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02A−196
差出人:山本 喜一
送信日:03年7月10日
件 名:蒸発熱のはたらき
こんにちは、山本です。
雑誌「理科教室」の”自然を探る”というコーナーを藤田さんと二人で担当しています。先日、編集部の人から電話で次回の原稿を催促されました。そこで、今日、急いで書いてみたのですが、内容に自信のないところがあります。勝手なお願いですが、読んでいただいて、間違っているところがあったら指摘してもらえないでしょうか。特に、人体からの熱の放出のあたりと、地表からの熱の放射のあたりは、これでよいのだろうかと思っています。編集部の人からは、今週末までに原稿を送ってほしいといわれていますので、間違いがあったらできるだけ早く連絡してもらえれば、ありがたいです。
<原稿ここから>
蒸発熱のはたらき
千葉県立**高校 山本 喜一
扇風機の風は冷たいか
暑いときに、扇風機の風に当たったり、うちわや扇子であおいだりすると涼し
さを感じます。そこで生徒に「温度計に風を送ると、温度が下がるだろうか?」
と聞いてみますと、たいていの生徒から「温度が下がる」という答えが返ってき
ます。では実際にやってみようと言って、温度計を渡して、下敷きやノートであ
おがせます。すると、ほとんど温度が変わらないことが分かります。
次に、温度計の球部に、ぬらしたティッシュを巻き付けて、温度が安定してか
らあおがせます。すると、こちらは温度が下がります。乾いた温度計とぬれた温
度計で、なぜこのような差が出るのか。生徒にそれを考えさせます。もちろん答
えは、ぬれた方は水が蒸発するときに、蒸発熱を奪うので温度が下がるというこ
とです。
蒸発するときになぜ熱を奪うのかということについては、液体の分子は結合し
ていて、その結合を切って気体になるときに熱が必要であるという程度の説明を
しておきます。逆に、気体が液体に変わるときは結合が生まれるので、発熱する
ということも添えます。
話がちょっと横道に入りますが、風を送ると、なぜ水が早く蒸発するのか、と
いう問いは、生徒には難問のようです。風のある日は、なぜ洗濯物が早く乾くの
かという問いに替えても難しいようです。風のない日は、いったん蒸発した水の
分子が再び洗濯物にもどってくることがあるので乾きが遅い、というような答え
が出れば、しめたものですが。
人体からの水の蒸発
私たちの体にもたくさんの水分がありますから、扇風機やうちわの風を受ける
と、水分が蒸発し、蒸発熱が奪われて体温が下がります。では、1日あたりどれ
くらいの熱が蒸発熱として奪われるのでしょうか。成人は、呼吸によって
400ml、皮膚からの蒸発によって500mlの水分が失われるそうです。水の蒸
発熱はおよそ10kcal/molですから、1日あたり500kcalの熱が水の蒸発に
よって奪われていることになります。
この熱は、体からの損失と言うよりは、体温を一定に保つための廃熱処理と考
えるべきでしょう。体内では常に化学反応が起こっていて、ある物質が他の物質
に変わるという変化が絶え間なく起こっています。この変化にともなって、どう
しても熱が生み出されてしまうのです。これを体外に排出しなければ、体温が上
がりすぎて、生きていくことはできません。
大人は1日あたり2000〜2500kcalのエネルギーを食物から摂取する必
要があると言われています。ということは、それと同じだけのエネルギーを放出
しなければ、体温が上昇してしまうということです。この熱量の1/4〜1/5
を水の蒸発によって処理し、残りは空気などへの熱伝導や赤外線放射として排熱
して、体温調整をしているわけです。
生徒にポリ袋を1枚ずつ渡して、片方の手を入れさせます。そして、手首を輪
ゴムで止めて、片手全体をポリ袋にくるんでしまいます。そうしたまま5分間が
まんさせると、夏でなくてもポリ袋の内側がくもってきて、湿っぽくなってくる
ことが分かります。こんな実験から、体から常に水が蒸発していることが実感で
きます。
地球の気温と蒸発熱
蒸発熱は地表の気温にも大きな影響を与えています。地表は太陽から直接やっ
て来るエネルギーと、暖められた大気からやって来るエネルギーの両方を吸収し
ています。そして、それと同じだけのエネルギーを放出しています。地学の教科
書によれば、地表からは、赤外線放射によって79%、大気への伝導によって
5%、そして残り16%のエネルギーを水の蒸発によって放出しています。勝木
渥氏の「環境とは何か・エントロピー的見地からの考察」『理科教室』
(1995)を参考にしますと、16%のエネルギー放出を担っている水の蒸発
について、次のようなことが言えます。
水は地表で水蒸気になります。この時、地表の熱を吸収します。水蒸気は上空
高く昇って行って、雲を作ります。雲は液体の水の粒(氷の粒もありますが)で
すから、水蒸気が雲になるときは、水の分子どうしが結合して、熱を放出しま
す。そして、その熱は宇宙に逃げていきます(一部は大気を暖めるために使われ
ます)。つまり水は、地表の熱を上空まで運んで、宇宙に捨てる役割をはたして
いるわけです。
ところで、地球がもっと小さくて、月のように重力が小さかったらどうなるで
しょう。この場合、上空に昇って行った水の分子は、重力を振り切って宇宙に逃
げて行ってしまいます。つまり、地球から水が失われてしまいますので、ここに
書いたようなクーラーとしての水の役割はなくなってしまいます。
では、地球がもっと大きくて、重力が強かったらどうなるでしょう。この場
合、地表から上昇する水蒸気は、あまり高いところまでは昇って行けません。
もっと低いところに雲ができるはずです。そうなると、低いところで熱が放出さ
れるために、宇宙に逃げないで地表に戻ってくる熱の割合が大きくなります。つ
まり、地表の温度は今よりも上がってしまうのです。
このように、地球は小さすぎず、また大きすぎることもないので、水による熱
の移動がうまくはたらいているわけです。
地球の気温と水との関係を述べるのであれば、蒸発熱だけでなく、液体の水の
比熱や水蒸気の温室効果などにもふれなければ片手落ちだとは思いますが、ここ
では蒸発熱に限って水の役割をまとめてみました。
<ここまで>
02A−197
差出人:林 正幸
送信日:03年7月11日
件 名:RE:蒸発熱のはたらき
こんにちは、林です。
以下のようにコメントを入れてみました。
(中略)
>扇風機の風は冷たいか
> 暑いときに、扇風機の風に当たったり、うちわや扇子であおいだりすると涼し
>さを感じます。そこで生徒に「温度計に風を送ると、温度が下がるだろうか?」
>と聞いてみますと、たいていの生徒から「温度が下がる」という答えが返ってき
>ます。では実際にやってみようと言って、温度計を渡して、下敷きやノートであ
>おがせます。すると、ほとんど温度が変わらないことが分かります。
> 次に、温度計の球部に、ぬらしたティッシュを巻き付けて、温度が安定してか
>らあおがせます。すると、こちらは温度が下がります。乾いた温度計とぬれた温
>度計で、なぜこのような差が出るのか。生徒にそれを考えさせます。もちろん答
>えは、ぬれた方は水が蒸発するときに、蒸発熱を奪うので温度が下がるというこ
>とです。
> 蒸発するときになぜ熱を奪うのかということについては、液体の分子は結合し
>ていて、その結合を切って気体になるときに熱が必要であるという程度の説明を
>しておきます。逆に、気体が液体に変わるときは結合が生まれるので、発熱する
>ということも添えます。
> 話がちょっと横道に入りますが、風を送ると、なぜ水が早く蒸発するのか、と
>いう問いは、生徒には難問のようです。風のある日は、なぜ洗濯物が早く乾くの
>かという問いに替えても難しいようです。風のない日は、いったん蒸発した水の
>分子が再び洗濯物にもどってくることがあるので乾きが遅い、というような答え
>が出れば、しめたものですが。
>人体からの水の蒸発
> 私たちの体にもたくさんの水分がありますから、扇風機やうちわの風を受ける
>と、水分が蒸発し、蒸発熱が奪われて体温が下がります。では、1日あたりどれ
>くらいの熱が蒸発熱として奪われるのでしょうか。成人は、呼吸によって
>400ml、皮膚からの蒸発によって500mlの水分が失われるそうです。水の蒸
>発熱はおよそ10kcal/molですから、1日あたり500kcalの熱が水の蒸発に
>よって奪われていることになります。
単位をgに統一して書いた方が分かりやすいと思います。
> この熱は、体からの損失と言うよりは、体温を一定に保つための廃熱処理と考
>えるべきでしょう。体内では常に化学反応が起こっていて、ある物質が他の物質
>に変わるという変化が絶え間なく起こっています。この変化にともなって、どう
>しても熱が生み出されてしまうのです。これを体外に排出しなければ、体温が上
>がりすぎて、生きていくことはできません。
> 大人は1日あたり2000〜2500kcalのエネルギーを食物から摂取する必
>要があると言われています。ということは、それと同じだけのエネルギーを放出
>しなければ、体温が上昇してしまうということです。この熱量の1/4〜1/5
>を水の蒸発によって処理し、残りは空気などへの熱伝導や赤外線放射として排熱
>して、体温調整をしているわけです。
人が外に仕事をしてエネルギーを失う部分が抜けています。
> 生徒にポリ袋を1枚ずつ渡して、片方の手を入れさせます。そして、手首を輪
>ゴムで止めて、片手全体をポリ袋にくるんでしまいます。そうしたまま5分間が
>まんさせると、夏でなくてもポリ袋の内側がくもってきて、湿っぽくなってくる
>ことが分かります。こんな実験から、体から常に水が蒸発していることが実感で
>きます。
>地球の気温と蒸発熱
> 蒸発熱は地表の気温にも大きな影響を与えています。地表は太陽から直接やっ
>て来るエネルギーと、暖められた大気からやって来るエネルギーの両方を吸収し
>ています。そして、それと同じだけのエネルギーを放出しています。地学の教科
>書によれば、地表からは、赤外線放射によって79%、大気への伝導によって
>5%、そして残り16%のエネルギーを水の蒸発によって放出しています。勝木
>渥氏の「環境とは何か・エントロピー的見地からの考察」『理科教室』
>(1995)を参考にしますと、16%のエネルギー放出を担っている水の蒸発
>について、次のようなことが言えます。
ここで「地表」とは海面を含んでいるのでしょうか。もしそうなら地表は太陽エネルギーの47%を吸収し、大気に対して、伝導で10%、赤外線放射で8%、蒸発で23%を放出し、残り6%を宇宙に直接に赤外線放射しています(地団研編新「地学教育講座」)。「地面」だけのデータは手元にありません。いずれにしても地表か地面かをはっきりさせるのがよいと思います。
> 水は地表で水蒸気になります。この時、地表の熱を吸収します。水蒸気は上空
>高く昇って行って、雲を作ります。雲は液体の水の粒(氷の粒もありますが)で
>すから、水蒸気が雲になるときは、水の分子どうしが結合して、熱を放出しま
>す。そして、その熱は宇宙に逃げていきます(一部は大気を暖めるために使われ
>ます)。つまり水は、地表の熱を上空まで運んで、宇宙に捨てる役割をはたして
>いるわけです。
凝縮熱の大部分はまず大気に放出され、大気が赤外線放射で宇宙に放出していると思います。その意味で水は熱を宇宙に捨てる「手助け」をしていることになります。
> ところで、地球がもっと小さくて、月のように重力が小さかったらどうなるで
>しょう。この場合、上空に昇って行った水の分子は、重力を振り切って宇宙に逃
>げて行ってしまいます。つまり、地球から水が失われてしまいますので、ここに
>書いたようなクーラーとしての水の役割はなくなってしまいます。
> では、地球がもっと大きくて、重力が強かったらどうなるでしょう。この場
>合、地表から上昇する水蒸気は、あまり高いところまでは昇って行けません。
>もっと低いところに雲ができるはずです。そうなると、低いところで熱が放出さ
>れるために、宇宙に逃げないで地表に戻ってくる熱の割合が大きくなります。つ
>まり、地表の温度は今よりも上がってしまうのです。
対流圏の高さが、分子運動の速度と重力の関係で決まってくるとは思えません。
> このように、地球は小さすぎず、また大きすぎることもないので、水による熱
>の移動がうまくはたらいているわけです。
> 地球の気温と水との関係を述べるのであれば、蒸発熱だけでなく、液体の水の
>比熱や水蒸気の温室効果などにもふれなければ片手落ちだとは思いますが、ここ
>では蒸発熱に限って水の役割をまとめてみました。
02A−198
差出人:鬼塚 公志
送信日:03年7月12日
件 名:「給油中の携帯電話、危険です」という新聞記事
こんにちは,鬼塚です。
以前,藤田さんが「給油中の携帯電話、危険です」という新聞記事が欲しいと言うことでしたが,最近インターネットの情報収集の仕方を覚えてきましたので少しお知らせしておきます。ご存じの方もおられるとは思いますが,知らない方もおられると思いますので書き込みます。
色々な新聞のサイトではお金を払うと新聞記事の検索ができます。しかし,佐賀新聞は無料でこの検索ができます。検索方法に少し不満はありますが,無料で検索できるので重宝しています。
http://www.saga-s.co.jp/
ここに「給油中」という検索語を入れると
http://www.saga-s.co.jp/pubt2003/ShinDB/Data/1999/06/04_07_32.html
に記事内容が出てきました。内容を引用しておきます。
−−引用開始−−
油中の携帯使用やめて!!
掲載日1999年06月04日 <共>写有
--------------------------------------------------------------------------------
〈給油中の携帯使用やめて!!〉
石油会社でつくる業界団体、石油連盟(東京)は三日、携帯電話をガソリンスタ
ンドの給油場付近で使用すると、受発信の際の弱電流が気化したガソリンに引火
し、爆発する可能性があるとして、調査に乗り出す方針を明らかにした。
----------------------------------------
一方、国際石油資本(メジャー)の米エクソン系のエッソ石油とゼネラル石油は
「欧米では給油場付近での携帯電話の使用禁止が徹底されている」として、共同
で系列スタンドに対し、顧客に使用禁止を要請するよう指導を始めた。
こうした動きに対し、携帯電話最大手のNTT移動通信網は「情報収集に努めて
いるが、当社の機種に関して火災に結び付いたといった事例の報告は受けていな
い」としている。
石油連盟は「危険性がどの程度なのか国際的な事例を含めて情報収集の段階」と
いう。石油業界関係者によると、スタンドの給油場付近には気化したガソリンが
漂っている。そこに受発信の際に弱電流を出す携帯電話が作動すると引火、爆発
の可能性があるという。
関係者は特に受信の際に引火の可能性が大きいと指摘している。石油連盟は調査
の詳細を今後詰め、携帯電話だけでなくPHSの危険性も調べる方針だ。
エッソ石油とゼネラル石油は、今春から系列スタンドに顧客への使用禁止の周知
を指導、一部のスタンドでは使用を控えるように求めたステッカーの掲示も始め
た。
−−引用終了−−
最近,過去の新聞記事を探すときにはこの佐賀新聞のサイトを利用しています。給油中の引火で別の問題も出てきているようです。最近セルフスタンドで給油をしようとしてキャップを開けたとたんに車の給油口から引火するケースが出てきているようです。2〜3日前,朝のテレビニュースであっていました。ガソリンタンクにたまった蒸気が給油口を開けたとたんに静電気で引火するようです。給油口を開けたとたんに炎がばっと出てくる感じです。静電気による引火を防ぐために水をまいたり,「ここを触って下さい」という手のひら型の板を置いているそうです。こちらは田舎なのでセルフスタンドのそういう風景は見たことがないのですが,いかがでしょうか。
02A−199
差出人:山本 喜一
送信日:03年7月12日
件 名:蒸発熱のはたらき
林さんコメントありがとうございました。
・成人が1日に使うエネルギー(2000〜25kcal)には、熱として放出してしまうもの以外に、ものを持ち上げたり動かしたりする力学的エネルギーが含まれると言うことですよね。納得しました。
・地表の熱収支については、教科書に特に断り書きはありませんので、海洋を含んでいると思われます。私が原稿に書いた数値は、太陽の放射エネルギーを100としたものではなく、地表が太陽や大気から吸収するエネルギーを100として、そのうちの16を蒸発熱によって放出しているというものです。ちょっとわかりにくい表現かも知れません。書き直してみます。
・対流圏の高さについては、「理科教室」の勝木論文の受け売りです。同じ雑誌に投稿するので、これでいいかなと思っています。
・人が扇風機に当たったときに涼しくなるのは、体表面から水が蒸発する効果と、体のまわりにあって体温で暖められた空気が吹き飛ばされる効果の両方が働いているのではないかと考え直しました。この考えに沿って書き直してみます。
02A−200
差出人:藤田 勲
送信日:03年7月13日
件 名:RE:「給油中の携帯電話、危険です」という新聞記事
藤田です。
鬼塚さん、貴重な情報ありがとうございました。「受発信の際の弱電流が気化したガソリンに引火」ということだったのですね。私は物理のことはほとんど分かりませんが、電波を受信して携帯の電子回路が新たに作動する際に、気化ガソリンに引火するほどの発熱があるとか、電気的な火花が飛ぶということなのでしょうか。「特に受信の際に引火の可能性が大きい」という理由はどういうことなのでしょうか。
私は携帯を持ちませんが、携帯電話に限らずインターネットなど便利で大量普及しているものほど、その影には大きな落とし穴があるような気がします。心して使わないといけませんね。
02A−201
差出人:林 正幸
送信日:03年7月14日
件 名:RE:蒸発熱のはたらき
おはよう、林です。
<メールの引用>
・地表の熱収支については、教科書に特に断り書きはありませんので、海洋を含
んでいると思われます。私が原稿に書いた数値は、太陽の放射エネルギーを
100としたものではなく、地表が太陽や大気から吸収するエネルギーを100
として、そのうちの16を蒸発熱によって放出しているというものです。ちょっ
とわかりにくい表現かも知れません。書き直してみます。
<以上>
海面を含む地表が吸収する太陽エネルギーを基準にすると、蒸発熱は23×100/47=45 となります。その意味で山本さんのデータは「地面」のものかもしれませんね。
なお水のはたらきは、エネルギーを宇宙に捨てるのではなく、地表から上空に移動させることであると思います。
02A−202
差出人:山本 喜一
送信日:03年7月14日
件 名:蒸発熱のはたらき
林さん、コメントありがとうございます。どうも数値が何を意味するのかという前提が、二人の間で、すれ違っているような気がします。
<7月14日のメールの引用>
海面を含む地表が吸収する太陽エネルギーを基準にすると、蒸発熱は23×100/47=45 となります。その意味で山本さんのデータは「地面」のものかもしれませんね。
なお水のはたらきは、エネルギーを宇宙に捨てるのではなく、地表から上空に移動させることであると思います。
<7月11日のメールの引用>
ここで「地表」とは海面を含んでいるのでしょうか。もしそうなら地表は太陽エネルギーの47%を吸収し、大気に対して、伝導で10%、赤外線放射で8%、蒸発で23%を放出し、残り6%を宇宙に直接に赤外線放射しています(地団研編新「地学教育講座」)。「地面」だけのデータは手元にありません。いずれにしても地表か地面かをはっきりさせるのがよいと思います。
<ここまで>
この二つを合わせてみますと、林さんは地表が受け取るエネルギーは太陽エネルギーを100としたとき、47であるとしているようです。しかし、地表は太陽から直接やってくるエネルギー(これが47)以外に、大気から放射されるエネルギーを受け取っています。この分が103です。合計、150のエネルギーを地表が受け取り、それと同じだけのエネルギーを放出しています。このうち、水の蒸発によって放出するエネルギーが23ですから、23/150=15%。よって、地表が放出するエネルギーのうちの15%(文献によってはこれが16%になる)が水の蒸発によるものである、ということになるのではないかと思っています。
それから、水が熱を地表から対流圏上部まで運んでいることについてです。水蒸気が対流圏上部まで昇っていって、そこで水滴や氷の粒になり、同時にエネルギーを出します。ここは林さんも僕も同じ考えだと思います。そのエネルギーで、いったん大気が暖まって、その後、暖かな大気からエネルギーが放射されるというのが林さんのイメージです用ね。でも、水蒸気が水滴になったときに放出されたエネルギーが、まわりの分子に吸収されずに直接宇宙に放射されるということも十分考えられるのではないかと、僕は思います。
せっかくコメントをもらっておきながら、反論のようになってしまいました。すみません。今日、学校で次のように原稿を作り直し、これを送ろうと思っています。
<原稿の引用>
蒸発熱のはたらき
千葉県立***高校 山本 喜一
扇風機の風は冷たいか
暑いときに、扇風機の風に当たったり、うちわや扇子であおいだりすると涼しさを感じます。そこで生徒に「温度計に風を送ると、温度が下がるだろうか?」と聞きました。すると、たいていの生徒から「温度が下がる」という答が返ってきました。では実際にやってみようと言って、温度計を渡して、下敷きやノートであおがせます。すると、ほとんど温度が変わらないことが分かります。
次に、温度計の球部に、ぬらしたティッシュを巻き付けて、温度が安定してからあおがせます。こちらは温度が下がります。乾いた温度計とぬれた温度計で、なぜこのような差が出るのか。生徒にそれを考えさせました。もちろん答えは、ぬれた方は水が蒸発するときに、蒸発熱を奪うので温度が下がるということです。
人体から1日900mlの蒸発
私たちの体にもたくさんの水分がありますから、扇風機やうちわの風を受けると、水分が蒸発し、蒸発熱が奪われて体温が下がります。もっとも、風を受けると体温が下がるのは、蒸発熱の作用だけではありません。私たちの体のまわりには、体温で暖められた空気がまとわりついています。それが風で吹き飛ばされて、冷たい空気が体に触れることによって体温が下がるという効果もあります。
ところで、1日あたりどれくらいの熱が蒸発熱として奪われるのでしょうか。成人は、呼吸によって400ml、皮膚からの蒸発によって500mlの水分が失われるそうです。水の蒸発熱はおよそ5.5kcal/gですから、1日あたり約500kcalの熱が水の蒸発によって奪われていることになります。
この熱は、体からの損失と言うよりは、体温を一定に保つための廃熱処理と考えるべきでしょう。体内では常に化学反応が起こっていて、ある物質が他の物質に変わるという変化が絶え間なく起こっています。この変化にともなって、どうしても熱が生み出されてしまうのです。これを体外に排出しなければ、体温が上がりすぎて、生きていくことはできません。
成人では、横になって安静にしているときでも、生命活動を維持するために、1日あたり1000〜1500kcalのエネルギーを摂取する必要があります。ということは、それだけの熱を放出しなければならないということです。社会生活を行っている場合は、1日あたり2000〜2500kcalのエネルギーが必要で、それと同じだけのエネルギーを放出しています。この場合、放出されるエネルギーの一部は、ものを持ち上げたり動かしたりするために使われ、残りは熱として放出されます。この熱の放出のうち、約500kcal分を蒸発熱が受け持っているわけです(残りの熱は、空気への伝導や赤外線放射によって放出されています)。
生徒にポリ袋を1枚ずつ渡して、片方の手を入れさせます。そして、手首を輪ゴムで止めて、片手全体をポリ袋にくるんでしまいます。そうしたまま5分間がまんさせると、夏でなくてもポリ袋の内側がくもってきて、湿っぽくなってくることが分かります。こんな実験によって、体から常に水が蒸発していることが実感できます。
地球の気温と蒸発熱
蒸発熱は地表の気温にも大きな影響を与えています。地表は太陽から直接やって来るエネルギー(168W/m2)と、暖められた大気からやって来るエネルギー(324W/m2)の両方を吸収しています。そして、それと同じだけのエネルギーを放出しています。地学の教科書によれば、地表からのエネルギー放出量は、赤外線放射(390W/m2)、大気への伝導(24W/m2)、そして水の蒸発(78W/m2)です。つまり蒸発熱は、地表からのエネルギー放出の16%をしめていることになります。勝木渥氏の「環境とは何か・エントロピー的見地からの考察」『理科教室』(1995)を参考にすると、この水の蒸発熱について、次のようなことが言えます。
水は地表で水蒸気になります。この時、地表の熱を吸収します。水蒸気は上空高く昇って行って、雲を作ります。雲は液体の水の粒(氷の粒もありますが)ですから、水蒸気が雲になるときは、水の分子どうしが結合して、熱を放出します。そして、その熱は宇宙に逃げていきます(一部は大気を暖めるために使われます)。つまり水は、地表の熱を上空まで運んで、宇宙に捨てる役割をはたしているわけです。
ところで、地球がもっと小さくて、月のように重力が小さかったらどうなるでしょう。この場合、上空に昇って行った水の分子は、重力を振り切って宇宙に逃げて行ってしまいます。つまり、地球から水が失われてしまいますので、地表の熱を奪うクーラーとしての水の役割はなくなってしまいます。
では、地球がもっと大きくて、重力が強かったらどうなるでしょう。この場合、地表から上昇する水蒸気は、あまり高いところまでは昇って行けません。もっと低いところに雲ができるはずです。そうなると、低いところで熱が放出されるために、宇宙に逃げないで地表に戻ってくる熱の割合が大きくなります。つまり、地表の温度は今よりも上がってしまうのです。
このように、地球は小さすぎず、また大きすぎることもないので、水による熱の移動がうまくはたらいていると言えます。
地球の気温と水との関係を述べるのであれば、蒸発熱だけでなく、水の比熱や水蒸気の温室効果などにもふれなければ片手落ちだとは思いますが、ここでは蒸発熱に限って水の役割をまとめてみました。なお次回は蒸発熱の話の続きとして、フロンを取り上げる予定です。
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02A−203
差出人:林 正幸
送信日:03年7月15日
件 名:RE:蒸発熱のはたらき
おはよう、林です。
大気から地表が受ける放射が抜けていたのですね。私は漠然とそれは大した量でないと思い込んでいたわけです。認識が新たになりました。
水蒸気の凝縮によるエネルギーについては、直接宇宙に放射する部分もあると思っているのですが、熱運動による伝熱とどんな関係にあるのでしょう。
ではまた。
02A−204
差出人:林 正幸
送信日:03年7月15日
件 名:イオン交換膜の実験
こんばんは、林です。
大学時代の友人の紹介で、イオン交換膜を入手できました。これは厚さ0.3mmほどのプラスチックシートで、陽イオン交換膜が黒色、陰イオン交換膜がほぼ無色です。保存は塩化ナトリウム水溶液に浸けておく必要があります。今日は手始めに次のような実験をしてみました。
ステンレス板にろ紙2枚を載せ、BTBを加えた2%硫酸ナトリウム水溶液を染み込ませ、イオン交換膜を被せ、ろ紙2枚を載せて同じ水溶液を染み込ませ、またイオン交換膜を被せ、さらにろ紙2枚を載せて同じ水溶液を染み込ませ、ステンレス板を被せて、手まわし発電機で電気分解します。
陰イオン交換膜2枚を使うと、これは陽イオンは透過できないので、陽極側は黄色になりますが、中間と陰極側がともに青色になります。つまり陽極側で生成する水素イオンが陰極に向かうのを阻止されるわけです。そして陽イオン交換膜2枚を使うと、陽極側と中間が黄色になり、陰極側のみ青色になります。今度は陰極で生成する水酸化物イオンが陽極に向かうのを阻止されるわけです。
非常に明快な結果に満足しました。先日のMOLの会で披露したら、海水の淡水化実験をやったらと言われています。この交換膜は食塩水の電解用ではないので塩素には強くないため、硫酸ナトリウム水溶液の淡水化をやってみるつもりです。もっとも完全に淡水化すれば電導性がなくなるので、硫酸ナトリウムの濃度が減少すればよいと考えています。まだまだいくつもの実験が工夫できそうです。
ではまた。
02A−205
差出人:山本 喜一
送信日:03年7月15日
件 名:蒸発熱のはたらき
林さんこんにちは。山本喜一です。学校のほうでメールアドレスが配られ、今、それで送っています。
今回の原稿については、いろいろアドバイスありがとうございました。今日、学校に来て、またいろいろと考え、文献にもあたってみて、再度変更しました。ひとつは、水蒸気が対流圏上部まで昇っていって凝縮したとき放出するエネルギーについてです。これはやはり、林さんの指摘のように説明したほうが一般的だと思いました。2点目は、地球の重力が大きかったときのことです。こちらは、水蒸気が凝縮できないという説明を、私が勘違いしていましたので直しました。いろいろとありがとうございました。
今日は夕方から学年のご苦労さん会がありますから、家からメールを送れません。とりあえず林さんには、学校から送りました。
<原稿の引用>
蒸発熱のはたらき
千葉県立***高校 山本 喜一
扇風機の風は冷たいか
暑いときに、扇風機の風に当たったり、うちわや扇子であおいだりすると涼しさを感じます。そこで生徒に「温度計に風を送ると、温度が下がるだろうか?」と聞きますと、たいていの生徒から「温度が下がる」という答が返ってきます。では実際にやってみようと言って、温度計を渡して、下敷きやノートであおがせます。すると、ほとんど温度が変わらないことが分かります。
次に、温度計の球部に、ぬらしたティッシュを巻き付けて、温度が安定してからあおがせます。こちらは温度が下がります。乾いた温度計とぬれた温度計で、なぜこのような差が出るのか。生徒にそれを考えさせました。もちろん答えは、ぬれた方は水が蒸発するときに、蒸発熱を奪うので温度が下がるということです。
人体から1日900mlの蒸発
私たちの体にもたくさんの水分がありますから、扇風機やうちわの風を受けると、水分が蒸発し、蒸発熱が奪われて体温が下がります。もっとも、風を受けると体温が下がるのは、蒸発熱の作用だけではありません。私たちの体のまわりには、体温で暖められた空気がまとわりついています。それが風で吹き飛ばされて、冷たい空気が体に触れることによって体温が下がるという効果もあります。
ところで、1日あたりどれくらいの熱が蒸発熱として奪われるのでしょうか。成人は、呼吸によって400ml、皮膚からの蒸発によって500mlの水分が失われるそうです。水の蒸発熱はおよそ5.5kcal/gですから、1日あたり約500kcalの熱が水の蒸発によって奪われていることになります。
この熱は、体からの損失と言うよりは、体温を一定に保つための廃熱処理と考えるべきでしょう。体内では化学反応が起こっていて、ある物質が他の物質に変わるという変化が絶え間なく起こっています。この変化にともなって、どうしても熱が生み出されてしまうのです。これを体外に排出しなければ、体温が上がりすぎて、生きていくことはできません。
成人では、横になって安静にしているときでも、生命活動を維持するために、1日あたり1000〜1500kcalのエネルギーを摂取する必要があります。ということは、それだけの熱を放出しなければならないということです。社会生活を行っている場合は、1日あたり2000〜2500kcalのエネルギーが必要で、それと同じだけのエネルギーを放出しています。この場合、放出されるエネルギーの一部は、ものを持ち上げたり動かしたりするために使われ、残りは熱として放出されます。この熱の放出のうち、約500kcal分を蒸発熱が受け持っているわけです(残りの熱は、空気への伝導や赤外線放射によって放出されています)。
生徒にポリ袋を1枚ずつ渡して、片方の手を入れさせます。そして、手首を輪ゴムで止めて、片手全体をポリ袋にくるんでしまいます。そうしたまま5分間がまんさせると、夏でなくてもポリ袋の内側がくもってきて、湿っぽくなってくることが分かります。こんな実験によって、体から常に水が蒸発していることが実感できます。
地球の気温と蒸発熱
蒸発熱は地表の気温にも大きな影響を与えています。地表は太陽から直接やって来るエネルギー(168W/m2)と、暖められた大気からやって来るエネルギー(324W/m2)の両方を吸収しています。そして、それと同じだけのエネルギーを放出しています。地学の教科書によれば、地表からのエネルギー放出量は、赤外線放射が390W/m2、大気への伝導が24W/m2、そして水の蒸発が78W/m2です。つまり蒸発熱は、地表からのエネルギー放出の16%をしめていることになります。勝木渥氏の「環境とは何か・エントロピー的見地からの考察」『理科教室』(1995)を参考にしますと、この水の蒸発熱について、次のようなことが言えます。
水は地表の熱を吸収して、水蒸気になります。水蒸気は上空高く昇って行って、雲を作ります。上空は気温が低いので、水蒸気が集まって、水滴や氷の粒になるわけです。このとき、水分子どうしの結合が起こりますので、熱を放出します。その熱は上空の大気を暖め、そこからさらに宇宙に逃げていく熱と、地表にもどってくる熱(温室効果)に分かれます。いずれにせよ、水は地表の熱を上空まで運び上げる役割をはたしているわけです。
ところで、地球がもっと小さくて、月のように重力が小さかったらどうなるでしょう。この場合、上空に昇って行った水の分子は、重力を振り切って宇宙に逃げて行ってしまいます。つまり、地球から水が失われてしまいますので、地表の熱を奪うクーラーとしての水の役割はなくなってしまいます。
では、地球がもっと大きくて、重力が強かったらどうなるでしょう。この場合、地表から上昇する水蒸気は、あまり高いところまでは昇って行けません。そこは地表とあまり気温が変わりませんから、水蒸気は凝縮できません。つまり、放熱できないことになります。したがって、地表はもっと暑くなるはずです。
このように、地球は小さすぎず、また大きすぎることもないので、水による熱の移動がうまくはたらいていると言えます。
地球の気温と水との関係を述べるのであれば、蒸発熱だけでなく、水の比熱や水蒸気の温室効果などにもふれなければ片手落ちだとは思いますが、ここでは蒸発熱に限って水の役割をまとめてみました。なお次回は蒸発熱の話の続きとして、フロンを取り上げる予定です。
02A−206
差出人:山本 喜一
送信日:03年7月16日
件 名:蒸発熱のはたらき
こんにちは、山本です。
林さんのコメントをもう一度考え直し、文献にも当たって、2カ所をなおしました。まず、水蒸気が上空で水滴になったとき放出する熱についてです。これはやはり、林さんのコメントのように説明した方が一般的だと思いました。それから、重力が強かったときのことです。これは、水蒸気があまり高いところ(温度の低いところ)に昇っていけないので、凝縮しなくなり、熱を放出できないから、地上が暑くなるということでした。私が勘違いしていましたので、訂正しました。
02A−207
差出人:山本 喜一
送信日:03年7月17日
件 名:「子どもと自然」教育学会が発足します
こんにちは、山本です。
やっと1学期も終わりそうです。ここに来て、少し余裕が出てきました。ポップコーンの話の時、ちょっと話題になりましたが、子どもたちの成長がどこか変わって(曲がって?)来ていることは確かですね。私たちが子どもの頃に過
ごした自然が変わってきた影響も、大きいと思います。
子どもたちが豊かに成長するためには、どんな自然が必要なのか。子どもたちと自然との関わりをどうすればよいのか。そんなことをみんなで考える学会が発足します。言い出しっぺは千葉の岩田好宏さんと、岐阜の生源寺孝浩さん、そこに数人(数十人?)の発起人が名前を連ねています(私もその一人です)。この前送られてきたパンフレットには
、この学会の趣旨について、次のように書かれています。
<引用>
子どもは自然を必要としていると言われています。その通りだと思います。し
かし、子どもの発達と成長にとって必要な自然とはどのようなものなのでしょう
か。また、自然とどのような関わり方をすれば、子どもは確かに発達・成長する
のでしょうか。
私たちは、こうしたことを明らかにしながら、学校の中だけでなく地域や社会
や家族との交流の中で、子どもとその世界のあらゆる所に目を向けて考え、行動
しながら教育の研究と普及を進めます。
私たちは、子どもが見る・聞く・触れるなどの五感で自然に働きかけ、そこか
ら大事なことを学びとることを大切にします。また、人類がこれまでの自然との
関わりの歴史の中で探し当てたものを手がかりに知的に認識していくことを重視
します。絵画・音楽・文芸・演劇・スポーツなどさまざまな面において表現する
ことによって学んでいくことを大事にします。自然に働きかけつくりかえること
を通じて学ぶことを重視します。
<以上>
この文章には、まだ先があるのですが、このへんにします。アルケの合宿にこのパンフを持っていきますので、読んでみてください。
では、また。
02A−208
差出人:林 正幸
送信日:03年7月18日
件 名:RE:蒸発熱のはたらき
おはよう、林です。
しつこいようですが「重力が大きいと水蒸気があまり高いところに昇っていけない」というのがよく分かりません。水蒸気を含む空気が上昇するのはまわりとの温度差によるわけで、その空気がまわりの空気より温度が高い限り(つまりまわりが低い限り)上昇します。水蒸気を含む空気は、断熱膨張で温度が下がるのを凝縮熱でカバーできるので上昇しやすいわけです。重力が大きいことは大気の圧力が大きいことで、それは断熱膨張の効果が大きく、却って対流圏を高くするように思えます。
ではまた。
02A−209
差出人:林 正幸
送信日:03年7月18日
件 名:「自然」について
こんにちは、林@愛知です。
鬼塚さん、アルケ通信4号を受け取りました。忙しい中でありがとうございました。科教協のアルケナイターには、イオン交換膜の実験を紹介できそうです。またアルケ合宿には反磁性の実験(こちらは受け売り)と、8月5日から始まる先進科学塾の「授業書」を持って行きます。
山本さんの「子どもと自然」教育学会の話を興味深く読みました。「自然とは何か」については言いたいことがあります。もちろんこれは「教育学会」の趣旨を否定するものではなく、私はこう捉えているという内容です。
いっとき「近頃の生徒はトタンやブリキも知らない」とよく言われました。それは容器類がプラスチック主流になったから当然です。そんな時代にプラスチックをよく知らないのは問題でしょうが、それをさておいても「トタンやブリキも知らない」ことが問題とは思えません。これは懐古趣味というものです。もちろんトタンやブリキを知るのは意味がないと言っているのではありません。
また「近頃の子どもは自然を知らない」とも言われます。ここでいう自然とは人類が登場する前からあった自然の意味ですよね。それなら人類が作り出した製品や素材は自然ではないのでしょうか。私は太古からの自然に接することの重要性を否定するつもりも、近頃のこどもにそれが不足していることも否定するつもりもありません。そうでなくて人工的自然もれっきとした自然であると言いたいのです。
教育において「自然との関わり」とは、人工的自然も含めて豊かに自然に接しながら学習することであると思います。問題は紙の上での学習が横行していることです。もちろん間接体験から学べる能力も重要ですが、基本的な知識や概念を習得すべき子どもたちには、実体験こそが不可欠です。そうでないと学習内容を的確に理解できず、観念的な誤解が重なっていきます。高校化学で言えば、授業構成を実物や実験から始め、知識や理論を学習したら、また実物や実験で確かめることが基本になると思います。
また「教育学会」の趣旨は「歴史との関わり」についても書いています。科学史における発見の過程や、人類史の教訓も大切な学習内容であると思います。
ではまた。
02A−210
差出人:山本 喜一
送信日:03年7月18日
件 名:蒸発熱のはたらき
(前略)
対流圏の高さと重力の関係については、もう少し調べてみます。
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