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07A−001
差出人:澤田 史郎
送信日:07年8月7日
件 名:お疲れ様でした
名古屋のみなさん、大会およびナイター参加のみなさん お疲れ様でした。忙しかったけど、大会は楽しいです。いろんな事を学ばせてもらったのはもちろんですが、年一回皆さんの顔を見て元気をもらうことがなにより得難いことだと思っています。
さて岡田さんにすかし模様のレシピを送ると言っていましたのでテキストファイルで添付します。あらためて第1回の通信でも送りたいと思います。
昨日大阪に帰ってすぐにクラブの面倒を見て今日からはサッカー部の合宿の付き添いです。暑い日が続きます。皆さんもお身体をいたわってください。
07A−002
差出人:野中 直彦
送信日:07年8月16日
件 名:瑞浪市の科学館でとんぼ玉
岐阜県瑞浪市の科学館(サイエンスワールド)で、こども向けのトンボ玉をやります。
8月18日(土)10:00〜16:30
8月19日(日)9:30〜16:00
1日50人、2日であせて、100人子供、親子に教えます。今回は、ひっかきをてーまに、ゴールドバンドもどきと横に針でひっかくもの、縦にひっかくものをやります。近くで、暇な方はのぞいてみてください。場所は、中央高速道路、岐阜県の瑞浪ICを降りて5分のところにあります。サイエンスフェアと称して、いろいろな実験があります。
これで、たぶん10年目になるのかな? 思えば、このサークルにいれていただいて、大阪の澤田さんにとんぼ玉なるものを教えてもらって、ちかくのステンドガラスのおばさんにバーナーを教えてもらって、それから、本をかいまくり(海外の本も注文しました)、そして、インターネットで調べたり、生徒と毎年年度末にとんぼ玉をつくったりしてきました。妻とも同じ趣味になり、あちこちの講習会なるものにもでかけました。妻が、小学校を早期退職してから、ぐんぐん腕をあげ、すばらしいものをつくるようになりました。私は、その妻の後を追っかけています。
07A−003
差出人:野中 直彦
送信日:07年8月20日
件 名:今夏のトンボ玉
土日のボランティアで疲れました。2日間で100人の人のとんぼ玉を作りました。今回は、ひっかき、白線流し、ゴールドバンドもどき、花パーツをちらす、花パーツを埋めて、透明をかぶせてレンズ効果をするなどをしました。今夏は、最後の花パーツを埋めてレンズ効果にするが好評のようでした。
07A−004
差出人:山本 喜一
送信日:07年8月21日
件 名:ゴムの発熱
こんにちは、山本です。
ゴムの帯を唇やほっぺたに当てて引き延ばすと、発熱が感じられるという実験があります。この理由がよく分からなかったのですが、次のように考えてみました。ご意見をお願いします。
「ゴムを引き伸ばすと、分子がまっすぐになることによって、運動が制限される。これは、液体が固体になるときのように、自由度が減るのかも知れない。分子が持っているエネルギーは各自油度に均等に配分されているので、自由度が減れば、並進運動に割り当てられるエネルギーが増える。つまり発熱する。」
いかがでしょうか。
07A−005
差出人:林 正幸
送信日:07年8月22日
件 名:「生命の化学」を書き始めて
こんにちは、林です。
野中さん、トンボ玉づくり、ご苦労さまでした。またアルケ合宿で見せてもらった作品には、驚きを感じました。ここまでできるようになるのか・・・。
山本さん、ゴムの伸縮と熱エネルギーの出入りについては私もそのように説明しています。ゴムの弾性はエントロピー弾性と呼ばれ、伸びることはエントロピーの減少つまり自由度の減少につながっています。ちなみに、以前に澤田(史)さんが紹介した「物質が水に溶けると、水のエントロピーは減少する」というのも面白いです
ね。私は、単純に水も分散するからエントロピーは増加すると考えていましたが、水和や溶質との水素結合は水を一部「固体化」するようなことであり、エントロピーは減少するわけです。
さて講座プラン「生命の化学」に取り組むことにし、手始めにマッキーの「生化学」(化学同人)を読みました。A4で700ページの厚さで骨が折れました。膨大で複雑な内容に後半はスキップもしましたが、何とか昨日終わりました。しかし読み終わっても、あまりプランのイメージが湧いて来ません。やはり対象として高校生
を意識し、自分の頭で構成していく必要があります。そこでとにかく書き始めることにしました。書くことで、課題が見つかり、整理も進むからです。現在の私の頭の中は茫漠としています。著者も「どんな小説になるか、書いてみないとわからない」という状況です。しかし実験・観察を基礎にするという原則があります。付け加え
ると高校生が持っている経験と認識の現状を踏まえます。その上にどんな生命の化学的イメージができていくのか。
私が焦っているのは、関連して9月の始めに先進科学塾の講座の呼びかけの文章を作らねばならないことです。あと10日ほど・・・、しかしこの圧力こそが私の駆動力になります。
暑い日が続きますね。私は汗をかくときとクーラーに涼むときをくり返すようにしています。これは「晴耕雨読」の変形で、健康にはよいと思います。
ではまた。
07A−006
差出人:杉山 美次
送信日:07年8月22日
件 名:RE:ゴムの発熱
山本さん、こんにちは、横浜の杉山美次です。
ゴムの発熱についての文献がありました。
(引用につき省略)
◆ゴムを急に引っ張るとその仕事でゴムの分子のエネルギーが高まる。つまり運動が激しくなる(ミクロブラウン運動が)。そして急に引っ張ってエネルギーの逃げるひまがないので温度が上がる。つまり、断熱的に引っ張ったとき、外力の仕事のエネルギーがゴムに与えられるが、外部へ熱になって逃げるひまがないので、内部へたまる。それで暖かく感じる。
◎以上が、1932年にマイヤーが発表した理論です。「ゴム物語」中川鶴太郎、大月書店。
自由度と並進運動(ゴム分子のミクロブラウン運動)の関係がいまいちわかりません。 単純にゴム分子のミクロブラウン運動が盛んになるので、温度があがるのではだめでしょうか。
07A−007
差出人:林 正幸
送信日:07年8月23日
件 名:再びゴムの発熱について
こんにちは、林です。
愛知県もやっと寒冷前線のご利益に預かって、今日は久々に涼しい朝になりました。雨もたっぷり降って庭の草木もしっとりとしています。
杉山(美)さんの、マイヤー理論の紹介、面白いですね。ゴムは伸びるとき仕事をされるから、それが熱エネルギーに転化して温度が上がる・・・。
しかしそれなら手を離してゴムが縮んだときはどうなるのでしょうか。温度は変化しないのでしょうか。そうではなくゴムが伸びるときにされた仕事は、伸びたゴムの位置エネルギーとして蓄えられると思います。単純にはばね定数kを使って E = (1/2)kx^2 と表されるものです。これは手を離してゴムが縮むとき、音のエ
ネルギーになったり、手に衝撃を与える仕事になったりして、ゴムが持つ熱エネルギーにはほとんど影響を与えないのではないでしょうか。
ゴムの伸縮時の発熱・吸熱はそれとは別に、熱エネルギーの分散状況が変化するためです。絶対温度とは1自由度当たりの内部エネルギーに比例します(古典論の立場)。振動に伴う位置エネルギーを無視して、1自由度当たりの運動エネルギー、あるいはさらに1自由度あたりの熱エネルギーと言っても、高校生に対してなら大き
な間違いはないでしょう。
熱エネルギーは粒子のランダムな運動に伴うもので、粒子間で絶え間なくやり取りされるので、平均的にはどの粒子も同じエネルギーを持ちます。ひとつの粒子が並進や振動や回転などいくつかのタイプの運動をしてその間でもやり取りがされるなら、1自由度あたりの平均の熱エネルギーも同じになります(エネルギー等分配の法
則)。それを私たちは温度として検出しています。式で書くと E = (1/2)kT で、ここでkはボルツマン定数です。マクロな現象に置き換えれば、高温の物体から低温の物体に熱エネルギーは流れ、やがて同じ温度になります。
ゴムが伸びると、分子の運動には制限がかかり、自由度が減少します(これ以上厳密な表現は今の私にはできません)。すると熱エネルギーは小さくなった自由度に集中して温度が上がります。
ではまた。
07A−008
差出人:杉山 美次
送信日:07年8月23日
件 名:RE:再びゴムの発熱について
林さん、アルケのみなさん、こんにちは杉山美次てす。ゴム弾性についてのご連絡ありかとうございます。
ゴム弾性の原因は、分子が飛び回る運動(並進ブラウン運動、またはマクロブラウン運度ともいう)ではなく、ゴム分子内部の運動(C−C−Cの結合角を維持したままいたままC−Cの軸が回転する運動ミクロブラウン運動という)によっておこります。このランダムにミクロブラウン運動しているゴムのC−Cの鎖は、自然の状態では丸まった状態になっています。これを外力で伸ばすと、ゴム鎖はそのミクロブラウン運動によってもとの丸まった状態にもどろうとする。これが、ゴムの弾性の原因です。したがって、ゴム弾性の特徴である、熱すると弾力が増す(他の物質は減少する)のは 温度が高いほど、ミクロブラウン運動が激しくなるからです。
……………………………………………………………………………………
説明は、この辺でとりあえずとめておきます。
◎ここまで、共通理解の確認をしていただければと思います。他の人のメールをお待ちしています。続きは、そのあとに書きたいと思います。
………………………………………………………………………………………
◆いままで、このようなメールの話題では提案者がなにやら、難しい理論を立て板に水のように流していました。これでは、少しでも関心をもっても、話を差し込む余地がありません。
◆提案者は、自分が発見した驚きや感動を他の人や生徒と共有するには、できるだけわかりやすい言葉で説明すべきだと思います。(私のがわかりやすいといっているのではなく、できるだけ、そのような気持ちをお互い持ちましょうということです)
◆このメールが、もっと気楽にだせるようにになったら、有益なものになると、ずっーと前から思っていました。私も、いつ退会するかわかりませんが、心残りが無いように今回提案しました。
07A−009
差出人:林 正幸
送信日:07年8月25日
件 名:タンパク質の2次構造モデル
こんばんは、林です。
2日ほど前に思いついたタンパク質の2次構造モデルのアイデアを、今日は材料を集めて試しに作ってみました。いくつか改良して、α−らせん構造とβ−波形シート構造がうまく作れるようになりました。材料は工作用紙、つまようじ、ダブルクリップです。ペプチド結合は同一平面になっており、工作用紙でつくり炭素と窒素の
原子価としてつまようじを付けます。α−炭素はダブルクリップで表します。これはつまようじ2本を挟んで、2つのレバー(これも原子価のつもり)を反対側にすると、4つの原子価が正四面体構造らしくなるわけです。ちなみにレバーの一方に側鎖を表す工作用紙を付けます。
正直なところ、私自身がモデルを作ってやっと具体的なイメージが湧き、得心が行きました。α−らせんは右巻きと左巻きが可能ですが、リボソームで実際に合成されるタンパク質は、アミノ基が残っている方から見て右巻きになっているそうです。また1回転で3.6個のアミノ酸残基です。β−波形シートは平行と逆平行がある
そうです。それによってできる水素結合を別のダブルクリップで挟んで固定すると、モデルがしっかりしてきます。なるほど! なおここでは光学異性は無視することにしました。
これはヒットかなと、すこし嬉しくなって皆さんに報告です。ただしプラン「生命の化学」はスタートしたばかりの泥道です。これを何ヶ月か引っ張っていくつもりです。
ではまた。
07A−010
差出人:山本 喜一
送信日:07年8月26日
件 名:RE:タンパク質の2次構造モデル
こんにちは、山本です。
らせん構造とシート構造ができる模型は、面白そうですね。BSEのタンパク質が正常なタンパク質をシート型にする説明に使えそうな気がします。
07A−011
差出人:吉田 耕三
送信日:07年8月27日
件 名:アルケミストの会の皆様へのご挨拶(吉田)
残暑お見舞い申し上げます。いかがお過ごしですか。暑さに負けずご活躍のこと存じます。
この度、入会させていただきました神戸の吉田耕三です。科教協の全国大会に今年初めて参加しました。化学分科会で「酢酸ビニルの乳化重合 *37年前の教科書の実験をもう一度高校の実験室に*」というテーマで報告させていただきました。その際司会をしていただいた山本さんをはじめ参加されていた会員の皆様には大変お世話になりました。ありがとうございました。そしてその他の皆様、はじめまして。よろしくお願い致します。
私は、昨年3月、36年間勤めた兵庫県立高校を退職し、専業主夫をやっています。アルケミストの会は、会が最初に実験集を刊行されたときに知り大変魅力を感じるとともに、その実験集を参考にしていくつかの教材を作らせていただきました。在職中はほとんど教育活動と組合活動を両立させるのが精一杯で、教材研究の結果を本格的にまとめはじめたのは退職してからです。それでも、在職中、話がそんなに得意でない私でしたから、生徒実験の中身でそれを補おうと努力してきました。それをまとめながら皆様と交流できたらと思っています。
今の子どもたちの状況そして長時間労働で追いまくられている若い人の状況を見て、地域の人が地域の子どもを育てる環境作りが大切だと感じています。言い換えれば、定年退職した人たちが地域の子どもたちのおじいさん・おばあさんになって子どもを守り育てることが重要だということです。そこで、退職後はこれまでの化学の授業で開発した教材を生かして「地域子ども理科実験教室」を知り合いのお母さんと協力しながら私のできる範囲で実施しています。9月は藤田さんから分けていただいた材料で「大きいシャボン玉」をやる予定です。理科教室8月号の「生徒とともにつくりあげた化学実験NO.3 カルメ焼き」でもその一端を紹介していますのでご参照ください。ここで得た新しい知見も紹介できたらと思っています。
先週の日曜日19日は、近くの公園で親子20数名が集まって、ペットボトルロケットの飛距離を競う理科実験教室を行いました。ペットボトルに水と入浴剤を入れゴム栓をして発射台から斜めに飛ばすというものです。親子で考えてきたさまざまな発射台、当日即席で作った発射台それぞれに良さがあり、夏休みの課題研究として取り組む子どももいる中で、私自身がいろいろ勉強させてもらいました。昨日26日は、理科実験教室の予備実験につきあってくれる近所の子どもと自宅前の道路で久しぶりに「三角ベースの野球」をやりました。公式テニスのボールを平板で打つ野球ですが、子どもたちだけで結構楽しめるルールを作っていたのには感心しました。しばらく一緒にゲームをする中で一人の女の子が「吉田さんが入っている方が楽しい。」といってくれたのでますますいい気になってがんばりました。今はこんな時間が私にとって一番楽しい時間です。
最後に、趣味でやっているソーラー自転車を紹介します。電動自転車にソーラーパネルをセットし、補充電をする仕組みです。今、試運転中です。神戸から、一泊で兵庫県の中央部に出かけたり、日帰りで淡路島の北部に出かけたりしています。このソーラー自転車で近い将来日本一周ができたらと思っています。こんなことが続けられるには、なんとしても平和が一番大切です。憲法9条を守るという一点で力を合わせようという地域の「9条の会」の活動にも力を入れています。
何年も前から入りたかったアルケミストの会の仲間に加えていただき大変光栄です。がんばります。よろしくお願い致します。
暑さが続きます。ご自愛の上、ますますお元気でご活躍ください。
07A−012
差出人:林 正幸
送信日:07年8月30日
件 名:糖質の針金モデル
こんにちは、林です。
吉田さん、自己紹介ありがとう。科教協大会は、今年は現地の愛知であまり参加できませんでしたが、幸い分科会で「酢酸ビニルの乳化重合」のレポートに接することができ、蓄積された内容に感動しました。
今日は糖質の針金モデルについてです。針金で糖質のモデルをつくることは一部現役のときにもやっていましたが、そのときはデモ用の大きなものでした。針金を細く小さして生徒が自分で作成すれば、親しみも湧き、構造も実感が持てるようになると考えました。次のようです。
<引用>
[a]次のルールにより実物も参考にして、針金とラジオペンチで次の糖質のモデルを組み立てよ。
・結合の長さは2.5cmとする(2.5×5cmの工作用紙をゲージとして利用する)。
・180°ないし360°に丸く曲がった部分は酸素とする。
・残りの角は炭素とする。
・水素は表現しない。
・1番炭素の部分から作り始め、最後の2.5cmは重ねてセロテープで固定する。
(ア)α−グルコース (イ)β−グルコース (ウ)β−フルクトース
(エ)β−ガラクトース (オ)β−リボース (カ)β−デオキシリボース
<以上>
実物を見ないと分かりにくい点もあると思いますが、さらにスクロース、マルトース、ラクトース、アミロース、セルロースを組み立てて行きます。鎖状の糖質も作成できます。先日の「タンパク質の2次構造モデル」でも書きましたが、モデルで遊ぶのは教師自身が勉強になります。
講座プラン「生命の化学」の視点は相変わらずぼんやりですが、「生命を化学から覗いてみる」という内容にしようと考えました。本格的な生化学の勉強では、高校生はもちろん私自身にとっても負担です。
「ゴムの発熱」に関して、杉山(美)さんから、授業ではどうしているかというような指摘がありました。私の現役のときのプリントは次のようでした。
<引用>
輪ゴムを引き伸ばすと高分子の一部分が(拘束されて)熱運動できなくなる。するとそ
の運動エネルギーが残りの部分に集中して(熱運動)が激しくなる。こうして唇に当てて
おいた輪ゴムを、一気に引き伸ばすと温度が(高く)なっていることを確認できる。反対
に引き伸ばしたままで唇の温度になった輪ゴムを一気に縮ませると、運動エネルギーが高
分子全体に(分散して)熱運動が弱まり、温度が(低く)なるのである。
<以上>
温度については、1自由度当たりの熱エネルギーというのではなく、熱運動の激しさと表現しています。やや曖昧ですが、高校生の第一段階としてはこれくらいがいいかと考えます。
大月書店の「ゴム物語」は私も目を通したことがあることに気が付きました。杉山さんの「結合角を維持したままC−Cの軸が回転する運動」という話も思い出しました。このように具体的に説明できるのは大切ですね。ただし「ミクロブラウン運動」というのは変ではないですか。もともとブラウン運動は外部の分子の熱運動の影
響を受けて粒子が突き動かされるものです。やはり熱運動と表現すべきではないでしょうか。
ではまた。
07A−013
差出人:杉原 和男
送信日:07年9月20日
件 名:IPSTでの講演
アルケミストの会の皆さん
タイ国科学技術教育振興研究所(IPST)で,講演をしてきました。IPSTは,職員数300名,年間予算60億円という大きな組織で,教科書編集,研究,教材開発と製作と販売(半官半民の別組織を利用),留学などをこなしている,理科の総合センターです。
IPST web site
http://www.ipst.ac.th/main.htm
帰宅すると,あちこちから電話が入っておりました。ちょうど帰国の日にタイで航空機が墜落したということで,心配していただいたようです。
9日(日)出国
10日(月)講演準備
11日(火)〜13日(木)先生方への製作,実験講演
14日(金)IPST職員への実験講演
15日(土)OFF
16日(日)帰国
IPSTのスリン所長がタイ国の東レ科学振興会の役員の一人であり,日本の理科教育賞を受賞した先生を招請できないか,という思いを具体化したものです。当日は,地元メデイア他,タイNHKの取材,タイ東レの取締役らの来訪もあり,賑やかなことでした。
11〜13日の2泊3日の講座は,今後のことを考え,参加の先生は,若い精鋭を選ばれたそうです。職員も含めての40名ほどの先生を対象に講演をしました。内容は,パスカル電線の製作(各自に持ち帰ってもらいました),実験,歴史を含めた理論編です。こんなに長い時間を使っての講演は初めてで,全く新規に作成した資料を使っての,最高に丁寧な内容としました。この電線に,これだけの時間を使う内容があったことにも,自身,驚きました。今後,近隣諸国を含め,流通ルートにのせて普及をはかるそうで,新しく「S-cable」と命名をしていただきました。Sは,special super そしてsugihara‥ということだそうです(-_-;) 講演の反応はとても良く,最高に気分のよいものとなりましたが,タイの教育のさまざまな課題も知ることができました。
14日は,IPST職員向けの内輪の講座で,緊張感も減り,とても楽しいものとなりました。5種類ほどのネタを見せましたが,どれも,絶対にご存じないと思われるオリジナルネタとしました。前日の評判が高かったそうで,多くの職員が参加しました。午後は,所長が付き添っての延長講座となりました。
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短い期間ではありましたが,外から日本の教育を見ると,はっとすることがたくさんありました。特に,日本独自の理科教育について,少し見えてきました。メールでは書ききれないこと,表現しにくいことも多く,詳細は年末の安房塾でお話したいと思います。
▼
いずれにしても,国境を越えると,「杉原」というより「日本人」という目を意識するわけで‥例えば,日本とタイ友好といったことを優先しなければなりません。失敗は許されず,最高の内容を目指さなければいけません。結果,形式はお客さんではあり,とても丁寧に応対していただきましたが,どっと疲れました!
07A−014
差出人:林 正幸
送信日:07年9月21日
件 名:時計反応の準備
こんにちは、林です。
吉田さん、阿部さん、メーリングリストへの参加、ありがとう。そして杉原さん、海外でも活躍ですね。
さて10月の「科学の祭典」(名古屋市科学館)に向けて時計反応の準備をしていて、結構苦労があります。子ども向けでどうしたらやりやすく楽しめるか考えました。容器はビーカーでなくポリコップにしましたが、倒れないようにベニヤ板に穴を空けてコップを軽く押し込めるようにしました。林ラボのボール盤にサークルカッ
ターを付けるときれいに穴が空きます。溶液の量はメスシリンダーは扱いにくいので、試験管に白色のビニールテープを貼り、目盛りを書きました。時間はデジタルストップウオッチ(これは私のお手の物)で、色が変わったらボタンスイッチを押してもらいます。B液を2倍に薄めると反応時間が倍になることが分かればよいと思い
ます。
反応式は次のようで
2I^- + H2O2 + 2H^+ ―→ I2 + 2H2O (1)
I2 + 2S2O3^2- ―→ 2I^- + S4O6^2- (2)
チオ硫酸イオンがあるうちはヨウ素・デンプン反応が起こらないという方式です。試薬の標準処方は
A液
ヨウ化カリウム 300m mol(1Lあたり)
チオ硫酸ナトリウム 30m mol
溶性デンプン 0.2g
酢酸 500m mol
酢酸ナトリウム 50m mol
B液
過酸化水素 1000m mol(1Lあたり)
です。酢酸と酢酸ナトリウムは水素イオン濃度を一定に保つ緩衝溶液です。実際には気温が高いことが予想されるので
ヨウ化カリウム 120m mol
過酸化水素 600m mol
にして反応速度を落とします。
そして両液を準備してみたのですが、A液は白濁します。思い出ずれば、チオ硫酸ナトリウムは酸性では硫黄が生成します。ところがそれを除いて溶液を準備すると、今度はしだいに紫色になってきます。そうそうヨウ化カリウムは分解しやすいのだ! ところが箱に入れて光を遮っても駄目です。しかし実はこれは着色ほどには反
応が進行しているわけではありませんでした。わずかにチオ硫酸ナトリウムを加えると無色にもどります。B液の方はと言うと、分解して酸素が発生します。ペットボトルがかなり膨らみます。仕方がないので、水を準備しておいて、500mLずつ、その場で35%の試薬を加えることにしました。試薬の方は保冷しておく必要があ
ります(祭典は準備を含めて3日間)。
もうひとつは廃液処理があります。青色になった廃液はチオ硫酸ナトリウムを入れたペットボトルに貯めて行きます。
以上でうまくいくようになればよいのですが・・・。
ではまた。
07A−015
差出人:杉原 和男
送信日:07年9月22日
件 名:IPST?
アルケミストの会の皆さん
▼
実験講演に招かれたIPSTについて,もう少し丁寧に説明します。正式名「The Institute for Promotion of Teaching Science and Technology」の略称です。日本語では,「教育省・タイ国科学技術教育振興研究所」となりま
す。web site 「www.ipst.ac.th」所在地は,タイ国,924 Sukhumvit Road,Klong Toey,Bangkokで,BTS(高架鉄
道)EKKAMAI駅前にあります。
業務は,タイ国の小・中・高等学校の理科・物・化・生・環境・算・数学・情報・技術のカリキュラム策定,各教科書と指導書の編集と刊行。教員研修や留による学位取得支援や,生徒指導,OECD-PISA(国際理科教育調査)など多岐にわたっています。職員も300名ほどの大きな組織で,年間予算も高額です。選挙で選ばれた,現Prof.Dr.Surin所長が,タイ・東レ科学財団の評議員で,自身も受賞者であるという事情で企画された事業でした。
▼
IPSTの隣には,科学館を併設しており,プラネタリムや水族館などもありました。また,開発教材教具の市販体制ができており,販売店(半官半民で数ケ所存在)が科学館の北東にあります。見学した店は,教科書や指導書が多く,理科教材は,その一角を占めていました。しかし,狭い所に,開発教材やガラス器具,試薬まで網羅し,興味深い空間でした。よくわからないものが多く,使い方もタイ語では,どうしようもありません。結局,おみやげとしてタイ語の周期表を40枚買いました。世界のどこででも周期表が利用されているという教材になるだろうという意図です。こういった教材店で,タイのおおよその教育事情がわかりました。もし,出かける機会があれば,立ち寄られてもいいかもしれません。
▼
見学に来ていた生徒を観察しました。かなりにぎやかなのには驚きましたが,明るい表情で問題性を感じません。女子が元気で,男女の平等意識が発達している国であることを納得できます。プラネタリウムもにぎやかでしたが,先生の注意もなく,終われば拍手が鳴り響き,結果はとてもよい雰囲気でした。急速に成長する国の勢いとでもいうのでしょうか。日本を振り返り,気付くこと,考えることが次々に出てきました。
▼
タイガーバームは,タイでは,メジャーで一般的な家庭薬ということです。そこで,私の学生時代からの興味対象の樟脳(d-camfor:タイガーバームの主成分)と樟脳ボートも一般的に普及していると考えていました。しかし,事前にメールで,d-camforという名前で聞いたところ,見つからないという返事でした。
もしかしたら樟脳ボートは日本独特のものではないかという仮説もあって,とにかく実験準備をして訪問しました。持参した樟脳の匂いをかいだ副所長が,「もってるよ!」ということでわかりました。樟脳はカラブーンという名前で芳香剤として広く使われていたのです(コンビニで普通に入手可)。ホテルとIPSTを送迎していただいた車の芳香剤が,これでした。なお,防虫剤としての利用は,確認できませんでした。職員対象の講座で聞いたところ,樟脳ボートは,広島の教育センターで知ったという方以外にご存じありませんでした。早速,紹介しましたが,かなり驚かれ,とても喜ばれました。方法も,ポリ袋内圧縮法と,アルコール溶液の塗りつけ法という簡単で安全で安価な杉原法を紹介しました。近々,子供向けの科学展示があるようで,すぐにでも紹介したいということでした。
日本では,健康被害の可能性があるということでおもちゃ販売の表ルートから消えましたが,タイでは芳香剤‥もしかしたら,タイで急速に広がるかもしれません。
▼
職員向けの講座内容は,シンプル,安価,本質的ということをキーワードに選定しました。こういったコンセプトは,ご存知の内容である可能性も高くなります。しかし,そうでなければ,非常に価値が高いと思いました。今回は,すべてに私のオリジナルな工夫があり,大丈夫だろうと思いましたが,不安もありました。結果,意図は的中し,大変喜んでいただけ,とても気分のよい講座になりました。海外で,何をなすべきか?,少し見えてきました。
07A−016
差出人:藤田 勲
送信日:07年10月3日
件 名:書籍の紹介
藤田です。
最近、『新骨の科学』、須田立雄ほか(医歯薬出版)が出ました。この本の旧版は図書館で借りて読んだのが10年前ぐらいでした。旧版の出版が22年前ということですが、図書館の古ぼけた本からでも新鮮な感動を覚えたものでした。当時は骨に関する一般書はそんなには多くなかったと思いますが、長寿に伴う骨粗しょう症への関心の高さを反映してか、この手の本が一気に増えたような感じがします。
この新版は私のような専門外が読んでも分かるように面白く書かれています。もちろん専門的な内容も分かりやすく書かれている学術書です。おそらく旧版にも増して評価が高まるのではないかと思います。もしも、これから骨の本を買おうとする方がいらっしゃったら、まずこの本に目を通すことをお勧めします。ただ、図版が多いのは良いのですが、その説明文が図中に少ないのが私のような門外漢には不親切な気がしました。それとやはり高い(9450円)のが難点です。
07A−017
差出人:林 正幸
送信日:07年10月13日
件 名:ホタライト
こんばんは、林です。
酵素の基礎実験に使おうと購入した「ホタライト」、今日実験してみました。これは遺伝子操作を利用してキッコーマンが製造した商品で、Aが酵素のルシフェラーゼ、Bが基質のルシフェリンとATPです。遮光用の袋に入っており、それぞれ水50mLを加えて使います。
発光は、工作用紙で底が3×6cm高さが11cm(この長さは明視の距離ではありませんが、1枚から4個作れるように)の箱をつくり、20mLスクリュー管(たまたま手元にあった)で反応させて箱に入れ、顔に押し当てるとよく見えます。この箱を2つ使います。
試薬は4mLずつ加えます。始めに水を入れたスクリュー管と比べると発光していない場合との違いが明確になります。発光はかなりの時間続きます。
次に2つのスクリュー管で発光させ、一方を対照サンプルとします。他方に、0.1mol/L塩酸5滴を加えると発光が消えます。0.1mol/L水酸化ナトリウム5滴を加えると元に戻ります。さらに15滴を加えると発光がかなり弱くなります。先の塩酸15滴を加えると元に戻ります。続いて今度は1mol/L塩酸1mLを加えると発光が消えます。そして1mol/L水酸化ナトリウム1mLを加えても、発光は戻りません。ルシフェラーゼの最適pHは8であり、後の実験では変性して破壊されたことが推測されます。
氷水、40℃、58℃、70℃の湯を準備します。もう一度2つのスクリュー管で発光させます。その一方を氷水に1分浸けると、発光が弱まります。40℃に1分浸けると、発光が常温より強くなります。次に58℃に浸けると、発光が消えます。これを少し氷水で冷やし40℃に浸けると、発光が戻ります。今度は70℃に1分浸けると、発光が消えます。そして40℃に戻しても発光は戻りません。そこでこの反応溶液を新しいスクリュー管とで2分します。一方にはAを、他方にはBを4mL加えます。すると前者では発光が起こり、後者では発光しません。58℃は60℃でもうまく行きましたが、60℃では時間が長いと発光が戻らないようです(添付された説明書によりと)。話はお手本どおりです。ルシフェラーゼの最適温度は37℃です。そして後の実験から、発光が止まったのはルシフェリンのためでなく、ルシフェラーゼが変性して破壊されたことが確認できます。
インターネットで検索しても、ホタライトの実験が2,3出てきます。かつてウミホタルで似た実験をしたことがありましたが、この商品はたいへん優れていると思います。
酵素というとカタラーゼですが、こちらは私が自作の圧力計を貸した学校(SSH)が、より踏み込んだ結果を出しているようです。私もカタラーゼはそのように扱いたいと考えています。
ブドウ糖の検出について調べていたら、糖尿の検査用にテス・テープAという試験紙があることが分かり、早速注文しました。現在はタンパクと潜血の検査もできるものが主流だそうです。テス・テープAは酵素反応を利用しており、酵素の基質特異性の実例にもなります。
ではまた。
07A−018
差出人:林 正幸
送信日:07年10月18日
件 名:テス・テープA
おはよう、林です。
今日は昼に四ケ浦さんたちと大会ホームページの相談のため名古屋で会う予定です。
前のメールで書いたテス・テープAを試してみました。0.5%グルコース水溶液で深緑色に変化しました。砂糖ではわずかに緑がかりました。これは転化糖が加えられているためです。30枚が1000円あまりですが、試験紙は上下2回使えば60回の検査ができます。
生化学の実験の本を調べていたら、グルコースの定量実験として載っていました。その原理は、酵素グルコースオキシダーゼはβ−グルコースをグルコノ−1,5−ラクトンに変え(これは加水分解でグルコン酸になる)、そのとき過酸化水素の生成を伴う。そしてペルオキシダーゼがこれを分解して酸素を発生させ、この酸素がo−トリジンと反応して青色に発色するのです。試験紙は元が黄色ですから、黄緑から深緑色まで変化することになります。
その本によると、試験紙にはα型とβ型を相互変換するムタロターゼという酵素も含まれているようです。そしてマンノース、キシローズが1/100の、ガラクトースは1/1000の速度で反応するだけで、グルコースの基質特異性は極めて高いとあります。
ではまた。
07A−019
差出人:林 正幸
送信日:07年10月18日
件 名:ベネディクト試薬
こんばんは、林です。
名古屋まで出かけたものの、ホームページの相談は1ヶ月ずれていて11月のことでした。「平日なのに」という思いはありましたが、今月と信じ込んでいたので・・・。
さてベネディクト試薬についてです。フェーリング試薬はよく知られており私も使ってきました。しかしくわしいことは知りませんがこれには弱点があり、それをベネディクトが改良したのだそうです。であればこちらを使うべきではないでしょうか。ちなみにこの試薬は、フェーリング試薬もそうですが、脂肪族のアルデヒドに固有な反応です(銀鏡反応つまりトレンス試薬はすべてのアルデヒドに共通です)。試薬の処方は
@水約75mLにクエン酸三ナトリウム2水和物17.3g、無水炭酸ナトリウム10gを加えて加熱溶解する
A水約10mLに硫酸銅5水和物1.73gを加えて加熱溶解する
B両者を混合し、水を加えて全体を100mLにする
です。
数mLの水にサンプルを溶かし、同体積の試薬を加えて煮沸すると、赤から緑色(少ない場合)に濁ります。やってみると、グルコースでは赤褐色、砂糖では緑色でした。
ベネディクト試薬の名前は息子が中学時代に口にしていたことがありますが、ほとんど普及していないようですね。私はこちらに切り換えていこうと考えています。
ではまた。
07A−020
差出人:林 正幸
送信日:07年10月23日
件 名:デンプンの加水分解
こんばんは、林です。
今日はデンプンの加水分解の実験を組み立ててみました。沸とう水にかたくり粉を溶かして、2%のデンプン溶液をつくります。この段階ではもちろんヨウ素・デンプン反応が起こります。そして手で持てるくらいに冷めたら、ジアスターゼ小さじ1杯と濃塩酸1mLに、それぞれ10mLずつ注いでかき混ぜます。ジアスターゼの方は見る見る粘性が小さくなります。数分後に調べると、ヨウ素・デンプン反応は起こらず、ベネディクト試薬で赤褐色の沈でんができます。ところが濃塩酸の方はまだヨウ素・デンプン反応が起こります。そこでわずかに沸とうするように数分加熱します。粘性が小さくなり、今度はヨウ素・デンプン反応は起こらず、ベネディクト試薬で赤褐色の沈でんができます。
これで体温付近では、酵素は化学的触媒よりはるかに活性が高いことが分かります。そして化学的触媒も高温では大きい活性を示すことが分かります。前半のことはカタラーゼと酸化マンガン(W)を比較してよく実験されますが、今回の私のプランでは、カタラーゼは別の目的に使うので、ちょうどよい代替実験になります。
さてついでにテス・テープAでも調べてみました。ジアスターゼ(アミラーゼ)の方はすこし黄緑色になります。これはアミラーゼがマルトースだけでなくすこしグルコースも生成するためです。これに対して濃塩酸はまったく変化しません!? いやいや、実はこちらの反応溶液はベネディクト反応に先立って、炭酸ナトリウムを泡が出なくなるまで加えてあります。 テス・テープAは酵素反応、最適pHがあるはずです。酢酸で中性にすると、明解に深緑色になりました。やはり生成物はグルコースがメインです。
ではまた。
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