ひとつ前のメール(05A−020)に戻る。
05A−021
差出人:藤田 勲
送信日:05年9月30日
件 名:黒ずんだ銀製品が鉄温泉で元に戻る?
林さん、電気パンの電極に関するコメント、ありがとうございました。銅板がいいとは思っているのですが、時間がなくて従来のステンレスで生徒実験はやりました。今回、両端が黒ずんだ班は一つもなく、目に見えなくてもステンレスがイオン化しているのだろうとは思いましたが、そのまま食べさせました。
ステンレスの極板の腐食のしやすさはパン生地の中身によるのでしょうが、なぜ今回著しい腐食がなかったのか分かりませんでした。私の経験では、片側だけが膨らんで不均一に盛り上がってきた時に腐食が大きいような気がしています。生地から発生する炭酸ガスが極板から離れにくければその部分は抵抗が大きくなり、伝導性が落ちて局部的な発熱があるでしょう。このことが極板の腐食と関係があるのかどうかは分かりませんが、今回のパン生地は比較的軟らかく流動性がありました。卵をLサイズにしてマーガリンも結構入れました。発生初期の泡が極板から移動しやすかったのかもしれません。
ところで、『温泉学入門』(日本温泉科学会、コロナ社、2005)に温泉で黒ずんだ銀製品は鉄分を含む温泉につければ元に戻る、という記述があります。この鉄泉質の温泉とは緑礬泉のことのようですが、本当でしょうか。試しにセピア化した白黒写真(硫化した銀)を硫酸鉄(U)につけてみましたが、何の変化もありませんでした。酸性の方がよかろうと思ってさらに塩酸を足しましたが、やはり変化しません。この本の説明では、銀と鉄のイオンへのなりやすさの違いによって起こるのだと書いてあります。本当でしょうか。
05A−022
差出人:林 正幸
送信日:05年10月2日
件 名:電気パンなど
おはよう、林です。
小林さん、1週間内にアルケ通信の資料を送るつもりです。今回は
アルケミストの皆さんへ
講座プラン「元素と原子の発見」をつくって(科教協大会レポート)
MOLの会通信05−6号
環境問題通信05−7号
です。何せ印刷のチャンスが少ないものですから、その意味では苦労します。
電気パンですが、きじの状態で電導性に差が生じ、そのためにうまくできないことがあります。私は量を明示してきじを生徒に調合させていました。そのもうひとつの意図は、生徒にパンが膨らむ理由や電導性がある理由を納得させるためでした。炭酸水素ナトリウムとクエン酸の他に塩化ナトリウムを補うと、味を損ねずにほどよい電導性が確保できます。玉子は使いませんでしたが、マーガリンは加えました。詳しい内容はホームページの「私が好きな実験(〜03.1)」の中を見てください。そのために10数個の電気パンを試した覚えです。
「黒ずんだ銀製品」の話、酸化還元電位を調べてみると次のようです。
2Ag + S^(2-) ←→ Ag2S(α) + 2e^- 0.66V
Fe^(2+) ←→ Fe^(3+) + e^- −0.771
Ag ←→ Ag^+ + e^- −0.799
これからすると硫化銀が銀にもどることはないですね。
このことで思い出すのは、30数年前に取り組んでいた「セロハン公害」です。工場周辺ではさびないはずのオリンピック銀貨が黒くなっており、これはセロハン製造の工程で発生する硫化水素のためであると、住民学習会のよい教材になっていました。
ではまた。
05A−023
差出人:杉原 和男
送信日:05年10月2日
件 名:電気パンについて
おはようございます。杉原です。
「電気パン」は興味深い教材で,実践が広がるとともにさまざまな論議(問題点)を聞きます。特に,電極板について気になっているのは確かです。
私は,1993年の『理科おもしろ実験・ものづくり完全マニュアル』および,2002年に『おもしろ実験・ものづくり事典』(どちらも東京書籍)に,電気パンを執筆しました。この内容より詳しい文献はないと思います。それだけに,こういった論議で批判の対象になっているようで,辛い気持ちもあります。しかし,教育とは離れた論議のように感じるところがあり,一切,関与しませんでした。前から,私のweb siteにも掲載しておりますが‥
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sugicom/kazuo/neta/butu8.html
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sugicom/kazuo/neta/butu19.html
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sugicom/kazuo/neta/butu9.html
電気パンは,教材なのです。そして,以下の書き込みをしております。
*********************************
電気パンについては,「こんなものを用いた歴史がある。」「電流と発熱の教材
として利用できる。」「食用にならない部分がある。」「実用調理器具ではな
い。」…これらすべてについて教材とすることが求められます
*********************************
電気パンは,1981年の偶然の出会いで作ったわけですが,当初から食べるためでも実用品でもありませんでした。あくまでも,教材なのです。この器具にどのような電極板を用いようと,多少の溶出は避けられず,また,100Vの危険性もあり,だから,廃れたのです。これは,教材化の前提条件でした。しかし,実験イベントなどで,アルミホイル電極板を用い,食用を主目的とした取り組みを目にして,「私の意図しているのとは違う!」と思いつつ,「まあ,こんなのもいいか!」眺めていました。
しかし,2つの連絡があり,焦ってきました。一つは,あるレストランから,「電気パンをメニューに入れたいのですが,相談にのってほしい。」という依頼です。また,本庁の親しい方から「授業で電気パンというものが使われているそうですが,電気の利用方法としては問題があるという指摘がありました。どうなんですか?」という連絡を受けました。
要するに,実用面や安全面での教育以外からの反響です。
つまり,「電気パンは,どうすれば実用化できるか!」ではないのです。ジュール熱やイオンの教材として位置づけるべきで,実用化を目指そうとすると,どのように工夫したところでクレームがつくのは当然です。あくまでも,教材として上の4項目などを考えるところに意味があります。
なお,最近,食塩の添加についての言及をあちこちで目にしますが,すでに,上記に出版物やweb siteで詳しく触れ,興味深い仮説を提案しております。電極板とパン種との分離は水分量に関係していますが,これも同様です。
05A−024
差出人:藤田 勲
送信日:05年10月10日
件 名:スクアレンのこと
皮脂のことを調べていて疑問に思ったことがありましたのでメールします。スクアレンというコレステロールの原料になる炭化水素があります。これはヒトの場合、皮脂に10%程度と比較的多く含まれますが、コレステロールとそのエステルは5%以下になります。ところが、他の羊、猫、犬などのほ乳動物では逆でスクアレンはほとんど含まれず、コレステロールとそのエステルが20%程度含まれています。
どうしてヒトの場合だけ皮脂にスクアレンが含まれるようになったのでしょう。
05A−025
差出人:林 正幸
送信日:05年10月12日
件 名:PET銀鏡のむら
こんばんは、林です。
「元素を自分で取り出してみよう」の準備で、このところPET板の銀鏡づくりの検討をしています。PET板は厚さ1mmのものを8×5cmに切りました。前処理は、澤田(紳)さんのMOLの会でのレポートを参考にしました。銀液は、かつてスライドガラスの銀鏡づくりに使っていた処方で、生徒全員につくらせてもまず失敗のないものでした。全体の操作は下のようです。
PET板がよいのは、割れないのはもちろん、片側の保護膜をはがして洗浄せずにすぐに実験に取りかかれることです。加えて今回は金箔との比較実験もしたいので、銀めっきされた保護膜ができることです。
ところで意外と手こずりました。即乾性の白色ペイントをスプレーして固定しようとすると、銀膜が縮れるのです。セロテープを貼る方式にしてみましたが、なれないと銀膜をはがしたりします。それが水性ペイントに変えると解決しました。ヘアドアイヤーを2回使うことで、すぐに鏡ができます。また銀が薄くしかめっきできない状況が続きました。この原因は、水酸化ナトリウム水溶液が古く、炭酸ナトリウムがいたずらをしているようでした。
今なお困っているのは、鏡にむらができ、むらの部分がすこし暗く映ることです。まれにむらのない鏡もできたのですが、30枚ほどつくって検討しても原因がつかめません。現在は諦め気味ですが、何か情報がありましたら教えてください。
ではまた。
<操作>
(1)PET板の片側の保護膜をはがし、その面を上にして0.5%タンニン酸水溶液に5分(以上)浸ける。
注意:PET板の表面には触れない。
ときどきパックを傾けて液を移動させる。操作(2)も同じ。
(2)割りばしでPET板を取り出し、液を切ってはがした面を上にして、0.02%塩化パラジウム水溶液に5分(以上)浸ける。
(3)この間合計10分の時間を利用して、新しいとうふパックに、2%硝酸銀水溶液15mlと3mol/lアンモニア水2.5mlを入れて、振り混ぜる。
(4)また、50mlビーカーに1mol/l水酸化ナトリウム水溶液10mlとブドウ糖(グルコース)0.2gを入れて、振り混ぜて溶解する。
(5)(2)の時間が終了したら、(3)のパックに(4)の水溶液を加えて振り混ぜ、すぐに割ばしでPET板を取り出し、同じく液を切ってはがした面を上にしてパックの反応混合物に浸ける。
(6)数分の間、パックをゆっくりと揺らし、液が流れ続けるようにする。
(7)反応混合物が透明になったら、エッジを指で持ってPET板を取り出し、水道水で静かに洗う。途中で残りの保護膜をはがしてさらに洗う。
備考:はがした保護膜は次の実験に使用する。
(8)後ではがした面が鏡面である。鏡になっているか確かめる。
注意:銀が付いた面に触れるとはがれる。
(9)銀が付いた面をヘアドライヤーで乾燥する。
(10)水性白色ペイントをスプレーし、再びドライヤーで乾燥する。
参考:銀廃液などは先生が処理する。
05A−026
差出人:鈴木 久
送信日:05年10月14日
件 名:アルケミストの本について
鈴木 久です。
先日、科教協の電子交易場を通じてアルケの本をお送りしたところ以下の感想をいただきました。ご本人の承諾をえましたの転送します。
<メール1>
岡山の坂根弦太です。
本日、「授業が生きるときめき実験」が届きました。さっそく拝読させていただいておりますが、すでに何カ所も興味の引かれる文章を発見できました。例えば炎色反応スプレーは、私も授業で行っていますが、いろいろな金属塩を混ぜたときの色の予想・・・この発想には驚きました。
私の手元には、地歴社の「化学と教育−その実践」もあり、拾い読みながらも部分的に愛読しておりましたので、今回、アルケミストの会の実験書が手に入り、とても嬉しく思っております。千円と郵送料(340円分切手)は、本日郵便で発送いたします。お忙しいところ、お手数をおかけいたしました。ありがとうございました。今後共、いろいろと情報交換していただけましたら幸いです。
取り急ぎ、本の到着のお知らせと御礼まで。
<以上>
<メール2>
岡山の坂根です。
代金の方は、昨日ポストに投函いたしました。
>送っていただいたメールを転送してよろしいでしょうか?
もちろん全く問題ありません。今後も何かの機会に化学教育に関する情報交換をお願いできましたら幸いです。
当方は、大学1年生〜3年生の無機化学教育(授業と実験)を担当しておりますが、高等学校までに化学実験の経験のほとんどないまま(資料集(写真集)等で、写真としては見たことがあるのですが)大学の化学科に入学してくる学生が多く、苦労しております。
水酸化ナトリウムの潮解性、濃塩酸の刺激臭、リチウムの炎色反応の美しさ等々、やはり実物を目の前で見たことがないというのは問題です。大学の化学科に入ると、すぐに化学の専門教育が始まってしまいます。化学を学ぶ動機(土台)となるのは、やはり実際に化学物質を取り扱って、いろいろな現象を自分の目で見た経験、それを面白いと思う価値観だと思っております。
卒業研究では、毎日ゼミ生・院生と無機化合物(錯体)の合成をしておりますが、金属イオンと配位子を混ぜて色がぱぁ〜っと変わったとき、私の方が「面白いねぇ〜!」と感動しても、「そうですねぇ。」と気のない返事をするなど、その感動についてきてくれない学生がいることがあって、がっかりしてしまいます。価値観の相違は、致命的です。そうならないように、化学の面白さの根っこのところを大学1〜3年生の時に、実感として経験させたいと思っております。
今後共よろしくお願いいたします。
<以上>
05A−027
差出人:林 正幸
送信日:05年10月17日
件 名:ついに金属リチウムが・・・
こんばんは、林です。
頓挫していたリチウム元素(単体)を取り出すことに、見通しが出てきました。試験管に塩化リチウム6gを入れてバーナーで融解し(融点614℃)、炭素棒と銅線で電気分解したところ、黒色の固体が得られ、これを水に投入したところ泡が発生しました。電極部の工夫は現時点では秘密にしておきます。操作は現役の時に実験していた塩化鉛から鉛を取り出すのに似ていて、生徒でも手に負えると思います。
課題はリチウムの色です。電極の銅と合金をつくったりしている可能性があります。今度はステンレス線に変えて調べてみようと思います。
この実験はいろいろ寄り道がありました。最初はアセトンのような非プロトン性溶媒に溶かして電解することを考えました。融解塩にすると、鉛と違ってリチウムは比重が0.534で底に沈んでくれず、同時に発生する塩素と反応してしまいます。吸湿性ですので、うっかりすると「天ぷら事故」になります。銅線の先端以外を石こうで固めたのですが、融解塩の中では見る見る溶けてしまいました(そりゃ、そうだ!)。しかし失敗を目の前にすると次のアイデアが生まれてきます。こんな中で今日は7合目あたりに辿り着いたのでしょうか。何とか登頂して、12月の先進科学塾1日コースにデビューさせたいものです。
ではまた。
05A−028
05A−029
差出人:林 正幸
送信日:05年11月7日
件 名:私の近況
こんにちは、林です。
先進科学塾1日コースのテキスト「元素を自分で取り出してみよう」の原案をつくることができました。実験の検討から始めて約2ヶ月かかっています。話題にしたリチウムは、現時点では「7合目」から登れていません。しかし銅を電極にして、黒色の固体ができ、また銅の先端が玉になり、これらからは水素(気体)が勢いよく発生します。とりあえずこれを原案に組み込みました。ただしまだ1ヶ月ありますので、もう一度非プロトン性溶媒にもどって検討しようと、エチレンカルボナート、プロピレンカルボナート、テトラヒドロフランなどを注文しています。
一昨日(土)はEHCでH8マイコンのプログラミング(C言語)の学習をしました。EHCは2つの活動をしていて、こちらは今やさまざまな機器に内蔵されているチップマイコンのひとつH8をつかって、汎用性の計測システムをつくり上げていこうというものです。ちなみにもうひとつの活動の12月の企画は、ビースピに代わる速度計をつくります。ビースピは、時速表示のうえに、実験したいような遅い速度では不正確です。これにも古くから知られているPICマイコンを利用します。EHCは25年の歴史があり、力を蓄えた仲間が何人もいます。
昨日(日)は「電磁気における力をどうとらえればよいか」とでも言うべき討論会がありました。これは愛知物理サークルでもしばしば議論をかもしてきたそうですが、私はとくに作用反作用が単純でないことに認識を新たにしました。
話を変えて、私も藤田さんの心配を共有しています。そして現在の教育情勢が、まともな教育の場をますますつぶしていきます。とくに現役の人たちには、かなりの割り切りが求められるでしょう。しかしその上で「何をなすべきか」です。
たしかに社会情勢は個人の力ではどうにもならないことも多いと思います。しかし未来を切り開けるとしたら、それは仲間集団とそのネットワークではないでしょうか。数人でよいから仲間を呼びかけ、無理のないところで活動を続ける。そして情報を発信し続ける(インターネットは良い道具になります)。私はこれを自分の生き方にしています。
MOLの会は40年近くになり、開店休業もあり、つらいと時期も多かったのですが、最近は例会の参加者が2桁になることもあります。そして岡田さんたちと今度の日曜に呼びかけている野曽原式燃料電池の製作講習会には、一般市民も含めなんと27名の参加者があります。
先進科学塾は今年で3年目ですが、そして思い通りというわけにはいきませんが、昨月の合同県教教研で友人の川田さんがレポートしてくり返し呼びかけたこともあり、参加者がやっと10数名まで増えました。教材の個数を増やさなくてはと、うれしい悲鳴です。
もうひとつ大切なのは、自分が夢を忘れないことであると思います。かつてキング牧師は ”I have a dream”と呼びかけました。夢を探して勉強し、夢の実現のために努力することです。これなくしては仲間を呼びかけることができません。私はこんな風に考えています。
ではまた。
05A−030
差出人:杉山 美次
送信日:05年11月7日
件 名:続、私の近況報告
アルケのみなさん、こんにちは、横浜の杉山美次です。
藤田さんや林さんの近況報告をみて、私も近況報告をだしてみようかなとおもいました。私は、定年まであと4年半の位置にいます。私事ですが、この10月末に62才の義兄を膵臓ガンでなくしました。自覚症状がでてから、わずか5ヶ月でした。
このことをきっかけに、自分に残された年数を、頭だけでなく、身体で実感するようになりました。身体と頭が普通に活動できるのが70才ぐらいとすると、残された日々はあと15年程度です。
済んだ過去は帰ってこないので、これから1日、1日を、自分に素直な気持ちで、体裁や格好を付けないで本当にやりたいこと、やるべきことをしようと、自然に力むことなく思えるようになりました。
前置きが長くなりましたが、停滞期に入っている神奈川科学塾の活動を新しい視点で、魅力あるものにしようと、構想を暖めています。
一番の基本を、
・人生を豊かに生きるために、仲間(それぞれの家族も含めて)で楽しく
創造的な活動や遊びを目的としようと考えています。(科学的な内容を
ベースとする)
・仲間の条件として、他人の企画に頼るだけでなく、自分でも何か企画し、
発信するものを持っていることとします。
例:町井さん 夏のサイエンスキャンプを企画しています。
現在は、主婦の子育て体験グループと共同企画をおこなうようになり
サイエンスキャンプを発展中です。
岩瀬さん ・海辺のサイエンスと海の幸を堪能する合宿計画しています。
・1月ごろに、生物の教材のウニ取り企画中です。
・ガラス工芸(トンボ玉などたくさん)の公開実習講座をしてもらう予定。
杉山 ・科学講座の企画・運営、仲間に講師の依頼。
・初夏と秋の年2回のハイキング計画
草木のガイドができるように、どこかで研修を受けて
ガイドの資格を取ろうと思っています。
・暮れの餅つき計画
・そば打ちの会の企画(それぞれが打ったソバの味をお互いに楽しむ)
上田さん、・科学講座の新しいネタの紹介とその実習講座の企画
他
☆食べものや、絵画、映画、音楽、読書などに造詣の深い方に、紹介や
お勧めの鑑賞会を計画してもらうことも考えています。
(松本さんをはじめとして、新しい方に)
次のときには、活動の報告をします。私の餅つきの企画が日程の都合上12月28日に入ってしまったので、怒られそうですが、今年の暮れの安房塾は欠席させていただきます。
05A−031
差出人:林 正幸
送信日:05年11月10日
件 名:水素の音速(その1)
こんにちは、林まさです。
「種類や温度を変えた気体の音速測定」をしたいということで、外形30mmのアクリルパイプの中に音波センサーとしてコンデンサーマイクを離して2つセットしました。信号はすでに製作済みの「音速測定カード」を差し込んだデジタルストップウオッチに入れ、状況把握のためデジタルオッシロにもつなぎました。入口はラップフィルムでふさぎ、音波は前方から板2枚をたたいて管の中に入れます。
幸い邪魔する因子もなく、音波の最初の立ち上がりで、ウオッチがスタート、ストップしました。始めに空気で計測すると、時間は2.39ms(ミリ秒)で、距離は0.81mでしたから
0.81/0.00239=339[m/s]
です。気温は15℃でしたら、文献値340m/sとほぼぴったりです。
次に水素に置換して計測すると、0.75msでした。距離は同じですから
0.81/0.00075=1080[m/s]
です。理科年表によると、15℃、1atmでは1300m/sですので、1回目の計測としてはまずまずであると思います。水素置換が不十分である可能性が高いので、さらに計測を続けたいと思います。
単純に考えると、気体の音速は気体分子の飛行速度に比例すると推測できます。厳密には友人の川田さんが次の関係式を導いてくれました。
V = √(γ/3)×v (1)
V:音速
γ:定圧比熱と定積比熱の比
v:分子の平均飛行速度
2原子分子のγは常温常圧ではどれもほぼ1.40ですから、その場合で計算すると
V = 0.68v
です。ちなみに1原子分子のヘリウムのγは1.66(−180℃、1atm 科学便覧にこのデータしか見あたらない)で、
V = 0.74v
です。この関係式は1原子分子全体に通用しそうです。そして二酸化炭素のγは1.29(300K、1atm)で、
V = 0.66v
です。これも3原子分子全体に通用しそうです。
次に分子運動論から
(1/2)mv^2×NA = (3/2)RT
m:分子の質量
NA:アボガドロ定数
R:気体定数
T:絶対温度
そして分子量をMとすると
M/1000 = mNA
したがって分子の平均飛行速度は
v = √(3000RT/M) (2)
15℃では
v = 2680/√(M)
水素では
v = 2680/1.41 = 1900
V = 0.68×1990 = 1292[m/s]
と、先の文献値とほぼ一致します。
全体をつなぐと、たとえば2原子分子と指定すれば、
「音速は分子量の平方根に反比例する」
あるいは
「気体分子の平均飛行速度は分子量が大きいほど小さい」 (3)
となります。
また(2)式は
「音速は絶対温度の平方根に正比例する」
あるいは
「気体分子の平均飛行速度は温度が高いほど大きい」 (4)
となります。
私がこの実験をしようとするのは、(3)、(4)を、音速測定からすこし実感できないかというねらいからです。
ではまた。
05A−032
差出人:小林 敏夫
送信日:05年11月10日
件 名:長石と石英の分離
小林です。
地学の授業をしています。花崗岩を細かくすりつぶし、元素の検出などやろうとしましたが、Si、Alをあきらめ、Feを検出しました。2+も3+もありました。次に、最後まで細かくするのではなく直形0.5mmぐらいにして、長石と石英と雲母をピンセットで分けました。(授業中)ところで、@どなたか、長石と石英の分離で良い方法知りません?重液分離は液がないのであきらめなした。代わりに濃厚砂糖水を使おうとしましたが、密度足らずでした。A生徒と分離した長石、石英、雲母の授業での発展はどういたしましょう?良いアイデアありません?
05A−033
差出人:林 正幸
送信日:05年11月14日
件 名:すこしリチウムが・・・
こんばんは、林です。
小林さん、アルケ通信第1号、受け取っています。ご苦労さまでした。アルケのホームページには、いつものように資料一覧をアップしておきました。
今日、プロピレンカルボナートが届いたので、塩化リチウムを溶かしてみたのですが、有機化合物辞典の説明とは裏腹に、ほとんど溶けないのです。それでもと思い、炭素棒とステンレス線を電極に12Vで電解して見ました。電流は何と0.2A程度です。30分ほどしてからステンレス線を取り出し、水に浸けると気体が一瞬発生しました。目には定かではありませんが、リチウムができているのです。しかしこのままでは実験として物足りません。さらなる挑戦が求められます。また水を使わない電池もつくりたいです。
昨日は燃料電池の製作講習会を何とか無事に終えることができましたが、これからもさらなる発展がありそうです。講師の加藤さんの実験によると、水酸化ナトリウム水溶液の量が作動時間に比例します。これは新しい知見ではないでしょうか。またホームセンターなどで安価に入手でき100メッシュのステンレス網でもかなりの性能が出ます。
ではまた。
05A−034
差出人:藤田 勲
送信日:05年11月14日
件 名:ロウの自然発火について
以前に山本さんが林さんの実験として紹介していたものを私もやってみました。私は500ccのビーカーにお湯を一杯に入れて、その中に沸騰したロウを10ccほど一気に流しました。見事に1mほどの大きな火柱が立ってロウは燃え上がりました。中のお湯が少ないとガラス壁面で飛び散ったロウ液体が冷えてしまい、うまく炎が上がりません。大きなビーカーにしたのは、その分ロウ液体が水と接する面積が増えて飛び散りやすいと考えたからです。
さて、この実験で自然発火する理由を改めて考えてみました。実は次の固形のロウ状物質のうちの2種でも同様の火柱が立ちます。どれでしょう?
木ロウ 鯨ロウ ミツロウ ショートニング
正解は鯨ロウとミツロウです。この2つは炎はパラフィンロウよりも低いものの自然発火します。発火時の炎が低いのは蒸気が高く立ち上りにくい、蒸気圧が低いということでしょうが、これは分子がパラフィンよりも大きいことが関係しているのでしょう。木ロウとショートニングでは沸騰融解液を水に加えると大きな白煙が上がりますが発火しません。
多分これらのロウ状物質の融点は40〜60度、沸点は300〜400度でしょう。ほぼ同じくらいの温度に加熱されているはずなのに、発火しやすさに差があるのはどうしてでしょう。
パラフィンロウ>鯨ロウ、ミツロウ>木ロウ、ショートニング
分子構造に着目すると、パラフィンでは炭素数30程度の飽和炭化水素で、鯨ロウとミツロウでは炭素数30程度の飽和モノエステル(例えばパルミチン酸セチルなど)で、木ロウではパルミチン酸(C16)を主成分にしたグリセリドで、分子内に酸素原子が多く入っているほどと発火しにくいという関係にも見えます。酸素を含んだ分子は半分燃え尽きている、部分酸化を受けた炭素原子を含んでいるので発火しにくいのでしょうか。炭素数30の飽和アルコールのメリシルアルコールやメリシン酸では発火するでしょうか。試してみたい所ですが、こんな長い直鎖飽和アルコールや脂肪酸は大変高価で、購入には躊躇してしまいます。誰か試してみませんか。
ところで面白いことに、パラフィンの仲間の軽油とガソリンでは引火点はガソリンが低いものの、発火点は軽油の方が低いのです。
オクタンC8(ガソリン成分) ヘキサデカンC16(軽油成分)
引火点 −38度 126度
発火点 260度 202度
(235度という資料もある)
蒸気圧が高いガソリンが軽油よりも引火しやすいのは理解しやすいのですが、自然発火では軽油の方が起こりやすいのはどう説明すれば良いでしょうか。この軽油の発火しやすいことがディーゼル車に点火プラグがない理由ですね。また、エンジン内の異常燃焼(ノッキング)の原因も燃料の自然発火によるわけです。
一般に、発火点は炭素数が長いほど、また枝分かれがなく直鎖なほど、そして芳香族よりパラフィン族の方が低くなることが知られています。多分発火点が低い炭化水素ほど高温熱分解によって炭化水素ラジカルが発生しやすくなるのでしょう。これらの炭化水素では炭素鎖が切れやすく、炭素ラジカルが発生しやすいような気がします。このラジカルが豊富にあれば燃焼反応は連鎖的に進むでしょう。したがって、ガソリンよりも軽油、そして軽油よりも炭素数が長いパラフィンロウではさらに容易に自然発火するというわけです。また、四エチル鉛やエチル、t−ブチルエーテルなのどアンチノッキング剤は炭化水素ラジカル消滅剤として働いて自然発火を抑制しているのでしょう。パラフィンロウにこの薬剤を混ぜて前記の実験をやったら自然発火しなくなるかやってみたいと思いませんか? 圧発火器にティッシュの代わりにロウを入れたら発火しやすいでしょうか。軽油とガソリンを染み込ませたティッシュで差が出るでしょうか?
林さんと山本さんに刺激されて、あれこれ実験をするうちにこんな推論をしてみました。ご検討ください。
05A−035
差出人:山本 喜一
送信日:05年11月16日
件 名:RE:ロウの自然発火について
皆さんお久しぶりです。
小林さん、資料届きました。事務局の仕事ご苦労様です。まだ皆さんの資料に目を通していませんが、また力作揃いだろうなと思っています。
軽油がガソリンに比べて引火点が高いのは理解できますが、着火点が低いのはなぜだろうとずっと疑問に思っていました。藤田さんが指摘しているように、熱分解してラジカルができるのであれば納得ですね。この裏付けが欲しい気がします。どこかに軽油の着火点について書いてないでしょうか?
05A−036
差出人:藤田 勲
送信日:05年11月16日
件 名:本の紹介
バイオミネラリゼーションのことを書いた新しい本が出ました。『海洋生物の機能』、佐井祥郎、東海大出版、2005.5)という「海洋生命系のダイナミズム」というシリーズの一冊です。バイオミネラルに関する部分だけの目次を書いておきます。
第18章 バイオミネラリゼーションにおける基質高分子化合物の関与
第19章 魚類における耳石形成
第20章 サンゴと甲殻類の外骨格における石灰化の分子機構
第21章 ヒザラガイの歯舌の形成機構
第22章 軟体動物外骨格における石灰化機構
第23章 円石藻におけるココリス形成と光合成
第24章 珪藻のガラス骨格形成機構
東海大といえば、30年以上前になりますが、『海洋科学基礎講座全12巻』というシリーズを出したことで知られていますが、今回のは5巻シリーズで現代海洋生命科学の集大成になる予定のようです。このほかに現在第4巻が出版されています。また、これも最近ですが『海と湖の化学』(宗林 由樹、京大出版、2005.4)という本も出ました。かつて私は、もう一度大学に入るのなら東北大の金属か東工大の材料関係と勝手に思っていましたが、今は東海大の海洋学部や広島大の生物生産学部で海洋科学の関係の勉強が面白そうだなあと思っています。遅まきながら自然を丸ごと捉えることの重要性を認識している所です。
05A−037
差出人:山本 喜一
送信日:05年11月17日
件 名:金の透過光について
ごく薄い金箔は直射日光や蛍光灯の光を当てると、緑色の光を透過するけれど、黄銅の箔はまったく光を通さないという実験を、前に四ヶ浦さんが見せてくれました。金も黄銅もいわゆる金色に見えるというのは、補色の色を吸収しているからだと思います。薄い金箔は金が吸収した緑色の光が、箔を通り抜けているのでしょう。ところで、黄銅箔が光を通さないのは、金箔のように薄くできないからでしょうか?もし、黄銅箔も金箔と同じくらいに薄くできれば、透過光を観察できるのでしょうか?
林さんのリチウムの実験はやはり、金属光沢を持ったリチウムが肉眼で分かるくらいたくさんできるといいですね。私は、アルミニウムの電気精錬に取り組んだことがありますが、金属光沢は確認できませんでした。溶融電解後、電極付近のものを塩酸と水酸化ナトリウム水溶液に入れ、両方から泡が出ることは確認できましたが。なお、食塩を電気分解してナトリウムを作る方法は「化学と教育」に出ていたような気がします。
軽油の着火点に関連して、いろいろ本を見ているうちに、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンのノッキングのしくみが違うことが分かりました。ガソリンエンジンでは、エンジン内の混合気体が点火プラグによって点火された部分とは別の所で自然発火すると爆発的に燃焼し、ノッキングするようです。したがって、ガソリンエンジンでは、混合気体の温度が上がっても自然着火しにくい燃料が必要になります。藤田さんが、「四エチル鉛やエチル、t−ブチルエーテルなのどアンチノッキング剤は炭化水素ラジカル消滅剤として働いて自然発火を抑制しているのでしょう。」と書いていることと符合します。
一方、ディーゼルエンジンのノッキングは燃焼の遅れが原因です。燃焼のタイミングが遅れると、エンジン内の燃料の濃度が上がってしまうため、爆発的な燃焼が起こり、ススもたくさん出るわけです。ですから、ディーゼルエンジンでは、自然着火しやすい燃料が必要なわけです。
最後に、藤田さんのメールに、若い人が実験をしないと書いてありましたが、千葉でも事情は同じです。今日も教材を持ってきてくれる業者が、実験をする人が少なくなって、試薬や器具が売れなくなったと、ぼやいてました。HPを探してその実験をする人はまだいい方で、図解の写真を見せて終わりにするとか、それさえも示さない人も多いようです。実験で実証することによって真実かどうかを確かめ、理解を深めていくという姿勢が化学には必要なはずですが。
05A−038
差出人:山本 喜一
送信日:05年11月18日
件 名:透明な金属
今日、「金属を知る事典」アグネ出版を見ていたら、透明な金属について書いてありました。プラスチックに真空蒸着で金属(アルミだったか?)を薄く蒸着させると、透明でありながら、金属としての性質を示す薄い膜を作れるそうです。この本はけっこう古い本なので、今となっては昔の技術かも知れませんが・・・。ただ、黄銅の薄い膜の透過光のことは出ていませんでした。
05A−039
差出人:藤田 勲
送信日:05年11月18日
件 名:RE:金の透過光について
山本さんの次の指摘はその通りではないかと思います。
「もし、黄銅箔も金箔と同じくらいに薄くできれば、透過光を観察できるのでしょうか?」
ただ、黄銅は銅と亜鉛という原子半径も電子状態も違う金属ですから、異種原子同士で結合力に差があって薄くできないのでしょう。黄銅に限らずステンレスにしてもそうですが、合金は一般に硬くて薄くできませんね。それで、硬貨はほとんどが合金にして磨耗しにくいようにし、貴金属としての金製品も多くは合金にするのでしょう。これはイメージとしてはデコボコの大きさの違う二種類のボールを平らな層にならして積み重ねることを考えれば理解しやすいような気がします。滑りにくいわけですね。
なお、軽油の発火点の低い理由を書いてある資料ですが、私の手持ちでは見当たりません。こんど神田の古本屋で探そうと思っています。
では、また。
05A−040
差出人:四ケ浦 弘
送信日:05年11月19日
件 名:RE:金の透過光について
皆さん、こんにちは。四ヶ浦です。
小林さん、アルケ事務局ご苦労様です。しばらく体調をくずしていて、みれなかったのですが野中さんのビデオをはじめ、面白そうな資料がたくさんで、この週末楽しみにしています。
山本さんの真ちゅう箔のことですが、普通の真ちゅう箔は金箔の3倍(1万分の3ミリ)あります。この厚さで、もう光を透過しないのです。透明な金属というのは蒸着箔のことですが、合金である真ちゅうもスパッタ蒸着というたたきだし蒸着法で蒸着箔をつくることができ、これで光を透過する真ちゅう箔を作れるということです。
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