス管(φ3mm)を水平にし、真ん中にダイヤをいれます。バーナーで赤熱させ、そこに注射器に入れた酸素ガスをゆっくり注入すると、まばゆい光を出してダイヤが燃えます。1粒で2クラス分の演示ができます。もちろん、排気は二酸化炭素なので石灰水が白く濁ります。生徒からは拍手喝采でした。これは絶対おすすめの実験です。


08A−060
差出人:林 正幸
送信日:09年7月28日
件 名:アルカリ乾電池

こんにちは、林です。
 凝固点降下を計測する高精度温度計は、実際に水の凝固点を計測してみて問題点が見えてきました。水の凝固点が0.6℃あたりになるのです。これは流している電流によって温度センサーであるサーミスターが発熱し、まわりの水溶液と熱的に定常状態になっているためと推測されます。つまりサーミスタの電流をもっと絞る回路に修正する必要があるといういことです。これは科教協大会が終わってからの仕事になります。ただしそれでうまく行くとは限りません。まだ伏兵がいるかもしれません。しかしこんなことは実験開発には付き物ですね。
 今年の科教協大会は、私は電池をテーマにしています。そこでアルカリ乾電池をつくってみました。
@亜鉛板の表面に3mol/L水酸化カリウム水溶液1mLを塗ってセロハンを被せ、カット綿(半分に割いて薄くしたもの)を載せる。
A50mLビーカーに酸化マンガン(W)1gと黒鉛粉末5gを入れてガラス棒でかき混ぜ、3mol/L水酸化カリウム水溶液13mLを加えてさらにかき混ぜ、カット綿に均等に浸み込ます。
Bステンレス板を被せ、ソーラーモーターをつなぐ。
 モーターは勢いよくまわり続けました。しかし残念ながら豆電球は無理でした。電圧は1.46Vで、電流は150mAほど流せます。
 これは6年前に実験した「マンガン乾電池」
    http://www.water.sannet.ne.jp/masasuma/masa/ne3.htm
の「塩化アンモニウムを含む15%塩化亜鉛水溶液」を上の水酸化カリウム水溶液に代えた形です。なお酸化マンガン(W)は、電解で製造された電池用のものを購入して使っています(通常のものはかなり性能が落ちる)。
 パワーアップするには商品のように微粒状亜鉛を使って表面積を拡げる必要があると考え、手元にある亜鉛粉末と上の水酸化カリウム水溶液を混ぜ、亜鉛板表面に置きそれにセロハンを被せてみましたが、性能は変わりませんでした。
 ちなみに水溶液と混ぜた亜鉛粉末を紙ゴミの上に捨てたら自然発火して火事になりました。このこと自身が面白いので検討してみる価値がありますが、アルカリ乾電池は上に書いた形で留めようと考えました。
 ではまた。


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