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03A−001
差出人:野中 直彦
送信日:03年8月5日
件 名:科教協&アルケ合宿

 久しぶり(3年間の空白)に参加し、刺激を多いに受けました。また、アルケの仲間にふれることができ、その暖かさを実感した次第です。その暖かに支えられて、あの「大変だ」が乗る越えることができたのでした。私自身、またこれからがアルケとしての新しい1歩をスタートすることになるんだと思っています。そして、私の物質へのこだわりは、「ガラス」になっていくのではないかと思いました。トンボ玉、陶芸とがんばっていきたいと思います。みなさんからのたくさんのメッセージを頂いたような気がします。ありがとうございました。


03A−002
差出人:山本 喜一
送信日:03年8月6日
件 名:転がしアイスクリーム

こんにちは、山本です。  アルケの合宿ではお世話になりました。私も野中さん同様、暖かい雰囲気の中でたくさんの刺激を受け、勉強をして、新たなエネルギーをもらった気がします。
 2学期が始まっていろいろな仕事に忙殺される前に、気づいたことを実験して、授業に生かしたいと思っています。今日も学校へ行って実験しました。やったのは、藤田さんがTVで紹介してくれた転がしアイスクリームです。アイスクリームの具をコーヒー缶のような金属製の缶に入れるのですが、スチールだと(私の片づけが悪いせいか)すぐ錆びてしまいます。何かないかと思って目をつけていたのがずんぐりしたアルミ缶飲料(たとえばサントリーの中国緑茶)です。この容器なら金属製だし、口も広いのでうまくいくのではないかと、前から思っていました。今日、これで試してみたところ、案の定うまくアイスクリームができ、長めのスプーン(クリームソーダを食べるときに使うようなもの)でアイスクリームを掻き出して食べられることがわかりました。スプーンは薬さじでも良いのですが、ホームセンターに行ったところ、300円くらいで適当なものが売っていましたので、買おうと思っています。なお、氷と塩を入れる外側の容器は、2リットルのポリ広口試薬瓶でうまくいきました。みなさんも試してみてください。


03A−003
差出人:山本 喜一
送信日:03年8月6日
件 名:転がしアイスクリーム(2)

 具体的な実験方法を書かないと、イメージが伝わらないかも知れませんね。今日やったことは、次のようなことです。
(1)サントリー「中国緑茶」を買ってきて飲む。容器を2,3回水で洗う。
(2)牛乳100ml、クリーム(植物性)25ml、砂糖25g、生卵1個(これは藤田さんから聞いた分量のおよそ3分の2です)を容器に入れる。そして、ふたを閉めてよく振って混ぜる。
(3)2リットルポリ広口試薬瓶に塩を3つかみ(3つまみではない)入れ、(2)のアルミ缶を入れる。
(4)アルミ缶と試薬瓶の隙間に氷を入れる(約800g)。氷は試薬瓶の口まで入れる。
(5)試薬瓶のふたをして、横に寝かせてタオルを巻く。これを右に左に転がす。約10分転がしたところで、ふたを開け、アルミ缶を取り出して、缶の外の塩水を洗い流す。
(6)アルミ缶を開け、長いスプーンでアイスクリームをかき出して食べる。うまい!思わず、山田さん(そば打ち友達)の部屋に行って食べてもらう。
 「中国緑茶」のようなアルミの容器は、どこでも手に入って安いので、使い捨てにしようかと思いました。片づけがいい加減になることが予想される学校では、いつも新品を買ってくれば、食中毒の心配もなくなると思ったのです。しかし、教育的には、容器をきれいに洗って戻させて、次のクラスに使い回しすべきでしょうね。


03A−004
差出人:林 正幸
送信日:03年8月9日
件 名:久し振りの感動

こんにちは、林です。
 アルケ合宿は5日早朝に失礼しましたが、アルケナイター後の飲み会も含め、たくさんの刺激と元気をもらいました。そして午後からは科学館で先進科学塾でした。かなり疲れましたが、それ以上に生徒の反応に久し振りに感動しました。「これが教育の姿だよな。」長い間それから外れていたように思います。その中のいくつかの断片を紹介します。

1.ヨウ化カリウム水溶液と塩素の反応
S「先生、青色にならないよ。」(ヨウ素を検出していることに気付いている)
T「えっ、まだ塩素のはたらきが強すぎて、ヨウ素酸まで行っちゃうのかなあ・・・」
(しばらくして)
S「赤褐色の溶液を紙に染み込ませると、ちゃんと紫色になるよ。」
T「どうしてそんなことしてみたの?」
S「プリントに垂れてしまったのを見たら、そうなっていた。」
T「そうか、普通の紙にはデンプンが加えてあるから、それでヨウ素デンプン反応が起こったのだ。」
T「ということは、片栗粉でつくったデンプン液は古くなるとだめなのだ。白色のもやもやが気になっていたんだ。」
T「すごいなあ、君のおかげで実験がうまく行かない理由が分かってしまった!」

2.亜鉛とヨウ素の反応
S「水をかけると紫色のけむりが出てきて、すごい。これ塩素?」
T「塩素は黄緑色って、習わなかったかい?」
S(別)「これ、ヨウ素だよ。」
T「そう、ヨウ素は固体は黒っぽい色をしているが、気体になると紫色なんだ。」
S「発熱反応だ。」
T「そう、蒸発皿の下を触ってみよう。」
S「と言うことは、亜鉛と水が反応した?」
T「簡単に調べられるね。」
S「亜鉛に水をかけてみよう。反応しないなあ。」
S「じゃ、ヨウ素と水かも。やはり反応しない。」
T「ということは、やはり亜鉛とヨウ素が反応しているね。その反応熱で、まだ反応していないヨウ素が昇華した。」
S「じゃ、水は何のため?」
T「触媒って、知らないかい。亜鉛とヨウ素の反応を速く進ませるはたらきをするのだ。」

3.ニッケルめっき
S「先生、この実験、目がうるうるして変だ! ニッケルめっき液って、何が入っているの?」
T「硫酸ニッケルだけど・・・。」
S「硫酸のせい?」
T「硫酸そのものが入っているのではなく、硫酸イオンなんだが、これは反応しないよ。」
T「そうそう、助剤として塩化アンモニウムも加えてあったよ。だから塩化物イオンが反応して塩素が発生しているのだ。主に泡になって発生しているのは酸素だけどね。」
S「塩素かあ。」
T「私が試しに実験したときは気付かなかった。気分が悪いなら止めていいよ。」(科学館の換気機能は事実上ゼロ)
(別の実験で、塩素が空気より重いという記述を見て)
S「そうか、だからしゃがんだときに、余計うるうるしたんだ!」(考えている!)
 これを受けて塩素が発生しないように、塩化アンモニウムを硫酸アンモニウムに代えて試してみたが、同じようにきれいにプレートができた。つまり実験の改良ができた。

4.ダニエル電池
 おもちゃが止まるまで使用してから、銅板を観察した。
S「銅板の表面に黒いものが着いている。これって、鉛かな。」(「金属と水溶液の反応」で亜鉛の表面にできた鉛を連想している)
T「でも使っている薬品に鉛は入っていないよ。金属は細かいときはどれも黒色なんだ。ニッケルめっきでも、銅板の表面に着いたニッケルは始めは黒色で、積み重ねていくと銀色になってきただろう。」
S「削ってみよう。わあ、銅の箔が取れる。もとの銅板が削れているのかな。」
T「それはもとの銅板の質量を計っておけば確認できるね。それは銅板の表面にできた銅なんだ。」
S「あれ、亜鉛板の表面にも黒いものが着いている。亜鉛かな。」
T「そうかな。」
S「亜鉛板の方のろ紙が青色になっている。銅かな。」
T「試してみよう。集めてビーカーに移すよ。」
T「そして濃硝酸を加えると、ほら、青色になった。実験に使った飽和硫酸銅水溶液も、薄めると同じ色だ。」
T「硫酸銅や、反応でできた硝酸銅には銅イオンが含まれてる。銅そのものと銅イオンは色が違うことを覚えておこう。しかし銅イオンが銅がなければ決してできない。」
T「銅イオンの検出にはアンモニア水を使う。どちらの水溶液にもアンモニア水を加えると、ほらコバルト色になる。」
S「どうして亜鉛版に銅ができたんだろう。」
T「セロハンを透過して銅イオンが拡散して来るからなのだ。亜鉛板の方のろ紙が青色になっていたのが、その証拠なのだ。」
T「亜鉛版に着いて残っていた黒いものが、すこし小豆色になってきた。銅の色が見えてきている。」
S「ビーカーの中が赤茶色になっているのは何?」
T「これは銅と濃硝酸が反応するとき、同時に発生する二酸化窒素という気体だよ。これは毒性があるから注意しよう。」
 授業では結果が出れば即かたづけさせるわけで、時間的ゆとりの重要性を再認識させられた。

5.液体窒素
 基礎実験が終わってから「液体窒素があるから、凍らせたいもの探していらっしゃい。」というと、100均でたくあん、高菜、ハッシュドビーフ、プラスチックボールを購入し、道中で草を取ってきた。
 たくあんは凍らせて、金づちで割った。プラスチックボールは軟球と違って、床に落としても弾んでしまった。そこで板で押しつぶすと、ガラスのように割れた。草は簡単に砕けた。
 こちらで乾電池に豆電球をつないで、乾電池を液体窒素に浸けて豆電球を消してみせた。これは「水が凍ってイオンが動けなくなったのさ。」とだけ言っておく。やがてまた豆電球が光り始める。
 液体酸素を見せたかったので、空気をポリ袋にとって冷やした。液体は得られたが青色にはならず、磁石にも引かれるかどうか分からなかった。ぶっつけ本番だから、酸素ボンベなど準備していない。アルミ製のプリンケースが見つかったので、スタンドに固定して液体窒素を注ぎ入れた。底から滴が落ちる。磁石を近づける。「先生、引き寄せられているみたい。」しかしはっきりとは分からない。生徒の方が何とかしたいと思っている。マッチの燃えさしを使うがうまくいかない。そのうち線香が見つかる。生徒が夢中で底を探る。するとパン!と音がして燃え上がる。「酸素だ。」生徒はくり返し、くり返し火を付けようとする・・・。
 「先生、液体窒素に湯を入れてみようよ。」やかんに湯を沸かす。ビーカーでは危険かもしれないから、箱にポリ袋を敷いて液体窒素を入れる。「みんな、安全めがねを掛けよう。それから窒息するかのしれないな」生徒が飛んでいってドアを開ける。そして恐る恐る湯を注ぐ。白色の煙が盛り上がり床を流れて広がる。「映画のワンシーンを見ているようだ。」「よし、大丈夫。もっと行け。」煙が晴れると、箱の中に液体が残っている。「何だろう?」触ってみて「なんだ、湯だ、湯だ。」
 「先生、今度は床に流そうよ。」
 いったいこの情景のどこに「理科ばなれ」などあるのだろう・・・。


03A−005
差出人:鬼塚 公志
送信日:03年8月12日
件 名:事務局より30

こんにちは,鬼塚です。
 先日のアルケ合宿おつかれまさまでした。変わりゆく学校・生徒の中で四苦八苦している中で,みなさんから元気を得てまた頑張りたいと考えています。3年生の化学は受験対策になりますが,生物,物理は就職用になるのでこの夏休み中に何とか授業展開にめどを立てていかなくてはいけません。
 合宿は朝早くから失礼しましたが,そのまま阿蘇の学習合宿に合流し(学年主任なのに初日にいなくてずいぶんひんしゅくを買っていました),先日の日曜日に帰ってきました。昨日今日は学習合宿の総仕上げということで学校に出して自学をさせました。明日からは帰省いたします。日曜日は花火大会の巡視があるのでまた,壱岐に戻ってきます。
 何とか無事に1年間を終了することになりました。これで事務局の仕事は終わりになりますが,次の事務局は岡田さんにしていただくことになります。体調がよろしくないと言うことですが,健康に注意されて私以上にして頂けるものと思います。


03A−006
差出人:小林 敏夫
送信日:03年8月13日
件 名:やはり温度は運動エネルギーだ

熊本の小林です。
 科教協、アルケと刺激を受けてきました。分科会で話題になった水を振り温度を上げる実験をしてみました。魔法瓶を使わずに
@断熱カップにΣ二<の形に切った厚紙をセロテープでつけます。2個準備します。
A@で準備したカップにもう一つ何もつけていない断熱カップを重ねます。
B100ml三角フラスコを入れます。
C水を25ml入れます。水温を計ります。
D断熱カップを一つ上からかぶせます。
E@でつくった断熱カップをもう一つ重ねます。
FΣ二<の形の厚紙を利用して輪ゴムでセットを固め?ます。
G10分ほど振り続けます。
[結果]25℃→26℃になりました。
[注意]実験前に水を汲み時間を十分置き室温、水温、器具の温度をそろえておくことが大事なようです。


03A−007
差出人:中臺 文夫
送信日:03年8月16日
件 名:RE:杉山 美次さんのアドレスが変更

今日は中台です。
(前略)
 ところで、大学から面白い本を借りて来ました。「14303の化学商品」という本です。化学工業日報社で、33000円と高いのですが,図書館で見るのも言いと思います。別名、荷姿、性状、規格、用途、製造業者、製法、価格、取り扱い注意、毒性、適用法規などが載っています。別名、荷姿、性状、規格、用途、取り扱い注意、毒性等面白いです。特に、毒性や取り扱いの項目は高校教師は世間とずれており、また調べるのが難しいので使えそうです。また、項目に、小麦粉改良剤などというものがあり、、使われているものが網羅されていますし、用途に使用法法も載っています。


03A−008
差出人:林 正幸委
送信日:03年8月18日
件 名:久し振りの納得(その1)

こんにちは、林です。
先進科学塾の私のコースでは基礎実験の続いて、プリントを使って「知識と理論」の学習をしました。その中で出てきた質問を拾って見ました。前の実験に関係する疑問もあります。学習内容は理解できたようであり、協力してくれた先生からの評価も得ましたが、私が期待する「理論にわくわくする」とまでは至らなかったと思います。それでも久し振りに納得できる授業展開になり、とくに「逆ダニエル電池」の検討は教師の方が舌を巻いた形になりました。
 ではまた。

1「空気中での電子を失う勢いは分かっているのか」
 空気中の窒素分子や酸素分子は金属イオンとほとんど関わりを持たないから、真空中での勢いと同じである。これはイオン化エネルギーという数値で示される。つまり金属原子から電子を奪って陽イオンにするのに必要とされるエネルギーである。この数値が小さいほど電子を失う勢いが大きいことになる。なお正確には、固体の金属をバラバラの原子にするためのエネルギーも考慮するべきである。
2「水はどうして触媒としてはたらくか」
 これは金属も水中で変化しやすいこと、亜鉛とヨウ素の反応でも水が関係することなどから湧いた疑問であろう。
 これに十分に答えることは困難であるが、「水和」という現象に限って説明した。水分子には極性があって陽イオンや陰イオンを取り巻いて安定化させる。このためイオンが容易にできるようになる。イオン性物質は水に溶かすだけで、陽イオンと陰イオンに電離するほどである。
3「鉄くぎはどうしてきれいになるのか」
 略
4.「アルミホイルと塩酸の反応で、反応後しばらくすると溶液が黄色になるのはなぜか」
 アルミホイルには鉄が含まれている。これが塩酸の水素イオンと反応して鉄(U)イオンになり、それがさらに水および空気中の酸素(水溶液に溶けて)と反応して鉄(V)イオンになる。どちらも電子得失表を見れば納得できる。鉄(V)イオンは黄色であり、ヘキサシアノ鉄(U)酸カリウムを加えると青色になった。
5「吸熱反応の方はイメージが湧かない」
 この話題は亜鉛とヨウ素の反応で未反応のヨウ素が昇華することに関連して生まれた。これは別のテーマであるが、関心が高いのですこし説明することにした。
 始めに硝酸アンモニウムが水に溶解して吸熱する実験をした。
 発熱や吸熱は、熱くなったり冷たくなったりすることに注目するが、本来の意味はまわりにエネルギーを与えたり、まわりからエネルギーを奪ったりすることである。発熱で熱くなるのはエネルギーをとりあえず自分の運動エネルギーに変えて温度が高くなるためであり、最終的にはまわりと同じ温度になり、まわりにエネルギーを与えるわけである。熱いと分かるのもまわりにエネルギーを与える過程である。吸熱も同じことで、冷凍庫で水が凍るのをよく吸熱と誤解するが、それは冷たくて凍るという実感から来ている。冷凍庫が水からエネルギーを奪っていることに注目すれば、凝固が発熱であることはすぐに理解できる。
6「塩素や硫化水素が発生する反応式はどうなるか」
 どんな反応で発生したかに関心がある。
  CaCl(ClO)・H2O + 2HCl ―→ CaCl2 + 2H2O + Cl2
  Na2S + 2HCl ―→ 2NaCl + H2S
生徒は硫化水素が硫化鉄以外からもつくれることに驚いた。
7.「ダニエル電池の銅板と亜鉛板を入れ替えたらどうなるか」
 このような疑問の持ち方自身が、教師には新鮮である。私が答えるのでなく生徒に考えさせよう黒板に図を書くと、3人が出てきて教師そっちのけで意見交換が始まった。すこし前に、1時間半ほど勉強して「眠くなる」ことが話題になったばかりだっが、それが嘘のようである。今から思うと克明に記録を取るべきだったが、後の祭り、話は次々に展開してとても記憶できる量ではなかった。
 何故か硫酸イオンが注目されたが、負極は亜鉛が電子を与えることになった。そして正極では
    2e^- + SO4 ^2- ―→ SO4 ^4-
    SO4 ^4- + 2H^+ ―→ SO4 ^2- + H2
と考えた。水素イオンは水の電離で生じる。そこで正極は結局
    2e^- + 2H^+ ―→ H2
となることを指摘して、実験してみることを提案した。
 豆電球は光らない。ソーラーモーターもまわらない。しかしデジタルテスターで電圧が0.88Vと確認できた。確かに亜鉛板が負極であった。そして亜鉛板を裏返すと、表面に黒いものが付着していた。生徒はろ紙にこすり付けて金属であるか確かめようとする。「亜鉛かな?」しかしよく観察すると赤みがある。「銅だ。」今回はそれ以上確認せずとも納得した。
 もう一度考えると、次の反応が起こることが分かった。
    Zn + Cu^2+ ―→ Zn^2+ +Cu
生徒は考えた。それでは負極で電子を与えたのは何か。そして次の反応式を書いた。
    4OH^- ―→ H2O + O2 +4e^-
係数こそ違うがよく覚えていた。水酸化物イオンはやはり水の電離で生じる。この生徒は酸化還元まで学習が済んでいるが、やはり電解を水の電離を使って教える先生が多いようだ。そこで水だけで電池ができそうだねと、再び実験してみることを提案した。
 テスターは0.67Vを示す。亜鉛板が負極である。
参考:デジタルテスターでは電流がほとんど得られない電池でも電圧を検出する。
 続いて生徒は電圧の数値の説明が付かないことに関心が移る。前の実験の電圧0.88Vが亜鉛の酸化還元電位0.763Vより高い理由である。これは途中で「電池の電圧は酸化還元電位で決まるとは限らない」と止めた。
 最後に、後の実験において、亜鉛の方が水酸化物イオンより電子を与えやすいこと、しかも水酸化物イオンは濃度が極めてうすく、そのためさら電子を与える勢いが小さいことと、亜鉛板が負極になる根拠がないことを提起して、さらに検討が必要であるとまとめた。
 このあいだ約1時間、残念ながら話のあらすじにおいてさえ大穴が空いているだろう。しかしその場にいた私たちは「これはすごい」と感じ取った。
8「乾電池に水銀を使わなくなった意味を知りたい」
 これはたぶん私たちの会話がきっかけで持った疑問であろう。キッチン電池で水素過電圧についてすこし触れている。
 乾電池において正極で電子を奪う反応は複雑であるが、水素イオンが関係している。これが水素になる反応は速度が小さい。しかもそれは反応が起きる表面にもよる。亜鉛や水銀の表面ではより小さいが、それに比べると銅の表面では大きい。亜鉛の純度が悪く銅などが含まれると、電池を使わないときにも局部電池になって消耗する。それを防ぐために亜鉛の表面に水銀を塗った。しかし亜鉛の純度が上がり、環境問題を起こす水銀は必要でなくなった。


03A−009
差出人:林 正幸
送信日:03年8月18日
件 名:久し振りの納得(その2)

こんばんは、林です。
 「電子やり取り反応の世界」コースの最後は課題研究です。生徒が自ら簡単に課題を見つけたことは、授業構成に対するひとつの評価であると受け止めています。そしてスタッフの皆さんの協力を得て、次のようにすばらしい結果が出てきました。
 ではまた。

1.「逆ダニエル電池の研究」
 学習で出てきた質問が研究課題に発展した。
 始めに「逆ダニエル電池(銅板に硫酸亜鉛水溶液を染み込ませたクッキングペーパー、セロハン、硫酸銅水溶液を染み込ませたクッキングペーパーを重ね、亜鉛板を被せる)」で、亜鉛イオンがどこに行ったかに関心が向いた。十分に放電した後、亜鉛側のペーパーを洗い出してろ過し、ろ液を蒸発乾固すると白色固体が得られた。
これを再び水に溶かして2分し、一方に水酸化ナトリウム水溶液を加えていくと、白色沈でんを生じ、再び溶解して無色の溶液になった。他方には硫化水素を吹き込むと白色沈でんを生じ、亜鉛イオンの確認ができた。
 次に正極の反応の解明に進んだ。もう一度逆ダニエル電池をつくり電圧と電流を計ると、0.88V、76.0〜91.5mAであった。
参考:76.0〜91.5mAという表現はデジタルテスターの不安定性による。
 銅板の表面の汚れから、セロハンを透過して拡散した銅イオンが電子を奪っている可能性が予想された。代わりに陰イオン交換膜を使うと、銅の表面が汚れなくなり、0.66V、25.0〜39.6mAであった。電池のパワーダウンは予想を一部裏付けたが、それがすべてではないことも示している。
 空気中の酸素の影響が予想された、つまり水と酸素が共同で電子を奪っている可能性がある。銅板と硫酸亜鉛水溶液を染み込ませたクッキングペーパーを真空ポンプで引いて酸素を除き、陰イオン交換膜と亜鉛側を被せると、電圧、電流とも桁違いに減少した。水溶液に溶解した酸素がかなり影響している。これは私にとって予想を越える結果であった。
参考:始め電圧のみを計測していたが、電流も重要であるということでやり直した。
 他方で硫酸亜鉛水溶液の酸性(pH5)から水素イオンが電子を奪っている可能性もある。それを硫酸ナトリウムに代えると、0.57V、13.5〜35.0mAであった。水素イオンのはたらきが支配的とは言えない。
 ここで硫酸銅を使わず、水溶液を硫酸亜鉛のみ、硫酸ナトリウムのみにして実験した。そして電流が時間と共に減少していくことに気付き、これも溶残酸素が水と共同で電子を奪っていることをうかがわせた。逆に真空ポンプで引いた場合も、1時間ほど空気中に放置すると、0.12V、21.1mA(max)と回復した。
備考:このテーマはかなり難しい。スタッフや私の助言も十分には整理できていず、レポ
   ートも混乱している部分がある。しかし重要なことを示唆しており、追試する価値
   がある。本人は亜鉛イオンの検出に関心があったようである。

2.「飲みもの電池の研究」
 「キッチン電池はジュースでもできるのでは・・・」という疑問が課題研究になった。
   名前    電圧(V) オキシドール投入後   モーター  電流(mA)
 ポカリスウェット 0.53    0.85      まわる    35.5
 コーヒー     0.79    0.91      まわらない   4.5
 アクエリアス   0.67    0.73      まわらない   0.5
 コカコーラ    0.54    0.73      まわらない   2.2
 フルーツのすすめ 0.64    0.78      まわらない   1.0
 イオン交換水   0.70    0.84      まわらない   1.4
ポカリスウェットが断トツで、アクエリアスやコカコーラの小さいことがおもしろい。なおポカリスウェットはpH4である。
 続いてポカリスエット電池でおもちゃを動かすことにした。しかし2つ直列にし、食塩を加えたりオキシドールを多くしてもだめであった。おもちゃは3V、0.37A以上が必要であると計測された。
 そこで大きいステンレス板(30×20cm)とアルミホイルの間にクッキングペーパーをはさむ形にした。4つを直列にし、食塩濃度を高くし、さらに2つを追加すると、やっと一瞬動いた。そこでオキシドールを追加すると、とうとうおもちゃが楽しげに動いた。その食塩濃度は5%、オキシドールはポカリスウェットの1/3を加えた状態であった。なお食塩は少なくてよいかもしれない。

3.「非金属が電子を奪う電池の研究」
 始めに硫黄を使うことにした。負極側はナトリウムを考えたが、実物を前にしてどう使ったらよいか分からない。そこでアルミホイルに変えた。
 ステンレス板に硫黄粉末をまき、クッキングペーパーを被せて食塩水を染み込ませ、アルミホイルを載せて電圧と電流を計ると、0.8V、0.01mAであった。一応電池にはなっている。そこで電解質を変えていくと、水酸化ナトリウムで0.25V、30.4mAという結果が得られた。正極には銅板や炭素板も試した。そして硫黄の代わりに六一〇ハップも試した。
 負極を亜鉛板に変えると、たとえば電解質が硫酸ナトリウムで0.6V、22.1mAという結果が得られた。
 非金属をヨウ素に変えると劇的な成果が得られた。いくつも試す中で、炭素板の表面に粉末にしたヨウ素をまき、被せたクッキングペーパーに2%硫酸ナトリウム水溶液を染み込ませ、亜鉛板を載せるのがベストと分かり、1.4V、2.1Aというパワーが得られた。2つ直列にしておもちゃにつなぐと、いつまでも動き続けた。
備考:始めはテスターのヒューズが切れていたりして、結果が出ないという苦労があった。


03A−010
差出人:山本 喜一
送信日:03年8月20日
件 名:RE:久し振りの納得

こんにちは、山本です。
 林さんの所に集まってきた生徒たちは、確かによく考え、アイディアもすごいですね。ダニエル電池の極板を取り替えてみようというのは、私も今まで考えたことはありませんでした。
 こういう生徒たちが、将来専門家になったときに市民の側に立ってほしいものですね。前の学校の卒業生で、浪人中に予備校の先生から部落差別の話を聞き、法学部に志望を変えたという生徒がいました。林さんたちの取り組みも、市民の方を向いた専門家を作るという目的を持っていることと思います。どうしたらその目的を達成できるのか、その辺のことを意見交換できたらと思っています。
 逆ダニエル電池のさまざまな実験で、回路に電流を流すと起電力が低下するという結果がいくつか出ていますね。これは、電流を流すことによって、極板付近のイオンの濃度が変化するということなどが、要因になっているのだと思います。いろいろな電池で一般的にいえる現象でしょう。


03A−011
差出人:山本 喜一
送信日:03年8月21日
件 名:水中花火について

こんにちは、山本です。
アルケのナイターで鬼塚さんがやっていた水中花火の作り方を、もう一度教えてくれませんか?メモを十分に取らなかったので、分からなくなってしまいました。よろしくお願いします。


03A−012
差出人:鬼塚 公志
送信日:03年8月21日
件 名:RE:水中花火について

こんにちは,鬼塚です。
 山本さんから水中花火の質問がありましたので作り方等を書いておきます。昨年度のアルケナイターでは水中ロケット花火をしました。その分も含めて書き添えておきます。
《水中ロケット花火》
1.ペットボトルに水を8分目まで入れる。
2.ロケット花火の下を持ち,逆さまに持ち,ロケット花火の先をペットボトルの口の上まで持ってくる。
3.ロケット花火に火をつけ本体の花火に火がつくまでじっとまつ。
※ ここで怖がったらせずにじっと持っておく。
4.火がついたロケット花火は音を出しながら,ペットボトルの中に入り,水の中でも燃焼し続ける。
 材料のロケット花火は100円ショップで10個入りが販売されています。爆発するロケット花火を使用すると最後に破裂し,ペットボトルが5cmほど飛び上がります。その結果机上を濡らしてしまうので,笛ロケットの方が後始末のことを考えるといいようです。迫力の点では爆発する方が迫力あります。
《水中花火》
1.火薬部分をセロテープで巻いていく。火薬部分が全部隠れるように巻く。
※ 火薬部分が水に濡れなければいいので
@火薬がむき出しになっている部分を水で濡れないようにパラフィン紙でつつみセロテープで留める。
APVAの洗濯糊につけて,1日乾かす。
B表面がアルミで包まれている花火は,パラフィンを巻かなくても良い。
2.花火に点火し水中に入れる。  火薬部分が濡れなければ,水中で燃え続けます。スプレーのりやスプレー式撥水剤は簡単でいいかなと考えたのですがすぐに消えてしまいました。
 塩素酸カリウムの熱分解で酸素が出るのはわかりますが,硝酸カリウムが熱分解するとどういう反応式で酸素は出るのでしょうか。もしもおわかりの方がおられましたら教えてください。
追伸
 本日練習で山本さんの「アルミ缶転がしアイスクリーム」を作ってみました。材料を混ぜて出来上がりまで15分でできました。2gの広口試薬瓶がなかったので大きなプラスチックの容器ということで糊の容器を使いました。昔の糊の容器は大きかったのですね。出来上がりの味も素朴でしかも簡単でいいですね。凝固点降下,熱伝導率の違い等も説明できるので,就職クラスを対象に作らせたいと思います。
 ではでは。


03A−013
差出人:山本 喜一
送信日:03年8月21日
件 名:水中花火(2)

こんにちは、山本です。
 鬼塚さんありがとうございました。

《水中花火》 1.火薬部分をセロテープで巻いていく。火薬部分が全部隠れるように巻く。
※ 火薬部分が水に濡れなければいいので
@火薬がむき出しになっている部分を水で濡れないようにパラフィン紙でつつみ
セロテープで留める。
APVAの洗濯糊につけて,1日乾かす。
B表面がアルミで包まれている花火は,パラフィンを巻かなくても良い。

 ここの部分は、1.@、A、Bの4つの方法のうちのいずれかをやればよいということだったと思いますが、違うでしょう?
 硝酸塩の熱分解ですが、化学大辞典(共立出版)には次のように書かれています。
”無水塩を加熱すると、アルカリ金属の塩は酸素及び亜硝酸塩に変わるが、重金属の塩は酸素及び窒素の酸化物などを放って金属酸化物または金属になる。”
というわけで、硝酸カリウムは酸素と亜硝酸カリウムになると思われます。


03A−014
差出人:鬼塚 公志
送信日:03年8月22日
件 名:RE:水中花火(2)

 花火を加工するのは@ABのどれでも構いません。アルケナイターで行ったのは花火をセロテープで巻く方法とPVAの洗濯糊でコーティングしたものを使いました。


03A−015
差出人:鬼塚 公志
送信日:03年8月22日
件 名:コールドスプレーの蒸発熱

こんにちは,鬼塚です。
 アルケナイターで山本さんがコールドスプレーの蒸発熱の話しをされました。コールドスプレーとコンロ用のガスボンベの中身はブタンガスで同じで,中身のホースがコールドスプレーは長いがコンロ用のガスボンベは短い。と言うことでした。今日,使わなくなったスプレーの噴射口をコンロ用ガスボンベに付け,逆さまにして手に吹き付けてみました。液体のブタンガスが噴射して確かに手が冷たくなりました。ただ,臭いが付けてあるのでしばらくの間くさいにおいは残りました。これさえ我慢すれば高いコールドスプレーは買わなくてもいいと言うことでしょうか?手に着いたにおいはしばらくの間消えません。
 火のついたライターにガスを吹き付けると両者とも大きな炎を上げて燃え上がります。
 ではでは。


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