ひとつ前のメール(02A−120)に戻る。
02A−121
差出人:鬼塚 公志
送信日:03年2月13日
件 名:緑レーザーポインター買いました
こんにちは,鬼塚です。
風間さんから紹介のあった緑色のレーザーポインターですが,使い勝手が良さそうなので購入しました。 532nmで1mW〜5mWです。海外の通信販売も一回ぐらいいいかなと思い,送料込み188.25ドル(22590円,1ドル=120円)で購入しました。この後少し不安な面もありますが月曜日に手元に届きました。連絡を取ってから届いたのが1週間でした。
早速使ってみましたが,夜空に吸い込まれるように届きます。また,200mぐらいは到達しているのではないかと思います。チンダル現象を見るには赤色レーザーより見やすいかもしれません。
ではでは。
02A−122
差出人:風間 清光
送信日:03年2月13日
件 名:緑レーザーポインター
アルケのみなさん、いつもお世話になります。奈良の 風間 清光です。
> こんにちは,鬼塚です。いつもお世話になります。
> 532nmで1mW〜5mWです。海外の通信販売も一回ぐらいいいかなと思
>い,送料込み188.25ドル(22590円,1ドル=120円)で購入しま
>した。この後少し不安な面もありますが月曜日に手元に届きました。連絡を取っ
>てから届いたのが1週間でした。
> 早速使ってみましたが,夜空に吸い込まれるように届きます。また,200m
>ぐらいは到達しているのではないかと思います。チンダル現象を見るには赤色レー
>ザーより見やすいかもしれません。
物理部の手作り回折格子の装置で、波長を測りましたら、530nmありました。現在、2年生の生徒が、昨年の今頃に製作した装置ですが、精度良く測定できるので、よく考えられていて驚いています。
物理教室は、有限会社ブロードバンドへ現金書留で代金¥30,135(本体\28,000+送料¥700+消費税)を送りました。品物は月曜日に届き、早速、生徒実習に活用しています。直接、送金すれば、8000円ほど安くつきますね。鬼塚さんの今回の実績で、よりやすく入手できますね。
02A−123
差出人:野中 直彦
送信日:03年2月15日
件 名:小柴さんの講演
インターネットで生中継
2003年2月17日(月) 13:30〜16:00
記念講演 戸塚 洋二さん 高エネルギー加速器研究機構教授
記念講演 小柴 昌俊さん 東京大学名誉教授
「宇宙科学の夢トーク」
岐阜県のHPからアクセスできます。
http://www.pref.gifu.jp/
または、エル・ネットでも生中継するよていです。
また、ライブ中継をみて、質問したい場合は下記のアドレスへ
kamioka@hidanet.ne.jp 受付時間 14:00〜15:00
住所 氏名 年齢を明記
暇でしたら、みてください。
02A−124
差出人:野中 直彦
送信日:03年2月15日
件 名:Na2HPO4 と NaH2PO4
これらの水溶液は、Na2HPO4は塩基性で、NaH2PO4は酸性と教えますが、どうしてと聞かれもうまく説明できません。PHメーターの中性の調整液としても使用していますが、pKaの値から求めればいいのでしょうか。わかる方教えてください。
02A−125
差出人:中臺 文夫
送信日:03年2月16日
件 名:PE:緑レーザーポインター
ちばの中台です。お久しぶりです。
週休2日制のため、土曜日の仕事が平日にきておりとても忙しいですね。部活、生徒会、実験の後かたずけと用意、毎日夜の8時迄の連続です。たまりません。
さて、豆腐と共に硫黄をアルコールに溶かして水に入れ、コロイドを作りチンダル現象を見させているのですが、生徒のレポートに硫黄は疎水コロイドだから、ということで、なんとか電荷を吸着させて説明し様としているのがあるのですが、どう考えて良いのか分かりません。Fe(OH)3と違い中性の溶液だと思うのですが、水のイオンが着くのでしょうか?どなたかご存知の方教えてください。
また、先日ある企業の方と話していて、中台さんエンドクリンによる精子の減少の報告は否定されているのはご存知ですかと言われました。私は、川のコイ科の魚のメス化がノニオフェノールのせいではなかったと言うことは聞いていたのですが、初耳でした。どなたかご存じありませんか?生徒に間違えたことを教えそうで、正しい所を知りたいものです。
02A−126
差出人:藤田 勲
送信日:03年2月16日
件 名:イオウコロイドのこと
中台さん、久しぶりですね。相変わらずお忙しそうですね。
イオウコロイドが負に帯電している理由はイオウに少量のチオ硫酸やポリチオン酸(五チオン酸H2S5O6など)が含まれていて、これがイオウコロイド粒子表面に吸着するからだと考えられています。負の帯電はこれらの酸の電離のよるわけです。
これらの不純物はイオウ製造過程の硫化物の酸化過程で混入するのでしょう。例えば、天然ガス中に含まれる硫化水素は分離後、次のようにして除去回収するようです。
2H2S + O2 = 2S + 2H2O
2H2S + SO2 = 3S + 2H2O
しかし、この過程で次のようにして酸化数が2〜3の各種のイオウ化合物が少量生じると考えてもおかしくないでしょう。
2H2S + 6SO2 = H2S2O6 + H2S5O6
S + SO2 + H2O= H2S2O3
というわけで、試薬中のイオウ化合物が原因ということだと思います。
02A−127
差出人:竹野 徹美
送信日:03年2月16日
件 名:RE:物質の変化の方向
レスがちょっと遅くなりましたが、あすなろ方式プリント黒板(授業用プリント)から、このことに関するところを抜き出してご紹介いたしましょう。ただ、ギブス自由エネルギーを理解するための前提行動レディネスまたは下位目標行動である、エンタルピーについての理解のための記述を別のところから引っ張ってきています。また、ワープロの書類をテキスト保存してワードに移したので、倍角のところがやたら広くなったり、改行がおかしくなっていますが、時間がないので勘弁して下さい。
****************************************************************************
◆熱含量エンタルピーHとは何か …高校化学の範囲外だが知っておこう!
エンタルピーとは熱力学特性関数の一種で、定義の式は以下のとおり。
H=U+PV
ここでUはその系の内部エネルギー、Pは圧力、Vは体積で、変化前後の体積変化
と圧力(定圧)の積PΔVは、その変化の際に為された仕事である。
そして定圧変化の際には、エンタルピーの差ΔHが反応熱になる。砕いて言うな
ら、エンタルピーとは、その物質系が持っている貯金総額のようなもの。その具体的
な量は測定できないが、反応熱はいくらのお金(エネルギー)が出入りしたかという
ことだから、その差がわかればいい。ゆえにその差ΔHが反応熱である。
1/2 H2 + 1/2 Cl2
‖ ↓−92.5kJ=ΔH …☆測定できる。
‖ HCl↓
‖…*1 ‖ *1…変化前のエンタルピーの絶対量
‖ ‖…*2 *2…変化後のエンタルピーの絶対量
‖ ‖
☆どちらも測定できない。
◎ΔH(エンタルピーの差)とQ(熱化学方程式に書かれる反応熱)は、絶対値が
等しく、符号が逆! No.283
☆発熱反応… ΔH<0,+QkJ ☆吸熱反応… ΔH>0,−QkJ
◆ギブス自由エネルギーの変化と反応の方向性 ☆高校範囲外だが極めて大切。
◇水の蒸発などの状態変化は、狭い意味では化学変化ではないが、とても大きなエ
ネルギーを必要とする、吸熱の変化である。エネルギー状態が上がるこのような 変
化が、必ずしも加熱されない状態でも自発的に起こるのはなぜだろうか?
◇反応の方向を決める第2の要素
…反応は「 乱 雑 さ( エ ン ト ロ ピ ー)」の増す方向へ進みやすい。
No.292
☆「エネルギーが低くなる方向」と「エントロピーが増す方向」が相反する場合、
温 度によってどちらが優先するかが決定する。
◎エネルギーの増減、エントロピーの増減、温度の3要素についての関係式
☆極めて大切な式!
Δ H − T・ Δ S= Δ G(ΔG;ギブス自由エネルギーの変化量)
→反応熱 ↓ →エントロピーの変化量
絶対温度(常にT>0)
☆エネルギー図で考えたときの反応熱。つまり、熱含量エンタルピーの変化量。
◎ギブス自由エネルギーの変化量がマイナス、すなわち
ΔG < 0となるときにしか、その反応は進行しない。
例1)H2O(l)=H2O(g)−44.0kJ ΔH >0 ΔS >0
ゆえにΔGは、高温のとき −。低温のとき +。 ∴水は、 高温で蒸発し
やすい。
例2)NH3(g)+ aq =NH3aq+35.0kJ ΔH <0 ΔS <0
ゆえにΔGは、高温のとき +。低温のとき −。 ∴アンモニアは 低温で
溶解しやすい。
02A−128
差出人:林 正幸
送信日:03年2月17日
件 名:化学的変化の方向
こんにちは、林です。
古い方の家は母の名義で貸店舗になっていたのですが、幸い最近1月からは空き家になり母ももう貸さないと決めたので、急に「林ラボ」構想が動き出すことになりました。貸店舗につながって母屋もあるのですが、一階を3分割してイベントルーム(18畳)、理科実験室(12畳)、物置部屋(9畳)に改装することにしました。昨日も大工さんと打ち合わせをし、今週火曜から工事をスタートさせる予定です。イベントルームは家内の夢もあります(ただしまだ現役)。これで化学準備室の教材の引っ越し先ができます。
山本さん、返事をありがとう。前回のメールで私が強調したかったのは、環境の条件を明示せずに「エネルギーが低い方に変化する」などというのが大きな誤解を生むということです。
そして三態変化についてです。確かに0℃以上では氷は水になると内部エネルギー増加よりエントロピー増加の効果が大きい、つまりΔE(あるいはΔH)よりTΔSが大きいために融解します。融点の0℃では
ΔH=TΔS
ですから、融解熱6.0kJ/molから、0℃におけるエントロピー変化は
ΔS=6.0/273=0.022[kJ/K・mol]
となり、25℃でもエンタルピー変化もエントロピー変化もほぼ等しいと仮定すると、25℃では
ΔH=6.0[kJ/mol]
TΔS=298×0.022=6.6[kJ/mol]
で、上のことが確認できます。しかしこれは厳密には25℃の仮想的な氷が融解する事例を扱っていることになります。生徒が出会うのは0℃の氷が融解する事例です。環境は系を定温定圧に保つ傾向はありますが、常温の下で0℃の氷が融解するのは定温定圧系とは言えません。水素と酸素から水が生成する場合は、常温ではその反応速度が小さいため25℃の水素と酸素が25℃の水になる事例としても生徒は納得できるのですが、25℃の氷ではどうでしょうか。
そこで温度変化を伴う化学的変化では、エネルギーに着目した見方が、分かりやすく正確でもあるというのが私の考えです。ちなみに融解や蒸発ではエントロピーは熱エネルギーを得ることによって増加します。
ではまた。
02A−129
差出人:杉山 美次
送信日:03年2月18日
件 名:町井さん実験教室完成
林さん、アルケのみなさん、こんにちは、横浜の杉山美次です。
>こんにちは、林です。
> 古い方の家は母の名義で貸店舗になっていたのですが、幸い最近1月からは空
>き家になり母ももう貸さないと決めたので、急に「林ラボ」構想が動き出すこと
>になりました。貸店舗につながって母屋もあるのですが、一階を3分割してイベ
>ントルーム(18畳)、理科実験室(12畳)、物置部屋(9畳)に改装するこ
>とにしました
>。昨日も大工さんと打ち合わせをし、今週火曜から工事をスタートさせる予定で
>す。イベントルームは家内の夢もあります(ただしまだ現役)。これで化学準備
>室の教材の引っ越し先ができます。
◆まさしく、同じことを町井さんがやりました。2月15日に新しいサークル(神奈川科学塾:生物と化学を中心に)の発足と町井さんの新築の2階建ての実験教室を祝して、科学塾の例会を朝10時から夕方の5時まで、町井邸でおこないました。
庭の活動スペース、町井さんのおくさんの全面的な協力。生活の科学を楽しんでいる町井夫婦の生き方。そして、近くに住むの友人:松本さん(今回のハムの薫製作りの講師)。この例会のために、数々のレパートリの紹介。
本当に予想以外の内容に、感動しました。参加したみなさん、全員、それぞれ感じるものがあったとおもいます。ハムの薫製づくり、夏みかんのママレード、そば打ち、アジの3枚おろし、簡単にできる肉シュウマイケーキ?、薫製のたまご、肉の薫製(ジャーキー)、陶器づくり。
その間、仕入れたマグロをつまみにビール、八海山、そばをゆでた汁で割った焼酎のそば割。お土産に、町井さんのおくさんが数時間かけてつくった「ママレードひと瓶」、世界遺産に入っているポーランドのブェリチカの「岩塩」、上田さんが指導したシュロの葉を使った「バッタ」、「作ったばかりのソバ」、「ジャーキ」をいただきました。
◆町井さん奥さんを入れて、13人の参加で、時間のたつのもわすれるほど、量と質が濃く、あっという間に夕方の5時になりました。
◆私も、刺激を受けて、自分の家をすこし改造して、実験教室をつくりたいと真剣に考えはじめたところです。
◆この夏は町井さんの実験教室で合宿ができそうです。
02A−130
差出人:杉山 美次
送信日:03年2月18日
件 名:科学読み物
山本さん、あるけのみなさん、こんにちは、横浜の杉山美次です。
1月ごろ、科学よみものの話がでていましたね。山本さんや藤田が紹介した本を全部買ってよんでみました。でも、スピードがはやく、その話題は、すでに過去のも?となってしまいました。わたくしの中では、もう少し論争が欲しかったなと勝手に思っています。
今日本屋で、「かがくする心の絵本100」平凡社をみつけました。結構、使えそうな本の紹介があるような気がしたので報告しました。
02A−131
差出人:林 正幸
送信日:03年2月22日
件 名:春の準備
こんにちは、林です。
町井さんのうわさは聞いていたのですが、そこまですごいとは思いませんでした。まさに自前の理科教育の研究交流センターですね。私もぼちぼちですが、家内(英語)と協同でそのようなものにしていくつもりです。
そして杉山よしさん、遅くなりましたが、「楽しい化学」を送ります。不十分なものですが、とのような授業をしていたかは分かってもらえると思います。
さて春の兆しも感じられる今日この頃ですが、「先進科学塾」についてお知らせします。振り返ってみると、どうやらアルケの皆さんには、このことについてはメールをしていないように思います。
昨年秋に名古屋市科学館の山田さんから、小中学生向けの科学クラブはあるが、高校生向けの企画をつくりたい。それはイベント的ではなく、期間を設けて本格的に科学を深められるものにしたい、と呼びかけがありました。思考力を養い、できれば研究者のたまごを育てられたら、といった思いです。
打ち合わせを重ねる中で、メンバーは10名あまりとなり、理科教師のほかに、大学の先生や院生も加わりました。そして昨日の打ち合わせで、次のように計画の具体化までこぎ着けました。
1.名称 先進科学塾
2.目的
高校生に、実験観察、講義、工夫挑戦、相互交流などによって、より深い科学とその学び方をつかませる(これは私流のまとめです)。
3.計画(予定)
第1期
・5/24〜 土曜日6回
川田秀雄(新型モーターに挑戦)
第2期(夏休み)
・日程 8/5〜 各週火木土の6回
林 正幸(電子やりとり反応の世界)
林 煕崇(音速、光速を計る〜仮題)
第3期(二学期)
・藤田 順治
4.会場 科学館(大学にも広げたい)
科学館振興協会の正式承認はまだですが、うまくスタートできたら画期的な取り組みになると思います。これは私にとって春の準備のひとつです。
ではまた。
02A−132
差出人:野中 直彦
送信日:03年2月28日
件 名:ほんの紹介
シュワルツ博士の化学はこんなに面白い
ジョー・シュワルツ著
栗木さつき訳
主婦の友社 1880円(税別)
環境ホルモンやらでどちらかというと化学物質というと悪者扱いをされている雰囲気があるような感じですが、化学物質のよさもあるとか、天然とか、ナチュラルとかにまどわされている世の中をふうししているようで、読んでいて面白さを感じました。味の素のMSGはどこまで悪いのか?シャンプーのパンテノールはどこまで有効か?などなど。著者のシュワルツさんはカナダの大学の教授ですが、TVやラジオにでて、化学の魅力や楽しさをわりやすく、たのしく教えている人だそうです。一度読んでみてください。
02A−133
差出人:藤田 勲
送信日:03年3月1日
件 名:Na2HPO4 と NaH2PO4 のこと
以前、この件で野中さんから質問がありましたが、今のところどなたからも回答が寄せられていません。皆さん、お忙しいここと思いますので、私がわかる範囲で検討してみたいと思います。
(1)燐酸の酸解離定数について
リン酸は三価の酸ですから、その解離定数も3つあります。
H3PO4 + H2O = H2PO4^- + H3O^+ ・・・・@
K1=7.0*10^-3
pK1=2.15
H2PO4^- + H2O = HPO4^2- + H3O^+ ・・・・・A
K2=6.3*10^-8
pK2=7.20
HPO4^2- + H2O = PO4^3- + H3O^+ ・・・・B
K3=1.8*10^-12
pK3=11.7
塩酸と硫酸のpKはおのおの-7、-2ですからリン酸の酸性度は強酸には及びません。しかし、シュウ酸、亜硫酸、硫酸水素イオンのpKはおのおの1.3、1.8、1.9で、酒石酸、サリチル酸、フッ化水素酸のpKはおのおの3.0、3.0、3.2ですから、その間に位置する中程度の強さの酸だと教科書では習うわけですね。
ところで、リン酸に限らずオキソ酸では、そのpK1とpK2とpK3の間にはほぼ数値で5ほどの開きが、平衡定数で10^5分の1ほどずつ小さくなっています。この平衡定数の極端な減少は静電気効果だと考えられています。つまり、電荷を持たない始めのH3PO4からのプロトン解離に比べて、2番目の負電荷を持ったH2PO4^-イオンからのプロトン解離の方がプロトンが正電荷を持っているだけに引き離すのが難しいのです。3番目のHPO4^2-イオンからだとなおさらですね。なお、この解離定数の数値にはポーリングの経験則があるのはご存知のことと思います。
(2)Na2HPO4はなぜ塩基性か
この塩は水中では次のように完全電離するものと思われます。
Na2HPO4 = 2Na+ + HPO4^2-
しかし、このときに生じるHPO4^2-イオンにはさらに次のような加水分解が考えられると思います。
HPO4^2- + H2O = PO4^3- + H3O^+ ・・・・C
HPO4^2- + H2O =H2PO4^- + OH^- ・・・・D
前者ではHPO4^2-イオンはブレンステッドの酸として働き、後者では塩基として働いています。実際にどっちの反応が優勢でしょうか。解離定数より調べてみましょう。
C式はB式と同じですからそのK4は1.8*10^-12です。D式のK5は
K5=[H2PO4^-][OH^-] / [HPO4^2-]
=[H2PO4^-][OH^-][H3O^+] / [HPO4^2-][H3O^+]
=10^-14 / K2
=1.6*10^-7
K4とK5を較べるとK5の方が断然大きいですから、D式の反応でOH^-イオンが生じる方が起こりやすいと考えられます。したがって、Na2HPO4は水に溶けてアルカリ性を示すということになります
(3)NaH2PO4はなぜ酸性か
同様に考えてみます。この塩は水中では次のように完全電離するものと思われます。
NaH2PO4 = Na+ + H2PO4^-
しかし、このときに生じるH2PO4^-イオンにはさらに次のような加水分解が考えられると思います。
H2PO4^- + H2O = HPO4^2- + H3O^+ ・・・・E
H2PO4^- + H2O = H3PO4 + OH^- ・・・・F
前者ではH2PO4^-イオンはブレンステッドの酸として働き、後者では塩基として働いています。実際にどっちの反応が優勢でしょうか。解離定数より調べてみましょう。
E式はA式と同じですからそのK6は6.3*10^-8です。F式のK7は
K7=[H3PO4][OH^-] / [H2PO4^-]
=[H3PO4][OH^-][H3O^+] / [H2PO4^-][H3O^+]
=10^-14 / K1
=1.4*10^-12
K6とK7を較べるとK6の方が断然大きいですから、E式の反応でH3O^+イオンが生じる方が起こりやすいと考えられます。したがって、NaH2PO4は水に溶けて酸性を示すということになります。
(4)まとめ
野中さんも書いていますが、リン酸塩はPHメーターの中性付近の調整液として使われています。これはリン酸塩の緩衝作用を利用したものです。H2PO4^-イオンは弱酸性で、その塩成分のHPO4^2-イオンは弱アルカリ性ですから、PHで5〜8付近の緩衝溶液を作ることができます。以下に、ミカエリスとセーレーセンの処方をあげておきます。
セーレーセンの緩衝溶液(1912)
1/15M KH2PO4(ml) 10.0 9.0 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0
2.0 1.0 0.0
1/15M Na2HPO4(ml)0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0
8.0 9.0 10.0
pH(18度) (4.49) 5.92 6.24 6.47 6.64 6.81 6.98 7.17
7.38 8.04 (9.18)
ミカエリスの緩衝溶液(1914)
1/30M KH2PO4(ml) 32 16 8 4 2 1 1 1 1
1 1
1/305M Na2HPO4(ml) 1 1 1 1 1 1 2 4 8
16 32
pH(18度) 5.2 5.5 5.8 6.1 6.4 6.7 7.0 7.3 7.7
8.0 8.3
また、これらのリン酸塩は食品のPH調整剤や緩衝剤としても広く使われ使われていることはご存知のことと思います。PHを酸性側に一定に保つことで雑菌の繁殖を抑えて食品の保存性を高めたり、風味を向上させるわけです。
さらに、大事な点はリン酸塩は血液のPH調整にも一役買っている点でしょう。血液の緩衝系でもっとも大きな働きをしているのは炭酸・炭酸水素イオン系ですが、リン酸2水素イオン・リン酸1水素イオン系も血漿タンパク質系やヘモグロビン系と共に血液のPHを7.4に保つのに働いています。
酸(HA = H+ + A-)の平衡定数の式からは次のようなpHとpKの関係式(ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式)を導くことができます。
pH=pK + log[A-] / [HA]
中性付近の血液中にあるリン酸イオンは主にH2PO4^-イオンとHPO4^2-イオンで、その合計は2mmol/lほどです。したがって、HAにH2PO4^-イオンを、A-にHPO4^2-イオンを入れて、pHとpKに7.4(血液のpH)と7.2(A式のpK2)を代入すれば、血液中に存在するH2PO4^-イオンとHPO4^2-イオンの存在比が分かります。
7.4=7.2 + log[HPO4^2-] / [H2PO4^-]
log[HPO4^2-] / [H2PO4^-] =0.2
[HPO4^2-] / [H2PO4^-] =1.6
以上から、血液中には塩基(リン酸1水素イオン)の方が酸(リン酸2水素イオン)より多く存在することが分かります。したがって、このリン酸塩の緩衝系は主に進入する酸に対して緩衝作用を示して有効に働くと考えることができると思います。
なお、炭酸水素塩の場合にはHAに血漿中に溶解しているCO2として[CO2]=1.3mmol/lを、A-にHCO3^-イオンとして[HCO3^-]=27mmol/lを入れ、炭酸のpKを6.1として代入すると[CO2]と[HCO3^-]の比が求まります。
7.4=6.1 + log[HCO3^-] / [CO2]
log[HCO3^-] / [CO2] =1.3
[HCO3^-] / [CO2] =20
以上から、血液中の最大緩衝系である炭酸・炭酸水素塩系も塩基(炭酸水素イオン)の方が酸(炭酸)より多く20倍も存在することが分かります。したがって、この緩衝系も主に進入する酸に対して強い緩衝作用を示して有効に働くと考えることができると思います。血液中にこのように予備塩基が多く存在するのは、体内ではエネルギー生産の代謝過程で常に炭酸、乳酸、クエン酸などの酸が作られていることと関係があります。組織がその酸の危険に絶えず晒されてきたので、PHを一定に保ちスムーズな代謝促進のため酸に対する緩衝能力を特に発達させてきたのでしょう。言い換えれば、生体はアルカリの進入に対しては十分な防御機構を持っていないわけで、アルカリの誤飲や火傷による障害はゆっくりですが持続的に深く進行するということになります。「体はアルカリに弱い」のですね。
02A−134
差出人:野中 直彦
送信日:03年3月2日
件 名:はがきに蛍光塗料あり
同僚の理科の石川先生から教えてもらいました。郵便局を通ったはがきや封筒に蛍光塗料のバーコードのスタンプがしてあるようです。暗いところで、ブラックライトをあてるとバーコードがでてくるそうです。犯罪の操作とか、いろんなことに使えるのでしょうが・・・。
02A−135
差出人:山本 喜一
送信日:03年3月2日
件 名:中性にする緩衝溶液
こんにちは、山本です。
藤田さん、相変わらずよく調べますね。藤田さんのメールを読んで、ゆっくり勉強させてもらいます。ところで、8月の山口大会で確か小林さんが、蒸留水(イオン交換水?)のpHを中性にするために緩衝溶液を使っていると、発表していた記憶があります。昔、林さんに聞いた方法だという話でした。あれはどんな緩衝溶液だったでしょう。
というのは、この前、酸素や窒素、二酸化炭素などは水に溶けると何性になるかという実験をやったのです。試験管に水道水を5mlほどとって、BTBを加え、気体を吹き込んでゴム栓をし、よく振らせました。水道水は弱アルカリ性なので、初めBTBは青くなり、二酸化炭素を溶かした試験管はそれが黄色に変わりました。これはいいのですが、窒素や酸素を溶かした水は青いままですので、こういう気体は水に溶けるとアルカリ性になると思われてしまいました。
そこで、色々と緩衝溶液を調べ、中性付近のもので、薬品庫の中にあるものでできる物として、四ホウ酸ナトリウム・塩酸を見つけました。四ホウ酸ナトリウムの飽和溶液をつくり、BTBを入れて、緑色になるまで1mol濃度の塩酸を加えました。それを10倍(だったと思います)のイオン交換水で薄めました。これを使って実験させたところ、BTBの色は二酸化炭素では緑から黄色に、酸素や窒素では緑色のままでしたから、生徒を混乱させずに済みました。
ところで、酸素には酸という文字が使われている、酸性の物質だと思っている生徒がたくさんいますね。これも発見しました。
ひとつ先のメール(02A−136)に進む。
アルケミストの会の
ホームページ
にもどる。
林 正幸と主万子の始めの
ホームページ(to our initial Home Page)
にもどる。