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01A−045
差出人:杉山 美次
送信日:01年9月4日
件 名:質問「鉄の酸化物の磁性について」

こんにちは、横浜の杉山美次です。
 いま、仲間の間で鉄の磁性が話題になっています。Fe3O4は強磁性があります。FeOやFe2O3 は磁性がありません。なぜでしょうか。
 コットン、ウィルキンソン「基礎無機化学」には、
強磁性:個々の常磁性原子あるいはイオンが、互いに接近し、それぞれがその隣の
    磁気モーメントの方向によって強く影響されるような物質に見られる。
    その相互作用はすべてのモーメントを同じ方向に向かせようとするように
    なる。金属鉄でよく知られている。 
反磁性:隣り合っている常磁性イオン間の相互作用の性質が、それらの磁気モーメ
    ントの方向とは反対に向きやすいときは、部分的にうち消すことにな
    り、反磁性となる。Fe3+,Mn2+のようなイオンの単塩できわめてよくみ
    られる。これは、結晶内の金属原子の間にある陰イオンを通しての相互作
    用である。
「相互作用」の内容がわかりません。また、どうして、はた酸化物の種類に よって、働く向きがかわるのか。
◆やさしく、教えていただきたく、メールをだしました。また、わかりやすい文献でもよいのですが。


01A−046
差出人:山本 喜一
送信日:01年9月5日
件 名:原稿届いています

こんにちは、山本です。
 2学期がはじまって数日経ちました。体が仕事になれていないせいか、疲れを感じます。みなさんはいかがですか。私は、最初の授業で絵の具を作る実験をしました。鉛やクロムで沈殿を作る実験です。廃液はできるだけ回収しました。次の時間は、この実験で使った鉛イオンには毒性があること。そして、現在でも水道管に鉛が使われているところが多くて、問題になっていること。そういうことを新聞記事を使って授業しました。
 話は変わりますが、夏休みの宿題でした冊子用の原稿が、四ヶ浦さん、澤田さん、峰島さんから届きました。ありがとうございました。


01A−047
差出人:山本 喜一
送信日:01年9月5日
件 名:πウォーター、緑茶カテキン、水のクラスター、歯垢など

こんにちは、山本です。
 最近、前の学校で同僚だったの石島さんという生物の先生と、次のようなメールのやりとりをしました。石島さんの許可を得ましたので、アルケの方に転送します。読んでみて下さい。
<石島さんからのメール>
 先日、ある国立の博物館の職員と話をしていたら、πウォーターなる怪しい水の話になりまして、この水なら海水魚でも淡水で生きられるとか、切り花の日持ちがいいとか、いろいろ聞きました。私も名前はときどき耳にしますし、本屋ではEM菌とか宇宙の波動とかの書架に置いてあったように記憶しています。
 このπウォーター、実はある国立の博物館で展示していたそうです。鯛と金魚が真水なのにかなり長く生きたそうです。(しかしやはり鯛が死ぬので可愛そうで止めたとか)。ああいう博物館が展示するということは、大げさに言えば国が認めたというような意味合いにとれなくもありません。
 このπウォーターなる水はどういうものですか?また科学的信憑性はいかなるものでしょうか?
<私から石島さんへ>
 πウォーターですが、私もどこかで聞いたことがあります。でも、記憶が薄かったので、インターネットで調べてみました。何でも農学関係の学者が、植物が花を咲かせる機構を研究しているときに見つけたとかで、二価三価鉄イオンが10のマイナス12乗モル濃度含まれている水らしいですね。この鉄イオンが水の電離をおさえ、結果として水はほとんど分子のままなんだとか。この学者先生自身、本を書いてπウォーターを説明しているようです。ただ、その本の中で、現在πウォーターを人間が作ることはできない、とおっしゃっているようですね。
 したがって、πウォーター製造器と称して売っている物はすべてインチキで、その商品の宣伝に自分の名前が使われてはなはだ迷惑しているんだそうです。淡水魚と海の魚が同居できるのも、最初からそういう水に調整しているという話もあります。でも、そういう水の組成はどうなっているんでしょうね・・・。
 πウォーターとか創世水とかアルカリイオン水とか、あるいはマイナスイオンが出てくるエアコンとか、いろいろと健康がらみの商品とそれを裏付けるような理屈がありますが、どこまで本当か分かりませんね。結局人体に対するきちんとした調査はされていない物ばかりじゃないでしょうか。それなのに、どこかの大学の先生が後ろ盾になって、効能をうたっている物がほとんどだと思います。
 ただ、緑茶の抗酸化作用は間違っていないと思いますね。この前、家電屋さんにいったら、緑茶を粉末にする機械を売っていました。お茶の葉を細かくして、お湯を注いで葉ごと飲むためのものです。お茶の葉っぱをお湯で抽出して飲むより、葉自体をを食べた方が、ビタミンやポリフェノールを何倍も摂れるという話は新聞で知っていました。僕はその機械をさっそく買って、毎日お茶の葉を食べています。でも、これも「信じる物は救われる」のたぐいでしょうかね。πウォーターを信じている人と同レベルかな。いや、でも緑茶の効能だけは本物だ、そう思って明日もお茶を食べるぞー。
<石島さんからのメール>
 山本さん、お答えありがとうございます。πウォーターは、本家本元の学者の時点ではオカルトではないのですね。なるほど。
 歯垢をイオンで分解する歯ブラシというのがありますが、あれはどんな仕組みなのでしょうか。確か電池を入れて使う歯ブラシでした。
 お茶の起源は中国の山岳部族が食べていたことに始まるそうです。成分を抽出して飲み出す前は、葉を蒸して食べていました。茶のカテキンは酸化させると重合してなお体に良いそうですから、緑茶より紅茶の葉を食べる方がいいのかも。
 自宅の近くにジャスコがあるのですが、先日、「水のクラスターを小さくする装置」を特設会場で販売していました。販売形態としては催眠商法に近い感じです。能書きを読むと、クラスターが小さいと細胞膜をスムーズに出入りして細胞が活性化され、また水の味も美味しくなる、ということです。
    細胞膜の水通過の多少は、クラスターの大きさと関係しますか?
わかってもいない癖にうなずいているオバハン達が取り囲み(もしかしてサクラか?)、何台か売れた様子でした。
 それと、酒を撹拌するとまろやかになる、ということの理由として2通りの説明を聞きました。まろやかになるのは本当だと思いますが、どちらの説が本当でしょうか?
 1.水のクラスターの中にエタノールが入り込むので、口当たりがまろやかになる。(どこかで聞きました)
 2.水を撹拌するとクラスターが小さくなる。そういう水は美味しくなるので酒の味も上がる。(科学技術館の専門職員の弁←πウォーターを展示した人かも)
<私から石島さんへ>
 超音波を出して歯垢をとる歯ブラシは知っていますが、残念ながらイオンの方は知りません。今度電気屋で見てみます。それはそうと、歯垢というのはカビの固まりらしいですね。1年くらい前、行きつけのは医者で奥歯の歯垢を取られて、顕微鏡で見せられました。のぞいてみると、庭ぼうきのような形をしたカビの頭が無数に見えました。そして、歯医者が「歯垢をとるでしょう?」と聞くので、思わず「ハイ」と言ってしまいました。あんな物が葉にくっついているなんて、気持ちが悪いですからね。でも、歯垢がカビの固まりだなんて本当でしょうか。腕が良くて評判の歯医者なんで信じたんですが。

「茶のカテキンは酸化させると重合してなお体に良いそうですから、緑茶より紅茶の葉を食べる方がいいのかも。」
うーん、でもカテキンて抗酸化剤ですよね。つまり、活性酸素と反応する物質。ということは、活性酸素と反応する前は還元型で、活性酸素によって酸化型に変わり、同時に活性酸素をやっつけるはたらきをするんじゃないでしょうか。酸化されてしまったカテキンを飲んでも、活性酸素と反応しないような気がするんですが・・・。(緑茶のことになると、ムキになる私でした)
 最後に、水のクラスターについてですが、次のHPに上平恒という人が書いた「水の分子工学」という本が紹介されています。
    http://atom11.phys.ocha.ac.jp/front/books/books2.html
ここに書いてあるとおり、液体の水の構造がどうなっているか分かっていないのが現状だと思います。まして、クラスターを小さくする機械とか、πウォーターはクラスターが小さいなどということは実証されていないと思います。なーんて自信たっぷりに書いたんですが、私もよく分かっていませんから、このHPにある本を買って勉強しようかなと思ったところです。なお上平恒という人は、ブルーバックスに「水とは何か」という本を書いています。これは良い本ですから、たぶん「水の分子工学」も信用できるだろう思います。
 話は変わりますが、氷点下(−2℃くらい)の海にいる魚がなぜ凍らないのかという話もおもしろいですね。ある糖タンパク質が血液中に生成され、それが氷の結晶面をおおって、氷の成長を遅らせるのではないかと言われているようです。では、また。
<石島さんからのメール>
 おもしろいメールを有り難うございます。水クラスターの話もかなり怪しいようですね。
 歯垢の構成成分は各種の細菌類が主です。あの白いネバネバの本体は、増殖した細菌本体と、彼らが出した排泄物、それに酸などに反応した食べかすなどです。彼らの餌となるものは、食べかす(ここで言うものはかなりミクロのもの)や歯齦(しぎん=歯茎)から剥離した細胞です。目に見える食べかすや歯垢そのものは、むしろ酸素を遮断する役目を負います。レーウェンフックが、歯磨きをしたのに歯の隙間に何かが溜まる、これは何だ?という彼なりの科学的視点から歯垢を観察しましたが、その時のスケッチに描かれたものと同じものを、今でも簡単に見ることができます。多くは白く細長い俵型のものが積み重なっており、中には小粒状のものがくるくる回転しながら泳いでいたりします。
 で、人によっては子嚢菌類(カビの仲間)などを口に飼っていることもあり、口腔細菌は多種多樣。その数は肛門の100倍、腸内細菌よりも多い数を誇っています。これは良い意味で飼育している、という方が正しいようで、口腔細菌も害が出ない程度に多様性を維持することで、いわゆる虫歯菌群の単繁殖を防いでいると考えられています。野生動物が虫歯をあまり持たない理由のひとつにも挙げられています。赤ちゃんの口腔細菌は、ほとんど親のものと共通します。口腔細菌の特異なものを持つ人がいて、それが浮気の証拠になった、というアメリカの例もあります。中には、飼っているイヌやネコの細菌類がヒトに住み着いている例もあり、これはかなり危険な場合もあります。
 歯磨きを丁寧にやって、殺菌薬で漱いでも、1〜3割は残り、清浄を保つのはせいぜい1〜2時間。朝歯磨きをしても昼には細菌がいっぱいです。皮膚(毛穴)の細菌類もそうで、きれいなのは風呂あがりのわずかの間だけ。しかし彼らが皮膚を雑菌や乾燥から守る役割を負いますから風呂は毎日入っても、薬用石鹸でごしごし洗うのは3日に1ぺんがいいそうです。私も独身のころは図らずも実行していました。歯周病を防ぐには歯周病菌を殺菌しなければいけませんが、その役目を雑菌が普通はやるのですね。しかし現代人は食事内容が野生生活というわけにはいきませんから、野生に戻って放っておけば健康になるか、と言うとそうはいきません。やはり歯磨きして殺菌しないとダメな生活を既にしています。ただ極端にはしない方がいいようです。
 歯垢の陰で目立ちませんが、舌苔(ぜったい)も取らないと菌の温床となって歯にすぐ移ってしまいます。舌だけでなく軟口蓋や頬の壁も優しく擦っておくといいですね。普通は食事をすれば舌苔は取れますから、食後の歯磨きを重視してきました。しかし最近は朝食をとらない人が増えて、舌苔による口臭の激しい人が若者に多いとか。(特にダイエットしている女性に)。歯磨きの時に舌苔も取る習慣をつけると口腔の病気予防にグーです。
 ところで紅茶のカテキンですが、抗酸化作用ではなく、脂肪を減らす作用として体にいいそうです。酸化され重合すると「茶ポリフェノール」と総称されるいくつかの物質になり、これが血中中性脂肪の低下を促すとか。ただしその摂取量は1日中2〜3時間おきに飲まなければならないそうで(血中での効果は肝臓や腎臓の働きで短時間でなくなってしまいます)、さらに脂肪の最終的処理としては運動によってそれを消費しなければならないとか。食品関係の本に書いてありました。

> 話は変わりますが、氷点下(−2℃くらい)の海にいる魚がなぜ凍
>らないのかという話もおもしろいですね。
 両生類や爬虫類でも、冬眠中にはある糖タンパクの血中濃度が上がります。哺乳類の場合、この習性が凍結防止よりも入眠のサインとして進化したようです。ちなみに恒温動物の哺乳類も、冬眠中の体温は10度ぐらいまで下がっています。
 初冬になると、成虫で冬越しするトンボたちが電線で逆立ちをして体を陽に当てる動作をします。これは体内の水分を減らして浸透圧を高くすることで低温から守る行為だという話があります。ちょっと眉唾っぽいですが。
<私から石島さんへ>
 歯垢中には微生物の生態系が成り立っていたんですね。そして、野生生物では、それが結果として歯を守ることになっていた。ということは、野生動物と歯垢中の微生物群は共生関係だったということでしょうか。それから、皮膚とそこに付着する微生物の話は、少しだけ聞いたことがあります。これも結果的に人間を助けてくれているわけですよね。抗菌グッズがはやったとき、「そういう物を好んで買い求める女の人が、平気でペットとキスをする」と言って批判している人がいました。動物は肛門をなめたりしますから、これは明らかに汚いと言う以上に危険な行為ですよね。ただ、「女の人」と言ってしまったところは問題ですが・・・。
 ところで、「弱酸性ビオレ」で洗うと、皮膚と同じ弱酸性なので悪影響が少ないかのような宣伝がなされていますね。どうもこれも信じられません。健康不安を反映して、こういう商品や、健康に関する知識が氾濫していますね。マスコミに乗るような物は、どれもこれも眉唾物ばかりじゃないかと思ってしまいます。本当に健康によいのかどうか、科学的にきちんと証明されていないものばかりだと思うんです。でも、考えてみればひとつひとつの健康商品や健康知識が、科学的に正しいかどうかは判断できないのかも知れませんね。生物体はあまりにも複雑で、しかも人間は意識を持っていますから、健康にいいと思いこめばそういう作用が強くなることもあるでしょうし。
 科学的にきちんと証明できない問題としては、環境ホルモンもありますね。原理的には化学物質をいろいろな濃度に調整して、実験動物に与えてみれば何らかの情報を得られるでしょう。しかし、現在環境中にばらまかれている化学物質は何百万種類もあります。それをしらみつぶしに実験するのは無理でしょうね。さらに、複数の化学物質が作用し合ってどんな影響が出るかを調べようとしたら、まさにお手上げです。
 われわれ理科の教師は、科学的にものを考えなければならないと生徒に言いますが、科学的に白黒つかない問題が数多くあることも事実ですよね。環境ホルモンをどうするか、これからも化学物質をばらまき続けて良いかどうか、そういうことを判断するには化学の枠を越えた視点(と言ってもオカルトではないですよ)が必要だと思います。今日のメールは、カタクなってしまいました。


01A−048
差出人:藤田 勲
送信日:01年9月9日
件 名:「πウォーター、緑茶カテキン、水のクラスター、歯垢など」を読んで

こんばんは、藤田です。
 山本さんと石島先生との往復書簡はおもしろいですね。石島先生と言えば、「子供の科学」の実験コーナーではお馴染みですが、生物の人の話はおもしろいですね。私には特に人に共生している微生物の話が興味深かったです。歯と骨にバイオミネラリゼーションの観点から関心があり、その関係で口腔内細菌についても少し調べて知っていましたが、二人のやりとりを読んで勉強になりました。以下に私の勝手な感想などを書きます。

「口腔細菌も害が出ない程度に多様性を維持することで、いわゆる虫歯菌群の単繁殖を防いでいると考えられています。」
という石島さんの指摘はもっともですが、そのためには歯磨きだけではなく、だ液の働きも強調されるべきではないでしょうか。唾液腺の近くの歯は虫歯になりにくいとか、だ液の多い人は口臭が少ないと言われるように、だ液には抗菌作用を示す様々なタンパク質(酵素)が存在しています(「齲食」(池田正訳、医歯薬出版、1983)。さらに最近は、その活性酸素消去作用や抗ガン作用が注目されています(「食の科学」、2001年7月号)。だ液は食べ物を噛むことで分泌が盛んになるわけでしょうから、しっかりものを噛まなくなっている現代人は単に顎が衰えて脳の発達に影響があるだけではなく、口腔内常在菌叢の生態系にも悪影響がでて寿命を縮めることになりかねません。余談ですが、薬局で売られている「口臭チェッカー」は口腔内のメチルメルカプタンなどの還元性の微生物代謝ガスをガス漏れ警報機と同じ仕組みの酸化スズ半導体で検出しているようです。かなりいい加減な機械にもかかわらず、その機械に脅えてひどく気にする人もいるようです。
 口の中、腸の中、皮膚などにいる微生物といかにうまくつきあっていくのか、そのためにも我々は人と共生している微生物のことをもっと正しく知る必要があると思います。微生物=ばい菌(汚いもの)というイメージからは殺菌、抗菌、除菌といった発想にしかなりませんね。

「両生類や爬虫類でも、冬眠中にはある糖タンパクの血中濃度が上がります。哺乳類の場合、この習性が凍結防止よりも入眠のサインとして進化したようです。」
という指摘についてです。冬眠は寒さや乾燥というストレスに対する防御手段の一つなのでしょう。哺乳動物でもシマリスなどは冬眠するようですが、この場合には冬眠特異的タンパク質と命名されたタンパク質の血中濃度が冬眠期にかけて減少するようです。このタンパクは脳内のホルモンによりその発現が調節されていて、この変動が冬眠リズムと同期し、この変動は冬眠させないで飼育したシマリスにも観察され、この濃度が低下したときの個体を低温条件にさらすと冬眠を誘導でき、この濃度の変動のない個体は冬眠できないことが明らかになっています。
 さらに、一定の環境下(5度、常暗)で規則正しい冬眠を繰り返した個体は寿命が4倍(12年)に延びる一方、冬眠できない個体は同じ条件で2〜3年の寿命であったと言います。また、一定の温暖条件下(23度、半日明、半日暗)で冬眠させないで飼育した個体でもその寿命は同じ程度延びたのだそうですが、いずれも場合にもこのタンパクの明確なリズムを刻める個体が長寿で、リズムを持たない個体が短命であったと言います。以上のことから、体温低下を伴わずに冬眠リズムが働くこと、非冬眠動物内でも冬眠リズムが働いている可能性があることが明らかになってきています。冬眠リズムが長寿に重要な意味をもつことから人における冬眠リズムの解明が注目されます(「現代化学」1999年3月号)。
 なお、植物の場合の低温ストレス回避手段の一つに、細胞液内の浸透圧を高めて凝固点を下げ、凍結死を防ぐ目的で、タンパク質や多糖類をアミノ酸や糖に分解する方法が知られています。分泌されたアミノ酸や糖は我々にとってはうま味物質ですから、植物を適度な低温ストレスにさらせば、食べ物はおいしくなると考えられます。最近流行の氷温貯蔵はこの原理を応用したものですね(山根昭美「氷温貯蔵の科学」、農文協、1996)。
 クラスターのことなども書きたいのですが、ちょっと疲れました。今日はこの辺でやめておきます。


01A−049
差出人:鈴木 久
送信日:01年9月9日
件 名:RE:エントロピーで見る目(4)

こんにちは。鈴木 久です。
山本さんWROTE
>  おもしろい本を見つけました。エントロピー学会編『「循環型社会」を問う』
> 藤原書店(2001)です。
夏休みに読んでアルケ合宿に参加しようと思っていた本をやっと手に入れました。
    山口幸夫『エントロピーと地球環境』市民科学ブックス2 七つ森書館 1300円
です。発行予定がずれ込み奥付けを見たら、8月29日とありました。この本の参考文献の最後に
    エントロピー学会編『「循環型社会」を問う』藤原書店(2001)
が載っていました。ちなみにすべてあげると
1 槌田 敦『資源物理学入門』NHKブックス  1982年
2 押田勇雄『人間生活とエネルギー』岩波新書 1985年
3 小出昭一郎、我孫子誠也他『エントロピーとは何だろうか』岩波書店 1985年
4 藤田祐幸、槌田 敦『エントロピー』現代書館 1985年
5 戸田盛和『エントロピーのめがね』岩波書店 1987年
6 槌田 敦『熱学概論―生命・環境を含む開放系の熱理論ー』朝倉書店 1992年
7 白鳥起一、中山正敏『環境理解のための熱物理学』朝倉書店 1985年
8 勝木 渥『環境の基礎理論』海鳴社 1999年
9 エントロピー学会編『「循環型社会」を問う』  藤原書店(2001)
以上です。
 ちなみに、
3はNEW SCIENCE AGE11で新書より一回り大きい版で今は古本屋で手に入れないと無理かも、でも大きな図書館なら確実にあると思います。
4はマンガ形式の本だと思います。
5もNEW SCIENCE AGEのシリーズ25です。
6,7は槌田さんの本によく参考文献として挙げられていますね。
9は山本さんから初めて教えていただいたものです。
 ちなみに、山口さんの本は市民大学で
    5 戸田盛和『エントロピーのめがね』岩波書店 1987年
をテキストTにエントロピーのセミナーを教えていたのだがそこに参加する学生から大学でも講義してほしいと抗議されしたものが下敷きになったものです。文科系の学生にしたものなので温度と熱から入ってとてもわかりやすく書かれています。

>エントロピー学会というのは、今から20数年前、
> 槌田敦さんが環境問題にエントロピーの光を当てたことに端を発した学会のよう
> です。物理学者のみならず、経済学者、哲学者、さらには市民も学会に参加し、
> 「生命系を重視する熱力学的思考」を巻き起こすことを目的に活動しているそう
> です。
YAHHOOでもgoogleでもエントロピー学会を検索するとHPが出てきます。興味のある方はぜひ見られるといいです。雰囲気は伝わってきます。ただし、具体的な理論などの書き込みはないので期待しすぎないように
 ところで、昨日ちょっと足を伸ばして大きな書店へ行ったのですが
    山口幸夫『エントロピーと地球環境』市民科学ブックス2 七つ森書館 1300円
と共に
    山口幸夫『理科がおもしろくなる12話』岩波ジュニア新書
    荒田洋治『水を知ろう』岩波ジュニア新書
実はこれらの本を買うのが目的だったのですが、前の古本屋で
    山口幸夫『金属格子の中の文明―現代の博物誌 金 』教養文庫 社会思想社
を偶然見つけ懐かしくて購入していました。というわけでこの日は、山口幸夫デーとなってしまいました。最近、近くのよい古本屋がつぶれ、新刊本屋が岩波のジュニア新書などを置かなくなったところが多く困ったものです。
 ちなみに
    山口幸夫『理科がおもしろくなる12話』岩波ジュニア新書
は佐藤さんが書き込みされていた本ですね。
    荒田洋治『水を知ろう』岩波ジュニア新書
は理科のMLで水の本の話題として挙げられていた本です。
 夏休みのアルケ合宿が終わって、エントロピーの学習への取り組みをますます感じています。
 最後ですが、山本さんなかなか原稿を送れなくてというか遅れてしまってすいません。


01A−050
差出人:鈴木 久
送信日:01年9月9日
件 名:RE:塩化物イオン

こんにちは 鈴木 久です。  返事大変おくれました。すいません。塩化物イオンのことに関して、小林さんと林さんからお返事いただきました。ところで、塩素陽イオンについてまだ調べれていません。本当にあるのでしょうか?


01A−051
差出人:杉山 剛英
送信日:01年9月11日
件 名:木星食

杉山剛英です。
 以前にお知らせしました「木星食」のえいぞうですが、13日の早朝、5:15頃からと6:20頃からNHK総合で全国放送されます。ぜひ、録画して見てくださいね。見所は、木星たちが月の後ろにいる50分の間に衛星イオが木星から少し離れ、木星に先んじてピカッと最初の光を放ち現れるところです。その後から王者木星がしずしずと登場します。10月8日早朝は東北以北で土星食です。


01A−052
差出人:山本 喜一
送信日:01年9月11日
件 名:能率と効率

こんにちは、山本です。
 私も、山口幸夫先生の「エントロピーと地球環境」と「理科がおもしろくなる12話」を読みました。今日は、前者について書きたいと思います。この本は、エントロピーそのものの解説書というよりは、エントロピーで地球環境問題や資源問題を見たらどう見えるのか、ということに重点が置かれています。しかし、カルノーの理論に基づいた効率と能率という言葉の解釈は新鮮でした。
 熱力学で言う効率(η)とは、高温熱源から熱機関がもらった熱量(QH)に対して、その機関が産み出した有用な仕事(W)がどれくらいの割合かで求められます。
   η=W/QH
ここで、Wは高温熱源からもらった熱量(QH)と低温熱源に捨てた熱量(QL)の差ですから
   η=(QH−QL)/QH
となります。
 上の効率を計算する式に、時間の変数は入っていません。しかし、熱機関の効率が最大値を示すのは、この機関が準静的に動いているときですね。つまり、熱機関が熱源と平衡を保ちながら、きわめてゆっくりと動いているとき最大の効率が得られるわけです。短時間に仕事を取り出そうとして熱機関を速く動かせば、損失が生まれて必ず効率は低くなります。
 一方、能率とは単位時間内にどれだけ成果が上がったかとか、単位時間内にどれだけ利益が得られたかというように、時間の変数が入っています。熱力学的に考えると、熱機関の効率を上げようとすれば能率が下がり、能率を上げようとすれば効率が下がると言えるわけです。
 現代のわれわれの生活は、短時間のうちに遠くへ移動しようとか、できるだけ短時間に儲けをふやそうとか、能率ばかり追いかけているのではないでしょうか。その結果として、エネルギー効率の悪い生活、つまりエネルギーを無駄遣いする生活になっているのではないか、と山口先生は言います。もっとゆっくりと時間をかけて、効率の良い生活を目指そうと言うわけです。
 以上のような先生の発想は興味深いと思ったのですが、日常生活では能率と効率という言葉が混同されていますね。それはなぜなのかを考えてみました。例えば「効率的な企業経営」と言えば、投入した資本に対して利益が大きい経営を意味するでしょう。
  (利益)/投入した資本
ここで利益を得るために、ゆっくりと時間を使ったとします。そうすると、人件費も増えますし、機械を使っていればそれにかかるエネルギー代も増えてしまいます。分母が大きくなってしまうわけです。ですから、企業経営の効率を上げるためには、短時間に利益を上げるということが必要になってきます。つまり投入する資本の大きさという変数に、時間の変数が含まれているのだと思います。
 また、「効率的な勉強」という言葉もあります。これは、投入した努力に対して身に付いた学力(学力とは何かという問題は別にして)で、はかれると思います。
  (身に付いた学力)/(努力)
この場合も、勉強に時間をたっぷり使っていたのでは、効率的とは言えませんよね。勉強に多大な時間を使うと言うことは、大きな努力を支払うことを意味しますから。ここでも、投入する努力という変数に時間の変数が含まれているのだと思います。
 このように、日常使っている効率という概念には、知らず知らずのうちに時間の変数が入り込んでいることが多いのではないかと思います。カルノーの効率が、そういう日常的な意味での効率(時間を含んだ効率)の概念を払拭し、市民権を得ることが出きるかどうか。難しい問題だと思いました。


01A−053
差出人:林 正幸
送信日:01年9月12日
件 名:エントロピーとエネルギー(その6)

こんばんは、林です。
 しばらくメールが書けませんでした。本校は学校祭が早くて9月の5、6日で、写真部の展示などに係わっていました。そして今回の作品24枚はスキャナーで取り込んでホームページに掲載してみました。容量が5Mくらいと時間がかかりますが、気が向いたら1つでも2つでも見てやってください。表紙の「掲示板」をクリックすると下の方に「写真部作品」という項があります。
 あとは休み明けの授業準備と課題テストの採点、それに皆さんのメールの「メーリングリスト」への掲載などで、なかなか自分のメールを書く時間が見つかりませんでした。
 すこし間が伸びてしまいましたが、山本さん、エントロピー問題です。生命活動をエントロピーの視点からも光を当てる意味は分かります。しかし熱機関と同じですが、やはり2つの面から捉えたいです。つまり
(1)栄養と酸素を取り入れ、細胞呼吸によりエネルギーが小さい二酸化炭素と水などに変え、それで生み出されるエネルギーで生命活動を営む。
(2)体内環境を維持するため、二酸化炭素や老廃物、それに熱エネルギーを外部環境に捨て去る(これは確かに体内のエントロピーを減らすことである)。
ところで人間は、後者に関して前者を妨げるほど深刻な事態になっているのでしょうか。むしろ私は前者の方がより深刻であると思います。食糧問題です。たしかに体内汚染の問題はありますが、外部環境のエントロピーの増大こそが深刻ですよね。つまり人間の存続というテーマからすると視点がずれていると思います。
 ついでに光合成では、何より太陽のエントロピーが増大し、地球上のエントロピーは減少するのではないでしょうか。また8月31日付け「リサイクルの現場」は参考になりました。
 授業プリントが最終章「合成高分子化合物」に来ていると書きましたが、プラスチックを材料にゴミ問題、もっと言えば物質循環の問題について次のようにまとめてみました。
<授業プリントからの引用>
[e]プラスチックのリサイクル
[1]プラスチックは便利な材料であるが、大量の(ゴミ)にもなっている。7章では自然の(物質循環)の意味を学習し、人間が存続するためには物質を循環させることが不可欠であることを確認した。
[2]熱可塑性プラスチックは回収して(再加工)しやすい材料である。そのためには材料を汚したり混ぜたりせずに生産者にもどすことである。生産者には(法律)で再加工を義務づける。
[3]またプラスチックを(自然)の循環に乗せていくには、それを燃料として(燃焼)させて二酸化炭素と水蒸気にし、発生する(熱エネルギー)は有効に利用することである。また現在では製鉄所は、コークスの代わりに(還元剤)としてプラスチックを利用し始めている。ただしいずれの場合もポリ塩化ビニルのような(塩素系プラスチック)は除去する必要がある。さらに排煙に有害物質が含まれないような対策が求められる。
[4]塩素系プラスチックを循環させるには、人間が(人工的)に塩素を切り離す処理をし、それを(再利用)するようにせねばならない。
[5]それにしても私たちは(二酸化炭素)を発生させ過ぎている。経済と生活のスタイルを改善してプラスチックの使用量を(減少)させることも求められている。
[6]現在、プラスチックは(石油)を原料に合成されている。これは自然の循環からは外れている。これからは光合成による(天然物)を原料にしていくべきではなかろうか。もちろんそのときは人間が砂漠の(緑地化)など自然の循環を促進していく必要がある。
問 人間が利用しているさまざまな材料は、どのように循環させていけば良いのだろうか。また優れた材料の条件とは何だろうか。
<以上>
意見を聞かせてください。
 今夜はここまで、ではまた。


01A−054
差出人:林 正幸
送信日:01年9月15日
件 名:塩素陽イオンについて

こんばんは、林です。
 鈴木さん、塩素陽イオンについてです。Cl−F のような塩素原子が正電気を帯びた分子はありますが、安定な陽イオンは存在しないように思います。しかしベンゼンの塩素化では反応中間体としてなら存在します。
    C6H6 Cl2 ―→ C6H5Cl + HCl
つまり塩素分子 Cl−Cl が触媒の塩化鉄(V)に塩素陰イオンの部分を引き抜かれ、塩素陽イオンが生成します。これは希ガスの電子配置を満足していないので、電子を求めてベンゼン環のπ−電子(かんたんに言えば二重結合の電子対)に結び付き、つづいて水素原子を陽イオンとして切り離して塩素陰イオンに渡し、その後に移って共有結合を形成します。なお反応中間体とは反応の過程で一時的に存在するもので、一定の安定性を持っています。
 山本さん、「能率と効率」は面白いですね。教育においても、能率を上げようとするから効率が落ちていることが多いと思います。また、あわてると失敗します。私は庭掃除はゆっくりと、今日などは9時から5時間でかけて、やるようにしています。するときれいに仕上がり、満足感も大きいというおまけが付きます。しかし単純ではないですね。たとえば自動車は高速道路の方が効率が良くなります。そして人間は生きている以上は時間は無視できません。いつまでも食事をせずには居られませんし、高校時代に習得すべきことも多いです。結論として「能率ばかりに目を奪われないようにしましょう」ですか。


01A−055


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差出人:野中 直彦
送信日:01年9月17日
件 名:四ヶ浦さん、トンボ玉は?

 送風機は来ましたか。私も**高校にあるような、ガラス細工用のバーナーをかき集め、送風機を使って生徒実験をしてみようと思います。文化祭はどうでしたか、まだだったかな?


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差出人:野中 直彦
送信日:01年9月17日
件 名:二酸化炭素の液体

 以前に、山本さんがやっていた、二酸化炭素の液体を同僚の先生がいとも簡単にやっていますので紹介します。同僚の人の名前は岐阜物理サークルの石川さん。「博士」と呼ばれています。古くは、OHPシートをレコード盤にしたり、いろんなことをやっている方です。
 その石川さんが、ドライアイスのかけらを「簡易圧気発火器」の中にいれて、ぎゅっと押していくと液体になる実験を一人ひとりにやっていましたので、すぐにやってみるといとも簡単。そのあと、手をはなし、ポンとゴム栓をとばすと、また固体が戻ってくるのです。(とんでいったゴム栓をさがすのに、うろうろするのですが)もうすでに知っているのかもしれませんね。まだの人は、一度やってみてください。


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差出人:野中 直彦
送信日:01年9月21日
件 名:Nimdniにご用心
 同じ地区内にある高校のコンピュータがnimudaに感染したようです、気をつけてください。不明な添付ファイルは開かない。HPにいった後についていた「readme.exe」は絶対に開かないようにすることが大切なようです。


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