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00A−106
差出人:林 正幸
送信日:00年10月26日
件 名:生徒からの指摘

こんばんは、林です。
 今日、授業で次の問題を考えさえていたら、生徒が「量は5[l]なんでしょう?」と問い返してきました。
<引用>
問2 ある量の水素を5[l]のボンベに充填したら、15℃で7.2atmの圧力を示し
た。このままで温度が100℃になったら、その圧力は何atmになるはずか。
<以上>
私はそのとき言葉づかいの不十分さに気づきました。量にはいろいろあります。質量、体積、物質量、そして長さや圧力や温度もその数値は量ですよね。
 また、たとえば私はボイルの法則を次のように表現していました。
「一定温度の下で、一定量の気体の体積は圧力に反比例する。」
これは一定量の体積と受け取れる面があります。そして一定の体積がなんで圧力に反比例するのだと分からなくなります。
 問2では、「ある量」は「ある物質量」と、ボイルの法則では「一定量は一定質量ないし一定の物質量」とすべきでした。こんな不注意が生徒に混乱を引き起こすのだと反省しました。
 杉山(美)さん、久しぶりですね。私も25年ほど前のことになりますが、水俣病の現地調査をしたときのスライドや対話を紹介することから、公害問題の学習を始めたことを思い出します。ヒューマニズムに訴えて学習の意欲を喚起することは大切です。そしてもうひとつ、それと共に科学的な知識や考え方をどこまで教えられるかが課題であると思います。すでに9月19日のメールで送信したように、私も原子力を扱う教材を作ってみました。感想など聞かせてもらえると幸いです。
 「危険な実験」シリーズは続けたいですね。マグネシウムと二酸化ケイ素の反応では私も危険な目に合いました(99年2月8日のメール)。薬品の状態が違うと思わぬ激しい反応になることがあります。常に危険性を意識すること、そして面倒でもくり返し予備実験をすることですね。実は科学の祭典でも、かんの中にヘアスプレーと酸素を吹き込んで紙コップを被せ、横の穴から点火する実験で、今までにない鼓膜が痛いほどの爆発が起きたことがありました。もちろん紙コップはこなごなに飛び散りました。何10回とやって来た実験でさえ、こういうことが起きます。
 ではまた。


00A−107
差出人:藤田 勲
送信日:00年10月27日
件 名:RE:RE:粘土に関する新聞記事を知りませんか?

今晩は、藤田です。
 山本さん、粘土に関する情報ありがとうございました。浮遊粒子状物質(SPM)の話題は、それが厳密にはコロイド粒子程度なのかは別としても、エアゾルの例として取り上げる価値がありそうですね。特に、ディーゼル車の排ガス中のそれ(DEM?)は喘息やアレルギー、肺ガンとの因果関係がはっきりしてきているだけに今日的かつ緊急の話題ですね。
 教材として扱う観点ですが、DEMは不完全燃焼で生じた炭素微粒子表面に縮合芳香族炭化水素やその誘導体、そして重金属酸化物などを吸着しているでしょうから、わたしはDEMをコロイド固体表面の吸着の例として教えたいし、演示実験もしたいですね。この大きさのススは肺の奥深くまで入り込めるようで、そこで吸着物質を放出したり、コロイド固体表面として触媒的に働いて症状を悪化させるのでしょう。活性なコロイド固体表面が反応の触媒として働いている可能性は大いにあるように思うのですが、いかがでしょうか。
 そしてなにより、SPMを捕まえて空気の汚れをチェックするということが大切でしょう。山本さんが以前話題にしていた「ペットボトルの水と君の目で作ろう」(伊瀬洋昭、’97科学の祭典実験解説集)にあるように、私もやってみたいと思いました。この方法で使う濾紙はガラス繊維AP20を使うとあり、注射器2個で挟むようですが、これでないとだめでしたか?他に資料があったら紹介してください。
 では、また。


00A−108
差出人:杉原 和男
送信日:00年10月27日
件 名:顕微鏡観察がいいですよ!

藤田先生
 ディーゼル車の排ガス中DEMは,松の葉の気孔観察がいいですね。はっきりと簡単に黒い粒子が見えるので,感動的です。
※正確には,気孔の上のくびれ部分に粒子が詰まっているそうです。
 視野の中の気孔に詰まっている粒子の数を調べると,サンプリングした松の環境を比較できます。簡単に調べられ,結果も理解しやすい(考察しやすい)ので,小中学生の自然研究にもよく取り上げられています。
 ガラス繊維ろ紙の汚れで調べる方法は,科学の祭典で有名になりましたが,発表された女性はとても親切な方で,いろいろな情報とともに器具もいただけます。直接お電話されるといいでしょう。


00A−109
差出人:藤田 勲
送信日:00年10月28日
件 名:RE: 顕微鏡観察がいいですよ!

こんにちは、藤田です。杉原さん、早速貴重な情報ありがとうございました。
 松の葉の気孔にもDEMが詰まるのですか。松の葉を使うのは観察しやすいからなのでしょうか。自由研究でやられているとは知りませんでした。まだまだ勉強不足ですね。私も是非見てみようと思います。
 去年、生物を教える機会があり、ムラサキツユクサの葉の気孔は見たことがあります。大変きれいでした。こういう所に黒いススが詰まるのですね。生理的にはどういう影響が松に出るのでしょうね。当然どこかで詳しく調べられているのでしょうね。私もいろいろ文献を当たってみたいと思います。資料のリストがありましたら紹介してくださると助かります。
 私は人に聞くのはどうも苦手で、もっぱら本や雑誌から情報を得ているのですが、これだけではやはり不十分ですね。直接専門家に聞くのが早いし、確実ですね。DEMを「ガラス繊維ろ紙の汚れで調べる方法」は勇気を出して(?)直接電話してみようと思います。
 色々ありがとうございました。


00A−110
差出人:澤田 史郎
送信日:00年11月3日
件 名:粉塵爆発について教えて下さい

こん○○は 澤田です。
 先日大阪府下の高校の先生から質問を受けました。ポリ袋の中にローソクを立てロートに入れたデンプンを息を吹き込んで袋の中に分散させ爆発させる実験で可溶性デンプンや粉糖などでやってもうまくいかないということなのです。以前に検討した覚えはあるのですがうまくいかない条件がなんだったのか思い出せません。その方は50cm×80cmとやや大きめの段ボール箱の上でなさっているようで、大きさの問題かなとも思うのですがどなたか教えて下さい。
 メーリングリストもROMになって久しいのですがなかなか皆さんの議論についていけません。ただ先日サークルでこの間出されていた「銀イオンと炭酸イオン」や「アルカリに反応するヨウ素」などこの間の話題を追試させてもらいました。銀イオンは炭酸水素ナトリウムだけでなく炭酸ナトリウムでも沈殿を起こしたのですが白色ではなく茶褐色の沈殿でした。これはアルカリのOH−と反応してAg2Oができていると考えてよいのでしょうか。そうだとすると炭酸水素ナトリウムでは炭酸銀ができるのはpHとの関係でしょうか。質問ばっかりですみません。
 最後にお話変わって
野中さんに刺激されたわけではないのですが1年生全員に「トンボ玉」をつくらせました。工夫した点は最初の説明でVTRを見せてガラスを溶かして巻き付けるところを強調した。ガラスを事前に細くのばしてブンゼンバーナーで扱いやすくしたということです。1時間の授業でほぼ全員が直径1cmくらいの玉を作ることができます。刺繍用の糸を用意するとかわいいアクセサリーになります。ガラスを細くすることは近くの少路高校の吉田先生の工夫で急加熱によるガラスの飛散を防ぐ意味もあります。お試し下さい。
 ではでは


00A−111
差出人:野中 直彦
送信日:00年11月5日
件 名:粉塵爆発について

野中です。
 粉塵爆発についての私のつたない経験では、ケーキづくりの紛糖がよかったように思いますが、材料はあまり関係ないでしょうか?高橋さんの時の、松本でのアルケ合宿のときに、この実験をやりました。火の玉ロケットということで、これも盛口さんの開発実験だったような記憶です。


00A−112
差出人:林 正幸
送信日:00年11月5日
件 名:粉塵爆発について

こんばんは、林です。
 11月1、2日と、金沢に行ってきました。前にも書いたと思いますが、石川高文連の「実験セミナー」に協力するためです。行事は2日でしたが、朝早いため1日から出かけました。そしてその夜は楽しい親睦会がありました。もちろん四ケ浦さんも居ました。私が驚いたのは、そこに集まった先生たちが日頃から親しく研究交流していることでした。10名を越える人数です。その中でとくに坂尻先生には、随分とお世話になりました。宿の手配から、金沢駅出迎え、車による移動、そしてセミナーの司会まで・・・。お陰で私は至って気楽に、ただ講師を勤めればよかったのです。
 澤田さん、私も粉塵爆発をやったことがあります。成功までには苦労がありました。私が注意したことを書いてみます。
(1)箱やポリ袋はやや小さ目がよい。
(2)ポリ袋は箱や針金のやぐらに合う大きさにセロテープで作り直す。
(3)ろうそくよりアルコールランプが炎が消えにくい。
(4)かたくり粉を使い、すこし焦げ色が着くほどに乾燥する。
(5)粉がポリ袋中に舞い上がるように、ろうとは大きいもの、ゴム管は太いものをつかう。
(6)粉は炎に吹きつけるのではなく、上に吹き上げる。
(7)ゴム管は肺活量を計るように時間をかけて吹く。
(8)顔を近づけすぎると火傷の危険がある。
実際に見るのが一番ですが、メールでは致し方ありません。そしてこの実験は、野中さんが書いているように盛口さんの考案です。彼は粉糖を使います。
 ではまた。


00A−113
差出人:山本 喜一
送信日:00年11月6日
件 名:粉塵爆発について

こんにちは、山本です。
 粉塵爆発について、林さんから詳しい方法が紹介されています。私も林さんとだいたい同じやり方をしています。ただ、私は上新粉を使うことにしています。これをホットプレートで十分乾燥させて、大きめのロートに山盛り一杯入れ、思い切り吹き飛ばすと、100発100中で成功します。試してみて下さい。


00A−114
差出人:山本 喜一
送信日:00年11月7日
件 名:中和反応と電流

こんにちは、山本です。
 今、酸塩基の授業しています。酸と塩基の水溶液を混ぜ合わせると、H+とOH-が結合することが分かる実験はないものかと思って、次のようなことをやってみました。
(1)100mlのイオン交換水に炭素電極(鉛筆)を2本入れる。そこに、60Wの電球をつないで、100Vの交流を流す。
(2)イオン交換水に1mol/lのHClを1ml入れる。すると電球がぼんやりと点灯する。
(3)ここに、1mol/lのNaOHを1ml入れる。
ここで、電球の明るさはどうなると思いますか?私は変わらないものだと思っていました。イオンの数が変わらないのですから。ところが、実際にやってみますと、電球はスッと暗くなってしまいます。何度やっても同じです。どうしてなのか、私なりに考えてみました。
 溶液を流れる電流の大きさはイオンの数だけでなく、電極での反応速度も関係するはずです。そこで、今度は0.001mol/lの塩酸、食塩水、NaOH水溶液をつくって、10Vの直流電圧をかけ、流れる電流の大きさを調べてみました。すると塩酸では約100mA 、食塩水は50mA流れました。
塩酸での両極の反応は
 2H+ + 2e- → H2 ・・・@
 2Cl- → Cl2 + 2e- ・・・A
食塩水では、
 2H2O + 2e- → H2 + 2OH- ・・・B
 2Cl- → Cl2 + 2e- ・・・A
ですから、Bの反応が遅いため、食塩水に流れる電流が小さいのだと考えました。
 次に、NaOH水溶液での反応は
 2H2O + 2e- → H2 + 2OH- ・・・B
 4OH- → O2 + 2H2O + 4e- ・・・C
です。NaOH水溶液でもB反応が起こります。したがって、たとえCが速く進むことができ反応であっても、Bの反応が足を引っ張って50mA以上の電流は流れないはずです。ところが、実際にやってみますと約70mAの電流が流れてしまいました。
 どういうことだろうと思って、今度は標準電極電位を調べてみました。それは次のとおりです。(A、Cは還元型の反応式に戻して)
 @ 0  A 1.36  B −0.83  C 0.40
つまり、塩酸を電気分解して極板に水素と塩素が付着したとしますと、1.36Vの起電力を生じることになります。これは電気分解する向きとは逆です。ですから、10Vの電圧をかけていても、そのうちの1.36Vは起電力をうち消すために使われてしまい、電気分解に使われているのは8.64Vではないかと勝手に解釈しました。そうだとすると、食塩水は7.81V、NaOH水溶液は8.77Vで分解していることになります。こうしてみますと、食塩水にかかる電圧より、NaOH水溶液にかかる電圧の方が大きいので、こちらを流れる電流の方が大きくなるとは考えられないでしょうか。
 まとめますと、”食塩水とNaOH水溶液を直流10Vで電気分解したとき、Bの反応速度が小さいため、どちらも塩酸よりは流れる電流は小さくなる。しかし、実質的に電気分解に使える電圧はNaOH水溶液の方が大きいので、NaOH水溶液により大きな電流が流れる。”ということです。
 ただ、水素や酸素が発生するときの過電圧なども考慮する必要があると思います。みなさん、いかがお考えでしょうか。とりあえず、大きな電流が流れた水溶液に、より多くのイオンが含まれているとは言えないことは分かりました。
 では。


00A−115
差出人:山本 喜一
送信日:00年11月8日
件 名:中和反応と電流(2)

今日は、山本です。
 今日は、塩酸、食塩水、水酸化ナトリウム水溶液を直流で電気分解するとき、電圧を変化させると、電流はどんな変化をするのかを実験してみました。3つとも濃度は0.001mol/l、電極は炭素棒(鉛筆)を使い、常にスターらーでかき混ぜながらデータを取りました。どの溶液も3Vくらいまでは、ほとんど電流は流れません。それ以上の電圧にすると、ぐんぐん電流が流れるようになります。そして10Vまで電圧を上げてみたところ、電流の大きさが電圧に比例するきれいなデータが得られました。ただ、溶液の抵抗値は3つとも違います。最も抵抗が小さいのは塩酸、次に水酸化ナトリウム水溶液、そして食塩水でした。この違いは、各極板で起こっている反応の速さ、イオンの拡散速度、過電圧などが関係するんでしょうね。
 以前、交流での電気分解が話題になったことがありました。中臺さんからの質問には答が見つからないまますぎていますが、この際、もう一度考えてみようかなと思っています。
 では。


00A−116
差出人:山本 喜一
送信日:00年11月9日
件 名:中和すると水ができる

こんにちは、山本です。
 酸と塩基の中和反応(水溶液中の)では、水ができることを、次のように説明してみました。
(1)6mol/lの塩酸3mlと、同じ濃度の水酸化ナトリウム水溶液3mlを混ぜると、発熱することを確かめる(生徒実験)。
(2)その時、食塩の結晶は析出しないことを観察させる。
(3)発熱したということは、原子や分子などが結合したことであることを思い出させる。
(4)塩酸と水酸化ナトリウムを混ぜると、H+、Cl-、Na+、OH-の4つのイオンがいっしょになることを確認。そして、このうちのどれかとどれかが結合したのだと説明。
(5)水溶液中でNa+とCl-が結合するということは、固体の食塩が現れることであると説明。飽和食塩水に濃塩酸を加え、食塩が析出するようすを見せる(演示実験)。
 「濃塩酸を加えるとNa+とCl-が結合する理由は3年生で勉強する。ともかく、両方が結合するということは、固体の食塩になることなのだ」と解説。
(6)塩酸と水酸化ナトリウムの反応では、食塩が析出しないことから、結合したのはH+とOH-であると説明。証拠に、中和した後はH+が持っている酸+の性質も、OH-が持っている塩基の性質も消えていることを確認。
 以上のような流れです。また反応式もいきなり
 HCl + NaOH → H2O  + NaCl ・・・@
とは書かずに、
 H+ + Cl- + Na+ + OH- → H2O  + Na+ + Cl-
と書いて、これを@のようにまとめるのだと説明しました。ここまでやって、ようやく生徒は水ができることを納得してくれたようです。
 以前は、塩酸と水酸化ナトリウムで食塩ができることを確かめるために、中和した水溶液を蒸発させていました。でも、中和反応では塩ができることよりも、水ができることの方が本質ですよね。そう思って、上のような授業にしたわけです。いかがでしょうか。


00A−117
差出人:林 正幸
送信日:00年11月9日
件 名:溶液の電導度について

こんばんは、林です。
 すこし冷え込むようになりましたが、皆さんはいかがお過ごしですか。私はちょっとばかり風邪ぎみです。でも、有機化学の授業プリントの作成をしています。
 さて山本さんの実験ですが、イオンの易動度が関係しているように思えます。これは数1000Hzという交流で調べられることですが、希薄なイオン水溶液に電圧をかけた時のイオンの移動しやすさのことです。これはイオンによって異なるわけで、1cm離れた電極板の間にある1グラム当量のイオンが溶けた水溶液あたりの電導度として表すことができます。18℃におけるデータは次のようになっています(大学時代の物理化学の教科書より)。
    H+(H3O+)    315
    Cl-         65.5
    Na+         43.5
    OH-        174
オキソニウムイオンと水酸化物イオンの電導度がとくに大きいのは、水素イオンが隣の水分子に飛び移ったり隣の水分子から飛び移ったりするためです。
 だからそれぞれの当量電導度は次のようになります。
    HCl       381
    NaOH      217.5
    NaCl      109
これに山本さんが計算した実効的な電圧を掛けると電流のひとつの目安が得られます。
    HCl       ×864=3292
    NaOH      ×877=1907
    NaCl      ×781=851
これは山本さんが計測した電流と定性的に対応します。
    HCl       100mA
    NaOH       70
    NaCl       50
 しかし直流で電気分解が起きると事態は複雑になります。過電圧の問題はあると思います。電極での反応速度がとのように利いてくるのか、私にはよく分かりません。ただし昨日の山本さんのメールにあったように電流が電圧に比例するなら、溶液の電導性の方が支配的であるように思えます。
 ではまた。


00A−118
差出人:小林 敏夫
送信日:00年11月10日
件 名:酢酸ビニルの重合について

 小林です。久しぶりにメールします。困った時の歩けだのみで住みません。
    酢酸ビニルの重合について
 この3〜4日酢酸ビニルの重合反応にはまってますが上手く行きません。10分以内で、上手く行く方法はないでしょうか。現在の方法、洗剤あるいはラウリル硫酸ナトリウムと過硫酸アンモニウムを混ぜ水を加え良く溶かす。それに酢酸ビニルを入れ湯煎するという方法です。牛乳みたいになるまでは出来ますが満足行く結果が得られません。硫酸鉄(U)と過酸化水素水を使った方法も試しました。こちらは1960年代校半の高校化学(化学B)の教科書(大日本図書;柴田雄二監修)に掲載分です。なお過酸化ベンゾイルは持ちません。
 どなたか実験された方は折られないでしょうか。久しぶりにメールしてたのみごとだけでごめんなさい。


00A−119
差出人:藤田 勲
送信日:00年11月12日
件 名:RE:中和反応と電流

今晩は、藤田です。
 山本さんの中和に伴う伝導率の変化についての議論に参加したいと思います。
 山本さんは0.01モル濃度の塩酸と水酸化ナトリウムと食塩水の各水溶液に10Vの直流電圧をかけて流れる電流値を100mA、70mA、50mAと測定しています。山本さんの疑問は、同じモル濃度の水溶液なのにどうして流れる電流値に違いがあるのか、という点にあると思います。
 電解質の電気伝導度はその抵抗Rとその溶液を入れた容器の長さlと電極の面積Sとの間に次の関係が成り立っています。
        R=ρ*(l/S)    ・・・・@
電解質は試料が長いほど、断面積が小さいほど電流が流れにくくなる、言い換えると抵抗が大きくなるわけですね。つまり、Rは(l/S)に比例する、その比例定数がρというわけです。このρは比抵抗と呼ばれ、Ωmの単位を持ちます。
 比抵抗ρは抵抗に関する比例定数ですから、伝導度はその逆数をとった方がわかりやすいですので、1/ρを比伝導率(記号κ)として定義しています。κの単位はΩ^-1m^-1ですが、Ω^-1はS(シーメンス)という単位で表しますので、結局Sm^-1の単位になります。
        κ=1/ρ=(1/R)*(l/S)  ・・・・・A
この比伝導率κを伝導度測定セルというもので測定した結果は、KClでは次のようになります。
          モル濃度      比伝導率(18℃)(25℃)
        0.010モル/l       0.1221    0.1409(Sm^-1)
        0.10            1.286     1.289
        1.00            11.13     11.13
 このように、当然のことながら濃度が濃いほど、そして温度が高いほど比伝導率は大きくなります。これは高濃度ほど単位体積あたりのイオン数が多いから、そして高温ほどイオンの移動速度が大きいからにほかなりませんね。そこで、単位濃度(モル/m3)あたりで表した伝導率で各電解質を比較するのが便利です。これをモル伝導率Λ(Sm2/モル)と呼んでいます。ただし、硫酸のように1m3中に1モル溶けていても、塩酸1モルに比べると運ぶ電気量は2倍多いわけですから、同じ1モルでも電離するイオン数やイオンの電気量に違いがあると伝導率に差が出てしまいますので、陽イオンと陰イオン共に1F(ファラデー)の電気量を運ぶようなイオンの量で水溶液の伝導性を比較します。これは塩酸では1モルに相当しますが、硫酸では1/2モルに当たります。
 次に、このモル伝導率(Sm2/mol) で比較した各電解質のモル濃度との関係を示しておきます。
 (mol/l)  0.001   0.005   0.01   0.02    0.05   0.10
 HCl    0.0421  0.0416  0.0412  0.0407  0.0399  0.0391
NaOH    0.0245  0.0240  0.0237  0.0233  0.0227  0.0221
 KCl    0.0147  0.0144  0.0141  0.0138  0.0133  0.0129
1/2NiSO4 0.0113  0.0093  0.0083  0.0072  0.0059  0.0051
この値は単位濃度あたりの伝導率ですから、強電解質では本来ならばどの濃度の時を測っても一定になるはずですが、実際には高濃度になるほど、それからイオンの価数の大きい電解質ほどモル伝導率は小さくなっていきます。これは、電解質が高濃度になるほど各イオンは反対電荷のイオンの電気的な引力を強く受けるために、各イオンは電極に移動しにくくなると考えられています。高濃度の電解質になればなるほど、各イオンは局所的にはイオン結晶の構造(クラスター構造)を強く保持しているわけで、このイオン雰囲気またはイオンシェルターを振り切って各イオンが反対方向に移動するには大きな抵抗がかかるというわけです。さらに、各イオンは水和イオンとして水分子を引き連れて反対方向に移動するわけですから、溶媒の水分子との間に摩擦抵抗を生じて、さらに移動しにくくなると考えられています。余談になりますが、私は過冷却や過飽和という現象にも、水分子が関わる水素結合を含むクラスター構造が大きく関係しているのではないかと思っています。
 ところで、強電解質の濃度が小さい場合にはその濃度の平方根とモル伝導率の間には比例関係が成り立つことが分かっています。これはコールラオシュの平方根の法則と呼ばれていますが、これを使うと電解質の濃度をゼロに外そうしたときのモル伝導率、すなわち無限希釈におけるモル伝導率が求まります。これは極限モル伝導率Λoと呼ばれていて、各イオンが反対電荷のイオンの電気的な影響を全く受けずに自由に移動できる状態にあるときに示すモル伝導率です。次に共通イオンを含むナトリウム塩とカリウム塩の極限モル伝導率(Sm2/mol)とその差を示しておきます。
  KCl    0.01300     KNO3  0.01263     K2SO4  0.01330
  NaCl   0.01089     NaNO3 0.01052     Na2SO4  0.01119
 各塩の差 0.00211           0.00211        0.00211
 カリウム塩とナトリウム塩との極限モル伝導率の差がどの塩でも一定になるということは、各イオンは共に独立して伝導性を示している証拠であり、無限希釈における電解質のモル伝導率Λoは陽イオンのモル伝導率Λ+と陰イオンのモル伝導率Λ-の和で示すことができるということです。これはコールラオシュのイオン独立移動の法則と呼ばれています。
   Λo =Λ+ + Λ-     ・・・・・・B
 次に、25℃における主なイオンの極限モル伝導率(Sm2/mol)を示しておきます。
   H+    0.0349          OH-  0.01983
   K+    0.00735         Cl-   0.007635
   NH4+  0.00735          NO3- 0.007146
   Na+   0.00501          I-   0.007684
  1/3Al3+ 0.0063        1/2SO4^2- 0.008002
この表から水素イオンと水酸化物イオンは明らかに伝導率が異常に大きいことが分かります。これはなぜでしょうか。次に、伝導率とイオンの動きやすさ、すなわち移動度の関係を考えてみることにします。
 イオンは電荷を持った粒子ですから、その平均移動速度v+及びv-(m/s)は加えられた電場E(v/m)に比例して増加します。この時の比例定数u+及びu-をイオンの移動度と呼んでいます。すなわち、移動度とは単位電場におけるイオンの平均移動速度のことです。
    v+ = u+*E  及び  v- = u-*E  ・・・・・・C
いま、電極の断面積がAで、電極間の間隔が1mの直方体(セル)中に1モルのMX型の電解質を含んでいる溶液を考えます。この場合、このセルにはN(アボガドロ数)個の正イオンM+及び負のイオンX-を含んでいることになります。次に、セル間のある断面(窓)を1秒間に横切るイオンの総数を考えます。この場合、移動速度v+及びv-(m/s)を持つイオンは、この窓から長さがv+及びv-以内にあるものは全てこの窓を通ることになりますので、窓を1秒間に横切るイオン数は次のようになります。
   (窓を横切る陽イオン数)/秒 = Nv+ = N*(u+*E)  (C式より)
   (窓を横切る陰イオン数)/秒 = Nv- = N*(u-*E)
これらのイオンが運ぶ電荷は1個分の電荷eを掛けてやればよいわけで、これが単位面積あたりの電荷、すなわち、正電荷及び負電荷の流束(I+及びI-)になります。
   (窓を横切る正電荷)/秒 = I+ = e*N*(u+*E)
                        = F*(u+*E)  (Fはファラデー定数)
   (窓を横切る負電荷)/秒 = I- = e*N*(u-*E)
                        = F*(u-*E)
したがって、断面積Aを通る電流Iは各流束に断面積Aを掛けたものになります。電場の強さE(v/m)はセル(長さ1m)にかかる電圧Vから生じるので、電流Iは次のようになります。
       I =(I+ + I-)*A
        =(u+ + u-)*F*A*V  ・・・・D
 一方、このセル(長さ1m、断面積A)に電位差Vの電圧を加えたときに流れる電流Iとモル伝導率Λoとの関係は次のようになります。
    I = V/R
     =Λo*A*V    (@及びA式より)  ・・・・E
DとE式の比較からモル伝導率Λoは次のようになります。
     Λo = (u+ + u-)*F
すなわち    Λ+ = u+*F   (C式より)
        Λ- = u-*F
したがって、各イオンの極限モル伝導率をファラデー定数で割ることで、無限希釈状態における各イオンの移動度(m2/Vs)を求めることができることになります。次に、この値を示しておきます。
    H+   3.26*10^-7          OH-  2.055*10^-7
    Li+    3.8*10^-8         Cl-   7.91*10^-8
    Na+   5.19*10^-8        1/2SO4^2-  8.29*10^-8
これらも明らかなように、各イオンが全く他のイオンの影響を受けないで伝導性を示すときに移動できる速度、すなわち、移動度が水素イオンと水酸化物イオンで異常に大きいですね。
 これは林さんが指摘しているように、プロトンのポンピングによる移動が関係していると言われています。グロサスが1805年に提案した機構で、グロサス機構とも呼ばれていますが、この詳しい解説は次回にしたいと思います。ここまでは主に米山宏『電気化学』(大日本図書、1986)を参考にしました。


00A−120
差出人:鈴木 久
送信日:00年11月12日
件 名:RE:溶液の電導度について

アルケミストのみなさん こんにちは 鈴木 久です。
 相変わらず、質問紙プリントにかかりきりです。今回のアルケ資料は、合宿でお配りした1学期分の質問紙プリントです。
 さて、そろそろ2年の化学反応も終わりに近づいてきました。以下の質問にどうやって答えようか迷っています。現時点では、彼らは原子の構造(中心にプラスの電荷、周りにマイナスの電子程度)も習っておりません。ただし、周期律表はときどき引き合いに出しています。
  ナゼHOClは、いつも2個ずつって決まってるんですか?
単原子分子として化学反応式を書かせる場合も、これらがでてきたら即H2、02、N2、Cl2と書く。(いつも普通はそうなっているのだという意味ですが)の文脈で出されたものです。
 もっと早く書き込めばよかったのですが。いつも間際になってすいません。


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